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どこもマイペースで準備を進めている…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2022年7月14日 9時0分

写真:

「もうプレシーズンマッチやっているんだ」そんな風に私が驚いていたのは火曜日、ヘタフェがプレストン(イングランド2部)とカンポアモール(地中海沿岸のゴルフリゾート)で親善試合をしているのに気がついた時のことでした。いやあ、この午前10時45分から始まった、マドリッド勢の先陣を切る弟分の初戦、思い出した頃にはすでに終わりかけていたんですけどね。どちらにしろ、TV中継などありはせず、両チームのツィッターで細々と実況されていただけだったため、バケーションを兼ねてか、イギリス人サポーター300人余りが駆けつけて、プレストンを応援していたというのはともかく、それ以外、具体的にどんな内容だったのか、詳しいことはわからなかったものの、前半2分に先制されながら、後半にガストン・アルバレスが2点を挙げ、2-1の逆転勝利を飾るとは幸先がいい?

とはいえ、私も最初はこの夏、新規加入したのは先週、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでプレゼンがあったポルトゥ(レアル・ソシエダからレンタル)とセアオネ(2部のウエスカから移籍)、そして折しも月曜に電撃入団したCBドゥアルテ(2部に降格したグラナダから移籍)だけでしたし、ガストン・アルバレスなんて、カンテラーノ(ヘタフェBの選手)がいただろうかとと首を捻っていたんですが、いや失礼。実は彼、今年の1月にウルグアイのボストン・リバーから移籍した22才のCBで、同時期に入ったボルハ・マジョラルやゴンサロ・ビジャル(どちらもローマからレンタル)が1部残留の闘いの中、キケ・サンチェス・フローレス監督に重宝されていたのとは対照的に、デビューすらしていないんですよ。

それにも関わらず、地道に練習を続けていたのが良かったか、レンタル期間の終わったクエンカがビジャレアルに帰ったのもあり、今季は欠員のできたCBのポジション争いに参加できるかと思いますが、ヘタフェのロルダン(ムルシア)でのキャンプはこのプレストン戦をもって終了。今週の残りはマドリッドで練習し、土曜にブタルケでレガネスと親善試合をした後、また20日からはアルゴルファ(アリカンテ)で第2次キャンプとなります。いやあ、同じ先週の月曜にプレシーズン練習を開始した2部のお隣さんも今週頭からはオメルオと柴崎岳選手も合流し、猛暑のマドリッドでダブルセッションを重ねているんですけどね。

レガネスもヘタフェとのプレシーズンマッチ初戦を済ませた翌日には、サン・ペドロ・デル・ピナタル(ムルシア)での地中海沿岸キャンプに行ってしまうため、私も早めに練習を見に行っておかなきゃと思っているんですが、この時期のセッションは暑い時間を避けるため、朝9時30分からと早くてねえ。といっても月曜午後にはロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)に移動。ダブルセッション初日の火曜は最初の練習が午前7時45分からというアトレティコに比べれば、まだマシなんでしょうが、車のない自分にはそこまで行く気もないため、別にいいんですって。

え、それでもその朝練ではようやく、30度の急斜面駆け登りを含め、地獄のフィジカルトレが始まったのにはホッとしたんじゃないかって?いやあ、その通りで何せ、マハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場でスタートした日曜日、私も頑張って、朝9時半に行ってみたところ、マスコミに公開される15分は妙にお楽しみメニューばかりでねえ。最初は半球の上に乗ってボールを返したり、ミニトラポリンの上で足踏みとかやっていたんですが、続いてロープに囲まれた小さい区画の中、手繋ぎ鬼のようなゲームを始めたから、驚いたの何のって。

ちなみにその日、初練習に参加していたのは29人で、昨季1試合も出してもらえずにモナコに帰ったルコントに代わり、リールへのレンタルから戻ったゲルビッチに加え、オブラクを補佐するアトレティコBのGKが2人。カンテラーノは他にリケルメ(昨季は2部のミランデスにレンタル)、マヌ・サンチェス(同オサスナ)、契約満了したベルサイコがオリンピアコスに移籍したため、ヴァス1人となってしまった右SBをヘルプするセルヒオ・ディアスぐらいで、あとはレンタル帰りのモラタ(ユベントス)、サウール(チェルシー)、ナウエン・ペレス(グラナダ)、そして先週水曜に入団が発表されたアクセル・ビッツェル(ドルトムントと契約終了)、金曜に決まったサムエル・リノ(ジル・ビセンテから移籍)しか、新しい顔もありませんでしたしね。

まあ、そのアトレティコ初体験の2人もフィジカルコーチのプロフェ・オルテガが指揮するサマーキャンプの辛さはそれぞれ、ビッツェルはベルギー代表仲間のカラスコに、リノもクーニャやロディといったブラジル人の先輩に聞いて、心の準備もできていることでしょうが、火曜は早速、スロースターターのフェリペ、前日夕方のセッションで足を打撲したジョアン・フェリックスが欠席。開始早々これでは先が思いやられますが、大体がして、5月22日に昨季のリーガ最終節、レアル・ソシエダ戦が終わった後、アトレティコのバケーションは49日もあったんですよ。

そう、今週から、6月19日のプレーオフ決勝2ndレグでテネリフェを下し、アルメリア、バジャドリーに続く3番手として1部に戻って来たジローナもプレシーズン練習を開始。20チーム中、一番遅いスタートと言われながら、休みはたったの22日間しかなかったと聞いたため、ちょっと調べてみたところ、最終節が5月29日だったレガネスは36日。先週土曜から、エスタディオ・バジェカスで練習しているラージョだけは50日とアトレティコより多かったんですが、ヘタフェは43日、お隣さんに至っては5月28日にCL決勝があったため、37日しかなかったって、ちょっとシメオネ監督、余裕を見せすぎでは?

いえ、先週金曜からバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で稼働しているレアル・マドリーは選手たちも五月雨式に合流。6月の代表戦に参加していない選手たちを中心に、久保建英選手(昨季はマジョルカ)やヘイニエル(同ドルトムント)、ボルハ・マジョラル(同ローマ、ヘタフェ)、オドリオソラ(同フィオレンティーナ)ら、レンタル移籍していたメンバーも加わってスタートした後、土曜にはカマビンガも繰り上げ出勤。日曜にはビニシウス、カセミロ、ロドリゴが戻り、ブラジル人モデルの彼女、カロリーナ・リマさんの出産に付き添ったミリトンも月曜には出て来たんですが、ベンゼマ、モドリッチ、アラバ、バルベルデ、カルバハル、アセンシオ、アザール、そしてこの夏、入団したリュディガー(チェルシーから移籍)、チュアメニ(同モナコ)と全員が揃うのは14日の木曜になりますからね。

ただ、毎日、こちらも暑さ全開のマドリッドでダブルセッションして鍛えているとはいえ、さすが昨季2冠を獲っただけのチーム。皆、バケーション明けでも体力に不足はないようで、日曜の夜にはカステジャーナ大通りにある創作日本料理レストラン、Zumaでマルセロが開いたお別れ夕食会にアンチェロッティ監督以下、ビニシウス、ロドリゴ、カセミロ、ナチョ、バジェホ、ルーカス・バスケス、セバージョス、マリアーノらが顔を出し、元キャプテンの宴に華を添えた後、月曜朝には普通に練習しているんですから、偉いじゃないですか。

といってもコロナ禍が始まって以来、ベルデベバスでの練習はCL決勝前のUEFA強制オープンメディアデーでもない限り、全てpurta cerrada(プエルタ・セラーダ/非公開)。よって、TVに映るセッションの映像なども公式ページに上がるビデオからのものばかりで、あまり面白みはないんですが、そうそう、先週はまだマドリッドの両雄が活動していなかった平日、ヒマを持て余して、両クラブのスタジアムツアーに行ってきたことも報告しておかないと。

まずはサンティアゴ・ベルナベウの全面改装工事のせいで2カ月間、閉鎖されていたマドリー・ミュージアムを訪ねたんですが、試合がある度、中断しなければいけなかったシーズン中と比べ、尚一層、工事現場感が増したスタジアム周辺の囲いに張られた標識を辿って着く現在のツアー入り口はpuerta(プエルタ/ゲート)55。カステジャーナ大通りの反対側、かつてVIP用ゲートがあった辺りなんですが、重機類の唸る音を聞きながら、下りて行った先に2部屋程が臨時ミュージアムになっていて、ええ、誰もが一緒に写真を撮りたがるDecimocuarta(デシモクアルタ/14回目のCL優勝のこと)のトロフィーももちろん、展示されています。

35回目のリーガ優勝トロフィーもあるんですが、あとは完成後のベルナベル模型とか、在籍中に選手が受賞したバロンドールとかぐらいしか、今は見る物がなくてねえ。そう、ツアーとは言っても丁度、今はスタジアムの天井部取り付け真っ最中とあって、壮大なパノラマを楽しめる最上階にも行けませんし、ロッカールームも新築中。順路を作るのは不可能だったか、プレスルームも見られなくて、要はミュージアム出口から、10メートルぐらいスタンドを通って、内側の工事進行状況を眺めるぐらいしかできないんですよ。最後は今季の第1、第2の新ユニフォーム絶賛発売中のオフィシャルショップで終了と、うーん、これでメトロの駅を出てすぐ右のビル1階にあるチケット売り場で入場チケットが18ユーロ(約2500円、公式ページで購入すると15ユーロ/約2100円)もするのはちょっと暴利かも。

一方、翌日訪ねたワンダ・メトロポリターノのツアーは24ユーロ(約3300円、アトレティコの公式ページで買うと22ユーロ/約3000円)で、ちゃんとロッカールームを含めたスタジアム内部も見られるんですが、こちらにも落とし穴が!ええ、先週、今ならピッチのかなり奥まで入れるというニュースを見て、ワクワクして行ったところ、何と前日に催されたプライベートなパーティで使ったステージなどを解体中。試合の時、選手たちが通って出る階段にさえ下りられないって、そんな話、聞いていませんよお。

うーん、アトレティコもコロナ禍のせいで収入が減り、とりわけ通常モードに戻ったこの夏はスタジアムをコンサート会場にしまくるだけでなく、企業や個人のイベントにも利用してもらって、貸し出し料を稼ぐのに余念がありませんからね。間が悪いとピッチやベンチが見られない日があるということでしょうが、幸いTerritorio Atleti(テリトリオ・アトレティ/アトレティコのミュージアム)は充実。まあ、比べちゃいけないんですが、弟分チームたちのスタジアムには小さなトロフィールームしかないことを思えば、最新の2020-21シーズン優勝分を含め、リーガ11個、コパ・デル・レイ10個、EL3個などが燦然と並ぶトロフィー展示はそれなりに圧巻ですしね。ここにいっそ、大会最多の優勝回数を誇る巨大なカランサ杯(カディス主催の夏の親善大会、この夏も8月4日にアトレティコが参加することが決まっている)トロフィー10個を全部並べてやれば、お隣さんだって、一目置いてくれるかもしれない?

言うまでもなく、唯一のネックはCLトロフィーが1つもないことですが、歴代選手や現役選手のユニフォームやシューズの展示などに加え、フェルナンド・トーレスの部屋とか、コパやEL決勝をピッチから見た3D映像とか、ビセンテ・カルデロン最後の日のビデオとか、ビジュアル的に楽しいアトラクションもあるため、マドリッドに来た際には立ち寄ってみても損はしないはずですが…その出口は定番、オフィシャルショップなのはいいとして、もうプレゼンビデオが出て久しいにも関わらず、今季の新ユニフォームがまだ売っていないとは、これ如何に!

いやあ、メインのスポンサー企業が今季から、仮想通貨を扱うアンバーグループに決まり、ユニの胸に”WhaleFin”の文字が入ることになったのはこの月曜でしたからね。それまで発売できなかったという事情もわかりますが、昨季リーガ優勝が決まった試合の直後から、ベルナベウのオフィシャルショップが新ユニを求めるファンでバーゲン会場状態になっていたのを私など、実際に見ているだけに、かなり出遅れた感もなきにしろあらず。といっても元々、ユニの販売枚数で競争できる相手でもないですしね。何より今は、8月第2週のリーガスタート時に遅れを取らないことを願うしかありませんよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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