市内なのに見に行けない…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2020年10月10日 22時0分

写真:Getty Images

「こんなんじゃ、また、スタジアムに観客が戻るのが遅れそう」そんな風に私が嘆いていたのは金曜日、新型コロナウィルス感染者数の再拡大を受け、数日前から、よんどころない事情がある場合を除き、市外への移動制限がかかるという話は聞いていたものの、いきなりマドリッドだけが、15日間のEstado de Alarma(エスタードー・デ・アラルマ/警戒事態)宣言をされてしまったと知った時のことでした。いえ、第1波最盛期だった3月、4月とは違い、街のお店も開いていますし、家から出てはいけない訳ではないため、旅行でも計画していたのではない限り、特に日常生活には影響はなさそうなんですけどね。

実際、通りでマスクをしてない人を見ることがほぼないという状態でありながら、ちっとも感染抑制になっていないとなれば、スペイン政府だって、一体、どうしたらいいのか、途方に暮れている?いえ、多分、来週末に再開されるリーガは各クラブのお仕事ということで、アウェイ戦のため、チームが移動する妨げにはならないはずですけどね。困るのは、これじゃ、いつになっても無観客試合が続くことで、だってえ、リスボンで行われたスペインとポルトガルとの親善試合には、すでにUEFAから、キャパの30%までなら、観客を入れていいというお達しが出ているため、ジョゼ・アルバラーデの定員5%に当たる、2500人のファンが入場。

それとは真逆なのがこの土曜、バルデベバス(バラハス空港の近く)にあるエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)で開催されるネーションズリーグのスイス戦で、スペインは観客を受け入れられる状態ではないと、サッカー協会がUEFAに報告。9月同様、無観客試合で行うことになったのだとか。いえ、スタンドに人がいない中、7月にはこのスタジアムでリーガ優勝を達成した、今回、珍しくもレアル・マドリーから1人参加となったセルヒオ・ラモスなどは、もう慣れたもんですから、全然、平気でしょうけどね。

いくら、次のファイナルフォーがいつあるのかもよくわからず、その脇では今月と来月、初開催だった前回のネーションズリーグの成績により、来年に延期されたユーロ2020の出場権残り枠を争うプレーオフが開催。木曜など、ウーデゴールが延長戦まで頑張ったノルウェイが、マドリーの同僚、ヨビッチがベンチで見守っていたセルビアに1-2で負けたなんて報もあり、引き続き、両チーム共、現行の第2回バージョンのネーションリーグの2試合に挑むという、正直、訳のわからない状態になっているとはいえ、公式戦なのに、少数でもファンが応援してくれる試合とそうでない試合があるっていうのはちょっと、不公平じゃない?

まあ、そうは言っても、スペインがポルトガルとスコアレスドローだったのは、別に選手たちが久々に観客の前でプレーしたせいではないとは思いますが、ようやく生で代表戦を見ることができた観客たちはちょっとガッカリだったかも。いえ、開始早々、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)がすぐ前に詰めてきたGKルイ・パトリシオ(ウォルバーハンプトン)にシュートを阻まれたりと、前半は「los primeros 30 minutos han sido excepcionales, con y sin balón, hemos presionado muy bien/ロス・プリメーロス・トレインタ・ミヌートス・アン・シードー・エクセプシオナレス、コン・イ・シン・バロン、エモス・プレシオナードー・ムイ・ビエン(最初の30分間は素晴らしかった。ボールを持っても、持ってなくてもね。とてもいいプレスをかけていた)」とルイス・エンリケ監督も言っていた通り、敵を圧倒していたスペインだったんですけどね。

クリスチアーノ・ロナウド(ユベントス)にもチャンスを作らせず、FWトリオを構成したオルモ(ライプツィヒ)とロドリゴ(リーズ)も撃っていったんですが、とにかく点が取れないんですよ。逆に後半になると、7分にはロナウド、21分にもレナト・サンチェス(リール)のシュートがゴールバーを直撃し、最近はチェルシーで控えとなることが多いながら、ルイス・エンリケ監督の信頼を受けて先発したGKケパを脅かしたんですが、どちらも下に落ちたボールがゴールラインを割らなかったのはラッキーだったかと。後半、唯一、スペインが点を取れそうだったのは26分、昨年の初招集時は負傷で、9月にはコロナ疑似陽性のせいで、代表デビューができず、両親の母国マリからの招集もあった今回、とうとう3度目の正直で試合に出ることができたアダム・トラオレ(ウォルバーハンプトン)が演出。

ええ、彼はバルサのカンテラ(Bチーム)育ちながら、リーガでは1試合プレーしただけで、5年前から、プレミアリーグの選手であるため、私も試合で見たのは昨季、セビージャに負けたEL準々決勝の時ぐらいしかないんですけどね。「Adama ha sido Adama en estado puro/アダマ・ア・シードー・アダマ・エン・エスタードー・プーロ(アダマは純正アダマそのものだった)」とルイス・エンリケ監督も褒めていたように、右サイドをそのスピードと馬力で突破し、フリーのオルモにラストパスを送ったんですが、残念ながら、彼のシュートはルイ・パトリシオがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。そのすぐ後にはロナウドに代わり、ポルトガルの前線にジョアン・フェリックスが入ったため、私もつい、そちらを応援してしまうことになったんですが…。

ダメでした。後半ロスタイムにはCKからのプレーで最後、ゴール右前に行ったボールに合わす機会のあったジョアンですが、ミートすることができず、そもそもスペイン勢には1人もおらず、その試合、アトレティコからの1人参加となった彼は3連続スコアレスドローを経験してしまうことに。いえ、ま、ポルトガルも公式戦なら、ロナウドとジョアンの併用になるはずですし、とりわけ前者はあと、9ゴールで代表109得点という世界最多記録のアリ・ダエイ(イラン)を追い抜けるということで、この日の途中出場で代表戦出場試合が173となり、ヨーロッパ最多のブッフォン(ユベントス)の記録まであと3つ、世界記録を持つ、アフマド・ハッサン(エジプト)までもあと11まで迫り、記録更新に意欲満々のラモス共々、まだまだ活躍してくれるはずですしね。

現在はポルトにいるペペも加わり、試合後はCLの頂点に君臨したマドリー時代の友情を温め合ったりしていたため、別にポルトガルの先行きを憂う必要はないんですが、やっぱり、今のスペインには絶対的エースが不足している感がなきにしろあらず。ええ、ルイス・エンリケ監督も「どの監督でもいい状態のルイス・スアレス、ハリー・ケーン、ファン・バステンンをチームに欲しいと思うだろうが、ウチにはいないから。ゴールを入れるにはサイドアタッカー、トップ、中盤、SBと、全ての選手でチャンスを作るしかない。Ya os adelanto que la rotación arriba será continua/ジャー・オス・アデラントー・ケ・ラ・ロタシオン・アリーバ・セラ・コンティヌア(前線のローテーションが続くことは予告しておく)」と言っていましたしね。

まあ、それも今のスペインにはあの、2008年から2012年までのユーロ、W杯、ユーロ優勝の黄金時代を牽引したビジャやフェルナンド・トーレスのようなFWがいないからですが、翌木曜にはラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会施設に戻ったチームには朗報が。というのもポルトガル遠征前、8月末にコロナに1度感染、もうとっくに回復して、リーガ戦にも出場していたオジャルサバル(レアル・ソシエダ)がPCR検査ではっきり陰性と出ず、UEFAの規則で1人、合宿所でお留守番していたんですが、金曜には晴れて陰性結果を手に入れることができたから。

これでポルトガル戦ではレギロン(トッテナム)が打撲でガヤ(バレンシア)と交代したため、出られなかったアンス・ファティ(バルサ)に加え、使えるFWがスペインに増えたのは良かったんですが、実は土曜午後8時45分から、アルフレド・ディ・ステファノで対戦するスイスもシャキリ(リバプール)が1度、陽性となり、もう陰性になったものの、出場できるかはUEFAの判断待ちになっているのだとか。うーん、来週火曜のネーションズリーグ4節を戦う予定のウクライナなど、正GKのピアトフ(シャフタール)を始め、その控えで、今季はレンタルからマドリーに戻ったレニンも含めて、複数人のコロナ陽性が出たせいか、水曜のフランスとの親善試合では7-0とボロ負けしていましたしね。昨今はどのチームもいつ、感染者が発生するかわからない状況なんですが、この2試合ではスペインも誰かがゴールを決めて、グループ首位をキープできらと思います。

え、そのスペイン代表に試合会場を提供するマドリーには他にも心配な選手がいるんだろうって?その通りで、ルニンはウクライナの代表合宿先のホテルで隔離されているだけなんですが、実はクルトワも大腰筋を痛め、ベルギー代表から即行Uターンとなることに。うーん、彼は9月も代表に挨拶しにだけ行って、すぐ戻って来るという妙な真似をしていたんですが、バルデベバスでリハビリして、来週末のカディス戦には支障がなさそうというのが救いかと。何せ、リーガ2試合目のベティス戦で臀部を痛め、それから出場していなかったクロースもネーションズリーグのウクライナ、スイス戦に必要と、スペインと同じグループにいるレーブ監督のドイツ代表に呼ばれてしまいましたしね。

一応、先日、扁桃腺の手術を受け、流動食が続いたため、8キロも体重が落ちたというマリアーノもグラウンドでランニングを始めたようですが、彼の場合はジダン監督のチーム構想に入っていないため、あまり関係ないとも言えますし、このparon(パロン/リーガの中断期間)明けにはせめて、ミリトンぐらいは戻って来てほしいかと。カルバハルは2カ月の長期離脱、オドリオソラ、マルセロ、そして誰より待たれているアザールなどもまだのようですしね。代表戦前にリーガ単独首位に立ったマドリーとはいえ、10月はCLグループリーグがミッドウィークに入る7連戦が始まるため、戦力が揃うのは早ければ早い程いいかと。

そして今週月曜の移籍市場終了日にトマスが契約解除金5000万ユーロ(約63億円)をポンと払い、アーセナルに電撃移籍するという大ショックに見舞われたアトレティコはどうしているのかというと。いやあ、本当にその移籍、アーセナルが当人連絡してきたのも前日という、急なものだったようで、各局のレポーターがラ・リーガ本部前に締め切りの午前0時まで張り付き、午後11時過ぎに彼の代理人が手続きに訪れるところまで中継していたんですが、やはり代表戦期間に入っていたせいもあったんでしょうね。すでにロンドン入りしていると言われたトマスが火曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場を訪れ、シメオネ監督や代表に呼ばれていないチームメートたちにお別れの挨拶をしていったというのにはちょっとビックリ。

結局、その後、すぐにロンドンに向かい、金曜になってみれば、いつの間にやら、ガーナ代表に合流して、マリとの親善試合に出ているんですから、何とも忙しいんですが、契約解除金による移籍だったため、アトレティコには市場が閉まってしまっても、あと1カ月はスペイン国内からなら、補強選手を獲ることが可能なのだとか。といっても、コロナ禍により、収益が悪化しているため、その5000万ユーロ全てを使う訳にはいかず、うち25%の1250万ユーロ(約16億円)しか移籍金には充てられないらしいんですけどね。候補に挙がっているコンドグビア(バレンシア)、スペイン代表デビューを果たしたばかりのカンパーニャ(レバンテ)、9月に続いて2回目の招集となったミケル・メリーノ(レアル・ソシエダ)と、どの選手も値段が高いため、そうそう簡単にはいかないよう。

加えて、ヘタフェのアランバリを推す声も挙がっていましたが、いくらこちらも木曜の南米W杯予選、ルイス・スアレス(アトレティコ)のPKとマリオ・ゴメス(バレンシア)のゴールでチリに2-1と勝ったウルグアイ代表でデビューした有望株とはいえ、昨季の2月に移籍解除金を積んで、レガネスからブライトワイテを奪っていったバルサみたいな真似は弟分にはできませんからねえ。そうそう、今回のウルグアイ代表にはヘタフェのダミアン、そしてアトレティコにトマスと入れ替わりで入団したトレイラ(アーセナルからレンタル移籍)も招集されているんですが、火曜のエクアドル戦ではこの2人にも出場機会があると嬉しいかと。何はともあれ、各国代表に行った選手も行かない選手もケガとコロナには気をつけて、無事に来週末のリーガ再開を迎えてもらいたいものです。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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