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スキー場での事故はなぜ起きる!? 安全に楽しく滑るための10のルール

ウェザーニュース / 2025年1月24日 5時10分

ウェザーニュース

2024/2025スキーシーズンは早い時期からの豊富な積雪もあって、各地のスキー場ではスキーヤー・スノーボーダーで賑わっています。

一方で雪崩などの自然災害ではない、コース外での滑走などスキーヤーやスノーボーダーの「個人の瑕疵(かし)」といえる行動が原因といえる事故が増加の傾向にあります。

スキー場などで危険を招く行動とはどのようなものか、また事故防止のためのルールなどについてまとめてみました。

スノースポーツ事故の原因は?

全国スキー安全対策協議会が全国46スキー場からの報告をまとめた「2023/2024シーズン スキー場傷害報告書」(2024年7月発行)では、同シーズンの総輸送人員は約2894万人で、コロナ禍以前の2018年の約3200万人の約90%まで回復したそうです。

その一方、スキー場での「受傷率(総輸送人員に対する受傷者の割合)」は、スキーが21/22 シーズンから3シーズン連続して上昇。スノーボードは23/24シーズンが 、過去10年で最高値となっています。

23/24シーズンにおける持病や体調不良などを除いた「スノースポーツ障害」による受傷者は、スキーが1427件で56.9%、スノーボードが1867件で43.1%でした。

受傷者そのものの数はスキーが輸送人員100万人あたり98人、スノーボードでは138人とけっして多くはありませんが、スノーボーダーはスキーヤーに比べ約1.4倍の受傷者数が推計されています。

原因は「自分で転倒」がスキー80.9%、スノーボード84.6%と最も多く、「人と衝突」がスキー14.5%、スノーボード9.9%で続いています。「人以外との衝突」で最も多かったのが「立ち木」でした。

ウェザーニュースが1月20日に「スキーやスノーボード時、危険を感じたことや怪我の経験」について伺ったアンケート調査でも、「経験がある」と回答した人の中では、「転倒による怪我(捻挫、骨折など)」「他のスキーヤーやスノーボーダーとの衝突」「コースを外れたり、制御不能になった経験」といったコメントが多く寄せられました。

国際スキー連盟(FIS)による10のルール

国際スキー連盟(FIS)は「ルールを守って安全で楽しいスポーツを!」呼びかけ、一人ひとりが責任をもって注意して滑るよう、「10のルール」を定めています。

(1)他の人への思いやりの心を忘れない
他の人にけがをさせたり、危険な目にあわせたりするような行為はしない。自分の用具に不具合がないように、しっかり点検。

(2)無茶な滑り方やスピード出しすぎをしない
個人の能力、天候、コースの状態、混み具合などを考えて、それに合った滑り方とスピードで滑る。急斜面、コースの一番下やリフトの周辺では特に注意が必要。

(3)前の人に危険が及ばないコースを選んで滑る
前を滑る人が優先。自由に動けるように、十分な距離を保つ。

(4)前の人に近づきすぎない
追い越そうとしている人が責任を持つ。追い越される人の不意の動きも考慮したうえで、十分な距離をとる。

(5)まわりをよく確認する
必ず自分の目で周囲を確認し、他の人と衝突事故が起こらないように注意。

(6)途中で立ち止まってはいけない
やむを得ない場合を除き、コースの幅が狭くなっているところや視界が悪くなっているところでは立ち止まらない。他の人のためにすみやかに空ける。

(7)コースの真ん中を歩かない
通常の滑走方向と逆走する動きは他の人の迷惑。足跡によって滑りづらくなるので、コースを歩くときには端を歩く。

(8)コースに立つ標識や標示を必ず守る
禁止、注意、その他の標示などを必ず守る。コースの難易度は、黒・赤・青・緑で標示。自分に合ったコースを選んで滑る。

(9)事故が起きたときはすぐに救護活動を
パトロールや救急隊へ通報し、事故現場が他のスキーヤーやスノーボーダーに分かるよう注意を促す。

(10)事故が起きたときは必ず連絡先を交換
スキーヤーやスノーボーダー、その場に居合わせたすべての人は、責任の有無にかかわらず、氏名と連絡先を交換する。

コース外滑走に潜む危険

近年は特に外国人観光客によるスキー場内の「ロープの向こう側」、管理されていない斜面にあたる立入禁止区域などでのスキーヤー・スノーボーダーの事故が数多く報告されています。

日本雪崩ネットワークによると、スキー場内での死亡事故の多くは立入禁止区域か一時的な閉鎖区域で発生しているそうです。

なお、スキー場管理者の規制を無視してコース外や管理区域外に出て遭難した場合、捜索、救助に要した費用は、スキーヤー・スノーボーダーが負担しなければならないと定められています。

山岳エリアを滑走する際に注意が必要なのは、まず樹木の周囲です。積雪シーズンの樹木の根本周辺にはツリーホール(ツリーウェル)と呼ばれる穴が形成されています。

特に針葉樹は季節を問わず葉をつけている常緑樹が多く、枝葉の除雪効果が加わり、深い穴になります。新雪が降り積もった後の穴は深くなっているので、頭部を下にして落ちると自力で脱出することは難しく、流れ込む雪による窒息死の原因にもなっています。

新雪滑走を楽しむ人も多いですが、フカフカなため埋もれてしまいやすく、窒息死するリスクも伴います。新雪の90%は空気で雪結晶は10%程度とされていますが、雪などによる気道閉塞や首の屈曲による体位性窒息、低酸素血症などにより死に至ってしまうようです。

雪に埋もれると15~30分で窒息死するといいます。早期発見とレスキュー関係者への迅速な通報がなにより大切ですから、山岳エリアでの滑走はもちろん、スキー場でも単独滑走を控え、仲間とともに行動することが最も効果的な事故予防策といえるようです。

もちろん、体調不良時には滑走しない、滑走前の飲酒は控えることなどはいうまでもありません。

自分はもちろん、他の人の安全にも留意しながら、スキー場のルールを守ってスノースポーツを楽しみましょう。


参考資料
全国スキー安全対策協議会「スノースポーツ安全基準」、同「2023/2024シーズン スキー場傷害報告書(2024年2月1日~2月29日)」、国際スキー連盟(FIS)「ルールを守って安全で楽しいスポーツを!」、日本雪崩ネットワーク「滑走者への安全の呼びかけ」

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