地獄の7連戦もあと少し…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2020年11月3日 18時0分

写真:©Atlético de Madrid

「何か矛盾しているわよね」そんな風に私が首を捻っていたのは月曜日、CL3節でカンプ・ノウを訪れるディナモ・キエフはコロナのクラスター発生で、9人もの選手がバルサ戦に出られないと聞いた時のことでした。いやあ、そうは言ってもレアル・マドリーも2週間前の1節で同じウクラナイ勢のシャフタールと対戦。その時も相手には8人程の感染者がおり、いわゆる敵のBチームを前にしながら、3-2で負けてしまったなんてこともあったんですけどね。更に遡れば、その1週間前にはスペイン代表もコロナによる欠場者が多数いたウクライナにネーションズリーグで1-0と負けていたんですが、何とも解せないのはその試合の舞台ともなったディナモ・キエフのホーム、今季はシャフタールのCLホームとしても使われているオリンピスキー・スタジアムのスタンドには常にかなりの数のサポーターが入っていること。

だってえ、今のところ、ポロポロと感染報告は出てくるものの、片手の指に余る程、1チームから大勢の陽性が出ることはないスペインでは相変わらず、リーガ戦完全無観客。UEFAがキャパ30%までのファン入場を認めたヨーロッパの大会も政府の規制により、全て無観客でやっているというのに、どうしてあれだけ、陽性の選手を出しているウクライナはスタジアムを開けられる?それはともかく、CL今節は他でも大変なことになっていて、アヤックスなども11人の陽性選手を地元に残し、火曜のミッティランド戦に備え、デンマーク入り。試合当日、1人でも陰性結果が出れば、近場ということもあって、おっつけチームに合流させるつもりらしいなんてニュースもあったんですけどね。

そうは言っても、マドリッド勢もコロナとは無縁ではなく、先週末はラウール監督率いるRMカスティージャ(2部BでプレーするマドリーのBチーム)から、4人の陽性が出て、日曜のラージョ・マハダオンダ戦が延期になったかと思いきや、同じバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場施設を使っているトップチームでも月曜にはミリトンが感染。幸い、他は全員、PCR検査陰性だったため、インテル戦に支障はないんですが、はあ。今のところ、全土でEstado de Alarma(エスタードー・デ・アラルマ/警戒事態)に再び、入ったものの、午前0時過ぎの夜間外出禁止ぐらいで、お店は普通に開いているスペインとはいえ、巷のコロナ感染者増がこのまま続くと、サッカー観戦の頼みの綱であるバル(スペインの喫茶店兼バー)もまた、そのうち営業停止になりそうで、私もちょっと憂鬱なんですが…。

え、それでも先週末はマドリッドの両雄がいい試合を見せてくれたんだろうって?その通りでここ3週、連続してCLグループリーグがあるため、ずっと土曜にプレーしている彼らなんですが、まずお昼の2時という、珍しく早い時間にエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)のピッチに立ったのはマドリー。ええ、ウエスカの岡崎慎司選手を見たい日本のファンのための設定だったはずですが、残念ながら、当人はケガが治らず、リーガ移籍以来、楽しみにしていた対戦を逃してしまったのはともかく、ジダン監督はとうとう、理想のtridente(トリデンテ/FWトリオのこと)をスタメンで使うことができたんですよ。

それはアザール、ベンゼマ、アセンシオのことで、いえ、AS(スポーツ紙)がCL優勝4度で一世を風靡したBBC(ベー・ベー・セー、ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドのこと)の後継として、HBA(アチェ・ベー・アー)と名付けたのは、語呂もよくありませんし、あまり流行らない気がしますけどね。前半40分まで、同じ昇格組のカディスのような大番狂わせやってやろうと気を張って守っていたウエスカを崩したのは、まさにその、今季2試合目の出場となるアザールがエリア外から放ったシュート。

これが見事、GKアンドレス・フェルナンデスを破り、マドリーに先制点を奪われたのが、「El gol nos ha hecho mucho daño/エル・ゴル・ノス・ア・エッチョー・ムーチョ・ダーニョ(あのゴールがウチに大きな打撃を与えた)」(ミチェル監督)か、突破口が開きます。そう、45分にも今度はルーカス・バスケスのクロスをベンゼマが胸でトラップして、2点目を決めると、後半8分にはその彼がバルベルデをアシスト。前節のクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)に続いて、22才の成長株が3点目を挙げたところで、まあ、勝負はあったんですけどね。29分にはラファ・ミールからのパスをフェレイラが決め、ウエスカが名誉の1点を挙げた後、再び45分にはマルセロのクロスをロドリゴ、ベンゼマと頭で繋ぎ、最後は4-1の勝利となれば、インテル戦に向けて、こんなに自信になることはない?

というのも、宿敵バルサが同日、アラベスとも1-1で引き分け、ここ4試合で白星なしとなり、勝ち点差8をつけることになったリーガはまあ、いいんですけどね。火曜午後9時(日本時間翌午前5時)に同じ、ディ・ステファノで迎えるCL3節は、ジダン監督も記者会見で「Es una final/エス・ウナ・フィナル(決勝だ)」と7度も繰り返していたように、初戦でシャフタールに3-2で負け、2節ではボルシア・メンヘングラッドバッハと土壇場で2-2の引き分けに持ち込んだ彼らにとって、もう絶対に落とせない試合だから。

もちろん、彼らのグループは首位のシャフタールが勝ち点4、2位、3位に並ぶメンヘングラッドバッハもインテルも勝ち点2しかないため、もう1つの対戦の結果によっては、まだまだ大丈夫かもしれませんけどね。宿題は早めに済ませておくに越したことないかと。ちなみに月曜の夜にマドリッド入りしたコンテ監督のチームにはエースのルカクが負傷で帯同せず。先週末はパルマとのセリエAの試合でも2-2の引き分けと、あちらもラウタロウの不調が祟って、思ったように白星を挙げられていないよう。

一方、マドリーではウエスカ戦後半に筋肉痛で交代したルーカス・バスケスも無事に招集リスト入り。未だにカルバハル、オドリオソラ、そしてナチョまでが負傷中の右SBは彼で、左SBはメンディという布陣で行けそうなため、あとはミリトンの脱落で、控えのいなくなったセルヒオ・ラモス、バランの両SBが試合中にケガをせず、1年以上ぶりのゴールで復活の狼煙を上げたハザール以下、攻撃陣が当たってくれることを祈るばかりでしょうか。

そして土曜の午後6時半には再び、馴染みのバルに戻った私だったんですが、いやあ、オサスナとのアウェイ戦に挑んだアトレィコは前半、またしても押されているようだったんですけどね。おまけにその日はジエゴ・コスタ負傷中の今、唯一のCFであるルイス・スアレスにお休みを与え、9番なしのスタメンだったため、ゴールを挙げるのが難しいかと思われたんですが、とんでもない。ええ、40分にはその日、先発でアピールの機会をもらったビトロがエリア内でロンカグリアに倒され、PKをゲットしてくれるとは、何てツイているんでしょう。

ただねえ、そのPKこそ、ジョアン・フェリックスが右ポスト、ギリギリを狙って、先制点にしてくれたんですが、アトレティコのPKキッカーが呪われているというのは本当なのかも。だってえ、実は後半1分にもコレアのエリア内で蹴ったボールがオイエルの腕に当たり、VAR(ビデオ審判)のヘルプもあって、またPKをもらうことになったんですが、今度は狙いすぎちゃったんですかね。ジョアンの蹴った2本目のPKは右のゴールポストに弾かれ、戻って来たボールをフリーで撃ったコレアのシュートは天高く消えるって、まったく、どうなっているんでしょう。

いえ、3分のシュートもポストに当ててしまったコレアも反省したか、24分には彼のラストパスから、ジョアンが今度は正真正銘のgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で2点目を決めたため、試合後は当人も「Todos fallan/トードス・ファジャン(皆、失敗するんだよ)」とケロリとしていられたんですけどね。それも当然だったのは、統計によると、このチーム、誰が蹴ってもどうやら、3、4回に1回という、リーガ最悪の頻度でPKに失敗しているから。うーん、世の中にはお隣さんのキャプテン、ラモスのように25回連続でゴールにしている選手もいるんですけどねえ。本当にもったいないことをしている自覚がないのはちょっと、困りもんですよ。

おまけに35分には、マジョルカから、この夏、オサスナに加入したばかりのブドミルがヘッドで初ゴールを挙げ、1点差に迫られたため、尚更、焦燥感が募ったんですが、意外や意外。43分にはトリピアーのクロスをトレイラがエリア内右で上手くトラップ。技ありの、こちらも移籍後、初ゴールを決めてくれたため、最後は1-3という落ち着いたスコアで勝てたのは何よりだったかと。そして、「Ahora es un viaje de cinco horas/アオラ・エス・ウン・ビアヘ・デ・シンコ・オラス(これから5時間の移動がある)。そこで相手の試合を見て、ウチが何をしたいか考えることができる」とシメオネ監督も言っていたように、早くも翌日曜の練習後にはロシアに向かう飛行機に乗った彼らだったんですが…。

火曜午後6時55分(日本時間翌午前2時55分)からのCL3節、ロコモティブ・モスクワ戦に向けての朗報は休養明けのスアレスと、ここ3週間程、謎の負傷で欠場していたサウールのチーム合流でしょうか。ちなみに相手のロコモティブ・モスクワとは昨季もグループリーグで顔を合わせ、アウェイ、ホームとも2-0で勝利しているアトレティコなんですが、懸念は最近、無観客試合しかしていない彼らが、8000人の敵サポーターが応援するスタジアムでプレーしなければならないこと。そのプレッシャーさえ、乗り越えることができれば、ワンダ・メトロポリターノで迎える4節と合わせて2連勝も期待できますしね。翻って、この2連戦でザルツブルクは今でも絶好調、昨季の何でも王者、バイエルンと対戦。

要はここでオーストリア勢が勝ち点0に終わってくれれば、初戦でバイエルンに4-0と叩きのめされたアトレティコでも4節終了時にグループ2位突破が決まるという、美味しい話になるかもしれないんですよ。今のところ、リーガは消化試合が2試合少ないながら4位と、いい位置につけているものの、11月も各国代表戦後には再び、地獄の7連戦が待ち受けていることを考えると、CLはなるたけ早く、片を付けておいた方が無難に決まっていますって。

え、でもそのCLに、月曜にはマドリッドでメディカルチェックを受ける姿が目撃されたコンドグビアは出られないんだろうって?はい、その通りで、10月の市場クローズの日にトマスが5000万ユーロ(約61億円)の契約解除金を払って、アーセナルに電撃移籍したせいで、補強選手獲得に1カ月の猶予をもらったアトレティコは着々と、この夏、主力選手の大量放出に踏み切っていたバレンシアと交渉を進め、とうとう、1000万ユーロ(約12億円)で話をつけたらしいんですが、次にCLに選手登録ができるのは決勝トーナメント開催前ですからね。とりあえず、ボランチではトレイラ(アーセナルからレンタル移籍)も結構、使えることがわかりましたし、エレーラもサウールの不在中にアピールできているとあって、リーガだけでも出場できれば大いに助かるかと。

ただ、こんな時期まで、貴重な人材の流出に悩まされているハビ・ガルシア監督も気の毒と言えば、気の毒なんですが、バレンシアを決して侮ることなかれ。ええ、日曜にはマドリッドの弟分チーム、ヘタフェがメスタジャに乗り込んだところ、うーん、前半22分にCK攻撃を跳ね返され、それどころか、カウンターを浴びて、17才のユネス・ムサーに先制点を決められてしまったのはちょっといただけないですけどね。後半21分に右SBのコレイラが2枚目のイエローカードで退場し、敵が10人になったおかげもあったか、とうとう41分にはクーチョのゴールで同点に。おまけにロスタイム3分にはディアビイのシュートはゴールポストに弾かれたものの、アンヘルが押し込んで、土壇場で逆転勝利をもぎ取ったかに見えたんですが…。

まさか、その後にダミアンとジェネが2人掛かりでマキシ・ゴメスをエリア内で倒し、PKを献上してしまうとはもう、悲劇を通り越して喜劇と言っていいかと。結局、ソレルにPKを決められ、100分以上続いた一戦は2-2の痛み分けに終わりましたが、抗議でダミアンも2枚目のイエローカードを受けて退場となるなど、ボルダラス監督のチームももうちょっと、冷静にプレーして欲しいかと。ちなみに今季はヨーロッパの大会に出ていない彼らは次戦、月曜にバジャドリーを2-0で下し、3位に滑り込んだビジャレアルを日曜にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えることになりますが、相手は木曜にELのマッカビ・テルアビフ戦をこなさないといけませんからね。今度こそ、週1試合ペースの強みを発揮して、現在の8位から少しでも上昇したところで、代表戦週間のparon(パロン/リーガの中断期間)を迎えられるといいですよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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