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温室効果ガスの排出量がさらに増加 削減目標とのギャップが拡大傾向

ウェザーニュース / 2024年11月21日 11時0分

ウェザーニュース

10月24日に国連環境計画(UNEP)が公表したレポートによると、温室効果ガスの2024年時点での排出量は、パリ協定の1.5℃目標を達成するために必要とされる基準を大きく上回っていて、そのギャップは年々拡大してしまっていることが示されました。

排出量=吸収量にするのが目標

温室効果ガスとは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、人工物質であるハロカーボン類などの気体の総称で、通常は二酸化炭素換算でその排出量を表現します。

大気中の温室効果ガスは、人間の活動等で増加したり、森林による吸収や大気からの除去等で減少したりしますが、産業革命以降は排出量が吸収量を大幅に上回っていて、年々濃度が高まっています。

温室効果ガスのうち、二酸化炭素の濃度の推移(気象庁)

排出と吸収・除去の収支が差し引きゼロになると(ネットゼロ)、大気中の濃度は横ばいになるはずで、世界各国はそれぞれがコミットした時期までにネットゼロを達成することを目標としています。

増え続ける温室効果ガス 増加のペースがさらに上昇

今回のレポートで示されたところによると、2023年も世界の温室効果ガスの排出量は、CO2換算で57.1ギガトンになったとされます。本来であれば排出量を徐々に抑えていくべきところが、2022年と比べても排出量が1.3%の増加となってしまいました。

パリ協定で努力目標とした「温暖化を1.5℃以下に抑える」ためには、2030年には排出量を33ギガトンにする必要があるとされています。温暖化を2℃以下に抑えるのにも、排出量を41ギガトンにする必要があります。

右肩下がりの目標に対して実際の排出量が横ばいよりも上に傾いているため、年々この目標とのギャップが大きくなっている状況です。

世界中での努力・協調が求められる

パリ協定で目標として掲げられた温室効果ガス削減には大きなギャップができてしまっています。このままではギャップは広がるばかりですので、今まで以上に各国の努力や協力関係が求められる世界となってきたといえます。

今月11日にアゼルバイジャンの首都バクーで開会したCOP29では、各国が温室効果ガスの削減目標の修正値を提出することになっています。主要な排出国であるアメリカの大統領選の結果を受けたスタンスや、中国・インドなどの新興国家を含め、各国がCOP29でどのような目標を掲げるのか、そして世界はどのような決定をしていくのか、注目していく必要があります。

年々高まっている温室効果ガスの濃度から算出すると、このままのペースだと今から50年後には昨年や今年の夏のような極端な暑さが“普通の暑さ”となり、極端な年にはさらに気温が高くなることが確実視されています。水蒸気との作用で豪雨など異常気象の頻発にもつながるおそれがあります。


温暖化の影響は私たちの生活にも大きな変化をもたらす可能性があります。ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。

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