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リーガ前半戦が終わった…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2023年2月4日 22時30分

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「これが現実なのね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、スペイン・スーパーカップで順延となっていた17節の2試合もミッドウィークに開催され、今季前半戦終了時点での順位表を眺めていた時のことでした。いやあ、元々、アトレティコが上位2チームにかなり差をつけられていたのはわかっていたものの、水曜に首位のバルサがベティスに1-2で勝ったせいで、勝ち点差はもう彼岸としか思えない16に。2位のお隣さんとも11差となった上、週中に試合のなかった3位レアル・ソシエダとも5差あるんですが、逆に5位のビジャレアル、6位のベティスとは3差だけ。7位の弟分、ラージョとも5差って、やっぱり今季後半戦の彼らは全精力を注いで、CL出場圏の4位を維持することだけを考えないといけない?

まあ、その辺はあとでまた話すことにして、今は木曜にやはり、順延分17節のバレンシア戦をサンティアゴ・ベルナベウで迎えたレアル・マドリーの試合がどんなだったか、お伝えしていくことにすると。先週ミッドウィークのコパ・デル・レイ準々決勝ダービー、週末のレアル・ソシエダ戦に続き、3回連続となった午後9時キックオフだったこの試合、少々、寒さが和らいでくれたのが一番、嬉しかったんですが、開始早々にはアセンシオのシュートがGKママダシビリに弾かれてドッキリさせられたなんてことも。

とはいえ、前節バジャドリー戦で負けた後、ガットゥーゾ監督が契約を解消。伝説の火消し役、本職チームディレクターのボロ氏の第8次暫定政権の下、マドリーに立ち向かうバレンシアも前半中は意地を見せ、何とか失点を免れていたんですけどね。36分にはアトレティコからレンタル修行中のサムエル・リノに後ろから飛び掛かり、一緒に倒れて自分の方がケガしたミリトンが急遽、負傷明けのカルバハルに代わるというアクシデントもあった後の前半ロスタイム、モドリッチのCKをリュディガーがヘッドで決めて、抵抗もここまでかと思われたんですが、この時はVAR(ビデオ審判)がバレンシアの味方に。

ええ、ゴール前で両チームが争っている最中、ベンゼマがユヌス・ムサを腕で払う際に肘が顔に当たったとして、ファールにより、ノーゴールとなったんですが、それもあまり大した延命効果にはならなかったんですよ。というのも後半7分には、いえ、カウンターからドリブルで敵エリア内に入ったビニシウスが送ったラストパスはコースが悪く、ベンゼマは外に出て行くボールを追わないといけなかったんですけどね。キャプテンから折り返しのパスをもらったアセンシオがエリア前から左脚を一閃。それがネットにすっぽり収まってしまったから、ビックリしたの何のって。

先制点を奪われてショックを受けたバレンシアが、「Después del golazo de Asensio, nos hemos desordenado/デスプエス・デル・ゴラソ・デ・アセンシオ、ノス・エモス・デスオルデナード(アセンシオのスーパーゴールの後、ウチは混乱してしまった)」(ボロ監督)せいか、その2分後には自陣からベンゼマが送ったスルーパスから、ドリブルで上がって行くビニシウスを誰も止めることができず。あれよあれよという間にゴール前まで迫り、そのシュートでマドリーの2点目が入ります。実はこれに似た光景が更に2分後には繰り返されていて、この時はモドリッチがドリブルで上がって、ママダシビリと1対1になったんですが、交代する度、スタンドから大きな拍手を浴びる彼の強みは他のところにありますからね。

残念ながら、この時はシュートを弾かれてしまったんですが、もっとツイていなかったのは跳ね返ったボールを撃ったベンゼマ。敵DFにブロックされて、ゴールにならなかっただけでなく、その際に太もも裏を痛めてしまったからで、おかげで15分にはロドリゴと交代することに。まあ、すでに2点リードしていましたし、続いてモドリッチとクロースもチュアメニとバルベルデと代わり、その後に起きたハプニングは27分、ビニシウスに足払いをかけたパウリスタが一発レッドで退場させられたことぐらいですからね。

それも「Es una tarjeta roja clara/エス・ウナ・タルヘタ・ロハ・クラーラ(明らかにレッドカードだ)。怒りのせいで、タイミングの遅れたタックルだった」とボロ監督も認めていたぐらい、正当な退場処分だったため、いえ、その後、マドリーファンたちが「A la segunda, oe/ア・ラ・セグンダ、オエ(2部に行っちまえ)」と、14位ながら、降格圏と勝ち点差1しかない相手を貶めるカンティコを歌っていたのは悪趣味だと思いますけどね。要は相手の自業自得だったんですが、おかげで「Si en el Bernabéu ya es difícil con once, con diez imposible/シー・エン・エル・ベルナベウ・ジャー・エス・デフィシル・コン・オンセ、コン・ディエス・インポシーブレ(ベルナベウでは11人でも難しいのに、10人となったらもう不可能だ)」(ボロ監督)というバレンシアは一矢を報いることもなく、試合は2-0で終了。

この結果、前日、首位バルサが勝ったため、一時は勝ち点差8になっていたのが、また5に戻ってくれたのは有難いんですが、どうやらビニシウスがこういう被害に遭うのにはそれなりの理由があるよう。ええ、アンチェロッティ監督も「Su nivel físico es impresionante/ス・ニベル・フィシコ・エス・インプレシオナンテ(彼のフィジカルレベルは印象的だ)。前半より後半にもっと敵の背後を狙いに行くし、何度も何度も来られて、SBたちはヘトヘトになる」と言っていたんですが、そのしつこさ故の弊害だった?

確かに彼は滅多に交代しませんし、今まで筋肉系のケガはしたことがないものの、この日のように敵DFたちから、乱暴に蹴っぽられてばかりではそのうち、ネンザや打撲で大ごとになる可能性もなきにしろあらず。その点については、クルトワなども「Estoy contento que hoy un árbitro ha tenido la valentía para expulsar/エストイ・コンテントー・ケ・オイ・ウン・アルビトロ・ア・テニードー・ラ・バレンティア・パラ・エクスプルサル(審判が退場させる勇気を持っていたから、今日は嬉しいよ)」なんて言っていましたが、何せ、来週はEL決勝トーナメントプレーオフ、マンチェスター・ユナイテッド戦を控えるバルサがミッドウィークフリーになって休めるの対して、マドリーは3月第2週までずっと週2試合ベースが続行。

ええ、来週はクラブW杯でモロッコに行き、水曜にアル・アハリvsシアトル・サンダース戦の勝者と対戦、土曜に決勝or3位決定戦を済ませた後、次の水曜には順延したリーガのエルチェ戦、その次の火曜、21日にはCL16強対決リバプール戦1stレグ、3月2日の木曜にはコパ・デル・レイ準決勝バルサ戦1stレグとある中、もちろん週末はリーガが入るとなれば、「La Liga quiere hacer lo suyo, FIFA lo suyo, UEFA lo suyo, la Federación lo suyo... no nos deja tener días de descanso/ラ・リーガ・キエレ・アセール・ロ・スジョ、FIFA・ロ・スジョ、UEFA・ロ・スジョ、ラ・フェデラシオン・ロ・スジョ…ノー・ノス・デハ・テネル・ディアス・デ・デスカンソ(ラ・リーガ、FIFA、UEFA、サッカー協会がそれぞれ、好きなようにやるから、ウチは休養日を取れない)」とアンチェロッティ監督が嘆いていたのも理解できる?

まあ、それもファンにしてみれば、マドリーの試合が沢山、見られて嬉しいんでしょうが、問題はプレーをすればする程、負傷者が増えていくことで、バレンシア戦でケガをしたベンゼマ、ミリトンは日曜午後2時(日本時間午後10時)からのマジョルカ戦に出ないことはほぼ確定しているんですけどね。まだ検査が済んでいないため、どのくらいで戻って来られるのかもまだ、わからないんですが、今週はコパ・ダービーで左太ももを負傷したメンディが全治2カ月程になることも判明。アラバ、ルーカス・バスケスもまだリハビリ中ですし、こうなるともしや、この冬は補強せず、RMカスティージャから弟分のラージョに移り、左SBのレギュラーとして活躍しているフラン・ガルシアが夏に帰還することを決めたぐらいだったのは、ちょっと早計だったかも。

え、この火曜に終わった移籍市場ではイラオラ監督のチームに動きがあったんじゃないかって?そうですね、ただ、入りの方は晴れて選手登録できた、9月にエスパニョールから来たRdT(ラウール・デ・トマス)だけで、最終日にはベベが2部のサラゴサに、エヌテカがエルチェに移籍。昨年のカタールW杯でセネガル代表としてプレーして、注目を浴びたパテ・シスはオリンピック・リヨンへの移籍が最終日にご破算となり、渋々残留することになりましたが、幸い、彼らのシーズン後半初戦、アルメリア戦は月曜試合ですからね。それまでには当人も機嫌を直しておいてほしいものですが、さて。後半いきなり調子を落とした昨季に学んで、今季は早めに残留を確定して、ラージョも兄貴分と肩を並べて、来季はヨーロッパ遠征ができるようなれたらいいですよね。

そして土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)から、シビタス・メトロポリターノで骨肉の闘いを繰り広げないといけない運命なのがヘタフェとアトレティコなんですが、いやあ、1勝もできない暗黒の1月を過ごした弟分のキケ・サンチェス・フローレス監督が前日記者会見で爆発してしまったんですよ。いえ、前節ベティス戦の負けでとうとう、降格圏の19位、残留ゾーンまで勝ち点3となってしまったとはいえ、当面、監督交代はないようなんですけどね。結局、冬の市場でもゴンサロ・ビジャルが半年ぶりにローマからリピートレンタルしてきただけで、他になかったのが大きかったか、「ウチは補強チャンスを見過ごしたのではなく、見ていなかった」と暗にスポーツ・ディレクターのラモン・プラネス氏を批判。

「Si la dirección deportiva ha pensado que así estamos bien no hay nada que hacer/シー・ラ・ディレクシオン・デポルティーバ・ア・ペンサードー・ケ・アシー・エスタモス・ビエン・ノー・アイ・ナーダ・ケ・アセル(フロントが今の状態でウチはいいと思っているなら、何もできることはない)」そうで、実際、選手たちのパフォーマンスが悪くて勝てなくても、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのファンから、毎試合、「Quique vete ya!/キケ・ベテ・ジャー(もう出て行け)」と歌われてしまうのは監督ですからね。マキシモビッチのようにW杯前はレギュラーだったのに1月中、移籍に備えてプレーを控えていたような選手もいるようですし、いつの間にか、ヘタフェはまとまりのないクラブになっていたよう。

ただ、もう移籍期間は終わったため、選手たちもここから6月までは降格しないように全力を尽くしてくれるはずですし、ケガをしていたムニルも戻れそうなのは朗報なんですが、この試合ばかりは私もヘタフェファーストで行く訳にいかないのが辛いところ。そう、前述したようにアトレティコも4位死守が懸かっているからで、そうそう、こちらは駆け込み移籍でナウエル・モリーナしかいなかった右SBの控えとして、トッテナムからドハーティを獲得。

今季いっぱいの短い契約を結んだ31才のアイルランド代表DFの入団プレゼンは水曜にメトロポリターノで行われ、当人は「6月で終わりにしないといけない訳ではない。自分が上手くやれば、その先どうなるかもわかるだろう」と話していたんですけどね。といってもアトレティコにはリーガ戦19試合しか残っておらず、そのせいか、ジョアン・フェリックス(チェルシー)、クーニャ(ウォルバーハンプトン)を出した後のFW補強はメンフィス・デパイ(バルサ)の1人。最終日にノッティンガム・フォレストに行ったフェリペの代わりのCB補強もしなくていいみたいですからね。そこはかとなく、このドハーティにも昨季1月にバレンシアから移籍して、デビュー戦で負傷した後、1試合も出場せずにブロンディに行ってしまったヴァスの二の舞になりそうな雰囲気が漂っていない?

何にしろ、この兄弟分ダービーでは2試合負傷で休んでいたマルコス・ジョレンテも復帰、珍しく出場停止者もおらず、シメオネ監督がすべての選手をアテにできるのはいいニュースなんですけどね。折しも前回のホームゲーム、バジャドリー戦では応援団が応援ストをしていたのが影響したか、こちらは前日会見で、「Necesitamos a toda nuestra gente, es el estadio entero/ネセシタモス・ア・トーダ・ヌエストラ・ヘンテ、エス・エル・エスタディオ・エンテーロ(すべてのファン、スタジアムすべてを必要としている)」とサポートを要請。

うーん、昨年中は何度もダメダメな試合をして、ヨーロッパから早期完全撤退、最後の切り札だったコパでもお隣さんに敵わず、その結果が今のリーガオンリーという寂しい日程のアトレティコなんですが、ファンだって、チームが勝つ姿を見たいはずですからね。レアル・ソシエダ、ベティスのEL16強対決、ビジャレアルのコンフェレンスリーグ16強対決も3月にならないと始まらず、今月はライバルたちも同じ緩い日程で戦うだけに、きっと土曜はいつものメトロポリターノに戻ってくれていると思いますが、果たしてどうなるんでしょうか。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。


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