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ゴールが入ると話も早い…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2022年8月17日 20時0分

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「ここは強気に出ないとね」そんな風に私が頷いていたのは火曜日、クリスチアーノ・ロナウドの退団に前向きになったマンチェスター・ユナイテッドがその代わりとして、クーニャを狙っているというニュースを読んだ時のことでした。いやあ、先月中は今季、CLに出られないのがイヤだという当人の移籍先有力候補して、名前が挙がったアトレティコでしたが、いつの間にやら、立ち消えに。

シメオネ監督のチームがプレシーズンマッチで揺るぎのないゴール力を示していたこともあって、オスロで彼不在のマンUを1-0で破った後、翌日のオールド・トラフォードでは弟分のラージョも1-1の引分けと善戦。その試合でこの夏、初出場となったロナウドが、交代した後半を見ずに帰宅してしまったなんて話を聞くと、和気藹々やっているアトレティコに波風立てそうな選手はやっぱりいらないと思ったものですけどね。

さすがにそういう態度にはマンUも考えたか、うーん、プレミアリーグ開幕から2試合、ブライトン、ブレントフォードに連敗、しかも後者には4-0の大敗を喫したというのも大きいんでしょう。だからって、今季自慢のFW5人組の一人、しかも23才と37才のロナウドより遥かに若いクーニャを獲りたいとはこれ如何に。幸いマルカ(スポーツ紙)ではクラブは5000万ユーロ(約70億円)の契約破棄金額以外、売却には応じない意向を示したと言っていたため、ホッとできたんですが、世の中、油断も隙もないとはまさにこのこと?

まあ、今のアトレティコがゴールにまったく不自由していないのはまた後で話すことにして、今は先週末に開幕したリーガのマドリッド勢の試合を振り返っていくことにすると。先陣を切ったのは土曜にカンプ・ノウでバルサ戦に挑んだラージョだったんですが、イラオラ監督がファルカオではなく、アトレティコからレンタルで来たカメージョをCFとして先発に立てたのはちょっと意外。序盤から、ガンガン攻めてきたのは前日、ちゃっかり新戦力4人と契約更新したデンベレ、セルジ・ロベルトの選手登録を済ませた相手の方で、12分には早くもレバンドフスキ(バイエルンから移籍)のゴールが決まってドッキリしたんですが、オフサイドに判定してもらえたのはラッキーだったかと。

更にデンベレ、ラフィーニャ(同リーズ)らにも撃たれまくられたラージョでしたが、26分にお水休憩が入ったのが功を奏します。ええ、「Camello tenía una labor más complicada/カメージョ・テニア・ウナ・ラボール・マス・コンプリカーダ(カメージョには非常に難しい仕事があった)。後ろからプレーしながら、ボールを出すチームにプレスをかけないといけなかったからね」と後でイラオラ監督も言っていたように、その時間を利用して、2部のミランデスで15得点した昨季から、ステップアップするためにラージョに来た兄貴分のカンテラーノ(Bチームの選手)を入念に指導した甲斐あって、バルサにCKを12本も与えた前半を無失点で切り抜けることに。

それどころか、ロスタイムにエリア内からアルバロ・ガルシアが撃ったシュートがGKテア・シュテーゲンに止められなければ、ラージョがリードしていたかもしれないんですが、昨季のカンプ・ノウで0-1勝利のゴールを決めた彼だけに過信して、フリーのチームメートが目に入らなかった可能性もなきにしろあらず。後半6分にも今度はカメージョが敵DFをかわし、周り込んだゴール左側からシュートしたんですが、こちらは枠を外れてしまいます。

その10分後にはいよいよ、彼に代わってファルカオが登場したんですが、その時にはすでにバルサもアンス・ファティを投入済み。ただ、「もっと優位な状況を作るためにシステムを変えたが、nos ha faltado efectividad, acierto/ノス・ア・ファルタードー・エフェクティビダッド、アシエルトー(ウチは効率と精度が欠けていた)」(チャビ監督)という相手が再び、GKディミトリエフスキを破ったのは、いよいよオバメヤングも加わって、4人FW体制になっていた42分のことでした。とはいえ、アンス・ファティのゴールはオフサイドで認められず、8分もあったロスタイムの2分目には、ブスケツがファルカオへのファールで2枚目のイエローカードをもらって退場したため、ラージョに土壇場の1点勝利の期待が高まったんですが…残念です。

サルビ(カディスから移籍)のシュートがテア・シュテーゲンに弾かれたボールをファルカオがネットに入れたんですが、こちらもオフサイドとは世知辛い。結局、0-0のまま終わってしまいましたが、それでも昨季から3試合連続でバルサに負けていないラージョを褒めない訳にはいかないかと。ええ、ガンペル杯でプーマス(メキシコ)に0-6の大勝をした攻撃陣を引っ提げて、ホーム公式戦デビューした相手に枠内6本、合計21本もシュートを浴びながら1点も取られず。チャビ監督曰く、「Las expectativas generadas nos han pesado/ラス・エスペクタティーバス・ヘネラーダス・ノス・アン・ペサードー(懸けられた期待がウチには重かった)」と言わせてしまうんですから、今季も前半戦はこの弟分チームが台風に目になるかも。

そんなラージョは次節もアウェイでまたしてもバルセロナ遠征、金曜にエスパニョール戦となるんですが、え?私が近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で彼らの応援をしている間、2部の弟分レガネスがブタルケでアラベスとの開幕戦をプレーしていなかったかって?いやあ、その通りなんですが、まったくの同時刻展開だったため、一応、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継でチェックはしていたんですが、終盤の盛り上がりがモロかぶり。

前半20分、1年前は2部に落ちたばかりのレガネスでプレーしていたデ・ラ・フエンテに先制されると、後半22分にはカンテラーノのナイムが同点弾。ところが30分、こちらは昨季後半、ラージョにレンタルで来ていたシラのゴールで再びリードされたレガネスがロスタイム、キャプテンのオメロウが引分けのゴールを挙げたと実況で叫んでいたのは覚えているんですが、家に戻ってみれば、実はその後、オフサイド判定となり、1-2で負けていたとは!

せっかくイディアケス新監督の下でもスタメンに入り、その日、フル出場した、3度目の正直で今季こそ、1部復帰を果たしたい柴崎岳選手も気の毒なスタートとなりましたが、逆に翌日曜はいいニュースから始まります。そう、夕方に行われた試合でレアル・マドリーから移籍した久保建英選手が先発デビューしただけでなく、ミケル・メリノのクロスからゴールを挙げ、レアル・ソシエダがカディスに0-1と白星発進する殊勲の働きを見せてくれたからですが、私はその映像を午後9時からのニュース番組で確認した後、再び近所のバルに向かうことに。

暑い時間を避けるため、8月は午後10時開催のカードがあって、マドリーのリーガ開幕戦がその時間帯に当たったからですが、先日のUEFAスーパーカップと違い、余裕で座れたのはやっぱり、マドリッド市民は皆、バケーションに行っているせい?ちなみにそのアルメリア戦の方は予告通り、アンチェロッティ監督がフランクフルト戦からスタメン5人を入れ替え。新加入のリュディガー(チェルシーから移籍)とチュアメニ(同モナコ)も先発デビューしたんですが、いやあ、驚かされましたね。まさか前半6分にはエグアラスが自陣センター左側から出したループパスにラマサニが反応すると、オフサイドラインをキープするのに失敗したリュディガーが追いかける中、ドリブルでエリアに入ってシュート。

これがGKクルトワを破り、昇格組のアルメリアが先制点を挙げたからですが、ラマサニが豪快に側転、バック転でゴールを祝ったせいもあったか、マドリーの選手たちへの目覚まし効果があったのも確かでしょう。ええ、そこから猛反撃が始まったんですが、前日の宿命のライバル同様、前半だけでCK12本もゲットしながら、42分のルーカス・バスケスのゴールはオフサイドで認められず、1-0でハーフタイムを迎えます。そこで後半頭から、カマビンガに代わり、モドリッチが助っ人に入ったんですが、アルメリアに最後のご奉公と、ビジャレアル移籍が噂されているサディクをクルトワが2度も止める破目になってはねえ。

13分にチュアメニがアザールと交代した時には、こんな時こそ、昨季のCL決勝トーナメントでremontada(レモンターダ/逆転劇)を先導したヒーロー、ロドリゴの出番だと思ったファンは多かったはずですが、その日の彼は負傷により、マドリッドでお留守番。この辺の間の悪さがやはり、レギュラーを狙うのに障害になっているのかもしれませんが、大丈夫です。16分、ビニシウスのシュートはGKフェルナンドに弾かれ、すぐ側にいたベンゼマもボールをキープできなかったものの、この時もしっかりゴール前まで上がっていたルーカス・バスケスが決めてくれるんですから、有難いじゃないですか。

それから10分もすると、カウンターで駆け上がる体力の尽きたサディクとラマサニが引っ込み、アルメニアは引分け狙いに転じたようだったんですが、そうは問屋が卸しません。29分、丁度、敵エリア右前でFKを獲得したタイミングでメンディがアラバに代わったため、普通はセットプレーの後なのにと私が不思議がっているヒマもあらばのことでした。後でアンチェロッティ監督は、「キッカーはベンゼマかクロースだったんだが、Davide dijo que saliera rápido, porque la iba a tirar/ダビデ・ディホ・ケ・サリエラ・ラピドー、ポルケ・ラ・イバ・ア・ティラール(ダビデがFKを蹴るため、急いで出るように言った)」と打ち明けていたように、第2監督の息子の指示でアラバがFKを蹴ったところ…。

見事にgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)が決まったんですよ。いやあ、確かにバイエルン時代は直接FKのゴールを10本も挙げ、昨季もCLグループリーグのシェリフ戦で入れている彼なんですけどね。おかげで1-2と逆転に成功したマドリーはそのまま逃げ切り、何とかリーガ白星スタートを果たすことに。いえ、アンチェロッティ監督も「今日は若い選手たちが練習で見せている高い質を披露できなかったが、es bastante normal, son muy jóvenes y la camiseta pesa/エス・バスタンテ・ノルマル、ソン・ムイ・ホベネス・イ・ラ・カミセタ・ペサ(十分、ノーマルなことだ。彼らはとても若く、マドリーのユニフォームは重い)」とカマビンガやチュアメニを庇っていたんですけど、先は長いですからね。

モドリッチ、クロース、カセミロら、30代の中盤黄金トリオが皆勤する訳にもいきませんし、ここは出場機会をもらうたび、いい働きを見せるルーカス・バスケスやナチョを見習って、次は土曜のセルタ戦で使ってもらえるように努力を続けるしかないかと。ちなみにUEFAスーパーカップに続いて、この日も終盤少ししか出番のなかったセバージョスは翌月曜、古巣のベティスを応援するところをベニト・ビジャマリンのエルチェ戦で目撃されているんですが、ペレグリーニ監督のチームがサラリーキャップを越えてしまうため、未だに新規戦力の登録が1人もできていないのを見ると、この夏、帰還するのは難しそう。その他、アセンシオなどもまだ1度もプレーしていませんし、マリアーノやオドリオソラら、月末までにマドリーはまだ放出の方で動きがあるかもしれません。

え、それで月曜午後7時30分から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでの兄弟分ダービーで開幕を迎えたアトレティコの何が凄かったのかって?いやあ、ラッキーにもここ数日、猛暑が収まってくれたマドリッドだったため、ヘタフェのファンも大挙して応援に駆けつけた兄貴分のファンもゆだることはなかったんですけどね。どうも最後のプレシーズンマッチ、0-4のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)でユベントスを負かした試合でハットトリックしたモラタの古巣恩返しスイッチが入ってしまったようで、アトレティコの少年チームで使ってもらえなかったせいで河岸を変え、マドリーからスカウトされるキッカケとなったヘタフェにもまったく容赦なし。

もちろんそれには今季こそ、3年前にベンフィカに払ったクラブ史上最高額の移籍金1憶2800万ユーロ(約176億円)に値する輝きを見せようと誓っているジョアン・フェリックスの協力が不可欠だったんですが、前半15分には青いユニの選手が密集する中をレマル、サウール、ジョアンと繋ぎ、エリア前からモラタがシュートを決めて先制点をゲット。0-1で折り返すと、後半14分にもミトロビッチが自陣エリアから出したパスをジョアンがカットして、再びラストパスをもらったモラタが2点目を奪っているんですから、コリセウム中にアトレティコファンの歌声が響き渡ったのも仕方なかった?

その後すぐ、カラスコ、デ・パウルらと共に最初のリフレッシュ要員となった1人、グリーズマンも30分にはセンターからのジョアンのロングパスを受けてエリア外からゴールを決め、昨年11月以来のリーガでの得点を挙げてくれましたしね。そして38分、最後の交代もモラタとジョアンから、コレアとクーニャとくれば、シメオネ監督も「Con la competencia arriba tendré que afinar el ojo/コン・ラ・コンペテンシア・アリバ・テンドレ・ケ・アフィナル・エル・オフォ(前線のポジション争いのせいで自分も見る目を磨かないといけない)」と言っていたように、こんなにレギュラークラスの控えがゴロゴロいるアトレティコ、ついぞ記憶にありませんって。

それとは対照的だったのは補強が追いつかず、その日も控えにはカンテラーノが5人。25人の定員中、6つも埋まっていない背番号が残っているヘタフェは、うーん、相変わらずアトレティコがサイドからのクロスを簡単に許してしまうため、イグレシアスにがんがん上げられ、マジョラル(マドリーから移籍)やエネス・ウナルが惜しいシュートを放っていたんですけどねえ。結局、0-3で完敗したんですが、これは織り込み済みの面もなきにしろあらず。というのも彼らは元々、この兄貴分に弱くて、特にシメオネ監督が来てからは22試合で白星がなく、0-0で3回引分けるのが精一杯だったから。

昨季まで得点すらできなかったことを考えれば、さっさと頭を切り替えて、次の月曜試合、ジローナ戦から、早めに勝ち点を貯めていってもらいたいところですが、試合終了後もコリセウムのピッチで、控え選手たちがただ走るんじゃなく、ボールを使った練習をしていたアトレティコの方は日曜にホーム開幕となるビジャレアル戦。相手はベティスと共に初戦に3-0で勝って首位に立つ3チームの一角ですから、今季の彼らの実力を測るのに最適な試合になりそうですが、そろそろヒメネス、フェリペがケガから回復して、ビッツェル(ドルトムントから移籍)をCBではなく、本職のボランチで見てみたい気もしますよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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