景気のいい話ばかりではない…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2018年12月4日 12時0分

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▽「同じ旅立ちでも天と地の差だわ」そんな風に私が首を振っていたのは月曜日、夜のスポーツニュースでバロンドール表彰式に向かうレアル・マドリーのモドリッチの映像の後、足を手術するため、バラハス空港からブラジルに発つアトレティコのジエゴ・コスタが映った時のことでした。いやあ、実際、昨年はクリスチアーノ・ロナウドが仁王立ちしていたエッフェル塔から舞台を変え、ファッションショーのパリ・コレなどで使われるグラン・パレで優雅に行われたセレモニーでは予想通り、モドリッチが10年に渡るロナウド、メッシの独占時代に終止符を打ち、UEFA最優秀選手、FIFAベストに続いて、バロンドールも受賞したんですけどね。

▽その場では、自分に賞が確定している時以外、顔を出さないサッカー界の超巨匠たちとは違い、同僚のリュカやレマルに伴われて出席していたグリーズマンも「フランス人が受賞しないのは残念。もしかしてCLの方がW杯より重要なのかな」と愚痴ったぐらいでそれ程、落ち込んでいる風ではなかったのは有り難いんですが、ファンにとって大事なのは今シーズン。クリスマス休暇を挟んで、2月のCL決勝トーナメント開始までには戻って来るとはいえ、アトレティコの前線のパートナー、コスタが治療のため、この先2カ月間欠場というのは、彼にとっても試練の時期にならない?

▽だってえ、まるでその悪夢の先ぶれのように先週末のリーガでは1チームを除いて、マドリッド勢は皆良かったんですよ。まずは金曜、エスタディオ・バジェカスでとうとう待望の1部復帰ホーム初勝利をラージョがゲット。迎えた相手は前節、イプルアで兄貴分のレアル・マドリーに3-0の大金星を挙げたばかりのエイバルだったんですが、それが却って幸いしましたかね。ここずっと降格圏にいて、最速2部Uターンの恐れが刻々と高まっていたマドリッドの弟分チームは前半、ほとんど攻撃に出ず、どこか「Hemos estado atenazados/エモス・エスタードー・アテナサードス(ウチは怯えていた)」(ミチェル監督)感じだったんですが、それで相手を見くびってしまったのが運の尽き。

▽「勝つつもりで試合を支配していたが、no se si lo hemos visto sencillo o que, que nos hemos ido relajando/ノー・セ・シー・ロ・エモス・ビストー・センシージョ・オ・ケ、ケノス・エモス・イドー・レラハンドー(簡単にできると思ったのかどうかはわからない。ウチはリラックスしてしまった)」とメンディリバル監督も後で言っていた通り、0-0のまま迎えた後半8分、アレックス・モレノがエリア内奥からゴール前に出したラストパスの軌道をエンバルバが変え、先制点が入ったから、平日にも関わらず、スタンドを埋めたファンがどんなに湧いたことか。

▽いやあ、このエンバルバ、5年前、アトレティコのサウールがレンタル移籍で修行に来ていた頃からいるカンテラーノ(ユースチーム出身の選手)なんですが、厳しい2部時代の2年間も耐え、堂々26才となった今はキャプテンマークを任される存在に。この日でラージョでの公式戦出場150試合達成などと聞くと、ホントに時の経つのは早いんですが、カンテラーノの大先輩であるミチェル監督も先日、同じブラウグラナ(青と紫のストライプ)をまとったバルサ相手に1点リードしながら、残り4分から同点、逆転とされた痛い教訓に学んだんでしょう。最後はFWラウール・デ・トマスを下げ、ティトを入れて、5人DF体制でこの1点を死守。1-0で今季2勝目を挙げることができましたっけ。

▽まあ、それでも18位と彼らの順位が変わらず、残留ラインまで勝ち点差4あるのは何ですけどね。実はそのラージョと今週火曜、コパ・デル・レイ32強対決ミニダービーで2ndレグを戦う、もう1つの弟分レガネスも翌土曜、バジャドリー戦でいい結果を残していて、アウェイでの白星自体、2017年10月のマラガ戦以来だったとか。おまけにホセ・ソリージャでは前半にCKから、シオバスとオスカル・ロドリゲスのゴールで2点をリード。後半はトニ・ビジャに1点差にされたんですが、21分にはカリージョがGKマシップのミスから3点目を挙げ、更に30分にはdoblete(ドブレテ/1試合2ゴールのこと)となれば、ロスタイムにウナルに1点を返されても痛くも痒くもありませんって(最終結果2-4)。

▽実際、4得点というのは1部3年目のレガネスにとって、アウェイでは初めてのことで、これにはペレグリーノ監督も「Ha habido mas efectividad sobre el terreno de juego/ア・アビードー・マス・エフェクティビダッド・ソブレ・エル・テレーノ・デ・フエゴ(ピッチでずっと効率的だった)」と満足顔。順位も16位と1つ上がって、降格圏から勝ち点5差となったとなれば、1stレグをホームで2-2と引き分けたため、ゴールを挙げないと勝ち抜けない火曜午後8時30分からのラージョ戦にも力を避けるというものでしょう。

▽その後も今週は金曜午後9時から、また弟分ダービーとなるリーガのヘタフェ戦をブタルケで迎えるレガネスなんですが、そのお隣さんも土曜の次の時間帯であったエスパニョール戦では決して撃ち負けてはいないことを証明。いやあ、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのファンが前節アスレティック戦で終了間際にマタがゴール前で倒されたペナルティ相当のプレーを主審にもVAR(ビデオ審判)にもスルーされ、引き分けで終わった件を抗議、スタンドから一斉pitada(ピタダ/ブーイング)があった前半は無得点で終わったんですが、後半一時、照明塔の1機が消えるアクシデントがあった後、9分にはホルヘ・モリーナがエリア内での個人技から先制ゴールをゲットしてくれるとは、やはり頼りになる36才のエースです。

▽更に20分にはマタも続き、35分にはアントゥネスがミドルシュートを決めて、ヘタフェは3-0という立派なスコアで完勝。8位ながら、ヨーロッパリーグ出場圏まで勝ち点1と迫ったんですが、残念だったのは「Es decision tecnica/エス・デシシオン・テクニカ(戦術的な理由だ)」(ボルダラス監督)ということで、この日も柴崎岳選手がベンチに入っていなかったことと、続く時間帯でマドリー戦がサンティアゴ・ベルナベウであったため、私が彼らの勝利に立ち会えなかったこと。

▽うーん、今週はコパ32強対決2ndレグで火曜午後7時30分から、2部のコルドバをホームに迎えるヘタフェなんですけどね。現在、2部で降格圏の21位に沈む相手は1カ月前の1stレグの後、サンドバル監督を解任し、今はクリストバル・トーレス監督が率いているんですが、先勝しているとはいえ、スコアは1-2の僅差。前日記者会見でボルダラス監督は「Están convocados y es posible que estén en el once/エスタン・コンボカードス・イ・エス・ポシブレ・ケ・エステン・エン・エル・オンセ(招集されていて、スタメンに入ることもありうる)」と柴崎選手やアレホについて話していたんですが、果たしてアピールのチャンスはもらえるんでしょうかね。

▽え、それで土曜最後の試合、バレンシア戦ではマドリーも兄貴分の貫録を見せたのかって?そうですね、先週はCLでローマを0-2で破り、グループリーグ首位通過も決めていた彼らだったため、当日にクロースとマルセロがケガで抜けるというアクシデントはあったものの、それ程、心配はしていなかったんですけどね。まさか前半7分、カルバハルがゴール前に上げたクロスをヴァスが完璧にヘッド、オウンゴールをプレゼントしてくれるなんて!加えて相手方はユベントスに負け、CL敗退となったショックもあったか、「Hemos hecho una primera parte muy cutre/エモス・エッチョー・ウナ・プリメーラ・パルテ・ムイ・クトレ(ウチは前半、とてもしみったれた試合をしてしまった)」(サンティ・ミナ)こともあり、マドリーは1-0でリードしてハープタイムに入ります。

▽ただ追加点がなかったため、ロッカールームで心を入れ替えたバレンシアは後半早い時間、サンティ・ミナが2度程、GKクルトワに迫ったんですが、フリーのシュートを撃ち上げるわ、次は蹴る前にボールを取られてしまうわとチャンスをモノにできず。おまけにクルトワは交代で入ったバチュアイの1対1のシュートまでcaradon(カラドン/顔面スーパーセーブ)で弾いてしまったとなれば、今季のバレンシアがゴール不足で下位にいるのも納得できるかと。一方、太ももを痛めたベイルがアセンシオに交代、モドリッチもバルベルデに代わり、最後の枠でイスコが入ったマドリーは38分になって、とうとう本領を発揮することに。

▽ええ、カルバハルがカウンターで駆け上がると、ソラリ監督に「Que fuera determinante cuando tuvieramos una transicion/ケ・フエラ・デテルミナンテ・クアンドー・トビエラモス・ウナ・トランシシオン(ウチに攻守交代のチャンスがあった時、決定的な役割をするように)」と言い含められたイスコとパス交換をした後、ゴール前にクロス。ボールはアセンシオの体に当たって、エリア内にこぼれたものの、ルーカス・バスケスがベンゼマのアシストで2点目を決めてくれたとなれば、もう安心ですって。そのまま2-0で勝利となり、前節のエイバル戦の大敗でミソをつけたソラリ監督も早々に汚名挽回することができましたっけ。

▽それにしたって、マルコス・ジョレンテやレギロン、ベルベルデら、ソラリ監督がRMカスティージャを率いていた時代から熟知しているカンテラーノを活用しているのとは対照的に、アセンシオやイスコがあまり出してもらえなくなったのは心配じゃないかって?まあ、指揮官の好みもあるでしょうけど、とりわけ気の毒なのは後者でバレンシア戦の後など、ピッチに入る前の着替えの時、アンダーシャツになった姿をTVが後ろから捉えた映像がネタに。深夜のサッカー番組で腰に贅肉がついている、ついていないと延々議論していたのには私もただただ、呆れるばかり。そこへ、これには当人も頭にきたか、インスタグラムに自身の上半身裸体の写真を上げ、「Estoy gordo?/エストイ・ゴルドー(ボクは太っている?)」というアンケートを実施していた日にはもうどっちもどっちかと(https://www.marca.com/futbol/real-madrid/2018/12/02/5c03e6efca47410c1d8b458b.html)。

▽結果、太ってはいないというファンからの答えがわずかに過半数を超える程度だったのはご愛敬として、こんな技術の進歩した時代ですからね。昔の写真を上げたんじゃないかとか、加工しているんじゃないかとか、散々、茶々を入れられていたのは仕方ない?ちなみにマドリーは今週、憲法記念日の祝日である木曜、午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、コパ32強対決メリージャ(2部B)戦2ndレグをサンティアゴ・ベルナベウで開催。1stレグが0-4の大勝だったこともあり、慣例的にこのラウンドでは控え選手がスタメンとなることを踏まえ、「次の試合、イスコはtitulalismo(ティトゥラリシモ/不動のレギュラー)」なんてラジオに揶揄されていたのも気の毒だったかと。

▽そしてその日曜にはマドリッド勢のトリとして、アトレティコがジローナ戦に挑んだんですが、実は彼らは昨季、1部に上がったばかりの相手にホーム、アウェイ共、引き分けるという失態を犯していたんですよね。おまけにゴディン、ヒメネス、ファンフランに加え、先日のCLモナコ戦後にはフィリペ・ルイスまで負傷してしまったDF 陣は最小人員でのオペレーションを余儀なくされ、この日はとうとう、マルチ選手のサウールが左SBとしてプレーすることに。まあ、それでも前半には彼のシュートがゴールバーに弾かれたり、後半もGKボノがケガでイライソスに代わった後、絶好機にparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまったりと、アタッカーとして存在感を示してはくれたものの…。

▽もう敵がアトレティコの苦手な3CB制を敷いているせいなのか、バルサ戦、CLモナコ戦と緊張する試合が続いて選手たちが疲れているのか、それとも7000万ユーロ(約91億円)でこの夏、加入したレマルが値段にふさわしい働きをしてくれないせいなのか、私にも理由はわからないんですけどね。メッシに次ぐリーガ2番目の高給取りであるグリーズマンも先週頃から、最後の希望だったバロンドールも逃したという情報が優勢になっていたせいでふて腐れてしまったか、左足小指の中足骨に12年前、埋め込んだボルトの不具合でずっと、痛みに悩まされていたジエゴ・コスタもムリして先発してくれていたんですが、いつになっても点が取れず。

▽挙句の果てに前半終了間際、ロドリが自陣でパスミス、ロバーツからパスを受け、今季すでに10ゴール挙げてピチチ(得点王)だったストゥアーニがエリアに突っ込んで来るのを見て、さすがのGKオブラクも慌ててしまったんでしょうかね。ボールを奪おうとして相手を倒してしまったから、さあ大変!しかも最初は審判がファールはエリア外として、FKを指示していながら、まさかVAR判定でペナルティにされてしまうとはツイていないにも程がある?ええ、ストァーニがPKを決め、アトレティコは1-0とリードされてしまったんですよ。

▽え、それでも後半の彼らは途中出場したコレアが自陣から放ったロングパスをコスタが見事にトラップ。シュート寸前に先に足を出したラマーニョがオウンゴールにして同点に持ち込んだんだろうって?そうなんですが、その後のジェルソンの一撃はイライソスに弾かれてしまい、そのまま1-1で終わった彼らはこれで今季アウェイ戦7試合中、5回目の引き分け。実際、ここまでワンダ・メトロポリターノの外ではヘタフェに勝っただけですからね。もうこうなると、夜の試合ではバルサがビジャレアルに勝って首位奪還、セビージャがアラベスと引き分けくれたため、3位は変わらず、1位との差もたった勝ち点3だけといったって全然、慰めになりませんよ。

▽そしてこの試合、「Está haciendo un esfuerzo. Dejó el alma en cada jugada/エスタ・アシエンドー・ウンエスフエルソ。デホ・エル・アルマ・エン・カーダ・フガダ(大いなる努力をしている。1つ1つのプレーに全霊を懸けてくれた)」(シメオネ監督)コスタがとうとう、このまま足の痛みを我慢するのは不可能と悟ったため、この水曜に母国で手術を受けることになったんですが、いやはや。アトレティコの次の試合は水曜午後7時30分(日本時間翌午前3時30分)から、ワンダでのコパ32強対決サン・アンドレウ戦2ndレグ。相手は3部のチームなんですが、1stレグでは0-1と辛勝でしたからね。抜擢されるであろうアトレティコB(2部B)の精鋭たちに頑張ってもらいたいところですが、この場合、やっぱり念のため、グリーズマンがベンチに入るんですかね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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