今週末で開幕戦も終了…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2020年9月26日 17時0分

写真:©Atlético de Madrid

「これでもう、ゴール日照りと無縁になれるのかしら」そんな風に私が喜び半分、懐疑心半分でいたのは金曜日、とうとうルイス・スアレスがバルセロナからマドリッドに朝一で到着し、慣例のメディカルチェックを昨季、手術したヒザにも異常なく、無事に通過。ワンダ・メトロポリターノのオフィスで2年間の契約書類にサイン、背番号9のユニフォームを掲げてポースした後、夕方にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で他の選手たちと一緒に汗を流している一連の写真を見た時のことでした。いやあ、モラタのトリノ行きから始まった今週のアトレティコはずっとバタバタしていて、火曜には当人が1年半過ごしたチームに別れを告げ、前回いた時は同僚だったピルロ監督率いるユベントスにレンタル移籍することが決定。

これでモラタの年棒900万ユーロ(約11億円)のコストカットとそのレンタル料、1000万ユーロ(約12億円)を手に入れたクラブは、いえ、スアレスの自由移籍を最初は認めていたバルサの上層部が、相手がアトレティコと知った途端、グダグダ言い出して、すったもんだしていたなんてこともあったんですけどね。最後はアトレティコがCLで準々決勝以上に進んだ時のみ、成功報酬オプションとして700万ユーロ(約9億円)を払うという形で火曜が終わる頃、決着したようですが、翌日は6シーズンの在籍で計198ゴール、1試合平均0.70得点という素晴らしい成績で13タイトルの獲得に貢献したチームにスアレスがお別れするセレモニーがカンプ・ノウで開催。その後、マスコミ各社は夜遅くまでエル・プラッツ空港を張って、選手がマドリッド行きの飛行機に乗る姿を捉えようとしたんですが、結局は翌朝まで肩透かしを喰わされる破目に。

ただ、新チームに合流してもスアレスはウルグアイ代表の後輩、ヒメネスに会うことはできなくて、ええ、彼は今週始めのPCR検査で新型コロナウィスル陽性が発覚し、自宅隔離になってしまったからですが、ラッキーだったのは丁度、ロスアンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)キャンプ明けから、隔離期間を過ごしていたシメオネ監督がとうとう、陰性となって、この日からセッションに復帰したこと。もちろん、代表キャプテンのゴディン(インテル)や元同僚となったグリーズマンから、情報はたっぷり得ていたはずですが、自分をアトレティコに誘ってくれた指揮官と直接、顔を合わせることができたのは良かったかと。

ちなみにバルサのプレシーズン練習開始時から、クーマン監督に戦力外通告を受け、親善試合にも招集されなかったスアレスなんですが、火曜まで律儀にバルサのセッションに参加。よって、この日曜、午後4時(日本時間午後11時)から、アトレティコのリーガ開幕となるグラナダ戦に出場することも体調的にはできそうですが、まるで正反対のようなサッカーカルチャーを持つチームのプレーにそんなすぐに適応することができるのかどうか。今季はジャンプアップが期待されるジョアン・フェリックスはいるとはいえ、メッシ並みのアシスト力はまだ見せていませんし、大体がして、バルサ程、タレントのある選手がいる訳じゃないですからね。何はともあれ、決定力の高い選手が加入してくれたのは嬉しい限りではあるんですが…。

それというのも相手のグラナダはすでに今季、リーガのどのチームより多い公式戦4試合をすでに消化。しかもリーガではアスレティック、アラベスに連勝して首位にいる上、EL予選2回戦でテウタ(アルメニア)、この木曜にも3回戦でロコモティブ・トビリシ(ジョージア)を撃破し、4連勝と絶好調だから。ええ、昨季はマドリッドの弟分、ヘタフェにいたホルヘ・モリーナとケネディ(チェルシーからレンタル)もすでに新天地での初ゴールを挙げていて、現在、向かうところ、敵なし状態なんですよ。

ただ、いきなり昨季のリーガ再開後と同様、1週間に2試合というのを続けていくのは、グラナダとしても難しいはずなので、来週木曜にいよいよ、ELグループリーグに出場できるかどうかの最終関門、プレーオフのマルメ(スウェーデン)戦を控えていますしね。このアトレティコ戦はもしかしたら、メンバーを落としてくれるかもしれませんが、さて。ちなみにそのELの試合があるため、彼らの来週ミッドウィークのリーガ、オサスナ戦は来年に延期されています。

え、同じ木曜には昨季EL王者のセビージャがCL王者のバイエルンに挑むUEFAスーパーカップもあったんだろうって?その通りで、私もつい、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)まで、足を伸ばしてしまったんですが、8月のファイナルエイトで続いた流れと真逆になってしまったのが、ロペテギ監督のチームのツキを奪いましたかね。というのも、ハンガリーのブタペストで両チームのファン、3000人がスタジアム入場を許されたこの試合、ウォルバーハンプトン、マンチェスター・ユナイテッド、インテル戦とは違い、序盤にペナルティを犯したのはディエゴ・カルロスではなく、バイエルンのアラバだったから。ええ、前半12分、ヘスス・ナバスのクロスをデ・ヨングが頭で落としたとこに駆けつけた、出戻りホヤホヤながら、セビージャのユニにまったく違和感のないラキティッチを突き飛ばしてPKを献上。これをオカンポスがしっかり決めて、先制点が入ります。

といってもやはり、そこはCL準々決勝で、その時はラキティッチもまだいたバルサを8ゴールで叩きのめし、ブンデスリーガ開幕のシャルケ戦でも8得点のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)づいている相手。その程度ではまったく動じず、33分にはミュラー、レバンドフスキの連携から、ゴレツカが同点ゴールをゲットすると、その後はセビージャがあまりに圧倒されまくっていたため、これはいつ大量得点が始まるのかと、私もドキドキしながら、見ていたんですけどね。幸い、後半のレバンドフスキとザネのゴールはVAR(ビデオ審判)により、認められず、それどころか、後半43分にはキャプテンのナバスが34才の全英知を振り絞ったかのような絶妙なスルーパスを送り、去年まではレガネスにいたエン・ネシリが抜け出したんですが…エリア内から1対1で放ったシュートをGKノイアーに逸らされてしまってはねえ。

勝負はそのまま延長戦にもつれ込み、とうとうバイエルンが勝ち越し点を挙げたのは前半14分のこと。それもセビージャが得意だったはずのCKから、1度はEL優勝の立役者、GKボノが弾きながら、古巣アスレティックへの移籍を待っているハビ・マルティネスにヘッドを決められてしまうというのは皮肉。いえ、もちろん、2-1と僅差、しかも天下のバイエルンに120分間、戦うことを余儀なくさせた点は評価に値しますけどね。前人未到のEL6回優勝をしているセビージャは、これでUEFAスーパーカップ5敗目。彼らが勝てたのは最初に出場した2006年のバルサ戦だけと聞くと、EL制覇は3回と回数では及ばないものの、その3度共、スーパーカップで優勝(相手はインテル、チェルシー、レアル・マドリー)しているアトレティコって、結構、偉いのかもしれない?

そこへ、今季のスタートから3節目、平日開催予定試合がスペイン・サッカー協会の反対により、いやあ、もう恒例になりかけているとも言っていいんですけどね。水曜になって、土日にズラされたため、セビージャには月曜だったはずのカディス戦を日曜にプレーしないといけないという、とりわけ延長戦を戦った身には辛い開幕戦が待ち受けているんですが、同時に金曜予定だったエイバルvsアスレティック戦も日曜午後2時(日本時間午後9時)に変更。乾貴士選手の活躍や武藤嘉紀選手(ニューキャッスルから移籍)のデビュー戦を楽しみにしている日本のファンはちょっと、気をつけておきたいところです。

え、今週末の土曜には昨季の最終戦でグラナダに今季のEL参加権を奪われたばかりか、4シーズン、チームを支えてくれた38才のエースも奪われたヘタフェもリーガ2戦目を迎えるんだろうって?はい、こちらは午後1時(日本時間午後8時)から、アラベスとのアウェイゲームに挑むんですが、まだ選手補強が済んでいないのが、ボルダラス監督の悩みの種のよう。前日記者会見でも「han salido nueve futbolistas y han llegado tres/アン・サリードー・ヌエベ・フトボリスタス・イ・アン・ジェガードー・トレス(9人の選手が退団して、3人しか入っていない)」とこぼしていましたが、更にGKチチソラとポルティージョの2人が放出要員という事情もあって、今季もリーガはベンチ入り23人が可能なところ、18人しか遠征に連れて行かないとは、はて。

まあ、マチン監督が就任したアラベスも開幕からベティス、グラナダに2連敗とスタートダッシュに失敗していますから、前節のオサスナ戦のようにマタがゴール力を発揮してくれれば、何とかなるとは思いますけどね。一応、FW陣には他にもアンヘル、新加入のクーチョ(マジョルカから移籍)、ウナル・エネル(同ビジャレアル)と頭数は揃っていますし、今季はヨーロッパの大会で体力を消耗することはない彼らだけに、1試合、1試合、リーガで勝ち点を積み上げていってほしいものです。

そして前節の開幕レアル・ソシエダ戦がスコアレスドローだったせいで、一気にゴール不足論が浮上してきたマドリーはというと。いやあ、こちらも火曜にはウーデゴールがPCR検査で陽性を出し、それこそ彼が昨季レンタルでお世話になり、レアル・アレナでの試合前に親しく挨拶を交わしていたソシエダの選手たちからはここ昨今、何人も感染者が出ているとあって、ジダン監督のチームにも緊張が走ったんですが、大丈夫。2度目の検査で陰性が確認されたため、当人の自宅隔離にも、バルデベバス(バラハス空港の近く)でのチーム練習が個人練習にもならず、無事に今週のセッションをこなすことができましたっけ。

何せ、この土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの彼らの相手はグラナダと並び、先行組2チームだけ2連勝と調子に乗っているベティスですからね。ハメス・ロドリゲス(エバートンに移籍)やベイル(同トッテナム)がいなくなったのは元々、昨季終盤から戦力外にされていたため、影響はないものの、金曜に出たセビージャ行きの遠征リストにはまだ、アザールもアセンシオも含まれず。攻撃陣ではイスコとルーカス・バスケスが増えただけと、もちろん、ジダン監督の信頼を受ける唯一のCFであるベンゼマが当たってくれれば問題はないとはいえ、それも常にとはいかないのが辛いところかと。

ただ、そんな世間の心配とは無縁なのか、ジダン監督はクラブにCFの補強を頼むことはしないそうで、今節もヨビッチとボルハ・マジョラル(昨季はレバンテにレンタル移籍)を連れて行くんですが、移籍市場が閉まる10月5日までは何かが起きる可能性を否定せず。いや、まあ、昨季のリーガ再開後のマドリーも得点力が凄かった訳ではなく、固い守備がモノを言って、最後は優勝を掴んだ感もありましたからね。

その流れのままは言っても、ゴールラッシュに慣れているファンにしてみれば、「Yo firmaría ganar siempre por la mínima y no encajar goles/ジョ・フィルマリア・ガナール・シエンプレ・ポル・ラ・ミニマ・イ・ノー・エンカハール・ゴーレス(自分は最小得点差で勝って、失点しないことで満足する)」(ジダン監督)とはいかないんじゃないかと思いますが…どちらにしろ、沢山、ゴールを挙げてもスタジアムでファンが喜べる日は当分、来なさそうなのが今季のリーガです。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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