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リーガに集中するしかないチームが増えてきた…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2023年1月6日 23時30分

写真:©Atlético de Madrid

「どうせなら、もっとバラけてくれればいいのに」そんな風に私が不満を覚えていたのは木曜日、新年早々の3日にはマドリッド勢3チームがコパ・デル・レイ32強対決をプレーした後、この週末のリーガ16節でも3チームが日曜に集中していることに気がついた時のことでした。いやあ、それでも3試合が午後9時からの同時キックオフだったコパより、時間帯が違うだけ、リーガの方がマシなんですけどね。今季は11月初旬から冬季開催W杯のparon(パロン/リーガの停止期間)が挟まったせいで、いきなり年末から蘇った過密日程におたおたしているのは絶対、私だけではない?

でも大丈夫。というのも1月中、ずっと忙しくなるはずだったコパからは、いえ、2部の弟分、レガネスなどはW杯前の1回戦で敗退しているため、年内最終試合は12月19日のサラゴサ戦。心おきなくクリスマスのバケーションを楽しんでから、リーガ2部が再開するこの金曜のルーゴ戦で新年最初の公式戦を迎えるんですけどね。それがまさか、今週の32強対決で1部の弟分2チームも姿を消してしまったとなると、もう残るはマドリッドの2強だけ。おかげでミッドウィークの予定が被る心配もほぼなくなったんですが、せめて1試合ぐらいはホームでコパを戦うチームを見たかったファンも少なくはなかったかと。

とりあえず、まずはその火曜の試合の様子をお伝えしていくことにすると、一番、スコアに動きがあったのは昨季2部に降格したレバンテとヘタフェの対戦で、前半33分にはムニルのゴールで先手を取れたんですけどね。後半6分にポスティゴに同点にされた4分後にも再びムニルが決め、これは彼の2得点で突破した2回戦、ディオセサーノ(RFEF2部/実質4部)戦のリピートになるかと思いきや、とんでもない。うーん、昼間のうちにはかつて、クラブの役員を務めていた高齢のフェルナンド・サントス・デ・ラ・パラ氏が亡くなったという報の後、ダミアンの父親の訃報も続き、ヘタフェにとって、厄日だったのかもしれませんけどね。16分にはFKからアレックス・ムニョスに2-2にされた上、土壇場の45分、今度はCKからウェスリーに3点目を決められていては、まったく救えませんって。

確かに今季もリーガでの1部残留を争っているヘタフェだけに、キケ・サンチェス・フローレス監督も今は降格圏の18位とはいえ、サンチェス・ピスファンに乗り込まないといけない日曜のセビージャ戦の方に目が行ってしまうのもわかりますけどね。これで格下カテゴリーのチームに苦杯を喫するのも5年目とあって、この間、コリセウム・アルフォンソ・ペレスがコパと無縁なのは淋しいかと。

おまけにセビージャはリナレス(RFEF1部/実質3部)にエン・ネシリのハットトリックなどで0-5と大勝したばかり。6日のエル・ディア・デ・ロス・レジェス(東方の三賢人の祝日)前のスタジアム公開練習に1万8000人ものファンが詰めかけたなんて聞くと、心配にもなるんですが、とにかくヘタフェには早く気を取り直して、試合数が減った分、リーガで全力を尽くしてもらうしかありませんよね。

それに輪をかけて残念だったのはラージョで、こちらは2部生活6年目となるスポルティングのホーム、エル・モリノンでの対戦だったんですが、先発したファルカオ、イシやアルバロ・ガルシア、カメージョらがピッチに入った後半も得点できず、ミロバノチッチに奪われた2ゴールで0-2とあっさり敗退。昨季の彼らは準決勝まで快進撃を続け、2試合制だったベティス戦で総合スコア2-3と涙を飲んだこともあって、結構、期待値は高かったんですが、まあ、こればっかりはねえ。折しもこの日曜、エスタディオ・バジェカスに迎える相手がまさにベティスとなれば、大会は違えど、リベンジのチャンスをしっかり活用できるといいんですが、向こうは木曜にイビサ・イスラス・ピティウサス(RFEF2部)に1-4と快勝。

現コパ王者として、今季も16強対決の切符をしっかり手に入れただけでなく、来週、サウジアラビアのリアドで開催されるスペイン・スーパーカップでもタイトルが獲得できるかもしれないため、選手たちも今が一番の張り切りどころですからね。ただし、リーガでは6位の彼らと8位のラージョはたった勝ち点2差だけ。ここで勝って、順位が入れ替われば、少しはファンの失望も和らぐんじゃないかと思いますが、前節はジローナと2-2で引分けたイラオラ監督のチームだけに、早くリーガ再開後初白星を挙げたいというのが本音でしょうか。

え、その同じ時刻、順当に勝ったとはいえ、あまり大威張りできない兄貴分もいたんじゃなかったかって?そうですね、というのも、このラウンドがコパ初戦だったレアル・マドリーは相手がRFEF2部のカセレーニョだったんですが、前半を0-0で終了していたから。いやあ、アンチェロッティ監督は「No se puede jugar al fútbol. Para mí no es fútbol, es otro deporte/ノー・セ・プエデ・フガール・アル・フトボル。パラ・ミー・ノー・エス・フトボル、エス・オトロ・デポルテ(サッカーのプレーはできない。私にしてみれば、あれはサッカーじゃなく、別のスポーツだ)」と、その原因を相手のホーム、プリンシペ・フェリペのピッチ状態が悪かったせいにしていたんですけどね。

ただ、この遠征には最初から、GKクルトワを始め、カルバハル、アラバ、メンディ、ビニシウス、ベンゼマ、モドリッチ、クロースが参加しておらず、珍しくアザールやオドリオソラらが先発していたせいもあったはずですが、後半頭からはチュアメニ、ミリトンに代え、バルベルデ、リュディガーを入れたのが成功。とうとう24分になって、ロドリゴが個人技でエリア内に侵入し、先制点を決めてくれたんですが、その後は待てど暮らせど、ゴールは生まれず。2回戦では1部のジローナを2-1で破り、観客1万4000人を集める黄金カードを引き当てたカセレーニョとはいえ、GKルニンを悩ますまでには至らなかったため、0-1でも16強進出には十分だったんですが、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を期待していた向きにはかなり物足りない出来だった?

何せ、年末のバジャドリー戦も終盤にベンゼマが2ゴール挙げてくれるまで、0-0で拮抗していたマドリーですからね。一応、この土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのビジャレアル戦では久々の出場でケガしたオドリオソラ、そしてカルバハル、マリアーノ以外の選手は体調に問題ないとはいえ、相手は前節、バレンシアに2-1で勝ったダービーから、W杯前は改装工事中で使えなかったラ・セラミカに戻って、満員御礼が続くみたいですからね。おまけにセティエン監督率いるチームはコパでもカルタヘナ(2部)に1-5と大勝して乗っているため、来週水曜にはスペイン・スーパーカップ準決勝のバレンシア戦が控えているマドリーとはいえ、首位バルサに離されないよう、ベストメンバーで挑むはずですが…。

その一方でこの木曜、通常はクリスマス休暇前、コロナ禍が始まってからは自粛となっていたサッカー、バスケットチーム合同のComida de Navidad(コミーダ・デ・ナビダッド/クリスマス昼食会)をバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で開いたマドリーが、W杯のためにリーガが中断してから、再び突貫工事期間に入ったサンティアゴ・ベルナベウに戻って来るのは1月最後の週末のレアル・ソシエダ戦。この土曜に行われるコパ16強対決の組み合わせ抽選、残る下位カテゴリーチームはアラベス、レバンテ、スポルティングらの2部勢とRFEF1部のセウタだけなので、11ある1部チームと当たり、マドリーが先に引かれた場合、17~19日にホームでプレーしないといけないんですが、それまでに重機類を撤去して、客席を整えるのは間に合うんでしょうかね。

そして翌水曜、遅れてプレーしたのがアトレティコだったんですが、とにかくヨーロッパの大会もなくなった今季の彼らにとって、タイトル獲得唯一の可能性として、すがれるのはコパしかありませんからね。ジョアン・フェリックス、デ・パウル、サビッチこそ、体に不具合があって、お留守番となったんですが、もしや前日、同じアストゥリア地方のガチライバル、今は同じ勝ち点で13位と14位とタメを張っているスポルティングにラージョが負けていたのも影響したか、シメオネ監督はこのオビエド戦のスタメンをトップチームのベストメンバーで固める慎重ぶり。

前半24分にはその効果がバッチリ出て、アルゼンチンでW杯王者となったばかりのナウエル・モリーナが右サイドから上げたクロスを準優勝フランスの司令塔、グリーズマンがエリア前からワンタッチで浮かしたところ、「Yo llego y le pegó con la pierna mala y acaba dentro/ジョ・ジェゴ・イ・レ・ペゴ・コン・ラ・ピエルナ・マラ・イ・アカバ・デントロ(追いついて、利き足じゃない方で蹴ったら入った)」というマルコス・ジョレンテが撃ち損じのようなvaselina(バセリーナ/ループシュート)で先制ゴールをゲット。ヌエボ・カルロス・タルティエレを埋めた2万7000人の観客を唸らせてくれます。

それでも後半かなり遅い時間まで0-1だったため、ずっとヤキモキしていたんですが、アトレティコも魅せる時は魅せるんですよ。ええ、38分、今度はグリーズマンを起点に途中出場のレギロン、コレアとエリア内左側で繋がり、ここ最近、メキメキと頭角を現してきたカンテラーノ(ユースチームの選手)、19才のバリオスがシュートを決め、全てのアトレティコファンを安心させてくれたから、感心したの何のって。いやあ、もう引退したガビ、フェルナンド・トーレスを始め、以前はオリベル・トーレス(現セビージャ)、トマス・パーティ(アーセナル)、リュカ・エルナンデス(バイエルン)とトップチームで活躍するカンテラーノが何人もいたアトレティコも今ではコケとサウールが残るのみですからね。

ええ、彼のことはシメオネ監督も「Hace mucho que un jugador de la cantera no viene con nosotros con este nivel/アセ・ムーチョ・ケ・ウン・フガドール・デ・ラ・カンテラ・ノー・ビエネン・コン・ノソトロス・コン・エステ・ニベル(カンテラの選手がこのレベルでトップチームに来たのはかなり前のことになる)」と認めていたぐらいの希少事例なんですけどね。コパ2回戦のアルメンテイロ(RFEF2部)戦、再開リーガのエルチェ戦では先発に抜擢され、中盤で一番光輝いていたかと思えば、途中出場させてもこのお役立ちよう。となれば、もしかして日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのバルサ戦でもバリオスが再び、シビタス・メトロポリターノのファンを喜ばせてくれるかも。

まあ、かろうじてCL出場圏内のリーガ4位でスペインの両雄との差が勝ち点11にもなる現在、首位陣に追いついてやるなんて、大それた野望はとても抱けない状況にあるアトレティコではあるんですけどね。ちょっとだけ希望が持てるのは同じ水曜、90分であっさり2部の相手に勝った彼らとは対照的にチャビ監督のチームはもっと格下のRFEF1部、インテルシティに3-3に追いつかれ、延長戦でアンス・ファティが勝ち越しゴールをあげるという有り様だったから。おまけにその試合で温存されていたレバンドフスキの予定が狂い、16節から3試合、出場停止処分を消化しないといけなくなったんですよ。

そう、これはW杯前最後のオサスナ戦での退場で受けた処分だったんですが、一時停止令をもらった彼は年末のエスパニョール戦でプレー。ところが木曜にはTAD(スポーツ行政裁判所)がこの処分を後押ししたため、今週末から出られなくなったという次第ですが、もしやこれって、今年のアトレティコにはツキがあるってこと?うーん、オビエド戦で痛みを訴え、レイニウドと交代したエルモーソはエルチェ戦のレッドカードにより、元々出場停止。新たに数的不利となる危機を避けられただけでなく、サビッチも木曜からはマハダオンダ(マドリッド近郊)でのチーム練習に参加していましたしね。

もちろんそれでも本調子でないヒメネスを含め、デンベレ、ラフィーニャ、メンフィス・デパイ、フェラン・トーレス、アンス・ファティらから、ゴールを死守しないといけないGKオブラクの負担は半端じゃないんですが、ジョアンもすでに回復しているとなれば、グリーズマンのアシスト能力が満開している今、やはり守備陣にクエスチョンマークがつく相手と撃ち合いになる可能性もなきにしろあらず。すでに跡かたもないかつてのホーム、ビセンテ・カルデロンでのバルサ戦はよく、そういう点の取り合いになっていたのが懐かしく思い出されますが、勝ち点差11より、8の方がずっといいのは間違いありませんからね。幸いお隣さんと違って、スペイン・スーパーカップに出ないアトレティコは来週ミッドウィークに休めますし、寒い夜の試合だけにスタンドを熱くさせるパフォーマンスが見られるといいですよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。


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