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必ずワールドカップの舞台へ。なでしこジャパン宮澤ひなたが、マイナビ仙台で磨く『世界基準』

超ワールドサッカー / 2022年12月14日 20時45分

写真:©mynavisendai

「男子日本代表のような試合がしたい。自分たちにも、ああいう試合ができるんじゃないか」

マイナビ仙台レディースの宮澤ひなたは、ワールドカップ・カタール大会での男子日本代表「サムライブルー」の戦いを希望に満ちた思いで見つめていた。「男子がグループステージのドイツやスペインに対する勝利は貴重なもの。個々人が体を張って戦う姿が印象に残りました」。

以前は男子代表の試合を見ても、「ただ『すごいなー』と思う立場」だったが、今回は少し違った。女子日本代表として来年の女子ワールドカップ・オーストラリア&ニュージーランド出場を目指す宮澤は、彼らの戦いを自分と照らし合わせていた。11月にスペインで開催された国際親善試合で、なでしこジャパンはヨーロッパの強豪国と対戦した。UEFA女子欧州選手権で初優勝を果たしたイングランドには0-4で、ワールドカップのグループステージで同組となるスペインには0-1で敗戦。このスペイン遠征から持ち帰ったのは「危機感」だった。



◆足りないものをつかみ取る、本番までの8カ月。

「足りないところは“全て”です」と帰国した宮澤は言い切った。WEリーグでは自信を持っていたスピードも、国外に出れば簡単に相手に上回られた。「フィジカル面すべてが足りませんでした。ヨーロッパの選手との体格差はあると思いますが、そういう相手と戦わなければいけない世界。それに負けない上手さ、足元の技術もそうですが、賢さとか。1対1の対人の強さや切り替えしについて行くこともそうです」。上手さ、強さ、速さ、賢さ……、全てが相手に及ばなかった。

だからこそ、カタールから届く日本代表の雄姿は心に響いた。「世界と戦うにあたって、もっと成長が必要だと感じていた時に、日本代表の試合を見ました。ドイツやスペイン、クロアチアといった強豪国に対して、全員で戦っていました。予想を覆すような結果を出せるということは、サッカーの楽しみだと思います。自分も来年ワールドカップを控えている中で、『こういうところで勝ちたい』という良いイメージを持って試合を観戦できました」。勇敢に戦うサムライブルーの姿から、8カ月先の自身の大会につながる戦いのヒントや希望を見出した。


◆チームの勝利と自らの成長。その両輪を回し、代表定着へ。

代表活動から戻り、チームの勝利と自らの更なるレベルアップを目指す日々が再び始まった。宮澤の所属するマイナビ仙台レディースはリーグ開幕から第6節を終え、4勝1分1敗と勝利を積み上げているが、宮澤自身はここまでゴールやアシストなど数字に残る結果を出せていない。2トップの一角やトップ下でプレーすることの多い宮澤だが、試合中はピッチのあらゆるところに出没し、攻撃の組み立てを担う。ここ最近は味方を生かそうとするあまり、守備に割く労力が増えてしまったように見える。周りを生かしたい思いがあるからこそ、強引になりきれない現状もある。

「松田さん(松田岳夫監督)には『気を遣うな。もっと自由にやっていい』と言われますが、流れを見て判断しながらやっていければと思っています。本音としては、もう少し前でプレーする時間を増やしたいですね」。チームの勝利と自らの結果と成長。その狭間で揺れる23歳。「自分がシュートをする、チャンスメイクするというところを昨季以上にやっていきたいと思っています。自分のプレーの幅を広げながら、勝負どころでどう行くかは、より高めていきたいところです」。


◆ぎりぎりで落選した過去。代表メンバーへのサバイバル。

「この1年は自分にとって大事な1年と感じています。リーグも、代表活動に関しても大事な年です」。なでしこジャパンが池田太監督の新体制となってから、宮澤は“常連”として代表入りしているが、その席は確約されたものではないと感じている。「過去、オリンピックやワールドカップでもギリギリでメンバーに残れなかったということが続いたので、次のワールドカップは自分が必ずその場に立って活躍したいという気持ちは強くなってきています」。

チームでの活躍こそが、代表に生き残る道。そう信じる宮澤の視線はぶれない。「チームで結果を出すことが全てです。常にベストパフォーマンスを出すということは、代表だからということではなく、一人のサッカー選手としてやっていかなければいけないこと。そして8カ月後にワールドカップの舞台で世界を相手に戦う」。雪がちらつき始めた仙台のピッチで励む日々が、世界への扉とつながっている。



◆松田監督が植えつける世界基準の競争力。仙台のピッチから始まる勝負。

「今季は女子のユーロを見ていろいろなことを感じ、チームにも落とし込めたらと思ってスタートしました」とマイナビ仙台レディースを指揮する松田監督。11月の国際親善試合の後にも、ピッチ上の選手たちに意識とプレーの向上を促していた。「日本女子代表がイングランドとやるとこうなる、ということがわかった試合。あのゲームは相手が良くて、日本の調子が悪かったわけではない。あれが実力差です。あの中で足りないもの、通用するものをしっかり拾っていかないといけない。相当頑張らなければいけないと思います」。指導者歴30年を迎える松田監督は、国内のレベルに合わせるのではなく、広い世界で戦うための競争力を身につけさせる。「代表で起こっていることは、このピッチでも起こっていること」と意識づけている。

その指導を受け、宮澤も「杜の都」から世界を見据える。「体格や様々な要素で上回る相手とどう戦うか。細かい動きの中でのスピードの使い方やポジショニングが大事で、それはチームの中でも意識していかなければならないこと。その点を世界基準でできていれば、国内では怖いものはないですし、いいパフォーマンスで戦っていけます。自分のレベルアップとチームを引き上げ、頭の中の基準を常に上げていきたい」。

たくましく戦ったサムライブルーから、世界を驚かせた不屈の精神を引き継ぐ。来夏の大舞台、次はなでしこジャパンの番だ。宮澤ひなたは、その時のために、しっかりと爪を研いでいる。

《マイナビ仙台レディース オフィシャルライター・村林いづみ》

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