たくさんある"11月の異称" 「神帰月」とは?
ウェザーニュース / 2024年11月1日 5時0分
2024年も今日で11月。早いもので、今年も余すところあと2ヶ月です。とはいえ、気分的にはまだゆとりのある時期かもしれません。そんな11月の代表的な和風月名は、「霜月(しもつき)」です。
『二十四節気と七十二候の季節手帖』などの著者で作家の山下景子さんに、霜月の由来とその他の11月の異称について伺いました。
なぜ「霜月」と呼ぶのか?
旧暦11月は、現在の12月頃。全国的に霜が降りる頃だったのでしょう。そこから、「霜月」という名前がつきました。
「霜降月(しもふりづき)」という異称もあります。
その他の11月の呼び名は?
霜月のほかにも、11月の異称はたくさんあります。その中からいくつかを選んで、山下さんに解説していただきました。
【露隠葉月】(つゆごもりのはづき)
葉から露がかくれてしまう月という意味です。露は、空気中の水蒸気が冷やされて水に変わり、水滴となって葉などに付着したもの。さらに冷え込みが厳しくなると、凍って霜になります。つまり、実際には露が隠れたのではなく、霜になったというわけです。
でも「霜月」というよりも、優雅な響きがしませんか。
【雪待月】(ゆきまちづき)
旧暦11月は、霜だけでなく、雪も降る頃です。そこで、「雪待月」「雪見月」という異称も生まれました。「雪待月」という名前からは、雪を心待ちにしていたことがうかがえます。雪は豊作のしるしともいわれ、縁起がいいものとされてきました。
そんな雪の日には、雪見の宴も催されました。
【神帰月】(かみかえりづき・しんきづき)
10月の代表的な和風月名は、「神無月(かんなづき)」でした。全国の神々が、出雲大社に集結するため、他の地方には神がいなくなる月という意味です。それと呼応して、11月は「神帰月」ともいいます。神々がそれぞれの地方に戻ってくる月というわけです。
また、「神来月(かみきづき)」ともいいました。
【復月】(ふくげつ)
旧暦では、11月に二十四節気の「冬至(とうじ)」が来ることになっていました。冬至は1年で最も昼の時間が短い日。翌日からは、少しずつ日が延びていきます。そこで、冬至の日に陰が極まって再び陽が増していくと考え、冬至を「一陽来復」と呼びました。
一陽来復の「復」をとって、旧暦11月のことを「復月」ともいいます。
【神楽月】(かぐらづき)
「神楽(かぐら)」は、神前で演奏する舞楽のことです。語源は、神が降りてくる場所をさす「神座(かみくら)」が変化したといわれます。
旧暦11月は、太陽が最も衰えると考えられた冬至の月。神を呼び、元気づけようと思ったのでしょうか、盛んに神楽が催されました。
そこから「神楽月」とも呼ばれるようになりました。
【中の冬】(なかのふゆ)
旧暦では、10月から12月までが冬ですから、11月は仲冬となります。この仲冬を読み下した言い方が「中の冬」です。そのまま、旧暦11月の異称としても使われました。「冬至、冬中(ふゆなか)、冬はじめ」ということわざが示す通り、冬の中頃ではあるけれど、本格的な冬の始まりはこの頃からです。
【風寒】(ふうかん)
「風寒」は、風と寒さをあらわす言葉です。また、風が吹いて寒いことも、こういいました。旧暦11月は、寒さが厳しくなり、風の冷たさも身にしみて感じる頃。そこで、旧暦11月の異称としても使われるようになったようです。
ほかに、ぞくぞくとする寒気のことも風寒といいます。
現代の11月は、特に朝晩の冷え込みが厳しくなる時期です。本格的な寒さはまだ先かもしれませんが、油断せず、あたたかくしてお過ごしください。
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
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