1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. サッカー

公式戦再開の序章はコパ2回戦…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2022年12月25日 21時30分

写真:©Atlético de Madrid

「年末からもう、あの過密日程が戻って来るんだ」そんな風に私が嬉しい反面、戦々恐々とした気分になっていたのは土曜日、丁度、コパ・デル・レイ32強対決のスケジュールも出たため、リーガ再開後の予定をチェックしていた時のことでした。いやあ、冬季開催W杯のため、11月第2週にリーガが14節でparon(パロン/停止期間)に入ってから、スペイン代表もラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で1日しか過ごさず、すぐカタールに移動。彼らが恒例通り、あっさり16強対決でモロッコに負けて敗退した後も、気になるマドリッド勢の選手たちが残っていたW杯自体はそれなりに楽しめたものの、結局はTV観戦でしたからねえ。

今週になって、コパ2回戦でようやく公式戦が再開したとはいえ、この段階ではまだ、1部チームは格下カテゴリーの相手と対戦するため、アウェイゲームで見に行くこともできず。バル(スペインの喫茶店兼バー)の有料放送を頼りにするしかなかったんですが、いよいよ来週木曜午後9時30分(日本時間翌午前5時30分)には、エルチェ戦でアトレティコがシビタス・メトロポリターノに戻って来ることに。弟分のヘタフェも金曜にコリセウム・アルフォンソ・ペレスにマジョルカを迎えるんですが、ラージョは木曜にジローナと、レアル・マドリーは年内最終戦のトリを飾って、金曜午後9時30分からバジャドリーとどちらもアウェイ開催。

そこから各チーム、連戦地獄が始まって、年明けのミッドウィークには早くもコパ16強対戦がセットアップされているんですよ。以降も週末にはリーガがある脇で、コパ16強対決が1月17~19日、準々決勝が24~26日、準決勝1stレグが2月8、9日と、どのチームも勝ち上がれば勝ち上がる程、週2試合のハードスケジュールに嵌っていくんですけどね。それでも1月中、唯一、フリーになるはずだった第2週にリアド(サウジアラビア)で開催されるスペイン・スーパーカップを入れられてしまった、レアル・マドリー(昨季リーガ優勝)、バルサ(同準優勝)、ベティス(昨季コパ優勝)、バレンシア(同準優勝)よりはマシかもしれない?

まあ、その辺はおいおい見ていくことにして、せっかくなので今週、コパ2回戦をプレーしたマドリッド勢の試合を振り返っていくことにすると。まだこのラウンドでも参加が免除されているマドリーは別として、W杯による中断直前の1回戦では2部の弟分、レガネスだけが敗退。1部の3チームは火水木に行われたRFEF2部/実質4部との対戦に1日ずつ、分かれて登場したんですが、先陣を切ったのは火曜にカセレス(スペイン西部)のディオセサーノのホームを訪れたヘタフェでした。何せ、1回戦では同じカテゴリーのサン・ロケと延長戦までやって、ようやく2-3で勝ったという苦い経験が彼らにはありましたからね。一番心配していたんですが、そこはキケ・サンチェス・フローレス監督も反省したよう。

ヘタフェはミニプレシーズン中の親善試合でもバジャドリー、チバス(メキシコ)にどちらも1-0で連敗していたせいもあったか、この日はスタメンにカンテラーノ(ヘタフェBの選手)は一切使わず。ラタサやムニルといったリーガの控え組をレギュラーに混ぜてみたところ、バッチリ的中したんです。ええ、半31分にはムニルがエリア内からのシュートを決めて先制したかと思えば、後半8分にもポルトゥのクロスからヘッドで2点目を挙げ、W杯3位決定戦でクロアチアに負けたとはいえ、アフリカ勢初の準決勝進出という歴史を作ったモロッコに招集されなかった悔しさをゴールで示してくれたとなれば、チームにとってこんなに有難いことはない?

そして翌水曜にはラージョがサグンティーノとの対戦にバレンシアまで赴いたんですが、こちらは1回戦でモレルサ(カタルージャ地方1部リーグ/実質6部)に1-3と快勝して突破していたせいで、気が緩んでいたんでしょうか。イラオラ監督も「Nos ha faltado ese puntito de acierto/ノス・ア・ファルタードー・エセ・プンティート・デ・アシエルトー(ウチは決定力がちょっと欠けていた)」と言っていたように前後半、延長戦と得点がまったく奪えず、0-0のまま、PK戦に突入。

いやあ、PK戦と言えば、W杯で日本やスペインが惨々な結果だった記憶がまだ新しかったですからねえ。ディミトリエフスキに代わり、GKを務めていたディエゴ・ロペスも災難だったかと思いますが、先見の明のあるイラオラ監督が後半途中から、前線に頼れる選手たちを投入していたのが幸いしました。先攻を取った敵が第1、第2キッカーと続けて外す中、ファルカオ、イシ、マリオ・スアレスがしっかり決めたラージョは1-3でPK戦に勝利。順当に32強対決への切符を手に入れることができましたっけ。

え、それで今季はCLグループリーグで最下位敗退、EL転戦もできずにヨーロッパから完全撤退しただけでなく、リーガも首位と勝ち点17差の5位ともう、すがれる大会がコパしかないアトレティコはどうだったのかって?うーん、それが木曜の試合当日、アレンテイロ戦のため、カバジーノ(スペイン北西部)に移動する直前に発表された招集リストには、シメオネ監督が前日記者会見で「Ojalá podamos tener al Joao del Mundial/オハラ・ポダモス・テネール・アル・ジョアオ・デル・ムンディアン(W杯でのジョアンがいてくれますように)」と、この冬に移籍の噂はまったくなくならないものの、ポルトガル代表と同じ働きをアトレティコでもしてくれることを期待していたFWの名前が載っておらず。

どうやら喉を痛めてお休みとなったようですが、W杯に行かなかったクーニャもこの試合の翌日に自ら、お別れコメントを出すぐらい、ウォルバーハンプトンへの移籍話が進んでいた上、W杯ファイナリストだったグリーズマン(フランス)とコレア(アルゼンチン)もまだ帰還しておらず。よって、今季の自慢だったトップチーム5人FWのうち、その日のピッチに立ったのはモラタだけだったんですよ。それでもスタメンには他にもコケ、マルコス・ジョレンテ(スペイン)、カラスコ、ビッツェル(ベルギー)、ヒメネス(ウルグアイ)と総勢6人のMundialista(ムンディアリスタ/W杯参加選手)がズラリと並んだとなれば、4つも下のカテゴリーのチーム相手には十分過ぎるはずだったんですが…。

おまけにアレンテイロでは1回戦で1部のアルメリアを破った後、ルーゴ(2部)に引き抜かれたフラン・フスト監督の後を継いだハビ・レイ監督が早くも前半23分にはレッドカードで退席処分を受けていたりしたんですが、雨でドロドロのピッチのせいで、いささか集中力を欠きましたかね。42分にはエリア外からのクロスを受けたマルキートスをジョレンテが逃し、GKオブラクが破られてしまったから、さあ大変!途端に2年前、2部Bのコルネジャに1-0負けた2回戦、更にその1年前、クルトゥラル・レオネサに2-1で負けた32強対決の悪夢が脳裏に蘇ってきたアトレティコファンはきっと、少なくなかったかと。

でも大丈夫、この日は運も味方して、ええ、FKの攻撃中にサビッチが倒されたプレーがペナルティに相当するかはかなり疑問が残ったんですけどね。ハーフタイム前の45分には同点に追いつくPKをカラスコが決め、CLレバークーゼン戦後半ロスタイムに最後の最後で勝利を挙げて、生き残りへのチャンスを繋げられるはずだったPKの失敗、もしくはW杯グループリーグ敗退したベルギーにほとんど貢献できなかったリベンジを果たしてくれたんですよ!

それだけにスペイン代表では3試合連続ゴールを決めながら、最後のモロッコ戦から再び、負のループに入ってしまったようなモラタのシュートミスが悪目立ちしたんですが、その中でも最悪だったのが後半14分。今度はカラスコがエリア内で倒されて、その日、2本目のPKをもらったアトレティコがキッカーを変えたところ、まさかモラタが敵GK、ディエゴ・ガルシアに弾かれてしまうとは!試合は1-1のままで進み、時間が経つにつれ、また焦燥感に捕らわれた彼らが撃っても撃ってもゴールが入らない病を発症するんじゃないかと心配していたんですが、32分にとうとう救世主が現れます。

それはカンテラーノのバリオスで、うーん、相手がいつも自分がプレーしているBチームと同じカテゴリーだったというのも渡りに船だったんでしょうかね。彼がエリア前から放ったシュートが奇跡のようにゴール前の密集地帯をすり抜け、勝ち越し点になってくれたから、ビックリしたの何のって。シメオネ監督も「Necesitamos a estos chavales son energía pura, son sangre del Atlético/ネセシタモス・ア・エストス・チャバレス・ソン・エネルヒア・プラ、ソン・サングレ・デル・アトレティコ(あの子たちをウチは必要としている。まさにエネルギーそのもので、アトレティコの血液だから)」と彼を褒めていましたが、確かに先発したコケもパッとせず、サウールなど、途中出場すらしなかった辺りを見ると、もしやそろそろ、カンテラーノも世代交代が必要?

これで気が楽になったアトレティコは、45分にもセンターからドリブルで上がったカラスコがディエゴ・ガルシアをかわし、ガラ空きのゴールに決めて3点目をゲット。こんなに貢献してくれた彼なのに移籍したがっているという記事がNoche Buena/ノッチェ・ブエナ(クリスマスイブ)に上がってきていたのは何ですが、こちらも1億ユーロ(約142億円)以上の移籍金を払えるクラブ限定とされたジョアン同様、4000万ユーロ(約57億円)以上の縛りがあるようですからね。当人も今しばらくはオファー獲得にために頑張ってくれるとは思いますが、はあ。何はともあれ、最後は1-3での勝利で、アトレティコが32強対決に駒を進められたとなれば、コケがカメオ出演している今年のクリスマスビデオ(もちょっとは気分良く、見られますよね。

その一方でまだ、コパは参戦免除だったお隣さんもペレス会長やアンチェロッティ監督、そして結局、W杯決勝の応援に行くこともなく、あっさりフランス代表引退を表明していたキャプテン、ベンゼマらが挨拶する恒例のクリスマスビデオが公開されたマドリーも木曜午前中には練習試合をしていて、やはり近隣ですぐ来られるせいですかね。先週ミッドウィークにわざわざ時間を割いてくれたレガネスは月曜にファン・ムニョスの2ゴールでサラゴサに1-2と逆転勝利。順位は9位ながら、昇格プレーオフまで勝ち点2とし、W杯から帰還して10分程の出場に留まった柴崎岳選手も満足してクリスマス休暇に入れたんですが、今回はお隣さんのヘタフェをバルデベバス(バラハス空港の近く)に招いて、90分間をプレー。

W杯に早期敗退して、12日間程のバケーションも済ませて戻って来ていたGKクルトワ、こちらも代表引退を表明したアザール(ベルギー)、アセンシオ(スペイン)、リュディガー(ドイツ)、ベルベルデ(ウルグアイ)らを始め、完調になったベンゼマも出場したんですが、コパから中2日のヘタフェとスコアレスドローで終わってしまうことに。いえ、まだ彼の公式戦再開までは1週間以上ありますからね。できれば、年内最終戦では首位のバルサとの勝ち点差2を引っくり返して、頂点で終わりたいという気持ちはあるでしょうが、まだまだリーガは長丁場。優勝メンバーは1人もいないものの、W杯に長居することになったチュアメニ、カマビンガ(フランス)、モドリッチ(クロアチア)らはチーム合流がギリギリとなり、出場は望めないため、今は彼らなしでも何とか勝利する方法をじっくり模索してくれればいいかと。

そして同じ木曜のお昼にあったコパ32強対戦の組み合わせと日程もお知らせしておくことにすると、このラウンドで初登場するマドリーは3日(火)午後9時(日本時間翌午前5時)から、カセレーノス(RFEF2部)と対戦。昨今はリーガ戦なども時間割がバラけるのが普通となっているのに逆行して、同日同時刻にはラージョがスポルティング、ヘタフェがレバンテと2部チームのホームでプレーするんですが、アトレティコだけは4日(水)午後8時(日本時間翌午前4時)に、こちらも2部のオビエドと当たることに。いやあ、これまで実質4部チームを相手にしていたのに比べると、格段にハードルが上がったような気がしますが、とりわけヨーロッパの大会がない3チームにはファンがホームスタジアムでコパの試合を見られるようになるまで、善戦してもらいたいですよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください