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実は崖っぷちだった…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2021年11月24日 23時45分

写真:©Atlético de Madrid

「もしかしたら、敗退ってこともあるんだ」そんな風に私が今更ながら、ショックを受けていたのは火曜日の夕方、CLグループリーグ5節のミラン戦に備えて練習をするアトレティコをマハダオンダ(マドリッド近郊)の施設に見学に行った時のことでした。いやあ、リーガ前節はいい形で終わったため、これならアンフィールドで退場したフェリペが2試合の出場停止になっても、丁度、4試合の処分が終わったサビッチが復帰。ワンダ・メトロポリターノでのリバプール戦でレッドカードを受けたグリーズマンも上訴委員会のおかげで2試合の処分が1試合となり、出場可能に。ジョアン・フェリックスとトリッピアーが負傷欠場するだけなら大丈夫と、単純にミランに勝った場合だけを想定して、取らぬ狸の皮算用をしていたところ、大きな落とし穴があることに気がついてしまったから。

そう、サン・シーロでは1-2で逆転勝ちしたとはいえ、イブラヒモビッチを擁するミランはセリエAでも首位を争っているチーム。水曜午後9時(日本時間翌午前5時)からの一戦でアトレティコが負け、2位のポルトがすでに首位突破が決まっているリバプールのホームで勝ったりしようものなら、その差は勝ち点4になっちゃうんですよ。つまり、最終節でポルトに勝ってもアトレティコが得られるのは3位でのEL決勝トーナメント参加の切符だけとなれば、いつもと変わらず、和気あいあいとトレーニングに励んでいる選手たちを眺めながら、ここ数日のうちにいきなり真冬並みになった気温の低さをひしひしと感じてしまっても仕方なかった?

ちなみにその直前の試合がどうだったか、お話ししていくことにすると、アトレティコは土曜にマドリッド勢の先陣を切って、ワンダ・メトロポリターノにオサスナを迎えたんですけどね。とにかく相手の固い守備に手こずって、元々、5人DF制の敵を崩すのは得意ではなかった彼らなんですが、何度エリア内にボールを入れても6、7人は常時いるオサスナの選手たちにクリアされるばかり。まるで数週間前、サンティアゴ・ベルナベウでお隣さんがスコアレスドローに終わった試合のデジャブのようだったんですが、0-0のままハーフタイムに入り、後半が始まっても似たような展開だったのにはさすがにシメオネ監督もマズいと思ったんでしょうね。20分にはコレア、レマルを代表戦帰りの疲労と来週のCL戦を考えて、控えにしていたルイス・スアレス、デ・パウルに代えることに。

更にはマルコス・ジョレンテ、グリーズマンをコンドグビア、クーニャにしたんですが、それでもラチが明かなかったため、とうとう39分には右SBのベルサイコを下げ、ベンチに残っていた唯一のFW、ジョアン・フェリックスのふくらはぎ打撲により、駆り出された19才のカンテラーノ(アトレティコBの選手)、RFEF3部(実質5部)でプレーするカルロス・マルティンが投入された時にはもう、なりふり構ってられないシメオネ監督の心情をワンダのスタンドも感じとったんじゃないかと思いますが…いやあ、奇跡ってあるんですねえ。それは41分、カラスコが蹴ったCKにコンドグビアは届かなかったものの、後ろにいたフェリペがヘッド。とうとう待望の1点が入ってくれたから、場内もどんなに盛り上がったことか。

幸い、この日は2点を追いつかれたバレンシア戦のようにロスタイムが7分もなく、たったの3分。それでもGKオブラクがロベルト・トーレスのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)しないといけなかったり、逆にオサスナがCK全員攻撃に行ったのを利用して、カラスコがセンターラインから無人のゴールに放ったシュートがゴールポストに当たるなんてこともあったんですが、そのまま試合は1-0で終了することに。いやあ、シメオネ監督も「あんな風にガッチリ守るチーム相手には、tiene que ser con un córner, un disparo de media distancia.../ティエネ・ケ・セル・コン・ウン・コルネル、ウン・ディスパーロ・デ・メディア・ディスタンシア(CKとか、ミドルシュートしかない)」と言っていたんですけどね。実はこのゴール、2週間のparon(パロン/リーガの停止期間)中の特訓の成果だったよう。

ええ、殊勲の決勝点を挙げて、昨季はノーゴールだったため、披露できなかったvoltereta(ボルテレラ/空中側転)で祝っていたフェリペも「entrenamos mucho esta semana y salió/エントレナモス・ムーチョ・エスタ・セマーナ・イ・サリオ(今週は沢山練習して、上手くいった)」と、試合後の記者会見で嬉しそうに話していたんですが、どうやら彼を含め、エルモーソ、ベルサイコ、コンドグビアら、マドリッドでお留守番となったメンバーは昨今、アトレティコでは実りの薄かったセットプレーをたっぷり稽古できたんですよ。おかげでまんまと、マドリーには手に入らなかった白星をゲットして、「Se nos fue el punto que habíamos merecido/セ・ノス・フエ・エル・プント・ケ・アビアモス・メレシードー(ウチの働きに値した勝ち点1が逃げてしまった)」(アラサーテ監督)とオサスナを悔しがらせているとなれば、じれったい展開にも辛抱して、応援を続けていたファンも報われたに違いありませんって。

そして翌日曜は午後2時のカディス戦を見にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに向かった私でしたが、何と、兄貴分に負けじとばかり、ヘタフェもこの2週間の特訓の成果をファンの前で披露。ええ、前半7分に早くもダミアンのクロスから、オリベイラのヘッドが決まった時には、それ以降、ハーフタイムまでは追加点がなかったですしね。リードして折り返しても同点や逆転される例に事欠かなかった彼らのため、私も半信半疑だったんですが、いや凄い。後半15分にはアランバリの蹴ったFKをクエンカがやはり頭で決めて2点目となれば、かなり勝利に近づいた?

実際、カディスのセルベラ監督の選手交代策が失敗したこともあって、ヘタフェには大したピンチもなかったんですが、それをいいことに、36分にはまたしてもCKからクエンカが強烈ヘッド。これはGKレデスマに弾かれてしまったものの、再びアランバリが上げたボールを今度はDFでなく、FWのエネス・ウナルが頭で叩き込んでくれます。折しもキックオフ前は今にも降りだしそうな天気だったのが、日の光も差し始め、ゴール裏席の片隅に固まっていたカディスファン以外、場内は完全にお祭りムードとなったんですが、ロスタイムにも朗報が。ええ、途中出場のマタがフロレンティーノのパスをそのままvolea(ボレア/ボレーシュート)で流し込み、今季初得点を挙げてくれるんですから、喜ばしいじゃないですか(最終結果4-0)。

何せ、今季は8節目まで勝ち点が1つもなく、彼らが最下位に沈んでいた一番の理由はゴール日照りでしたからね。キケ・サンチェス・フローレス監督も「Como entrenador, lo que más me gusta es ver que lo que entrenamos sale en el campo/コモ・エントレナドール、ロ・ケ・マス・メ・グスタ・エス・ベル・ケ・ロ・ケ・エントレナモス・サレ・エン・エル・カンポ(監督として、何より嬉しいのは練習したことがピッチで上手くいくこと)」と言っていたように、おそらく代表戦期間中は皆、ヘッドの技術を磨いていたんでしょうが、そこへマタ、ウナルら、FW陣も得点力を回復してくれたとなれば、次節はいよいよ降格圏脱出も夢じゃない?

そう、14節を終えて、ヘタフェは17位のグラナダ、18位のエルチェとも勝ち点2差の19位になったんですが、それには先輩の援護射撃も効いているんですよね。実は次の時間帯でキックオフとなったグラナダ戦では、まだ私がコリセウムのプレスルームにいる間から、レアル・マドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)がスタート。前半19分には、負傷明けのロドリゴの代わりにスタメンに入ったアセンシオがクロースからパスを受け、ドリブルで敵エリア内に持ち込んで先制点を挙げると、25分にはCKから始まったプレーでクロースのラストパスを、こちらも「he visto cansado a Militao/エ・ビストー・カンサードー・ア・ミリタオ(ミリトンが疲れているように見えた)」(アンチェロティ監督)という理由で先発CBに抜擢されたナチョが2点目に。

ただ、早々のリードで気が抜けたか、34分にはビニシウスのボールロストから、コロンビア人FWのルイス・スアレスのエリア前からのシュートがナチョに当たって軌道を変え、スコアは1-2になったんですが、全然、大丈夫。私がメトロに乗っていた後半11分には絶妙のコンビネーションでベンゼマ、モドリッチ、ビニシウスと繋いで3点目をゲットとなれば、22分にはビニシウスへの乱暴なタックルでモンチュが一発レッドで退場。その抗議が激しすぎて、ロベール・モレノ監督も退席処分になっていたため、別に近所のいつものバル(スペインの喫茶店兼バー)に駆け込んで、残り15分を見ることもなかったのかもしれませんけどね。

まさか、よりアグレッシブになったグラナダのファールを避けるため、アンチェロッティ監督が26分にビニシウスをロドリゴに代えた後の31分、カセミロのスルーパスを受け、メンディが4点目を決めてくれるとは。うーん、この日はノーゴールながら、リーガトップの10得点を誇るベンゼマや今季リーガ8得点としたビニシウスがいるマドリーの量産ぶりには今更、驚くこともありませんが、やっぱり、中盤のアシスト力がどこぞのチームとは違いますよねえ。実際、その日も「モドリッチ、クロース、カセミロはhacen cosas que yo no les pido, sino que les salen de forma natural/アセン・コーサス・ケ・ジョ・ノー・レス・ピド、シノ・ケ・レス・サレン・デ・フォルマ・ナトゥラル(自分が頼んでないことまでしてくれて、それもナチュラルな形でやっている)」と指揮官にベタ褒めされていたんですが、こうまで悠々と白星を挙げられては、夜にはレアル・ソシエダがバレンシアとスコアレスドローしたのもあって、マドリーが勝ち点差1で単独首位に立ったのも当然だったかと(最終結果1-4)。

そんなマドリーは火曜に4時間かけてモルドバのティラスポリまで移動、水曜午後9時からのシェリフ戦ではCLグループリーグ突破が決まるかもしれないんですが、2節ではうっかり、サンティアゴ・ベルナベウで1-2と不覚をとった相手とはいえ、さすがにもう油断はしないでしょうからね。先日、ベルギー代表帰りのデ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)がコロナ陽性になったせいか、わざわざアンチェロッティ監督が「コロナじゃない」と付け加えた胃腸炎でグラナダ戦を欠場したアザールはこの遠征にも同行していませんが、最近のベストメンバーには元々、彼の名前は入っておらず。すでにロドリゴも足慣らしを済ませ、アセンシオも調子が上がってきたとなれば、同じ石に躓いて、最終節のインテル戦までファンを心配させることはないんじゃないでしょうか。

え、リーガ前節、ゴール力を披露したマドリッド勢はマドリーとヘタフェだけじゃないだろうって?いやあ、その通りで、弟分のラージョが月曜試合でマジョルカに挑んだんですが、大雨の降った後の寒い夜だったにも関わらず、エスタディオ・バジェカスはまたお祭りになってしまったんですよ。そう、前半15分にはコメサニャのスルーパスをセルジ・グアルディオラが決めて先制点を挙げると、その5分後にはマジョルカのCKから、高速カウンターアタックが発動。トレホのパスで抜け出したアルバロ・ガルシアが敵エリアまで爆走し、2点目を入れてくれます。

後半にもラージョは18分にセルジ・グアルディオラがエリア内でバリエントに後ろから引っ張られて倒されて、PKをゲット。トレホが決めて、とうとう3点リードとなったんですが、信じられます?この全てが、代表戦直前のマドリー戦で太ももを負傷。「Si hubiera sido necesario habría podido jugar/シー・ウビエラ・シードー・ネセサリオ・アブリア・ポディードー・フガール(もし必要だったら、プレーしていただろう)」(イラオラ監督)とはいえ、全治21日の予定のうち、まだ16、7日しか経過していなかったファルカオがベンチから見守る前で起きたんですよ。おかげで彼がムリしてケガがぶり返すこともなく、土曜のバレンシア戦に準備万端でいられるって、こんなにいいニュースはありませんって。

43分にアンヘルのラストパスをアブドンが決めて、一矢を報いたマジョルカでは、うーん、カディス戦でのレッドカードでベンチ入り禁止処分となり、どうやらルイス・ガルシア監督が指揮を執っていた記者用ボックスは私のいた2、3個隣だったようなんですけどね。あまりのラージョファンの熱狂ぶりに影響されたんでしょうか。チームで一番、いい働きをしながら、後半9分に交代となったイ・ガンインは「No tenía que salir/ノー・テニア・ケ・サリール(代わるべきじゃなかった)。本当はアントニオ・サンチェスを下げたかったんだが、部屋がうるさすぎて、伝えることができなかった」(ルイス・ガルシア監督)という、コミュニケーションミスもあったのだとか。

何にしろ、この3-1勝利で1部20チーム中、最高となるホームでの勝ち点を19とし、バルサを追い越して、再び6位に返り咲いたラージョはメデタシメデタシなんですが、実はここ6試合、勝ち星のないマジョルカが次節、土曜にホームで対戦するのは弟分仲間のヘタフェ。月曜に並行して行われていたサラゴサ戦で2部のお隣さん、レガネスがランディエロビッチと柴崎岳選手のゴールで0-2と勝利、とうとう18位となって、降格圏脱出を果たしたのに続き、キケ・サンチェス・フローレス監督のチームも残留ゾーンに移るのにいいカードかと思ったんですけどね。ルイス・ガルシア監督によると、その試合では9月のマドリー戦でヒザを負傷した久保建英選手の復帰があるかもしれないそう。彼も昨季後半はヘタフェにレンタル移籍していましたし、アンヘルやルイス・ガルシア監督もヘタフェOBとなると、これはちょっと、面白い古巣対決が期待できるかもしれませんよ。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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