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トロフィー掲げて開幕とは羨ましい…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2022年8月13日 20時0分

写真:©Atlético de Madrid

「いくら当日でもできるって言ってもねえ」そんな風に私が呆れていたのは金曜日、土曜に今季開幕となるラージョ戦をプレーするバルサが未だにラ・リーガから許可が下りず、この夏に獲得した新戦力を1人も選手登録できていないと聞いた時のことでした。いやあ、試合前日会見で話したチャビ監督は、「Mañana veremos si podemos salir con el 100%, tenemos hasta dos horas antes del partido/マニャーナ・ベレモス・シー・ポデモス・サリール・コン・エル・シエン・ポル・シエント、テネモス・アスタ・ドス・オラス・アンテス・デル・パルティードー(100%でスタートできるか明日、わかるだろう。試合開始2時間前まで余裕はあるんだから)」と楽観的な見方をしていたんですけどね。

レバンドフスキ(バイエルンから移籍)を筆頭にラフィーニャ(同リーズ)、クリステンセン(同チェルシー)、クンデ(同セビージャ)に加え、契約延長組のデンベレ、セルジ・ロベルト、ガビらも出られないとなれば、昨季はカンプ・ノウの試合も含め、バルサに2勝した頼もしいマドリッドの弟分にとって、願ってもない好機到来かと思いましたが、良かったです。念のため、金曜の午後に最後のセッションを終えたイラオラ監督が「Seguro que Lewandowski, Dembélé y Raphinha van a jugar/セグロ・ケ・レバンドフスキ、デンベレ・イ・ラフィーニャ・バン・ア・フガール(きっとレバンドフスキ、デンベレ、ラフィーニャらはプレーするだろう)」という心構えで選手たちを鍛えていてくれて。

というのもようやく金曜の夜になって、バルサが第4のpalanca(パランカ/テコ)入れを発動。クラブの持つ権利を切り売りして、更に1憶ユーロ(約140億円)余りの資金を獲得したため、クンデ以外は登録できたというニュースが入ってきたから。対照的にラージョの方はかつてのアトレティコ黄金コンビ再結成のため、ずっともう来る、もう来ると言われているジエゴ・コスタ(アトレティコ・ミネイロ)がまだ到着せず。

この土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの試合もファルカオやアルバロ・ガルシア、イシらのゴールに期待することになりますが、昨季、レンタルで修行に行った2部のミランデスで15得点を挙げたアトレティコのカンテラーノ(Bチームの選手)、カメージョにも注目してあげないと。こちらもサラリーキャップの関係でラージョBでの登録となってしまいましたが、ユース時代にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で憧れの目で追っていた大先輩、Tigre(ティグレ/虎、ファルカオの愛称)のお手伝いができたら、嬉しいですよね。

え、リーガで先陣を切るのはラージョだけど、もうすでに公式戦があったマドリッド勢もいるんだろうって?その通りで、この水曜には兄貴分のレアル・マドリーがヘルシンキでUEFAスーパーカップのフランクフルト戦をプレーしたんですが、失念していました。8月のマドリッドはバケーションシーズン真っ盛りだということを。おかげでいつものバル(スペインの喫茶店兼バー)が閉まっていて、ようやく今年になってから、コロナ禍中は赤字になるからと切っていた有料放送の契約を再開した、以前の行きつけにいけば、もう店内は超満員。

仕方なく、去年の夏、通っていたバルに回っても今季はまだTVを契約していなくて見られないと言われるし、開始15分して、ようやく自宅から1駅先で、観戦客で賑わっているお店を見つけて入ってみれば、この猛暑の中、冷房がないなんてことあっていい?おかげで鎌田大地選手のシュートがGKクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されたシーンなどを見逃して、悔しい思いをしたものですが、大丈夫。

「Yo vi su movimiento y me lancé a la izquierda/ジョ・ビー・ス・モビミエントー・イ・メ・ランセ・ア・ラ・イスキエルダ(彼の動きを見て左に飛んだんだ)」とクルトワ自身が解説していたこのプレーは後で散々、ニュースでのサマリーで見ることができたから。ただ、もう立ち見でも仕方ないと腹を括り、汗が止まらなくても、そのバルに居座ることした私でしたが、もしや丁度いいタイミングだった?何と、ビールで喉を潤す前の17分にはビニシウスのシュートをフランクフルトのDFがゴール前でクリアしたり、36分にも彼の一撃がGKトラップに惜しくも逸らされたりと、マドリーがギアを上げるのに間に合ったんですよ。

そしてその1分後には先制点が入って、クロースのCKをベンゼマがヘッド、ゴール右前にいたカセミロがそれを頭で落としたところ、トラップが飛び出して空になっていたところにアラバが蹴り込んだんですが、アンチェロッティ監督に言わせると、「Ha sido bastante casual/ア・シードー・バスタンテ・カスアル(かなり偶然の産物だった)」のだとか。曰く、「あのセットプレーは元々、相手が苦手にしているファーポストにボールを入れるものだった」そうですが、少なくとも作戦通り、カセミロがあの場所にいてくれたのが幸いしたよう。

そのまま1-0でハーフタイムを迎えたマドリーでしたが、後半9分にはまたしてもビニシウスがトラップに弾かれてしまい、まさか夏休みの間に昨季、ようやく開花した決定力を忘れてしまったのかと心配させてくれたんですけどね。ユベントス移籍の近いコスティッチ以外、グラスナー監督が「クラブの歴史を作った選手たちが先発でプレーするのに値する」と言っていた、レンジャースとのEL決勝のスタメンを並べてきたフランクフルトも13分にはゲッツェを投入。

2014年W杯決勝でドイツの優勝を決めるゴールを挙げて以来、低迷しながら、PSVでの2年間で再生したのを買われ、今季から加わった司令塔に運命を託したんですけどね。やはり、「このところ5回もCLに優勝しているマドリーは別次元のレベル」(グラスナー監督)というのは本当だったようで、両チームには実力差がかなりあったんでしょう。

ええ、カセミロのエリア外シュートがゴールバーを直撃した後の20分、今度はビニシウスが自分で撃たずにベンゼマにラストパス。今ではアンチェロッティ監督以下、チームメートも「Está claro que va a ganar el Balón de Oro,/エスタ・クラーロ・ケ・バ・ア・ガナール・エル・バロン・デ・オロ(バロンドールを獲るのは明らかだ)」(カセミロ)と信じて疑わない、マルセロの退団で今季から第1キャプテンとなったCFがワンタッチで蹴ったシュートが決まったから、バルで観戦していたお客さんたちも興奮したの何のって。

2点目が入るとすぐにマドリーも交代カードを切って、実際、こちらもリバプールとのCL決勝スタメンをリピートしていたんですけどね。別にこの日は奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)は必要ないにも関わらず、最初にモドリッチからロドリゴにしたのは、準々決勝のチェルシー戦や準決勝マンチェスター・シティ戦で反撃への流れを作ってくれた彼へのご褒美?まあ、これに関しては当人も「負けている時や逆転しないといけない時だけじゃなくて、自分はもっとプレーできる。Quiero ser titular y estoy trabajando para ello/キエロ・セル・ティトゥラル・イ・エストイ・トラバハンドー・パラ・エジョ(レギュラーになりたいし、そのために努力しているんだ)」とアピールしていたんですけどね。

マドリーの前線はベンゼマ、ビニシウスは絶対で、残り1席を争う激戦区。当面は相手によって、ロドリゴとバルベルデ、アセンシオらを使い分けて行く方がアンチェロッティ監督には都合がいいのかも。31分にはバルベルデも下がり、こちらも昨季は途中出場でチームに貢献したカマビンガがピッチに入って守備固め。残り5分にはセバージョスに加え、新顔のチュアメニ(モナコから移籍)とリュディガー(同チェルシー)ら、今季の働きを期待される選手が登場と、相変わらず、アンチェロッティ監督の人心掌握術には舌をまかされましたが、試合はそのまま2-0で終了です。

これでUEFAスーパーカップ優勝5回目となり、バルサとミランの持つ最多記録に並んだマドリーでしたが、実は監督として唯一、4回のCL優勝経験を持つアンチェロッティ監督はUEFAスーパーカップ戴冠も最多となる4度目。ミランを率いて2回、マドリーでも2回とCLに勝つたび、きっちりその副産物であるUEFAスーパーカップもモノにしているのはホント、がっつりしていると思いますが、残念ながら、この大会は勝ってもマドリッドでの祝勝行事はないため、試合の後は割とあっさりしたものでしたっけ。

そう、すでに金曜からは日曜午後10時(日本時間翌午前5時)キックオフのアルメリア戦の準備がバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で始まっています。アンチェロッティ監督も「El domingo refrescaré algo al equipo/エル・ドミンゴ・レフレスカレ・アルゴ・アル・エキポ(日曜はチームの何かをリフレッシュするつもりだ)」と言っていたため、おそらくパワーホース・スタジアム(アルメリアのホーム)では、ヘルシンキで出番のなかったアセンシオやルーカス・バスケスなど、ちょっと違った顔が並ぶことになるかと。

ちなみにルビ監督率いるアルメリアは昨季2部を1位で終えて昇格。先日は2012年に弟分のラージョでデビューして、翌年はアトレティコに移籍、それから中国などにも行ったりして、最後は母国ブラジルのサントスでプレーしていたFWレオ・バプチストンが入団したり、降格したアラベスからGKパチェコが来たりと補強に余念がないようですが、何せ7年ぶりの1部ですからね。今季はSextete(セクステテ/リーガ、コパ・デル・レイ、CL、UEFAスーパーカップ、スペイン・スーパーカップ、FIFAクラブW杯の6冠優勝)、スペインではバルサだけが2度やっている偉業の達成を狙っているマドリーと互角にやりあうのはちょっと難しいかも。

一方、お隣さんは月曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでヘタフェとの兄弟分ダービーでシーズンの幕を開けるんですが、プレシーズンマッチ中、副業の右SBだけでなく、CBまで務めて、シメオネ監督に重宝されていたヴァスが金曜になって、母国のブロンディへ移籍することが発表に。いやあ、フェリペやヒメネスがケガする中、本職ボランチのビッツェル(ドルトムントから移籍)と一緒に、3CB制だと頭数の足りなくなる守備ラインをヘルプしてくれた彼ですが、11月に始まるW杯のデンマーク代表じゃ、そんなポジションでプレーしませんからね。

今年1月にニューキャッスルに行ったトリピアーの代わりとして、バレンシアから移籍したものの、デビューとなったバルサ戦で負傷。回復しても使ってもらえず、結局、昨季は45分しかプレー時間がなかったとなれば、早めに誤りを修正する気になったのもわかりますが、そうなると、ナウエル(ウディネーゼから移籍)が加入早々、立派にスタメンを務めている右SBの控えはカンテラーノのセルヒオ・ディアスだけ?せっかく中盤に戻れたマルコス・ジョレンテを再び下げることだけはしてほしくないんですが、2年前のリーガ優勝シーズンのように彼が12得点もしなくても、この夏のアトレティコのFW陣はゴールづいているから、別にそうなっても平気という見方もできるかも。

ええ、プレシーズンマッチ4試合で13得点、それもマンチェスター・ユナイテッドやユベントスといった一流チームにも勝っているとなれば、ファンも胸を躍らせているはずですが、それと対照的なのがヘタフェでねえ。2部チームが中心だったプレシーズンマッチ6試合で無得点が4試合、ゴールは3本だけとなると、先が思いやられますが、先週のボルハ・マジョラル(マドリーから完全移籍)に続いて、今週来たのはGKカシージャ(リーズからレンタルで昨季はエルチェでプレー)だけ。いくら、スポーツディレクターのルーベン・レジェス氏が、「Va a haber más incorporaciones en ataque/バ・ア・アベール・マス・インコルポラシオン・エン・アタケ(攻撃陣の補強はもっとする)」と請け合っていたとて、昨季前半は降格圏にドップリ浸かっていたのもありますし、ファンは気が気でないかと。

といっても勝負は始まってみないとわかりませんしね。幸い土曜からはマドリッドの猛暑も少しは和らいで、ようやく昼間も外を歩けるようになりそうな気配が。そうそう、アトレティコはこの開幕戦に向けて、最後のプレシーズンマッチだったユベントス戦前から、何度もダブルセッションを繰り返し、1回だけの日も最高に暑い午後6時30分にトレーニング。選手たちがゆだらないよう、十分な耐久力をつけさせたシメオネ監督とはいえ、やっぱり試合は少しでも涼しい方がいいですよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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