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開幕まで2週間を切った…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2022年8月2日 21時15分

写真:©Atlético de Madrid

「新しいユニフォームだったんだ」そんな風に私が驚いていたのは月曜日、オールド・トラフォードでマンチェスター・ユナイテッド戦を終えたラージョのイラオラ監督や選手のコメントを探していたところ、その試合では今季用のユニでデビューするというお知らせを見つけた時のことでした。いやあ、彼らの試合は先週水曜にもIDブタルケ(レガネスの練習場)で観戦する機会があったんですけどね。その時は真正面から照りつける西日が強すぎて、ユニフォームを気にしている余裕もなかったというか、え、もしやあんまり変わってなくない?

おまけに日曜午後5時の少し前から、唯一、中継が見られるというMUTV(マンUのクラブチャンネル)を繋いで、キックオフを楽しみに待っていれば、この試合がプレシーズンマッチデビューとなるクリスチアーノ・ロナウドを始め、選手たちが入場してきたのと同時に映像が消えると、有料の登録ページに移動。いや、この円安の真っ最中、この1試合のためだけに8ポンド(約1300円)はないなと諦めてしまった私でしたが、何せ、先週末もこれがマドリッド勢の4試合目でしたからね。さすがに観戦疲れもあって、マルカ(スポーツ紙)のライブスコアをチェックするだけで終わってしまったんですが…。

え、マンUと言えば、土曜にもアトレティコと試合していなかったかって?その通りで、何でプレミアリーグ開幕1週間前のこの時期に2日連続でプレーするのかという疑問はさておき、こちらはオスロのウルボーレ・スタディオンでの対戦となったんですが、うーん、プレシーズンマッチ初戦でヌマンシア(RFEF1部/実質3部)に4-0とあっさり勝ったせいで、期待しすぎましたかね。相手がヨーロッパの一流チームとなるや、立ち上がりから、お馴染みの3本もパスが繋がらない状態が発現。ロナウドこそ、お留守番でいなかったものの、ラッシュフォード、マルシャル、マグワイアと次々シュートを撃たれ、これではシメオネ監督の4人DF制回帰も長く持たないかもしれないと心配する破目に。

それでも前半は、38分にはGKオブラクがボールクリアのため、ジャンプしたところをマクトミナイにど突かれて転倒。親善試合なのにtangana(タンガナ/小競り合い)が始まるなんてこともあったんですが、レギュラーCBのサビッチ、ヒメネス、前日に入団プレゼンを済ませ、16番を着けてデビューした右SBナウエル、そして左SBレイニウドが奮闘して無失点で凌ぎます。0-0のままだった後半15分には恒例の一斉交代となり、新たに9人の選手がピッチに入ったんですが、やっぱりシステムは変化しましたよ。第2GKゲルビッチも入る準備をしていたのに待ったをかけて、絶対守護神オブラクは続投。その前を3CB制でガッチリ固めて…え?ヴァス、ビッツェル、レイニウドで?

そう、昨季から3CBの左を務めることが多かったレイニウドはともかく、この日はフェリペに加え、ヌマンシア戦で足首をケガしたエルモーソもいなかったため、右SBのヴァス、ボランチのビッツェルで急造トリオを結成。遠征に参加していたカンテラーノ(アトレティコBの選手)のCB、マルコ・モレノは残念だったかもしれませんが、右SBには同僚のセルヒオ・ディアスが入り、ロディも負傷でお留守番だったため、サウールが昨季チェルシーへのレンタル移籍を決意する原因となった左SBを担当します。

その彼のvolea(ボレア/ボレーシュート)が決まっていれば、シメオネ監督にはありがちな、CL決勝トーナメント1stレグは0-0で御の字感も早めに払拭できたはずですが、大丈夫。リフレッシュ組にはまさに昨季、マンUとのCL16強対決1stレグに開始6分、ビックリ目覚ましゴールを挙げたジョアン・フェリックスもいたんですよ。時間は40分、敵陣の左サイドでボールを取り戻したアトレティコはそこからカウンター。モラタからパスをもらったジョアンがデロットをかわし、エリア前から放ったシュートがGKデ・ヘアを破ったとなれば、やっぱりこのチームの7番は彼で決まりですって。

昨季終盤のケガによる欠場から、4カ月ぶりに復活したジョアンのゴールがモノを言って、そのまま彼らは1-0で勝利。スタンドはほとんどマンU一色だったため、オスロのファンはガッカリしたかもしれませんが、これで2連勝とアトレティコの調整が順調にいっているのは、私には喜ばしい限りかと。それにしたって、今季の前線先発争いは熾烈で、この日もスタメンはコレアとクーニャ、交代出場がモラタ、グリーズマン、ジョアンという配役だったんですが、いえ、入団4年目を迎えるジョアンなど、「La competencia es buena porque nos obliga a trabajar mejor/ラ・コンペテンシア・エス・ブエナ・ポルケ・ノス・オブリガ・ア・トラバハル・メホール(競争があるのはいいことだよ。ボクらにより良く練習することを強いるからね)」と言っていたんですけどね。

ただ公式戦では交代枠は5人分しかありませんし、昨季同様、サビッチとヒメネスが負傷を繰り返すようだと、本職CBが4人しかいないのは守備の面でちょっと不安になりますが、まあそれはそれ。月曜夕方から練習を再開させたアトレティコの次戦は木曜のカランサ杯(カディス主催の夏の親善大会)。その後、日曜にテル・アビブでユベントスとプレシーズン最後の試合をしてから、いよいよ15日(月)にはヘタフェとのリーガ開幕兄弟分ダービーとなるんですが、補強はもう終わったようですしね。リケルメ(昨季はミランデスにレンタル)のジローナへのレンタル移籍が決まったりと、カンテラーノたちの整理も進んでいるんですが、ラ・リーガのサラリーキャップを満たすための4000万ユーロ(約54億円)分の選手売却って、ホントにあるんでしょうか。

そして土曜の夕方はまた、レガネスとアルバセテの親善試合を見にIDブタルケに向かった私でしたが、いやあ、ツイていましたよ。というのも再び焦熱地獄を覚悟していたところ、メトロに乗っている間に最近は珍しいスコールが通過。アルーチェ駅からバスに乗り換えて、練習場に着いてみると、雨は止んでも空は雲に覆われたままで、気温が相当下がってくれていたから。前回と違い、スマホでアトレティコの試合をチェックする必要もなかったため、ラージョ戦では控えだった柴崎岳選手も先発だし、これは落ち着いて観戦できると喜んだところ…。

何でしょうね、イディアケス新監督は用心深いのか、ウナイ・エメリ監督(ビジャレアル)のアシスタントコーチを務めていたせいか、別にボールを後ろから繋いでいくスタイルなのは構いませんが、レガネスはなかなか前に進めないんですよ。序盤はエリア外からのシュートを放っていた柴崎選手もどちらかというと、自陣ゴールに向かって走っている方が多かったようですし、せっかくのスルーパスも受け手がチャンスに繋げられなくてはねえ。

後半28分に彼が退いた後もレガネスはカスミが2度程、シュートしたものの、得点できず、アルバセテも決定力に欠けていたため、スコアレスドローで終わりましたが、この夏のIDブタルケでの試合はももうこれで最後。水曜にはマドリッド南部の弟分仲間、12年間いた2部に昨季別れを告げたアルコルコン(RFEF1部/実質3部)とサント・ドミンゴでプレーして、土曜にはビジャ・デ・レガネス杯で今季、昇格して2部で戦うことになったビジャレアルBをブタルケに迎えてから、開幕アラベス戦に挑むことになります。

え、それでまたしても日曜午前4時という早朝にキックオフ。レアル・マドリーの西海岸ツアーラストとなるユベントス戦はどうだったのかって?いやあ、もうクラブ・アメリカ戦で懲りていましたし、TVE(スペイン国営放送)も午後1時過ぎに再放送してくれるというので、私もムリして生中継は見なかったんですけどね。アンチェロッティ監督の予告通り、5月末のCL決勝リバプール戦と同じスタメンを並べたお隣さんは開始10秒、キックオフからの速攻でクロース、バルベルデと繋ぎ、ベンゼマがゴールを決めているんですから、驚いたの何のって。

残念ながら、これはオフサイドで認められなかったんですが、問題はありません。何故なら、18分にはビニシウスがダニーロに倒されてPKをゲット。これをしっかりベンゼマが決めて、先制点を奪っているとなれば、たとえ、プレシーズンマッチ初戦ではバルサに負けているとはいえ、前人未踏のDecimocuarta(デシモクアルタ/14回目のCL優勝のこと)達成したチームには今季もライバルはいない?

まあ、バルベルデも「No teníamos ritmo en el Clásico y ahora ya tenemos otras cosas/ノー・テニアモス・リトモ・エン・エル・クラシコ・イ・アオラ・ジャー・テネモス・オトラス・コーサス(クラシコではウチにリズムがなかったけど、今は別のものを持っている)」と言っていたように、要はベンゼマがいるかいないかの違いかと思いますけどね。後半頭から、アンチェロッティ監督はミリトンをリュディガー(チェルシーから移籍)に代え、この日はアラバとのコンビでCB相性診断を続行。18分には残り9人のフィールドプレーヤーも一斉交代したんですが、23分にはBチームが意地を見せてくれます。

ベンゼマに代わってfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)として入ったアザールが起点となり、アセンシオとのワンツーを経ると、右SBとして入っていたバジェホにパス。敵DF陣に妨げられることなく、そこから真っすぐゴール前に来たボールをアセンシオが決めて、点差を2点に拡大してくれたから、もう安心ですって。そのまま2-0で勝利したマドリーは1勝1分け1敗で西海岸ツアーを終了。水曜からはまたバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で10日(水)のUEFAスーパーカップ、ヘルシンキでのフランクフルト戦目指して調整することに。

それにしたって、羨ましいのはアンチェロッティ監督が「les llamo el triángulo de las Bermudas porque desaparece el balón ahí/レス・ジャノ・エル・トリアングロ・デ・ラス・ベルムーダス・ポルケ・デサパレセ・エル・バロン・アイー(彼らのことはバミューダのトライアングルと呼んでいる。あそこでボールが消えるからね)」と話していたモドリッチ、クロース、カセミロの中盤が全員30代になりながら、未だに十二分に機能していること。MFの頭数はいながら、誰もゲームメークができないどこぞのチームとは大違いですが、彼らを補うカマビンガ、チュアメニ(モナコから移籍)、バルベルデら若手も、監督は「A mí me gustan los dos, los clásicos y el rock and roll/ア・ミー・メ・グスタ・ロス・ドス、ロス・クラシコス・イ・エル・ロック・アンド・ロール(クラシックなのとロックンロール、私はどちらも好きだよ)」と高く評価していましたしね。

唯一、気になるのはベンゼマの控えはどうやらアザールで行くことに決まったようなところで、月曜早々にはボルハ・マジョラルのヘタフェ移籍が発表。何せ、このアメリカでの3試合、彼はまったく出番がもらえませんでしたからね。だったら、プレシーズンから、ゴール不足の気配が感じられる、昨季後半はレンタル移籍中だったローマからの又貸しでプレーした馴染みのあるチームに行った方が活躍できると当人が思うのも当然だった?弟分には恵みの新戦力とはいえ、マリアーノは員数外というマドリーが、本当に控えに大人の真正CFなしでシーズンを乗り切れるでしょうか。

ちなみにアルゴルファ(アリカンテ)第2次キャンプから戻り、この週末は地元で練習に励んでいたヘタフェはプレシーズンマッチも日曜のアルバセテ戦を残すのみ。UCLAのグラウンドでは普通に練習していたマジョアルですから、もうその試合には出られるでしょうし、開幕アトレティコ戦の準備にもまったく支障はないのは、キケ・サンチェス・フローレス監督も心強いかと。

そして最後にマンUvsラージョ戦の結果なんですが、相手は前日とはガラリとスタメンを変更。とうとうロナウドもこのプレシーズン初出場となったんですが、リーガ開幕戦でも十分ありうるベストメンバーを並べた弟分も一歩も引かず。前半をスコアレスドローで終えると、後半2分にはロナウドと交代で入ったアマッドに、アレックス・テレスのシュートをGKディミトリエフスキが弾いたボールを押し込まれ、先制されてしまったんですが、何とその10分後には同様にイシのシュートGKヒートンに弾かれながら、アルバロ・ガルシアが決めて同点に追いついているんですから、立派じゃないですか。

いやあ、その前のファルカオのエリア前からの一撃がゴールバーを叩いていなければ、勝利も夢じゃなかったんですけどね。予算諸々の差を考えれば、1-1で引き分けただけでも、昨季に続いて、スタートダッシュを狙っているラージョがいい仕上がりをしているのがわかりますって。そんな彼らは金曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)のスペイン・サッカー協会施設で昇格組のバジャドリーと練習試合をした後、13日(土)にはもう、カンプ・ノウでバルサとリーガ開幕戦。大赤字と言われながら、月曜に入団プレゼンがあったクンデ(セビージャから移籍)を含め、ケシエ(同ミラン)、クリステンセン(同チェルシー)、ラフィーニャ(同リーズ)、レバンドフスキ(同バイエルン)と次々、大物を獲得している相手ですが、きっとイラオラ監督も1節から波乱を起こそうと張り切っているはずですよ。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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