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月が替われば、バケーションも終わる…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2022年6月30日 18時0分

写真:

「ちょっとズレたところで結果、良かったのかなあ」そんな風に私が自分を納得させていたのは火曜日、プエルタ・デ・ソルの7階建てビルにオープンするというサッカー・ミュージアム、レジェンズ-ホーム・オブ・フットボールのプレゼンでもらったパンフレットで、その住所を見つけた時のことでした。いやあ、5月の末、Decimocuarta(デシモクアルタ/14回目のCL優勝のこと)を達成したレアル・マドリーがマドリッド州庁舎を表敬訪問した際もプエルタ・デル・ソルは全面改装工事中。周辺の道全てが広場に入る直前で通行止めになっていたため、バルコニーから挨拶する選手たちを一目見ようと駆けつけたファンも遠巻きに眺めるしかなかったんですけどね。

その状態は数日前、年々、前倒しになってきているサマーセールがとうとう今年は6月後半からスタート。暇に乗じてバーゲン巡りをしていた私が近くを通った時も同じだったんですが、ちょっと調べてみたところ、こちらの工事が終わるのは来年の春なのだとか。となると、12月オープン予定のサッカー・ミュージアムも当面、裏口から入ることになるのかなんて考えていたんですが、大丈夫。

というのもマラドーナやメッシ、チャビ監督がスペインの優勝した2010年W杯で着たユニやアトレティコが1974年にインターコンティネンタルカップ(ヨーロッパと南米の王者が対決するトヨタカップ、現クラブW杯の前身)を制した時のユニなど、5000点余りのサッカー史に残る品々を展示。体験型のゲームセクションやレストランなども併設されるという複合アミューズメント施設の住所は、プエルタ・デル・ソルから東側に向かうCarrera de San Jeronimo(カレラ・デ・サン・ヘロニモ)を50メートル程、行った辺りだったから。

広場に入れなくても問題ありませんが、それならプエルタ・デ・ソルすぐ側にオープンとか言ってくれた方が良かったのにと思ったのは私だけ?他にも少々、引っかかったことがあって、そのプレゼンに出席したマドリッド市長のアルメイダ氏がこのミュージアムを新しい観光スポットと称え、いえ、まあ、アトレティコファンを公言している当人としては、苦肉の策ではあったんでしょうけどね。

「Entre todos los equipos de fútbol tenemos 14 Copas de Europa en esta ciudad/エントレ・トードス・ロス・エキポス・デ・フトボル・テネモス・カトルセ・コパス・デ・エウロッパ・エン・エスタ・シュダッド(全てのサッカーチームの間でこの街は14の欧州カップを獲得している)。そのことだけでもマドリッドがサッカー界で重要な位置を占めていると言えるが」とスピーチを始めたところ、隣に座っていた、自身も2002年のNovena(ノベナ/9回目のCL優勝のこと)に貢献しているUEFA大使のフィーゴが笑いを抑えられず。それも当然、燦然と輝く14個のトロフィーがズラリと展示されているのは、サンティアゴ・ベルナベウにあるお隣さんのミュージアムなんですから、仕方ありませんって。

ただ現在、そのレアル・マドリーはスタジアムが全面改修工事の夏季集中フェーズに入ったため、ミュージアムも閉鎖中で、ピッチどころか、ロッカールームも消滅。ツアー自体やっていないんですけどね。おそらく昨季同様、リーガに頼んで、9月まで遅らせたホーム開幕戦、4節のベティス戦の頃にはまた復活しているんじゃないかと思いますが、となると、この夏の間、マドリッドを訪れるファンが見学できるのはワンダ・メトロポリターノのアトレティコ・ミュージアムだけ。丁度、6月28日から7月17日まではスタジアムツアーでピッチに入れる経路が延長され、かなり中まで行って写真を撮れるため、私も機会があれば、2節のホーム開幕試合ビジャレアル戦前に寄ってみたいものですが…。

え、ということはもう、2022-23シーズンのリーガ日程が決まったのかって?その通りで、先週の木曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会本部で抽選があったんですが、8月14日の週末の1節のマドリッド勢は何と、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでヘタフェとアトレティコの兄弟分ダービーからスタートすることに。その一方でもう1つの弟分ラージョはカンプ・ノウでバルサ戦、マドリーは昇格組アルメリアのホーム、フエゴス・メディテラネオスを8年ぶりに訪問します。

ちなみにチェックしておきたい日程としては、まず9月18日の週末にあるワンダでの兄貴分ダービーで、ベルナベウ開催は2月26日。クラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)は逆に10月16日がベルナベウ、3月11日がカンプ・ノウとなっているんですが、何しろ今季は11月21日から12月18日の予定でW杯が割り込んできますからね。リーガも11月9日の14節を最後にparon(パロン/一時休止)に入り、12月31日の週末にようやく再開。

年明けは1部チームが参戦するコパ・デル・レイ32強対決が始まり、1月11日から15日にはサウジアラビアでマドリー(昨季リーガ王者)、バルサ(同準優勝)、ベティス(昨季コパ王者)、バレンシア(同準優勝)がファイナルフォーを戦うスペイン・スーパーカップもありますからね。W杯で準決勝、決勝まで行くチームに招集される選手たちはずっと忙しい反面、早期敗退、母国代表が出場しない、もしくは代表とは無縁の選手たちとはかなり、体力的に差が出そうですが、リーガ最終節が6月4日というのも相当な長丁場かと。

とりあえず、今年の分だけ考えるなら、8月25日のCL、ELグループリーグ抽選を待って、9月6、7日から、11月1、2日までと、例年より短期開催されるヨーロッパの大会の日程も決まったところで、サッカー観戦を兼ねたスペイン旅行を計画してみるのも一興かと思いますけどね。いい加減、その頃までには帰国便搭乗前のPCR検査陰性証明も必要なくなっていて欲しいんですが…ランチメニューの平均的な値段、12ユーロが今や1800円程にもなってしまう、最近の円安傾向も日本のファンには痛いところですよね。

まあ、それはともかく、気がつくと日にちが経つのは早くて、世界各国のビーチで海パン姿を披露していた選手たちのバケーションも残りは僅か。来週にはもう、リーガでも多くのチームがプレシーズン練習を開始するんですが、マドリッド勢で一番乗りとなるは月曜スタートのヘタフェ。といっても2日程、恒例のメディカルチェックや体力テストを地元でやった後、すぐにカンポアモール(地中海沿岸にあるゴルフリゾート)へ行ってしまうんですが、あちらでは12日にプレストン(イングランド2部)、21日にはカルタヘナ、24日にはレバンテとリーガ2部チームとの親善試合がすでにセッティング済みです。

よって、先週、レアル・ソシエダからのレンタル移籍が決まったポルトゥのプレゼンなども週明け頃にはあるんじゃないかと思いますが、彼を入れてもまだ、キケ・サンチェス・フローレス監督のチームにはFWが足りなくてねえ。昨季終盤に肩を痛め、同時に恥骨炎の手術もしたマタは回復しているはずですが、ボルハ・マジョラルとサンドロはそれぞれ、マドリー、ウエスカからのレンタル移籍が終了。延長交渉はしているものの、とりわけ前者など、マリアーノ、ヨビッチがベンゼマの控えとしての務めを果たせなかったことから、今季はマドリーを離れる可能性が高いため、アンチェロッティ監督にその後釜として、期待されているのだとか。

結局、アンヘル・トーレス会長が代理人からオファーがあったと暴露し、一時、ヘタフェファンを沸かせたベイルもMSLのLAギャラクシー入りが決まりましたしね。あとはGKダビド・ソリアの控えだったルーベン・ヤネスがマラガ(2部)に行く代わりに降格したアラベスからパチェコが来るとか、同レバンテからデ・フルートス、同グラナダからルイス・ミジャを獲りたいなんて話も挙がってはいるんですが、この辺は果たしてどうなることやら、先を見てのお楽しみといったところでしょうか。

そして第2陣のスタート組は来週金曜、ラージョとマドリーになるんですが、弟分の方は7月19日にサレルニターナ(セリエA)と、31日にマンチェスター・ユナイテッドと親善試合があることがわかっている程度。ヘタフェ同様、こちらもファルカオこそ、残ってくれるものの、セルジ・グアルディオラ(バジャドリーからのレンタルが終了)、シラ(同アラベス)が欠ける前線の補強が待たれているところです。一応、今でもカバーニ(マンチェスター・ユナイテッドと契約が終了)やノリト(同セルタ)など、興味深い名前は出てはいますけどね。やはり例年通り、8月末日の市場クローズまで、新チームのメンバーが揃うことはなさそうな。

一方、昨季2冠に輝いたマドリーはバルデベバス(バラハス空港の近く)でプレシーズン練習を始めるんですが、実はこれ、6月の各国代表戦に参加していない選手の集合日で、ネーションズリーグが最後に終わったフランスのベンゼマなど、14日まで、戻って来ないのだとか。要は五月雨式の合流で、いえ、23日にバルサ戦(ラスベガス)、26日にクラブ・アメリカ戦(サンフランシスコ)、30日にユベントス戦(ロサンジェルス)が組まれているアメリカツアーまでには全員、揃うんですけどね。彼らの場合、リーガ開幕前の8月10日にはUEFAスーパーカップ、ヘルシンキでのフランクフルト戦と公式戦が控えているため、あまりノンビリはしていられない?

そんなマドリーは補強も早くて、すでにチュアメニ(モナコから移籍)、リュディガー(同チェルシー)は入団プレゼン済み。この夏はこれで打ち止めのようで、今ではスポーツ紙で見かける候補の名前もブラジルで活躍する将来有望な18才とか、15才とか、ちょっと憶測が過ぎる世界に入ってしまった感があるんですが、やはりファンが気になるのはあと1年しか契約が残っておらず、この夏、河岸を変えるかもしれない選手たちでしょうか。

いえ、32才のクロースは今季のパフォーマンスを見てからと、自ら、契約延長に待ったをかけているようなんですけどね。まだ20代半ばのアセンシオとセバージョスなど、クラブ側から延長オファーを今のところ、出す予定はないと言われてしまったのだとか。うーん、彼らにはスペイン代表で冬のW杯に出るという夢もありますし、アンチェロッティ監督からもっと出番をもらえない限り、移籍も十分ありうるかと。

え、先週木曜にはとうとう、アメリカの投資会社に所有権を売却。新経営陣、イディアケス新監督を迎えてスタートする2部のレガネスでさえ、来週からプレシーズン開始というのに、アトレティコだけが1週間遅れ、11日からというのはちょっと怠けていないかって?いやあ、その代わりに今回は代表に行った選手も揃って、全員でロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のサマーキャンプを始められるんですが、どうも補強の動きが鈍いなと思っていたところ、何と月曜になって、とんでもない新事実が発覚。

というのもリーガのサラリーキャップに引っかかり、昨季の会計年度が終わる6月末までに、「Son 40 millones lo que tenemos que vender/ソン・クアレンタ・ミジョネス・ロ・ケ・テネモス・ケ・ベンデル(ウチは4000万ユーロ/約57億円分、売却しないといけない)」とセレソ会長が認めたせいで、そうでない限り、新しい選手を獲ることはできないのだとか。いえ、まだサインはしていないものの、ドルトムントとの契約が満了するアクセル・ビッツェルの入団だけはほとんど決まっているようなんですけどね。

どうやら昨季、3500万ユーロ(約50億円)の買取オプション付きでレンタル移籍していたモラタ(ユベントス)、サウール(チェルシー)のどちらも行使してもらえず、戻って来るのも影響しているみたいで、となると、ここ数日はエルモーソ、ロディ、レマルなど、放出の噂の出ている選手の進退について注目するばかり。といっても彼らでは全員売れても4000万に届くかどうか、一挙挽回するにはそれこそ、ジョアン・フェリックスやカラスコといったクラスの選手を出さないといけないんじゃないかと、ちょっと心配になるんですが、さて。

ちなみに昨季の終盤をケガで欠場、ポルトガル代表戦にも行かず、マイアミで養生していたジョアンは最近のインタビューで、「Una salida del Atlético no está sobre la mesa/ウナ・サリーダ・デル・アトレティコ・ノー・エスタ・ソブレ・ラ・メサ(アトレティコから出ることは頭にないよ)」と発言。ファンをホッとさせていたんですが、先のことはわからないですからね。何はともあれ、シメオネ監督のトッププライオリティである、右SBの補強だけは早いところ、してくれることを祈っています。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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