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ゴール祭りは終わった…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2022年11月30日 19時0分

写真:©︎RFEF

「あんな寒々しい練習、やっぱり行かないで正解ね」そんな風に私が頷いていたのは火曜日、ようやく前日にはマハダオンダ(マドリッド近郊)でアトレティコが12月終盤の公式戦再開に備え、セッションを始めたものの、時間が午後7時と、真冬となった今は日もとっぷり暮れて辺りは真っ暗。しかも最近は急に冷え込んできたため、W杯のparon(パロン/リーガの休止期間)に入ってから、かなり出不精になっていた自分は遠慮したんですが、翌日、マルカ(スポーツ紙)の記事で映像を見つけ、その荒涼たる風景を確認することができた時のことでした。

ええ、アトレティコのトップチームでW杯に参加していない選手は10人いるんですが、初日に出勤したのはフェリペ、エルモーソ、レギロン、レイニウド、サウール、コンドグビア、レマル、クーニャの8人だけ。GKオブラク(スロベニア)とサビッチ(モンテネグロ)は母国代表がW杯に出ていないものの、親善試合があったため、木曜からの合流になるというのはともかく、ウルグアイ代表に出向しているフィジカルコーチのプロフェ・オルテガのみならず、先日、ドーハで目撃されたシメオネ監督までいないんですよお。

2日目にはさすがにシメオネ監督こそ出て来たとはいえ、マドリッド勢弟分のラージョは先週木曜から、ヘタフェも金曜から、一足先に練習を始めていますからねえ。ただ、前者は丁度、火曜に決勝トーナメント進出が決まったシス(セネガル)が、後者も金曜のグループリーグ3節スイス戦が終わるまで、カタール滞在が伸びるかどうか、わからないマクシモビッチとミトロビッチ(セルビア)がW杯に参加中なんですが、それでもヘタフェなど、それ以外の選手が大方、揃っているからでしょうね。水曜にはもう、最初のプレシーズンマッチ、バジャドリー戦を迎えることに。

その一方で、今のところ、ドーハ延泊が決まったアトレティコの選手はグリーズマン(フランス)、ジョアン・フェリックス(ポルトガル)の2人だけ。モラタ、コケ、マルコス・ジョレンテ(スペイン)、カラスコ、ビッツェル(ベルギー)、ヒメネス(ウルグアイ)、デ・パウル、ナウエル・モリーナ、コレア(アルゼンチン)、ゲルビッチ(クロアチア)らは最終節でのグループ突破を目指しているところですが、その辺は木曜からバルデベバス(バラハス空港の近く)で練習再開となるお隣さんも似たような状況かと。ええ、チュアメニ、カマビンガ(フランス)、ビニシウス、ロドリゴ、ロドリゴ(ブラジル)は決勝トーナメントに進出。

カルバハル、アセンシオ(スペイン)、クルトワ、アザール(ベルギー)、バルベルデ(ウルグアイ)、モドリッチ(クロアチア)、リュディガー(ドイツ)らは難易度の差はあるものの、皆、可能性を残して、グループリーグ3試合目に挑むことになるんですが、何なんでしょうね。ここ数日、大会開幕前に左太ももをケガして代表を離脱、マドリッドでリハビリしていたベンゼマが、ネンザで帰還が決まったガジャ(バレンシア)の代わりにバルデ(バルサ)がすぐ呼ばれたスペインと違い、フランスは誰も追加招集していないため、決勝トーナメントでデシャン監督のチームに戻るかもしれないという噂がチラホラと。それが結局、火曜にはバケーションに行ってしまったとは、一体、どうなっているのやら。

まあ、そんなことはともかく、今は気になるW杯でのスペインの様子をお話ししていくことにすると。Eグループ2節のあった日曜は、後半35分にフレール(エレディアーノ)に奪われた1点が返せず、日本がコスタリカに0-1で負けてスタート。夜のスペインvsドイツ戦までは時間があったため、今も続行中のリーガ2部のレガネスvsグラナダ戦を見に、午後はブタルケに行った私だったんですが、何か久々の感じでしたね。TV以外でサッカーを見るのは。スタンドのファンたちもW杯など、よその世界の出来事のように普通に応援していましたし、何とグラナダは前半3分にGKラウール・フェルナンデスがエリア外でアルナイスを倒して、レッドカードで退場に。

ホルヘ・モリーナに代わって、控えGKの入ったため、そこからレガネスはずっと数的有利で戦うことができたんですが、守備に専念した相手に手こずったか、ゴールは後半8分になって、ラバカウンターから決めてくれた1本だけ。17分にはカジェホンにvaselina(バセリーナ/ループシュート)を決められて、ヒヤリリとさせられたりもしたんですが、幸いオフサイドで認められなかったため、1-0で逃げ切れたのは助かりましたっけ。

ちなみにこのレガネス、シーズン序盤は降格圏に沈んでいたものの、現在ではもう11位、昇格プレーオフ圏までも勝ち点3に接近。ここまでの2試合、柴崎岳選手が日本代表で出場していないのを見ると、2部22チーム中3人だけのmundialista(ムンディアリスタ/W杯参加選手)を擁しているのは光栄でしょうが、最近、勝つのにちょっと苦労しているイディアケス監督としては来週火曜のミランデス戦はともかく、土曜のアンドラ戦までには柴崎選手に戻って来てほしい?

何せ、19日のサラゴサ戦を最後に2部はクリスマス休暇に入るため、コパ・デル・レイ1回戦でゲルニカ(RFEF2部/実質4部)にPK戦で負けて敗退した彼らには来年、1月8日の週末まで試合がありませんからね。柴崎選手にとってもちょっと中途半端な日程になるかと思いますが、できれば、その間に劣化状態の激しいブタルケのピッチの芝も改善もできるといいんじゃないでしょうか。

そして帰宅後は家のTVでスペインの試合を見たんですが、7-0と大勝したコスタリカ戦から、ルイス・エンリケ監督はスタメンを1人しか変えず。ええ、右SBをアスピリクエタ(チェルシー)から、風邪が治ったカルバハル(マドリー)にしただけだったんですが、前半6分には早速、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)のシュートにGKノイアー(バイエルン)が触った後、枠に当たって弾かれるというチャンスがあったため、この日もゴールは結構、簡単に入るんじゃないかと思ったんですけどね。そこはさすがドイツというか、日本に負けて後がない相手の強烈なプレスに押されたスペインは前半得点できず。それどころか、39分にはCKからリュディガー(マドリー)のヘッドでうっかり先制されるところだったんですよ。

そのゴールはオフサイドだったため、0-0のままで後半に入ったところ、早くも9分、ルイス・エンリケ監督は真正CFのモラタをフェラン・トーレス(バルサ)に代えて投入することに。それがバッチリ当たって、17分にはジョルディ・アルバ(バルサ)のラストパスをモラタがゴール前で押し込み、待望の先制点を奪ってくれたんですが、うーん、何かこのパターン、バルサからの完全移籍が決まる前、移籍金を値切ろうと、シメオネ監督が出場試合数にカウントされない後半15分以降にしか、グリーズマンを使わず、それで逆に決定的な働きをしていたアトレティコに似ていない?

実はモラタのゴールの直後には、ルイス・エンリケ監督も「Para mí la jugada clave es la acción de Marco, le ha botado un poco antes de golpear/パラ・ミー・ラ・フガダ・クラベ・エス・ラ・アクシオン・デ・マルコ、レ・ボタードー・ウン・ポコ・アンテス・デ・ゴルペアル(私にとって、肝だったのはマルコのプレー。蹴る少し前にバウンドしてしまった)」と嘆いていたんですが、アセンシオが絶好のチャンスにシュートを外し、スペインは追加点を奪えず。21分にはそのアセンシオ、小さな体で果敢に屈強なドイツ人選手に挑み、何度も吹っ飛ばされた挙句、膝を打撲したガビをニコ・ウィリアムス(アスレティック)、コケに代えたんですが、今回、交代策が功を奏したのはフリック監督の方でした。

ええ、25分にミュラー、ゴレツカ(バイエルン)、ケーラー(ウェストハム)をザネ(バイエルン)、フュルクルク(ベルダー・ブレーメン)、クロスターマン(ライプツィヒ)へと一気に3人代えたところ、いえ、丁度、スペインもバルサの後輩、バルデがジョルディ・アルバを引き継いだタイミングだったのも悪かったんですかね。38分、ラポール(マンチェスター・シティ)がエリア前でパスミスしたのがキッカケとなり、ムシアラ(バイエルン)がフェルクルクに繋いで同点ゴールを奪われてしまったから、さあ大変!

いえ、そのまま1-1で引分けることができたため、スペイン自体は「Al final te quedas un poco triste, pero estamos en lo alto de la clasificación/アル・フィナル・テ・ケダス・ウン・ポコ・トリステ、ペロ・エスタモス・エン・ロ・アルト・デ・ラ・クラシフィカシオン(結局、ちょっと残念なことになっただが、それでもウチは順位表のトップにいる)」(ルイス・エンリケ監督)と比較的、安泰なんですけどね。連勝で決勝トーナメント進出を決めることができなかったため、このグループは勝ち点1で最下位のドイツを含め、最終節には4チーム全部にまだ勝ち抜けのチャンスがあることに。

おかげで試合後、カルバハルはクラブの同僚リュディガーから、オルモはラウム、クロスターマンから「日本に絶対、勝ってくれ」と頼まれたそうですが、言われなくても引分けて、コスタリカがドイツに勝てば2位通過。万が一、負けたりすると、コスタリカ勝利で敗退、引分けなら2位、ドイツが7点差以上つけてコスタリカに勝っても敗退と、リスクがない訳じゃありませんからね。「No creo que nadie tenga dudas de que vamos a salir a ganar, nos asegura el primer puesto/ノー・クレオ・ケ・ナディエ・テンガ・ドゥーダス・デ・ケ・マモス・ア・サリール・ア・ガナール、ノス・アセグラ・エル・プリメール・プエストー(ボクらが勝利を目指してプレーするのを疑う者はいないだろう。1位確定もできるしね)」とカルバハルも言っていた通り、木曜午後8時(日本時間翌午前4時)の日本戦には全力を出してくるはずですが…。

ええ、むしろこれは日本にとっては困った問題で、だってえ、日本は負けると敗退確定なんですよ。こちらは引分けでもコスタリカが勝てば敗退、ドイツが2点差以上で勝っても敗退となるんですが、となると両者丸く収まるのは2試合共ドローに終わって、スペイン1位、日本2位で通過すること?といっても他会場の試合をコントロールする訳にもいきませんしね。ただ、スペインにも弱点がない訳じゃなくて、そう、ドイツ戦ではムシアラのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)し、失点を防いでくれたGKウナイ・シモン(アスレティック)なんですが、元はと言えば、これは敵にゴールキックしてしまった当人が引き起こしたピンチ。

彼は前半もエリア内にいたナブリ(バイエルン)にパスしていて、この時はシュートが外れてくれたため、事なきを得たんですが、やっぱり自分のクラブでやり慣れていないプレーはするもんじゃない?いえ、ルイス・エンリケ監督は「Todos los equipos que salimos jugando desde atrás corremos riesgos/トードス・ロス・エキポス・ケ・サリモス・フガンドー・デスデ・アトラス・コレモス・リエスゴー(後ろからプレーしていくチームはどこも危険を冒している)。ノイアーも同じことをしていた」と、あまり気に留めてなかったんですけどね。折しも月曜と火曜の練習ではガビと共に2試合、ボランチから転向CBとしてプレーしたロドリ(マンチェスター・シティ)も打撲で個別調整していたため、日本戦ではルイス・エンリケ監督も本職CBのパル・トーレス(ビジャレアル)やエリック・ガルシア(バルサ)の投入を検討しているかもって…うーん、彼らをイマイチ信用できないのは私だけ?

ブスケツがイエローカードをもらったため、累積警告で16強対決が出場停止にならないように温存されて、ボランチにコケ、もしくはロドリがスタメンで入るという予想もあるんですけどね。ちなみに今回、休養日を設けなかったスペインですが、月曜午後には選手、スタッフの家族がカタール大学の寮を訪問。コケなど、3才になる息子のレオ君とグラウンドで遊んでいる映像がSNSに上がっていたりしたんですが、火曜の練習には日本のマスコミが大挙して来たなんて報道も。

そこですかさず記者会見にコケを出し、「チームは意欲とエネルギーに満ちていて、queremos seguir haciendo lo que venido haciendo porque lo estamos haciendo bien/ケレモス・セギール・アシエンドー・ロ・ケ・ベニードー・アシエンドー・ポルケ・ロ・エスタモス・アシエンドー・ビエン(ウチは上手くやっているから、今までやってきたことをやり続けたい)」なんてコメントで煙に巻いていたのは、サッカー協会の作戦だったかどうかわかりませんけどね。「Creo que será un partido parecido porque los alemanes se parecen al juego de España/クレオ・ケ・セラ・ウン・パルティードー・パレシードー・ポルケ・ロス・アレマネス・セ・パレセン・アル・フエゴ・デ・エスパーニャ(ドイルのプレーはスペインに似ているから、似たような試合になると思う)」(コケ)って、ドイツが日本に逆転負けしたのを踏まえて言っている?

うーん、月曜のライブ配信でルイス・エンリケ監督も「難題を持ちかけてくるチームだ。タケ(久保建英)やドイツでプレーしている選手たちがね。Vamos a tener que estar muy atentos y sin especular/バモス・ア・テネール・ケ・エスタル・ムイ・アテントス・イ・シン・エスペクラル(ウチは注意を怠らず、逡巡しないで行かないといけない)」と日本を評価していましたが、果たしてこの一戦、どんな結果となるのやら。ちなみにA代表としては両者、これまで親善試合で1回しか対戦しておらず、2001年にスペインが1-0で勝利。直近では2021年の東京オリンピック準決勝延長戦でアセンシオがゴールを挙げ、スペインに軍配が挙がっているんですが、その時のメンバーがスペインには7人、日本には9人もいるというのは何か、因縁を感じますよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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