紅葉狩りドライブは油断禁物 慣れない山道を安全運転する4つのコツ
ウェザーニュース / 2024年10月25日 5時10分
今年は山の紅葉の色づきが遅れていますが、いよいよ本州でも見頃が始まりました。市街地の紅葉より一足早い、錦繡(きんしゅう)を見に出かけたくなる時期です。
紅葉スポットは山道が多い
山々の紅葉スポットには、登山しなければ望めない場所がたくさんありますが、日光いろは坂(栃木県)・日本ロマンチック街道(長野県)・比叡山ドライブウェイ(滋賀県)・九重連山(大分県)など、車で気軽に訪れることができる名所も少なくありません。
こうした場所はつづら折りの山道に紅葉した木々が迫り、併流する渓谷の底深くまで錦に彩られます。最盛期は筆舌に尽くしがたい絶景となり、外国人観光客にも人気があります。
しかし、出かける際には山道の走行に注意が必要です。曲がりくねった坂を上り下りし、急カーブや覆い被さった木々で見通しが悪いため、危険です。
道幅が狭く、落石などによる通行制限や小動物の飛び出しにも警戒が必要。それに舗装されていても、頻繁に行われる保全や修繕によって生じた凹凸があります。
そこで、紅葉を存分に楽しむために、山道を安全に走行する心構えをまとめてみました。アドバイスいただいたのは、自動車学校を全国展開するマジオドライバーズスクールです。曲がりくねった山道を運転するには、4つのコツがあると言います。
(1)見通しの悪いカーブでは対向車に注意
「まず、注意したいのは急カーブです。連続して続くことが多いため、車が中央車線を越えてふくらみがちになります。
見通しも悪いので、カーブミラーで対向車の有無を確認し対向車がいればはみ出してくる可能性もあるので速度を落とすなど、注意しましょう」(マジオドライバーズスクール)
山道ではカーブを伴うアップダウンが繰り返されます。上り下りを比較した場合、上りよりも下りのほうが疲れる、というドライバーが多いのではないでしょうか。
山道では「下り坂 速度注意」という黄色い注意喚起の看板をよく見かけます。上りはスピードが制限され、ハンドリングもゆったりとしたものになりますが、下りは知らず知らずのうちにスピードが上がってしまうのです。
(2)下りではエンジンブレーキを多用する
「対向車を意識して道路をしっかりとトレースできていても、油断はできません。注意したいのはやはり下りです。
下りではブレーキを踏む回数が増え、ときには踏み続けることがあります。ですが、長い坂道でブレーキを踏み続けるのは大変危険です。
ブレーキの酷使によってブレーキが効かなくなるフェード現象やベーパーロック現象が起こるからです」(マジオドライバーズスクール)
このベーパーロック現象とフェード現象は同じものではありません。ベーパーロック現象はブレーキの酷使によってブレーキパッドの摩擦熱がブレーキフルード(ブレーキオイル)に伝わってオイルが沸騰。ブレーキ配管内に気泡ができて、制動力が下がる現象です。
対してフェード現象は、金属製のブレーキパッドが過熱して摩擦係数が減少。ブレーキが効かなくなる現象です。ブレーキペダルを踏んでも、すっぽ抜けたようにほとんど効かなくなることも起こります。
「この2つの現象は、どちらも重大な事故を招きかねない現象ですが防ぐことはできます。要するに、(1)ブレーキを強く頻繁に踏む、(2)長く踏み続ける、ことを回避すればいいのです。
この点でもっとも有効なのがエンジンブレーキです。オートマチックならば、シフトレバーを「D」から「2」「L」と順番に落としていって、ブレーキを使わなくても制動を得るテクニックです(最近の車であれば「B」や「S」のシフトもある)。
難しくはありませんが、何度か試してみるといいですね」(マジオドライバーズスクール)
(3)カーブではブレーキとアクセルを上手に使う
もう一つ、山道のブレーキングで注意したいことがあります。
「〈カーブ=ブレーキ〉という考え自体は正しいのですが、ブレーキとアクセルを適所で使い分ける必要があるのです。
要点はカーブに入る前、徐々にブレーキを踏んで十分に減速し、カーブ中はできるだけブレーキを踏まないということです。そしてカーブを抜けきる前から少しずつ加速していく。
この繰り返しが曲がりくねった山道では有効です。カーブ中のブレーキは横滑り防止のためにも、できるだけ使用しないようにしましょう」(マジオドライバーズスクール)
(4)休息と譲り合い、これが安全走行の基本
山道では初心者はもとより、ベテランドライバーでも過信は禁物です。平地走行よりも集中力の持続が必要ですから適度な休息が不可欠となるのです。
「平地でも同じですが、山道では譲り合いの心を忘れずに、疲れたらすぐに休息をとる。これが事故を防ぐもっとも有効な方法です。
ビギナーが運転していて、もしも後ろが渋滞するようならば、ためらわず退避所に入って後続車に道を譲りましょう。待避所がない場合は、スペースがあれば安全を確認し左に寄せて停車してから後続車に譲ります。
後ろに車が連なっていると、心理的な圧迫を受けがち。これを除くだけでもゆったりと余裕をもって運転できます。
ちなみに、坂道で道が狭く行き違いが困難な場合は、待避所があれば待避所のある側の車が進路を譲り、待避所がない場合には登ってくる車の方が発進が難しいので、上にいる車が道を譲るのが基本です。
片側に転落の恐れのある崖がある場合には、崖側の車が一時停止をし進路を譲るなどの対処となります」(マジオドライバーズスクール)
展望台が設けられた道の駅などがあれば、まさに一石二鳥。ブレーキを冷却できますし、ドライバーも周囲の紅葉をゆっくりと楽しむことができます。
出かける前にこうした「休息所」を調べておくと、心に余裕が生まれます。ぜひ、心がけてみましょう。
取材協力/マジオドライバーズスクール多摩校
写真:山形蔵王からのウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
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