ラニーニャ現象時の特徴が明瞭に(エルニーニョ監視速報)
ウェザーニュース / 2024年11月11日 15時30分
今日11月11日(月)に気象庁は最新のエルニーニョ監視速報を発表しました。現在はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつある状況です。今後は平常の状態が続く可能性(60%)がラニーニャ現象の定義を満たす可能性(40%)を上回ると予想しています。
現時点では「平常」の状態
10月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は−0.4℃で、基準値に近い値となりました。また、エルニーニョ/ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の8月の値は-0.3℃で、基準値に近い値でした。
太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高い一方、中部から東部では平年より低く、東部での低温傾向が強まりました。
太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は熱帯季節内振動の影響もあり、平年よりも強くなりました。
このような大気と海洋の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態とみられますが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあることを示しています。
ラニーニャ現象発生の確率は40%
実況では太平洋赤道域の中部から東部で海洋表層の冷水が強まっています。
エルニーニョ/ラニーニャの動向を予測するコンピューターシミュレーションの結果によると今後、太平洋赤道域の西部から中部で貿易風が強まるとともに中部から東部の冷水がさらに強まり東進するため、エルニーニョ監視海域の海面水温が冬は基準値より低い値で推移する可能性が大きいものの、その状態は長くは続かず大気海洋結合の弱まりとともに海面水温が春にかけて再び上昇して基準値に近づくと予測しています。
以上のことから、平常の状態が続く可能性(60%)がラニーニャ現象の定義を満たす可能性(40%)を上回ると予想しています。
今冬の気温は平年並みになる予想
11月は寒気の影響が弱いため、日本の平均気温は東日本や西日本、南西諸島で平年より高く、北日本で平年並か高い予想です。
ただ、段々とラニーニャ現象時の特徴が明瞭になります。12月以降は上空の偏西風が中国付近では北に、日本付近ではやや南に蛇行し、シベリア高気圧は南東側への張り出しがやや強く、アリューシャン低気圧は西側で強くなる見込みです。
このため、今冬の気温は全国的にほぼ平年並になるとみられます。
出典
気象庁
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