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京都契約満了から丸1年でブンデスデビュー。2000年世代のドリブラー・上月壮一郎が示した潜在能力と可能性【新しい景色へ導く期待の選手/vol.2】

超ワールドサッカー / 2023年1月24日 21時45分

写真:Getty Images

2022年カタールワールドカップ(W杯)の後、長いウインターブレイクに入っていたドイツ・ブンデスリーガ1部が20日から再開。吉田麻也(シャルケ)や遠藤航(シュツットガルト)、鎌田大地(フランクフルト)ら日本代表戦士たちが新たなスタートを切った。

こうした中、若い世代の面々も頭角を現しつつある。その筆頭がシャルケでブンデスデビューを飾った上月壮一郎。久保建英(レアル・ソシエダ)、菅原由勢(AZ)、中村敬斗(LASKリンツ)らとともに2017年U-17W杯(インド)に参戦した2000年生まれの若きアタッカーだ。

上月は京都サンガのアカデミー出身。U-15・U-18を経て、2種登録だった2018年5月の横浜FC戦で公式戦デビューを飾った。2019年にはトップに昇格。同年は3試合、2020年に11試合と出番を増やしたが、曺貴裁監督が就任した2021年はわずか2試合しかプレーできなかった。そして同年末に契約満了という憂き目に遭ったのである。

「自分にとっては、ブンデスリーガであったり、プレミアリーグが憧れのリーグ。毎日毎日そこを意識しながら日々を過ごしています。自分の一番の武器は裏への動き出し。タテへの突破も少しはできていると思いますけど、まだまだ足りない。ドリブルも大事だけど、チームに貢献するための攻守の切り替えをしっかりやっていきたいですね」

2016年9月のAFC・U-16選手権(インド)に参戦していた時、16歳だった上月は自分のストロングや課題、近未来のビジョンをこう語っていた。だからこそ、21歳になったばかりの2021年末に京都を退団することになるとは想像だにしなかっただろう。

そこでいったんプロキャリアを断たれたわけだが、彼が見据えたのは10代の頃から憧れていた欧州だった。2022年になるや否やドイツへ渡り、翌2月に5部・デューレンに新天地を見出したのだ。

年代別代表とはいえ、日の丸をつけてW杯に参戦した若武者にとってドイツ5部というのは不本意な環境だったかもしれないが、上月は腐ることなく前向きに取り組み、半年間でリーグ11試合に出場。5ゴール5アシストという活躍を見せ、チームの4部昇格に貢献する。

目覚ましい働きを認めたシャルケからU-23チーム入りが認められ、2022年8月からプレー。9月からはトップチームの練習試合に参加し、W杯が終わった12月末にトップチーム昇格を現実にした。

そして、今季後半戦再開初戦となった1月21日のフランクフルト戦でスタメン出場。4-2-3-1の右MFのポジションに入ると、前半からアグレッシブな仕掛けとチャンスメークを披露する。前半32分には右サイドを持ちあがって右ポストをかすめる鋭いシュートを放つと、その1分後には爆発的なスピードで右サイドを駆け上がり、最前線へクロスを送る。これはFWマリウス・ビュルダーが決めていればアシストがついたはずだったが、惜しくも合わなかった。

そして、後半開始早々には左からのクロスに反応。ゴール前に積極果敢に飛び込み、絶妙のタイミングでヘッドを放ったが、これは相手守護神のケヴィン・トラップに防がれた。これらビッグチャンスの1つでも決まっていたらシャルケは貴重な勝ち点3を手にできただろうし、最下位脱出のきっかけをつかめた確率が高い。最終的に0-3で敗れたことを考えると、上月にとってはほろ苦いブンデスデビュー戦になったと言える。

それでも、チームメートの吉田が彼の一挙手一投足を高く評価した通り、上月が新たな可能性を示したのは紛れもない事実である。鎌田が2017年夏にフランクフルトデビューを飾ったのが21歳で、最初のシーズンはほとんど試合に出られず、22歳でシント=トロイデンに赴いて1年間実績を積み重ねたため、本格的にドイツで活躍できるようになったのは23歳から。そう考えると、上月が22歳で上々のスタートを切ったことを前向きに捉えていいはずだ。

彼ら2000年生まれのグループは東京五輪世代の中で一番下だったため、五輪に出られる可能性が低かった。その分、日本代表入りが遠のいてしまった部分は否定できない。

しかしながら、一足先に欧州へ渡った菅原や中村は今季コンスタントに試合に出ているし、瀬古歩夢(グラスホッパー)もスイスで奮闘している。この冬にセルティックへ移籍した小林友希もすでに新天地に適応。左利きのDFとしてアンジェ・ポステコグルー監督から重用され始めている。2000年生の彼らが一気に急成長し、2026年北中米W杯のメンバー入りしてくる可能性も少なくないのである。

そういう意味でも上月の今後は非常に興味深い。彼が「右の三笘薫(ブライトン)」と言われるような存在に大化けしてくれれば、日本サッカー界も新たな武器を得られる。ここからの爆発を楽しみに待ちたい。


【文・元川悦子】


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