身近な植物にも毒がある 秋に気をつけたい草木
ウェザーニュース / 2024年10月24日 5時0分
気温は平年より高いものの、夏のような暑さもようやく収まり活動しやすい時季になってきました。キャンプやウォーキング、家庭でも庭仕事など、自然に触れる機会も増えてきます。
身近な草木に花が咲いたり、実がなったりしている風景は、秋を感じさせてくれます。しかし、そんな草木の中に毒性があって注意が必要な場合があります。
そこで、身近で毒性のある草木について、ボーイスカウト歴40年で植物にも詳しい飯岡雅男さんに伺いました。
ごく身近な植物にも要注意
「秋のヒガンバナや春のスイセンなどは毒がある植物として広く知られています。トリカブトも猛毒の毒草として有名ですね。そのほかにも、家庭や街路、住宅街の空き地、山地などで見かける植物にも毒があるものは少なくありません」(飯岡さん)
特にこれからの季節で注意したい植物を教えてもらいました。
【ランタナ】
5~10月に花をつけ、家庭や公園などにも植えられているのをよく見かけます。「中心が黄色で外がピンク、黄色にオレンジ、白に赤紫など1本でさまざまな配色の花が楽しめるランタナですが、花が終わると小さなぶどうのような実をつけます。
この実の種に激しい嘔吐や下痢等を起こす『ランタニン』という毒があります。特に未成熟の緑のものは毒性が強いので注意してください」(飯岡さん)
【キダチチョウセンアサガオ(エンジェルス・トランペット)】
初夏から10月ぐらいまで、下向きに垂れ下がるように咲き、ラッパ型の大きな花が特徴です。「園芸植物名ではエンジェルス・トランペットと呼ばれています。中南米原産で、観賞用として栽培されていることが多いようです。白や黄色、ピンクなどの大きな花が下向きに垂れ下がり、花の数も多いので人気があります。
しかし、花はもちろん、茎や葉、根のすべてに毒があり、嘔吐や呼吸の乱れなどを引き起こす可能性があります」(飯岡さん)
【ヨウシュヤマゴボウ】
北アメリカ原産で帰化植物として国内に広く分布し、市街地などに雑草化しているので、身近に見ることができます。「秋になるとぶどうのような赤黒い実がついた房をつけ、誤って食べてしまうケースがあります。また、根をモリアザミの根(ヤマゴボウとして漬け物などで売られている)と間違えて食べてしまった報告もあります。
実にも根にも強い毒があり、口にすると腹痛・ 嘔吐・下痢などの中毒症状を引き起こすとされています。身近な植物なので特に小さい子どもが食べないように実が青いうちに駆除することが必要です。ただし、根の汁が肌に触れるとかぶれを起こす場合もあるので注意が必要です」(飯岡さん)
【キョウチクトウ】
排気ガスや大気汚染に強いため、公園や緑化樹として緑地に植えられていることが多い身近な植物です。「キョウチクトウは、今頃は花が終わっていて、一見するとキョウチクトウとわからない場合もあります。
葉や枝、根などすべての部分に毒があります。枯れた枝や葉、花にも毒性があり、注意が必要です。毒性が強く、頭痛、めまい、嘔吐、けいれんなどの中毒症状が見られます。
枝がまっすぐ伸びて節がないため、海外ではバーベキューの串の代わりにして使うことで、有毒成分を口に入れてしまい中毒を起こしたという事例もあるようです。また、木や葉を燃やした煙も有毒なので、焚き木などの代わりに使うのも避けましょう」(飯岡さん)
身近な草木の中にも毒に注意したいものがあることを知って、ハイキングや散歩などでは、みだりに種類がわからない植物には触らないようにするなど、十分注意しましょう。
参考資料
東京都保健医療局「食品衛生の窓 間違えやすい有毒植物」、厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」、京都市保育園連盟安全対策委員会「有毒植物」
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