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風向きが変わった…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2021年3月3日 17時30分

写真:©Atlético de Madrid

「果たしていいことなのだろうか」そんな風に私が首を傾げていたのは火曜日、シーズン後半戦のマドリーダービーを迎える直前の順位表を見ていた時のことでした。いやあ、先週など、スペイン首都の両雄の距離が勝ち点3まで縮まったため、直接対決で首位から追い落とされてしまうんじゃないかとヤキモキしていたもんですけどね。あにはからんや、前節の結果、その差が5ポイントに広がってくれるとは。おかげでこの日曜には絶対、アトレティコがお隣さんの後塵を拝することはないとなれば、選手たちのプレッシャーが減っていいのか、それとも逆に気が緩んでしまう?

実際、順位もレアル・マドリーは同じ勝ち点ながら、宿敵バルサに追い抜かれ、3位となってしまったため、むしろ用心すべくは漁夫の利を得ようと虎視眈々、狙っているクーマン監督率いるチームの方なのかもしれませんけどね。あちらは一足早く、土曜にオサスナ戦があるのはともかく、その前にも今週水曜には2-0で負けた1stレグを逆転しないといけない、セビージャとのコパ・デル・レイ準決勝2ndレグがありますからね。先週末もそのセビージャとリーガで当たり、こちらは0-2で勝っているのもいい励みとなるでしょうし、来週水曜のCL16強対決PSG戦2ndレグでは更にハードルの高い1-4からのremontada(レモンターダ/逆転勝ち抜け)を狙わないといけないとなれば、谷間のリーガは力が抜けてしまう可能性もなきにしろあらず。

まあ、その辺はおいおい様子を見ていくことにするとして、とりあえず、先週末のマドリッド勢の試合をお伝えしていくことにすると。土曜にトップバッターを飾ったのは弟分のヘタフェで、先週、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でbengala(ベンガラ/発煙筒)を焚いて、チームを応援していたアトレティコファンを真似たか、こちらはコリセウム・アルフォンソ・ペレスに到着するバスを大勢のサポーターが水色の煙でお出迎え。選手たちもそれに勇気づけられたか、序盤からバレンシアを圧倒すると、前半39分にはアランバリが33メートル離れた場所からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決め、チームとして5試合ぶり、ホームでは1月20日のウエスカ戦で奇しくも同選手が挙げて以来という、久々の得点をすることに。

おまけにこの日はツキも珍しくあって、後半早々の5分にはマクシモビッチを乱暴に倒したディアカビがレッドカードで退場。相手が1人、少なくなったおかげもあったか、10分にはエースのマタがゴール右前から押し込んで2点目を入れると、いえ、最近の不調でボルダラス監督は基本の4-4-2のシステムに回帰していたため、冬に新戦力として加入したアレニャと久保建英選手の出場は残り5分になるまで、待たないといけなかったんですけどね。そのチャンスを利用した前者が43分には移籍後、初ゴールを挙げ、最後は3-0で快勝となれば、無観客試合でスタンドに入れずとも、試合前に応援に駆けつけてくれたファンたちだって、満足したに違いありませんって。

これで7試合ぶりの白星をゲットしたヘタフェは順位こそ、1つ上がっただけですが、降格圏までの勝ち点を5に拡大。もちろん、次の相手、17位のバジャドリーとの試合でも勝利を掴んで、少しでもEL出場圏に近づいてもらいたいところですが、まずは勝ち癖を取り戻すのが先決でしょうか。ちなみにこの土曜日はククレジャが累積警告で出場停止となるため、久保選手にもスタメンに喰い込むチャンスがあるんですが、候補はクーチョ、アンヘル、アレニャと複数いるため、ちょっと難しいですかね。

そして日曜、ここ3試合、リーガのレバンテ戦x2、CLチェルシー戦1stレグと、こちらもしばらく勝っていないアトレティコがラ・セラミカでビジャレアルに挑んだんですが、ケガの治ったベルサイコを右に、左にはサウールをカリレーロ(長い距離をカバーするSB)として配置、3-5-2でスタートした序盤はあまりパッとせず。そこでシメオネ監督が、こちらも伝統の4-4-2に変え、サウールを前に出したところ、その彼のシュートをGKシレッセンがセーブしたことから、チャンスが始まったんですよ。ええ、続くCKから、エリア外右で受けたレマルがクロスを上げるとサビッチが頭でミート。シレッセンが弾いたボールがゴール前に倒れ込んだペドラサの背中に当たり、ゴールラインを割ってくれるなんて、何ともラッキーじゃありませんか。

そう、というのもこのゴール、最初は審判がオフサイドを判定。3分間近く、VAR(ビデオ審判)のチェックを受けていて、ようやくスコアボードに上がってくれたからですが、逆にビジャレアルは似たようなFKからの混乱状態で、GKオブラクが弾いたジェラール・モレノのヘッドをコケがライン上でクリア。こちらはゴールにはならなかったというプレーがあったからですが、前半ロスタイムにレマルがチュクワゼの顔をはたいたとして、主審がVARの画面を見に行った時にはヒヤリとしたファンも多かったかと。もちろん、ここでレッドカードを喰らえば、次のダービーに出場停止になってしまうからですが、幸い、こちらもイエローカードで済むことに。

すると0-1のリードで始まった後半頭から、シメオネ監督はレマルに代えて、その日はベンチスタートとなったジョアン・フェリックスを投入。24分にはその彼が、パウ・トーレスが頭でクリアしたボールをエリア前で胸トラップ、技ありのvolea(ボレア/ボレーシュート)で2点目を入れてくれたんですが、うーん、それまでの短い間に何度もビジャレアルの選手に引っくり返され、熱くなっていたせいですかね。ゴールを入れた後、当人は「Calla tu puta boca, caralho/カジャ・トゥ・プータ・ボカ、カラージョ(その汚い口を閉じやがれ、クソ野郎)」と人差し指を唇に当てるポーズと共に悪態をついていたんですが、一体、それが誰に向けてだったのかは不明。

シメオネ監督は「Me encanta el jugador sea rebelde, que tenga orgullo/メ・エンカンタ・エル・フガド-ル・セア・レベルデ、ケ・テンガ・オルグージョ(反逆的で誇りを持った選手は大好きだ)」と気にしていませんでしたけどね。その5分後には、あとイエローカード1枚で累積警告となるルイス・スアレスを引っ込め、ダービー準備体制に入ったアトレティコだったんですが、いやあ。いくら、残り時間の攻撃は諦めたといっても、バッカ、バエナ、パレホに次々とシュートを撃たれては、GKオブラクの気が休まる暇が全然、ないじゃないですか。

挙句の果てには何度、クリアしても自陣エリアから離れている選手が1人もいないため、すぐにビジャレアルの選手がボールを持って迫ってくるのに閉口したか、コンドグビアなど、遠くのサイドライン目掛けて思いっきり蹴ったりしていたんですが、大丈夫。そのままアトレティコは0-2で勝利と、9試合ぶりの無失点試合で、リーガのライバルとの差を広げてくれたから、ホッとしたの何のって。

うーん、ここ5試合、スアレスにゴールがないことは気にならないではないんですけどね。今週末にはいよいよ、FA(イングランド・サッカー協会)に課された10週間のサッカー活動禁止処分が終わるトリッピアーが戻って来ますし、カラスコもケガが治ったらしいというのは朗報かと。12月のエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)では11試合負けなしの後、カセミロのヘッド、そしてカルバハルのシュートがオブラクに当たってオウンゴールという、どちらもセットプレーから2点を失い、コロッと負けてしまったアトレティコですが、火曜をお休みにして、水曜から練習を再開するシメオネ監督がその辺の対策も考えてくれたらと思います。

え、それで月曜にレアル・ソシエダを迎えたお隣さんはどうして、躓いてしまったのかって?いやあ、ここしばらく負傷禍に悩まされていたマドリーですが、この日はとうとう、ロドリゴ、バルベルデ、マルセロ、オドリオソラの4人が復帰。といっても先発には誰も入らなかったんですが、やっぱりトップがマリアーノ、アセンシオ、イスコではゲームの主導権は握れても、なかなかゴールが入らないんですよ。それに業を煮やしたか、前半を0-0で終えた後、ジダン監督はカセミロをナチョとバランの間に入れる3CB制に陣形を変更。ベンゼマのいない昨今、貴重な得点源となっていたボランチを敵陣から遠ざける策も解せませんが、まさか、これが守備のバランスを崩すことになろうとは!

おかげで後半10分にはモンレアルのクロスをポルトゥが身長で大きく勝るメンディを抑えてヘッド。これがレアル・ソシエダの先制点となったため、すぐにマドリーはジダン監督の最近のお得意、前線総取っ替えで、ビニシウス、ロドリゴ、そしてヘタフェから修行に来ているカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のウーゴ・ドゥーロを入れたんですが、やっぱり一番、シュートを撃っているのはカセミロだったって、どういうこと?それでも終盤、先週はEL最後の試合となった32強対決マンチェスター・ユナイテッド戦2ndレグのオールド・トラフォード遠征もあったため、疲れが出て来た相手を攻めまくり、44分にはようやく、ルーカス・バスケスからのラストパスをビニシウスがゴール前からシュート。これがスベルディアに当たって同点ゴールになってくれたため、危ういところで何とか、勝ち点1を確保することに(最終結果1-1)。

結局、これでCLアタランタ戦も含めた連勝が5で止まってしまったマドリーでしたが、ここ2試合はそれぞれ、カセミロ、メンディと、FWでない選手のゴールによる1-0の辛勝でしたからね。やはりベンゼマが復帰しないことには心もとないんですが、当人の状態に関してはジダン監督も「Todavía no se ha entrenado con el equipo y vamos a valorar a Karim mañana para ver cómo está/トダビア・ノー・セ・ア・エントレナードー・コン・エル・エキポ・イ・バモス・ア・バロラル・ア・カリム・マニャーナ・パラ・ベル・コモ・エスタ(まだチーム練習はしてなくて、明日、カリムがどんな様子か、評価することになる)」と見通しが立っていないよう。

実際、火曜の練習でもベンゼマは合流せず、そろそろ戻って来られそうなのはミリトンぐらいのようですが、それこそエースを始め、アザール、セルヒオ・ラモス、カルバハルといった、喉から手が出る程、チームに必要とされるレギュラー選手が誰も復帰できないというのは何とも皮肉。まあ、もちろん、ダービーの場合、鬼が出るか、蛇が出るか、試合が始まってみないとわからないんですけどね。先日の延期されていた2節のレバンテ戦で引き分けた例もありますから、捕らぬ狸の皮算用はいけないとは思いつつ、直接対決に勝てば、差は勝ち点8。更に来週水曜の、こちらは暴風雨フィロメナによる積雪で延期された18節のアスレティック戦に勝てば11と、絶対首位復活の夢を見ているアトレティコファンは結構、いるんじゃないでしょうかね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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