強いチームが見られるのは週末だけ…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2021年2月2日 21時30分

写真:©Atlético de Madrid

「また長い平日になっちゃった」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、今週もミッドウィークはコパ・デル・レイしかなく、マドリッド勢の試合が週末までないことに気づいた時のことでした。いえ、準々決勝は火曜のアルメリア(2部)vsセビージャ戦、水曜のグラナダvsバルサ戦がオープン放送されるため、自宅のTVで眺めていようかとは思っているんですけどね。同じく水曜のレバンテvsビジャレアル戦、木曜のベティスvsアスレティック戦もスポーツニュースでサマリーぐらいは目にするはずですが、アトレティコ、ヘタフェは2回戦、レアル・マドリーも32強対決で早々に敗退した後、最後の生き残りだったラージョ(2部)とナバルカルネーロ(2部B)も16強対決で姿を消した今、決勝まであと3ラウンドもあるコパが完全に無縁な大会となってしまったって、一体、どうやってヒマを潰したらいい?

え、おかげで昨年はコロナ禍の影響による圧縮日程により、恒例のクリスマス休暇もなかったせいか、兄貴分のマドリーとアトレティコなど、週末のリーガ戦の後、2連休と洒落こんでいるけど、このオフを心から満喫できるのは、絶対首位の座をますます確固たるものにした後者だけじゃないかって?うーん、確かにその通りで、どちらも先週はすでにコパがなく、中6日と準備万端で試合に挑めたんですけどね。逆にエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)を土曜に訪れたレバテンなど、火曜にコパ16強対決があり、バジャドリーを2-4の撃ち合いで退けたのは気分も上がって良かったでしょうが、どちらもアウェイ戦。体力的には大変だったかと。

そう、まず、そのレバンテ戦の様子から報告していくことにすると、前半8分、マドリーのエリアにドリブルで迫ったセルヒオ・レオンをミリトンが倒したことから、悲劇が始まったんですよ。というのも最初はイエローを出した主審がVAR(ビデオ審判)からの連絡でリプレーを見て、カードをレッドに変更。GK前、最後のDFだったとして、ミリトンを退場させてしまうんですから、まったくツイていないじゃないですか。ただ、そこはさすがマドリー、その5分後にはレバンテの攻撃をクリアしてからのカウンターでクロースがアセンシオにスルーパス。ドリブルで上がった彼がGKアイトル・フェルナンデスを1対1で破り、先制できちゃったからでしょうかね。

セルヒオ・ラモスはまだヒザのケガが治らずにスタンド観戦、ナチョはコロナ陽性と、他にトップチームのCBがいなかったせいか、アタッカーの数を減らすのが嫌だったせいか、やはりコロナで自宅から指揮を執っていたジダン監督はアップを始めていたカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のチュストを入れず、カセミロを最終ラインに下げて、この難局を乗り切ることを決意。それが32分にはミラモンのクロスをレバンテのcomandante(コマンダンテ/司令官)、モラレスにワンバウンドから、技ありのvolea(ボレア/ボレーシュート)で叩き込まれ、早計だったことが発覚することに。

その日の彼らはとことん厄日だったのか、後半16分にはアザールに代わって入ったばかりのビニシウスがバルディを自陣エリア左のライン近辺で倒し、うーん、これも最初はFKを主審は指示していたんですけどね。VAR連絡が入ったか、急遽、PKに変更。ラモス以下、負傷でスタンドに並んでいたルーカス・バスケス、カルバハル、バルベルデらが無観客で声が通るのをいいことに、「Pero míralo, que es fuera, es fuera!/ペロ・ミラロ、ケ・エス・フエラ、エス・フエラ(でも見てくれよ。外だよ、外)」と、画面でのチェックを求めて猛抗議したんですが、逆にそれで主審も意地になったのかもしれませんね。幸い、ロジェールの蹴ったPKはGKクルトワが見事に弾き、その前にもシュートを連続して2度も防がれ、今日は相性最悪なのが明白だった彼にどうしてキッカーをやらせたんだろうと、私も疑問に思ったものでしたが…。

でも、パコ・ロペス監督にはわかっていたんですね。「Hay que valorar que él no se viene abajo por fallar un penalti, tiene mucho cáracter y cree en lo que hace/アイ・ケ・バロラル・ケ・エル・ノー・セ・ビエネ・アバッホ・ポル・ファジャール・ウン・ペナルティ、ティエネ・ムーチョ・カラクテル・イ・クレエ・エン・ロ・ケ・アセ(PK失敗にも落ち込まないところを評価しないと。彼には強い性格と自分のやっていることに対する信念がある)」と後で褒められていた、そのロジェールが何と34分、バルディのパスを受けて、文句なしの決勝ゴールを挙げてしまうんですから、トライすることを決して諦めてはいけない?その直後、ダビド・ベットーニ第2監督もベンゼマとアセシオをマリアーノとカンテラーノのアリバスに代え、反撃を試みたんですが、いやあ。ロスタイムの最後、クルトワも加わったCKの全員攻撃も実らず、ディ・ステファノで今季のリーガ、カディス戦、アラベス戦に続く3敗目を喫してしまいましたっけ(最終結果1-2)。

え、試合後、クルトワなど、「Hoy no podemos hablar de un mal partido/オイ・ノー・ポデモス・アブラル・デ・ウン・マル・パルティード(今日は悪い試合をしたとは言えない)。だって、ボクらは8分から1人少ない状態で戦っていたんだから」と今シーズン、他の大会も含めて8度目となる黒星を正当化していなかったかって?そうですね、ただ、「aunque se queden con uno menos tienen jugadores de un altísimo nivel/アウンケ・セ・ケデン・コン・ウノ・メノス・ティエネン・フガドーレス・デ・ウン・アルティシモ・ニベル(1人少なくなっても、彼らには最高レベルの選手たちがいる)」というパコ・ロペス監督の言葉もごもっとも。そもそも首位と勝ち点7差あることを考えたら、なりふり構わず、勝ってこそ、天下のマドリーってもんじゃないですか。

それがまったく、今季の彼らは持続性がなくて、早くも2月24日のCL16強対決アタランタ戦1stレグ前のリーガ全勝計画も初っ端から頓挫。これでは次節、土曜のウエスカ戦も先が思いやられますが、おそらく、それまでにはコロナが陰性となって、ジダン監督、ナチョ、そしてラモスとカルバハルも戻って来られそうなのが唯一の希望の光かと。とはいえ、まだ最下位のままでも、金曜にラファ・ミルのハットトリックで1-3とバジャドリーを下し、今季2勝目を挙げたウエスカもパチェタ新監督の下、少しずつ、調子が上向きになってきたようですからね。ディ・ステファノで4-1と負けた10月末の対戦では負傷でベンチ入りできなかった岡崎慎司選手も張り切っているでしょうし、決して油断はできませんよ。

そして翌日曜、丁度、お昼の午後2時から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにアラベスを迎えたのが弟分のヘタフェだったんですが、これが何とも序盤からもどかしい展開でねえ。ジェネ、カバコ、チェマ、オリベイラの欠場で一気に守備陣に駒を欠くことになったボルダラス監督が、前日、ビジャレアルからのレンタルで加入、まだ1度も一緒に練習をしていなかったモロッコ人CBチャクラを、エルチェ戦で同じ状況だった久保建英選手の2匹目のドジョウを狙ったかどうかはわかりませんが、いきなり先発させ、この日はエチェイタ、本職ボランチのティモルと3CB制を採用。ダミアンとククレジャをcarrilero(カリレーロ/長い距離をカバーするSB)として、最近の成功著しい兄貴分の真似をしてみたんですが、結果は両者がピッチ中盤でぶつかり、どちらも前に進めないという状態に。

前半28分、ピナが放ったエリア外からの一発がこの試合、両チーム通じて、最初のシュートだったと言えば、その停滞度も想像してもらえるかと思いますが、その3分後、久保選手が倒れながら、撃った緩いボールもGKパチェコが難なくセーブ。38分にはゴールライン上でマタのシュートをDFタチが頭でクリアするなんてこともあったんですが、結局、どちらも決め手を欠いたまま、最後はアランバリのヘッドも枠を外れ、試合は0-0で終わってしまいましたっけ。

ええ、後でヘタフェのファール数が20、アラベスは19と聞いたりすると、しょっちゅう誰かがピッチで倒れていたのも納得ですが、同じ勝ち点1でもボルダラス監督が「El punto nos sabe a muy poco/エル・プント・ノス・サベ・ア・ムイ・ポコ(1ポイントではほとんど旨味がない)」と嘆いていたのに比べ、リーガで4連敗。当人、復帰して、初めての勝ち点ゲットとなったアベラルド新監督が、「El empate es positivo/エル・エンパテ・エス・ポシティーボ(引き分けはポジティブ)。ここ2試合、イヤな後味が残っていたから」と喜んでいたのは対照的だったかと。いえ、アラベスは18位の降格圏にいて、ヘタフェはそこから勝ち点5離れた12位なんですけどね。

今週末の土曜には4位のセビージャ、続くミッドウィークの火曜に延期されていたマドリー戦、そしてレアル・ソシエダとこの先、強敵との対戦が続く彼らだけに、ここで勝ち点3取っておけなかったのは残念ですが、まだシーズンは折り返したばかり。一応、アスレティック戦で5-1の大敗を招いた守備の穴は塞がったようなので、今度は久保選手とアレニャの加入で活性化した攻撃陣を利用して、また大事なところでゴールを決められるチームになってくれるといいんですが…。

え、それでも他のマドリッド1部仲間同様、その日はコロナ陽性により、カラスコとエルモーソ、2人のレギュラーを欠いていたアトレティコは決して、ファンを失望させなかったんだろうって?いやあ、どうも今季は期待しているとコケるという彼らの特性が変わったようで、そのままバル(スペインの喫茶店兼バー)に居座っていた私はこの日も再度、バルサがルイス・スアレスをタダ同然で譲ってくれたことに感謝することに。こちらもカリレーロを右はマルコス・ジョレンテに、左はサウールへと変更していたせいか、なかなか点が取れなかった前半28分、ジョアン・フェリックスへのファールでもらったエリ前左側のFKをエースが直接決め、先制ゴールを挙げてくれたんですから、もう呆気に取られたの何のって。

実際、あとで当人も「バルサにはメッシがいたから、蹴らなかったけど、リバプール時代やウルグアイ代表ではFKからゴールを入れてるよ。Justo lo entrenamos el otro día con un par de faltas/フスト・ロ・エントレナモス・エル・オトロ・ディア・コン・ウン・パル・デ・ファルタス(丁度、先日もFKの練習をやったし)」と言っていたんですが、アトレティコが直接FKで得点するのはグリーズマン(現バルサ)以来なのだとか。ただ、このリードは長くは続かず、35分にはレマルの守備が甘かったせいもあり、ネグレドに同点ゴールを入れられてしまったんですが、大丈夫。

この日のアトレティコはかなり、ツキにも恵まれていて、45分にはCKから始まったプレーでレマルが上げたクロスにサウールが後ろ足で合わせたところ、これが最高のvaselina(バセリーナ/ループシュート)となって、スコアは1-2に。おまけに前半ロスタイム、敵のパスをブロックしようとエリア内で身を投げ出したコケの腕にボールが当たり、一旦はペナルティを主審に宣告されたものの、VARにより、彼の手が地面についていたことが明らかになったため、PKを取られなかったなんてことも。いえ、ネグレドなども後で、「Está en una posición rara y deja el brazo/エスタ・エン・ウナ・ポシシオン・ラーラ・イ・デハ・エル・ブラソ(変な体勢だったし、わざと腕を残したんじゃ)」と言っていたように、私もあれはボールを弾こうとして、手をついた感じもしなくはないんですけどね。

まあ、判断するのは審判ですから、別にいいんですが、逆に彼らは後半5分、サウールからのパスを追ったレマルがマウロに体当たりされ、文句なしのPKをゲット。これもスアレスが、歴代のアトレティコPKキッカーには珍しい落ち着きで決め、1-3となったとなれば、もう勝負はあった?いえ、実際はそれからカディスの猛反撃に遭い、ネグレド、ロサノ、ファリらのシュートにヒヤリとさせられるわ、スアレスが2度もシュートを外してしまうわ、挙句の果てに26分にはヒメネスのクリアがネグレドの前に落ち、1点差に迫られるゴールを入れられてしまうわと、ハラハラドキドキさせられたんですけどね。

レンタル移籍ほやほやのサポンジッチまでが、古巣への恩返しゴールを決めようと至近距離からヘッドを撃ってきたんですが、ここはバルカン半島仲間の先輩、GKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)で阻止。シメオネ監督もサウールとスアレルをエレーラとコンドグビアに代え、守り倒し体制に入ったところ…まさか、スローインを途中から入っていたコレアが器用に繋ぎ、ゴール前に突っ込んだコケへのラストパスを成功させてしまうとは!ええ、43分、土壇場でキャプンの決めた今季自身初ゴールにより、2-4となれば、今度こそ、勝ち点3ゲット確定です。

いやあ、試合後、カディスのセルベラ監督が「ウチはずっと競っていたが、tienes delante seguramente al campeón de Liga/ティエネス・デランテ・セグラメンテ・アル・ッカンペオン・デ・リーガ(リーガ・チャンピオンとなるだろうチームが相手だった)」とシャッポを脱いでいたり、その日、最後の試合では、メッシが2017年から、1憶3800万ユーロ(約175億円)という、規格外の年棒をもらっているという契約内容が暴露され、またしても世間をザワつかせながら、当人がスアレスにもグリーズマンにFKを譲らなくても仕方ないと思わせるゴールを決めたおかげもあって、アスレティックに2-1で勝利。そのバルサがお隣さんを追い抜いて2位なったとて、どちらも勝ち点差10だったりするのを見ると、もう頬が緩んで仕方ないアトレティコファンは決して、少なくなかったと。

それでも全然、変わらないのはシメオネ監督で、この日も「debemos seguir al partido a partido/デベモス・セギール・アル・パルティードー・ア・パルティードー(我々は1試合1試合を続けないといけない)」といつもの念仏を唱えていましたが、次の試合は来週月曜のセルタ戦とかなり間が空きますからね。とはいえ、その後は12日のグラナダ戦、延期されていたレバンテ戦が16日、シーズン後半分のレバンテ戦が20日、そして23日のCLチェルシー戦と週2ペースが復活するため、ゆとり日程にあまり慣れられても困るんですが、さて。とりあえずはまた1週間、絶対首位の座が安泰なのを私も楽しむことにしましょうか。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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