記録更新なるか。かつてない激戦の残留争い/六川亨の日本サッカーの歩み

超ワールドサッカー / 2018年10月9日 17時30分

写真:(c) CWS Brains, LTD.

▽J1リーグも10月7日で第29節を終了。代表ウィークのため2週間ほど中断されるが、今シーズンも残り5試合(札幌とC大阪、湘南、磐田は残り6試合。名古屋は7試合)となった。首位の川崎F対鹿島戦は0-0のドローだったが、2位の広島(勝点56)は柏に0-3と完敗。それでも両チームの勝点差は1しかない。数字上は8位のC大阪まで優勝の可能性を残しているものの、3位の鹿島(勝点46)と川崎F(勝点57)は11勝点差もあるだけに、優勝争いはほぼ2チームに絞られたと言っていいだろう。

▽一方、下位に目を向けると勝点30で17位の鳥栖はフィッカデンティ監督の解任が決定的と見られているが、近年まれに見る大混戦となっている。現時点で自動降格圏を脱出しているのは4位のFC東京(勝点46)まで。オリジナル10でJ2に降格したことがない横浜FM(勝点38)も、まだ安全圏にいるとは限らない。

▽J1リーグが現行の18チームになったのは2005年のこと。以来、最下位で降格したJ1チームの最多勝点は09年のジェフ千葉で、勝点は27だった(それに続くのが17年の大宮の25)。ところが今シーズンは、5試合を残してすでに最下位の長崎が勝点27とタイ記録に並んでいる。長崎が残り5試合で1勝でもすれば勝点は30台に乗り、すべてのチームが年間の勝点で30以上という、かつてないハイレベルな残留争いになる。

▽こうした大混戦の原因は、他ならぬ長崎にあるだろう。これまでの降格パターンで多かったのが、J2昇格組が“1弱"ないしは“2弱"という状況から1シーズンでJ2に舞い戻ることだった。06年の京都(勝点22)、07年の横浜FC(同16)、08年の札幌(同18)、10年の京都(16)と湘南(19)、11年の山形(21)、13年の大分(14)、14年の徳島(14)がこのパターンだ。京都以外はどのクラブも親会社のないチームで、財政的に厳しい状況のため、J1に昇格しても大型補強ができずJ2降格の憂き目に遭っている。

▽しかし長崎は初のJ1にもかかわらず清水、G大阪、柏、磐田、FC東京、仙台を倒し、名古屋からは2勝をあげているのは立派。残り5試合は磐田、鳥栖、横浜FM、G大阪、清水と前半戦で勝利をあげている“相性の良い相手"かもしれない。

▽いずれにせよ、J1残留争いは最終節までもつれ込むことになるのではないだろうか。名古屋は消化試合が2試合少ないため、11月は3日と6日が中2日の連戦となるのがどう影響するのか。柏と湘南はルヴァン杯でベスト4に勝ち残っていて、準決勝で激突するためどちらか1チームは決勝戦に進出する。タイトルか残留かで両チームの指揮官も頭を痛めていることだろう。

▽最後に08年は勝点37の東京Vが17位でJ2に降格した。10年はFC東京が36点の16位、12年は38点で17位のG大阪と、39点で16位の神戸がJ2行きを余儀なくされた。今シーズンはJ2降格の最多勝点記録を更新するのかどうかも見物だ。


【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

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