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リーガの終わりが見えてきた…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2022年5月14日 20時0分

写真:©Atlético de Madrid

「あと2試合、気が抜けないといいんだけど」そんな風に私が心配していたのは金曜日、今季最後のミッドウィーク開催節が終わり、リーガも残すところ、キックオフ時間のunificacion(ウニフィカシオン/統一)がかかった2度の日曜のみとなった時のことでした。いやあ、といってもこの時期だと、もう2部降格もヨーロッパの大会出場権にも縁がないチーム同士の対戦もあったりして、37節でもエスパニョールvsバレンシア戦、セルタvsエルチェ戦の2カードだけは土曜にプレーするんですけどね。

翻って、マドリッド勢4チームは全て日曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)にスタートするため、ワンダ・メトロポリターノに行ってアトレティコvsセビージャ戦を見ながら、他試合の進行状況はオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継に頼る選択をしたんですが、え、重要度から言ったら、残留確定にまだ勝ち点1が必要な弟分ヘタフェがコリセウム・アルフォンソ・ペレスにバルサを迎える一戦の方にならないかって?まあ、そうなんですが、水曜に来季のCL出場権獲得が決まった現在3位のアトレティコにはまだ、バルサを抜いて2位になれる可能性も、セビージャに逆転されて4位で終わる可能性もあるんですよ。

実のところ、スペイン4チームは皆、グループリーグから始まるため、CLに関して、順位の影響はないものの、違いが出るのはラ・リーガのTV放映権料分配金。ええ、2位と3位、3位と4位ではそれぞれ、700万ユーロ(約9億5000万円)の差があるため、クラブとしてはできるだけ高い順位で終わってもらいたいはずですが、いやあ。UEFAの報奨金など、桁が1つ違うため、給料大幅カットなどで脅されて、何とか、CL出場権ゲットまで漕ぎつけた選手たちですが、果たしてスペイン・スーパーカップに出場できる2位の座を狙うつもりがあるのかどうか。もちろん、それにはバルサがヘタフェ、ビジャレアルと連敗して、アトレティコがセビージャ、レアル・ソシエダに連勝する必要があるんですけどね。

スペイン・スーパーカップもサッカー協会とサウジアラビアのスポンサーとの変則的契約でバルサの800万ユーロ(約11億円)と比べ、彼らは100万ユーロ(約1億4000万円)しか、参加報酬がもらえなかったりするんですが、何にしろ、試合をするからにはモチベーションは必要。ちょっとお小遣いが増えるぐらいの動機でも構いませんから、コロナ禍による無観客試合のせいで、昨季、優勝へと邁進したチームを1度も見られなかっただけなく、今季は肩を落として帰ることの多かったファンに最終戦でいいところを見せられるといいのですが…。

まあ、その辺はともかく、36節のマドリッド勢の戦いぶりを振り返っていくことにすると。先陣を切ったのはヘタフェで水曜にエル・サダルを訪ねたんですが、確定はしていないものの、ここしばらく、ずっとほぼ残留見込みの位置にいるせいですかね。前半9分にはルーベン・ガルシアのクロスから、今季限りでオサスナを退団する35才のキャプテン、オイエルがヘッドで先制点。ファンへのお別れゴールをプレゼントしていたんですが、20分の同点弾もマクシモビッチのラストパスをトロがオウンゴールにしたものだったため、結局、ヘタフェの選手は誰も得点せず、一足早く残留を決めていた相手と1-1の引分けで終わることに。

うーん、今季は開幕から8試合で勝ち点1しか貯められず、ミチェル監督は解任。引き継いで、チームを立て直してくれたキケ・サンチェス・フローレス監督も3試合目のドローには、「Los últimos partidos se nos están haciendo largos/ロス・ウルティモス・パルティードス・セ・ノス・エスタン・アシエンドー・ラルゴス(最近の数試合はウチにとって、長いものになっている)。選手たちは焦燥感の中、27、28試合をこなして疲れているし、回復するのも難しい」と告白していたんですけどね。

それでもまた1つ、試合数が減ったおかげで、次のバルサ戦ではたとえ、負けても同日同時刻、もう1つの弟分、ラージョをホームに迎える18位のマジョルカが勝てなければ、勝ち点差4以上となって、残留が決まるのはいいニュースだったかと。これは水曜の次の時間帯でプレーしたエルチェと同じ状況なんですが、万が一、ラージョの援護射撃を受けられなくても、間の17位にはカディスもいますしね。ヘタフェの最終戦の相手もそのエルチェとなれば、来季も1部マドリッド4チーム体制は揺るがない?

一方、水曜の次の時間帯にマルティネス・バレロでエルチェと対戦した兄貴分はというと、その日は前節のマドリーダービーで先発したFWコンビをコレアとクーニャから、グリーズマンとクーニャに代えてスタート。開始6分にはベルサイコがケガをして急遽、ロディが入るというアクシデントがあったんですが、実はこれが大当たりとなったんです。ええ、11分にロディのパスから、クーニャのシュートが枠を外れてしまった時には相変わらず、ゴールが遠い症候群が続いているかに見えたんですけどね。エリア外から、コケが撃った2本のシュートもGKエドガルに難なく止められていたんですが、28分、ようやくカラスコ以外から、PKでもなく、普通に先制ゴールが生まれてくれたから、嬉しいじゃないですか。

ダービーから心機一転、坊主刈りにしていたグリーズマンが反対サイドのロディに大きなクロスを送ったところ、彼がゴール前のクーニャにラストパス。今度はタイミングもバッチリ合って、ネットに収まってくれたんですが、天は自ら助くる者を助くとはよく言ったものです。そう、0-1とリードして前半が終わると、ハーフタイム中にはマジョルカがセビージャと0-0で引き分けたという報が。おかげで「ピッチに戻る寸前、sabíamos que estábamos en Primera división la próxima temporada/サビアモス・ケ・エスタバモス・エン・プリメーラ・ディビシオン・ラ・プロキシマ・テンポラーダ(ウチは来季も1部にいると知った)」(バディア)というエルチェはスタンド共々、残留祝いを始めたとなれば、もうアトレティコが反撃を恐れることはない?

まあ、それでも後半18分にグリーズマンとデ・パウルのワンツーから、後者が2点目を挙げてくれた時にはホッとしたんですけどね。終了間際には途中出場のコレアのシュートがバーを叩いたり、ルイス・スアレスのゴールが怪しげなオフサイドで認められなかったりということもあったんですが、もう、いいんです。0-2の勝利でアトレティコは10年連続となるCL出場をゲットしたんですから。

シメオネ監督も「Cuando llegamos nos pidieron cuatro o cinco Champions seguidas…van 10 y estarán contentos/クアンドー・ジェガモス・ノス・ピディエロン・クアトロ・オ・シンコ・チャンピオンズ・セギーダス…バン・ディエス・イ・エスタラン・コンテントス(赴任した時には4、5回連続のCL出場を頼まれた…10回ともなれば、きっと満足しているに違いない)」と言っていた通り、彼が来る前はUEFAカップ(ELの前身)出場順位ですら、滅多に届かなかったアトレティコですからね。ファンがヨーロッパの街を毎年、応援旅行で闊歩できるようになったのも彼のおかげですが、できればまた近い将来、お隣さんのようにCL決勝進出で盛り上がることができたら、もっと喜んでもらえるかと。

そして翌木曜にはまず、エスタディオ・バジェカスに足を運んだ私でしたが、いやあ、ラージョも前節のヘタフェ戦での引分けで残留が確定してしまったせいで、気が緩んでいたんでしょうかね。CL準決勝リバプール戦2ndレグで一時、同点に追いつきながらも後半に力尽き、敗退となったショックも何のその、7位でのコンフェレンスリーグ(UEFA第3の大会)出場、更にはレアル・ソシエダを追い越して、6位のEL出場権を獲得しようと野心を燃やすビジャレアルに完璧にやられてしまったから、ビックリしたの何のって。

ええ、前半3分にCKからペドラサに奪われた1点こそ、20分にセルジ・グアルディオラが今季自身7点目を挙げて追いついたものの、27分には再びセットプレーでフォイスに勝ち越し点を挙げらている始末。37分にはパコ・アルカセル、46分にもFKからパウ・トーレスに決められて、前半だけで1-4になっちゃったんですよお。うーん、その時点でサンティアゴ・ベルナベウに向かうため、スタジアムを出てしまったため、後半、バレンティンのゴールがファールで認められなかったり、43分にはペドロサがダメ押しの5点目、大敗でもバジェカスのファンは残留を達成したチームを盛大に称えていたなんてことは後から、知ることになったんですね(最終結果1-5)。

これも「Necesitamos estar muy presionados/ネセシタモス・エスタル・ムイ・プレシオナードス(ウチには大きなプレッシャーが必要なんだ)。全てのプレーに100%で立ち向かわないと、ゴールを決められてしまうのをわからないといけない」とイラオラ監督が言っていた通りですが、こうなるとやっぱり、日曜のマジョルカ戦でヘタフェの残留決定のお手伝いができるかは不安。それでも最終節にはすでに降格の決定したレバンテを迎えるため、今年になって、1度もホームでチームが勝利するのを見ていないファンを喜ばせるぐらいのことは、できるんじゃないでしょうか。

え、でもレバンテはそれこそ、優勝を2節前に決めて、もうリーガではやることのないマドリーと対戦したんじゃないのかって?いやあ、そうなんですが、多分、前節のダービーでCL準決勝マンチェスター・シティ戦2ndレグの奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)酔いも覚めて、いよいよ28日の決勝の準備を本格的に始めたところに当たったのが悪かったんでしょう。ローテーションもワンダでより少なくて、それこそベンゼマ、ビニシウス、ロドリゴ、モドリッチがスタメンに名前を連ねているとなれば、普通のチームはもちろん、最下位で後のないレバンテには尚更、荷が重すぎたかと。

そう、アトレティコとは違い、Pasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(チャンピオンの花道)を作ってリーガ優勝チームを迎えた彼らでしたが、前半12分には早くも容赦のないgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まったんです。まずはモドリッチが自陣から出したボールを追ったメンディがGKカルデナスを破って口火を切ると、18分にはビニシウスのクロスから、ベンゼマがヘッドで2点目。今季44本目となるゴールでクラブ歴代2位のラウール(現RMカスティージャ監督)と並ぶ、323得点を記録しているのですから、見事じゃないですか。

更に33分にはその少し前、オフサイドでゴールが認められかったロドリゴがモドリッチのアシストで3点目、これでリシ監督の我慢が尽きたか、その5分後にはカセレス、ラドジャの2人をカンパーニャとバーディに代える荒療治をしていましたが、もう焼石に水です。ええ、44分にはビニシウスもゴールを決め、前半だけで4-0となれば、もうどこにも希望はありませんって。

そんなマドリーのゴール祭りは後半も続き、というか、ビニシウス祭りだったんですけどね。23分、敵GKとDFをかわしたベンゼマからゴール前でパスをもらって押し込んだ後、30分には主力3人が代わる中、「監督にファンから拍手してもらうため、交代したいかと訊かれたから、le dije de quedarme para poder marcar mi primer hat-trick/レ・ディヘ・デ・ケダールメ・パラ・ポデール・マルカル・ミ・プリメール・ハットトリック(初めてのハットトリックを達成できるよう、残りたいと言ったんだ)」と当人も後で打ち明けていたんですが、有言実行とはまさにこのこと。ええ、終盤の38分には、すでにメンタル的にもボロボロだったレバンテから、自身3点目となるゴールを奪ってしまいましたっけ(最終結果6-0)。

いやまあ、キャプテンのモラレスが涙を浮かべて、「hemos estado 27 jornadas sin ganar y hemos reaccionado tarde/エモス・エスタードー・ベインテシエテ・ホルナーダス・シン・ガナール・イ・エメオス・レアクシオナードー・タルデ(27節もの間、勝てなかったのも、リアクションが遅かったのは自分たちだ)」と言っていたように、アトレティコから勝ち点4も奪いながら、レバンテが降格したのは別にこの試合のせいだけではありませんしね。

前回、2部落ちした2016年は翌シーズン、別格の強さを見せて、1位で1部に戻って来ましたし、36才と若いリシ監督も「Me veo totalmente preparado para devolver al Levante a Primera/メ・ベオ・トータルメンテ・プレパラードー・パラ・デボルベル・アル・レバンテ・ア・プリメーラ(レバンテを1部に戻すのに、自分は完璧に準備ができていると思う)」と続投への意欲を見せていたため、来季の奮闘を見守るばかりなんですが、マドリーの方はリバプールとのCL決勝があと2週間ちょっとに迫って、かなり手応えを感じているよう。

試合後記者会見でのアンチェロッティ監督のコメントも、「ロドリゴとバルベルデは決勝でプレーする」とか、「リバプール戦でのシステムはserá un 4-3-3 que a veces puede pasar a un 4-4-2/セラ・ウン・クアトロ・トレス・トレス・ケ・ア・ベセス・プエデ・パサール・ア・ウン・クアトロ・クアトロ・ドス(4-4-2にも変わる4-3-3になるだろう)」とか、いよいよ、ソシオ(協賛会員)限定のチケット1万4547枚の購入権抽選も終わった大一番に関しての方が多かったですしね。

それまでの足慣らしとなる日曜のカディス戦はレバンテ戦に出なかったクロース、カルバハル、ミリトン、アセンシオらが交代でスタメンを務め、ようやく足首のプレート除去手術から回復したアザールも戻って来る予定なんですが、最終節のベティス戦は総合リハーサルとなる模様。ここまで入念に準備ができるとなると、この土曜にはFAカップ決勝チェルシー戦を控え、プレミアリーグ残り2試合も勝ち点3差で首位のマンチェスター・シティを追いかけているだけにまったく手を抜けないリバプールより、全然、余裕でCL決勝を迎えられるような気がしますが…いや、勝負はやってみないとわかないから、面白いんです。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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