二十四節気「立春」 ここから始まる“いちばん初めの節気”
ウェザーニュース / 2025年2月3日 5時10分
二十四節気は「立春」から始まります。今年は、2月2日(日)の節分を経て、2月3日(月)から立春に入ります。
寒い日が続いていますが、「暦の上では春」と呼ばれる日になりました。そんな立春とは、どんな時季でしょうか。
春が少しずつ感じられる「東風」
春を運んでくるように、春先に東方から吹いてくる風を「東風」といいます。
東風は「こち」「ひがしかぜ」などと読みます。「こち」と読む場合、「ち」は風の意味です。
~東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花 主(あるじ)なしとて 春な忘れそ(または「春を忘るな」)~
これは平安時代前期の貴族で学者の菅原道真の歌です。太宰府に左遷されたとき、邸(やしき)の梅の花に別れを惜しんで詠んだと伝わります。
身を刺すように冷たく吹くことも、弱く、柔らかく吹くこともある東風。春を少しずつ感じられる風です。
悲しい歴史もある「春一番」
「春一番」(「春一」ともいう)も、春の到来を告げる風です。
春一番は、その年の立春から春分(今年は3月21日)までの間の最初に吹く、強い南風です。風を生ぬるく感じるほど、気温が上昇するのも、春一番の特徴です。
春一番は、もともと漁師たちが使っていた言葉です。「春一番」という明るい言葉の響きとは裏腹に、海上で大時化(おおしけ)を起こし、海難事故につながることもある、危険な風でもあります。
実際、幕末の1859年には、現在の長崎県壱岐市郷ノ浦町の漁師53人が、出漁中に春一番の犠牲になりました。
春の到来を実感できる点ではうれしい風ですが、春一番の悲しい歴史も心にとどめておきたいものです。
「春告鳥(はるつげどり)」が春を教えてくれる!?
「春告鳥」は、文字どおり、春を告げる鳥のことで、ウグイスの異称です。
「ホーホケキョ」は、オスがメスを誘ったり、なわばりを宣言したりする時の鳴き声です。
江戸時代には、「法、法華経」と聞きなされ、「経読鳥(きょうよみどり)」という異名もつけられました。
鳥や虫などが、その年初めて鳴くことを「初音(はつね)」といいます。ウグイスの初音は、春の到来を知らせてくれる便りともいえそうです。
春を告げるものには、鳥のほか、魚や草木などもあります。たとえば「春告魚(はるつげうお)」はニシン(地方によっては、メバルなど)、「春告草(はるつげぐさ)」は梅のことです。
耳を澄まし、目をこらしてみると、身の回りの生きとし生けるものが春を教えてくれるでしょう。(※冒頭の画像の鳥は「メジロ」です。)
北国の子供たちが心待ちにする「雪解」
春になって、積もっていた雪が解(と)け始めることが「雪解」です。「雪解」は「ゆきどけ」のほか「ゆきげ」と読むこともあります。また、「雪消」とも書きます。
雪解は、特に北国の人たちにとっては、たいへん待ち遠しいものです。
北国の雪解は、実際には、立春よりもっとあとのことが多いでしょうが、それでも、陽光の下のぬかるみなどに、雪解の兆しが感じられることもあるでしょう。
雪解というと、次の一句を思い出す人もいるかもしれません。
~雪とけて村一ぱいの子ども哉(かな)~
江戸時代後期の俳人、小林一茶の俳句です。子供たちの元気いっぱいな声が聞こえてきそうです。
立春といえども、実際には、寒い日が続いています。とはいえ、日に日に、日が長くなっていることを実感できる日々でもあります。本格的な春はやはり近づいているのです。
寒い中にも春の兆しが感じられるのが、立春の時季の特徴といえるでしょう。
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
監修
山下景子:作家。『二十四節気と七十二候の季節手帖』(成美堂出版)や『日本美人の七十二候』(PHP研究所)など、和暦などから日本語や言葉の美しさをテーマとした著書が多数ある。
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