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今更悔やんでも遅いけど…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2023年2月18日 21時30分

写真:Getty Images

「試合があれば、やっぱり盛り上がるのよ」そんな風に私が羨ましく思っていたのは金曜日、CLグループリーグに敗退後、EL転戦で迎えた16強対決進出プレーオフPSV戦1stレグでサンチェス・ピスファンのファンがgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)に歓喜している様子をTVで見た時のことでした。いやあ、リーガでは今季、一時は降格圏に沈んだこともあったセビージャですが、大会最多となる7度の優勝を誇るELではエン・ネシリ、オカンポス、グデリがゴールを挙げて、ファン・ニステルローイ監督率いるPSVに3-0と堂々勝利。本気でタイトルを狙いにいく姿勢を見せつけることに。

一方、カンプ・ノウに名門マンチェスター・ユナイテッドを迎えた、同じくCLから転戦組のバルサは前日、2018年までの17年間、元審判で審判委員会副理事だったネグレイラ氏の経営する企業に毎年、諮問料として多額の支払いをしていたことが発覚。有利なジャッジをしてもらうための買収行為として疑いをかけられる、一大スキャンダルに見舞われた影響もあったか、試合も2-2と引分けてしまったものの、大物チームの来訪にスタジアムは満員御礼となりましたからね。

それがアトレティコときてみれば、うーん、さすがに天下のマンU相手となると厳しいかもしれませんが、昨年のグループリーグで3位を奪ったシャビ・アロンソ監督のレバークーゼンが2-3と負けていたモナコや、それこそPSV辺りのレベルのチームとの試合があれば、シビタス・メトロポリターノにもファンが大結集。ELに優勝した2018年の再現を目指して皆が一生懸命応援する、いい雰囲気の試合が楽しめたんじゃないかと思うんですけどね。最後の期待を懸けていたコパ・デル・レイですら、準々決勝でお隣さんの前に敗退してしまったため、今季のホームゲームはあと9試合を残すばかり。

あまりに稼働日が少ないためか、とうとう先日は3月1日のUEFAユースリーグ16強対決、フベニル(Bチームの1つ下のカテゴリー)のゲンク戦もメトロポリターノで開催することが発表されていましたが、更に数日前からは昨年7月に大々的にスポンサー契約のプレゼンをしていた中国のアンバーグループ傘下のWhaleFin(ホェールフィン)が仮想通貨事業の不振により、早くもアトレティコから手を引くという不穏な話が。2027年まで毎年4000万ユーロ(約58億円)入るはずだったのがパーになり、ヨーロッパの大会からの完全撤退に輪を掛けて、ますます来季の資金調達が大変になりそうなのだとか。

大体がして、今季はCL決勝トーナメントの生き残りスペイン勢がレアル・マドリーだけ。彼らの16強対決リバプール戦1stレグは来週火曜のため、今週は火水のCL戦はスルーしていたものの、1月にアトレティコからレンタルでジョアン・フェリックスが移ったチェルシーにしてもドルトムントに1-0で負けている始末でしたからね。このまま最初のラウンドで敗退してしまったら、買取オプションは付いていないものの、ジョアンの完全移籍に意欲的というチェルシーフロントもあまり高値はつけてくれないでしょうし、現在10位で来季のヨーロッパの大会出場さえおぼつかないプレミアリーグでプレーするだけでは、とてもベンフィカに払った1億2800万ユーロ(約184億円)の超高額移籍金の元を取れるオファーを出してくれるクラブは現れない?

まあ、そんなことはともかく、このミッドウィーク、マドリッドであったのはクラブW杯のため、先週はモロッコにいたマドリーが水曜に遅れてプレーしたリーガ21節のエルチェ戦だけで、幸い、最近ずっと恒例の午後9時キックオフでも少しは寒さが和らいだんですけどね。入場の際にはエルチェの選手たちがPasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(チャンピオンの花道)を作って迎えてくれて、今季3度目の貼り替えをした芝の上でクラブW杯の優勝トロフィーのお披露目。更にピッチに広げられたトルコとシリアの国旗の前で両国を襲った大地震の犠牲者及び、先日、お亡くなりになったマルコス・アロンソ氏(バルサの同名選手の父でバルサやアトレティコでプレー)へ捧げる黙祷もあったため、かなり待たされたエルチェサイドは集中力が途切れてしまったというのもあったんでしょうか。

だってえ、開始8分など、何人もの選手がドリブルでエリアに入って行くアセンシオを見ているだけで全然、止めようとしないんですよ。そのシュートで呆気なく先制点が決まり、週末にバルサがビジャレアルに勝っていたため、勝ち点11になっていた首位との差を8に戻すことができ、マドリーもプレッシャーから解放されたのも良かったんでしょうね。32分にはエリア内でベンゼマがヘッドしたボールがロコの手に当たってPKをもらうと、ここ2回、アセンシオ、モドリッチが続けて失敗していたマドリーながら、この日は第1キッカーであるベンゼマがソツなくゴールに。

実際、前半ロスタイムにもディエゴ・ガルシアにロドリゴが倒され、再びPKが与えられると、こちらもしっかりベンゼマが決め、ハーフタイム前にもう3-0ともなれば、エルチェがここまで21試合で1勝しかしておらず、未だに一桁の勝ち点9しかないダントツ最下位であるのも納得がいったかと。これだけ点差がつけば、この先もまだまだ週2試合ペースの続くマドリー。アンチェロッティ監督も「No puedo meter siempre los mismos once. Tengo que rotar/ノー・プエド・メテール・シエンプレ・ロス・ミスモス・オンセ。テンゴ・ケ・ロタール(いつも同じイレブンを使う訳にはいかない。ローテーションの必要がある)」と言っていたように、後半は早めの選手交代が始まることに。

ええ、右サイド、第2FW、falso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)と何でも器用にこなすものの、ビニシウスが出場停止だったおかげで、一番得意な左サイドでこの日、器用されていたロドリゴが序盤に2度、シュートをGKエドガー・バディアに弾かれた後、23分にはカルバハル、バルベルデ、セバージョスがオドリオソラ、チュアメニ、モドリッチに代わると、うーん、もしや平日の寒い夜にわざわざサンティアゴ・ベルナベウに足を運んでくれたファンに気遣った?別にベンゼマを32分までピッチに置いておく必要はなかったと思うんですけどね。最後は35分、モドリッチがvaselina(バセリーナ/ループシュート)でgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決め、後半、だらけそうになっていた試合を4-0で締めくくってくれましたっけ。

え、この日のゴールを決めた3人が揃って6月には契約が満了、まだ延長が決まっていないというのは凄い偶然じゃないかって?そうですね。モドリッチに関しては夏にベリンガム(ドルトムント)が獲れるか獲れないかにも左右されるようなんですが、アンチェロッティ監督はいつも彼のようなレジェンドはマドリーでキャリアを終えるべきと言っていますからね。同様にベンゼマについても「Ojalá pueda seguir, porque todo el madridismo lo pide a este nivel/オハラ・プエダ・セギール、ポルケ・トードー・エル・マドリディスモ・ロ・ピデ・ア・エステ・ニベル(マドリーもファンも皆、彼のような高いレベルを求めているのだから、残留できるといい)」と前向きだったんですが、対照的な扱いを受けていたのはアセンシオ。

「Puede ser que se quede o no, no lo sé, no me importa mucho/プエデ・セル・ケ・セ・ケデ・オ・ノー、ノー・ロ・セ、ノー・メ・インポルタ・ムーチョ(残留するかもしれないし、しないかも。わからない。あまり気にしていないから)」とはあまりに冷たい感じがしますが、まあいい加減、アンチェロッティ監督も記者会見の度にクロース、セバージョスも含め、契約が終わる選手たちついて質問責めにされて、うんざりしていたのかもしれませんしね。シーズン終了までには時間が沢山あるのと違い、中2日で土曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのオサスナ戦の準備を、火曜のCLリバプール戦を考えながらしないといけない監督としてはいちいち、構っていられないといったところでしょうが…。

そう、バルサが日曜にカディス戦を迎える前に勝ち点差5にして、プレッシャーをかけたいマドリーだったんですが、ベンゼマが疲労蓄積でオサスナ戦をお休みすることになってしまったんですよ。エルチェ戦を急性胃腸炎で欠場したクロースも実はインフルだったようで、まだ出られませんしね。出場停止処分明けでビニシウスが戻るといっても彼の場合、スペイン国内のアウェイでは相手チームのファール攻勢に遭ったり、スタンドからpito(ピト/ブーイング)の的にされるため、クラブW杯前はかなりパフォーマンスが低下しており、その点においてはエル・サダル程、最悪の場所はないと言ってもいいかと。

逆に心強いのはGKクルトワが戻ることで、幸いオサスナもエースのチミ・アビラが出場停止でいませんからね。アラサーテ監督のチームも9位といえど、EL出場圏6位のラージョまで勝ち点3と上を狙える位置にいるため、かなりの激戦になりそうですが、何はともあれ、アンフィールド遠征まで、なるたけケガ人を増やさないようにしてもらいたいものです。

そして今週もゆとり日程を満喫した他のマドリッド勢たちの試合予定もお伝えしておくと、日曜午後4時15分にはラージョがELで快勝したばかりのセビージャをエスタディオ・バジェカスに迎えることに。前節、ヘタフェとの弟分ダービーで引分けてしまったため、CL出場圏4位の兄貴分とは勝ち点5差になってしまいましたが、一応、当面の目標は1部残留をほぼ確定するため、あと7ポイントを稼ぐことですからね。相手は久々のミッドウィーク試合で疲れている上、来週木曜にはPSV戦の2ndレグも控えているとあって、イラオラ監督のチームにとっては白星をゲットするいいチャンスになるんじゃないでしょうか。

同じ日曜の続く時間帯、午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からはアトレティコがメトロポリターノでアスレティック戦キックオフとなるんですが、まさにこれぞ週1試合の冥利と言いますか、先週末のセルタ戦で決勝ゴールを挙げながら、木曜まで打撲が治らず、別メニューだったメンフィス・デパイも金曜には合流。出場に問題ないようなのは助かりましたが、今回はそのバライドスの試合で退場したサビッチが欠場に。シメオネ監督はCBにヒメネスを入れ、前線はグリーズマンとコレアのツートップで試していたようですが、丁度、金曜に2024年までの契約延長が発表されたバルベルデ監督率いるアスレティックはラージョと勝ち点差1の7位。今季はホームでの勝率が低いアトレティコとはいえ、ここは4位死守を貫くと同時に、弟分への援護射撃をしてあげたいところですが、さて。

一方、今節も19位で、勝ち点差1で18位にいるバレンシアと降格圏脱出を懸けた死闘を月曜に控えているのがもう1つの弟分ヘタフェで、うーん、今回はキャプテンのCBジェネは戻ってくるものの、ラージョとの弟分ダービーで退場したアレニャが代わって出場停止。その試合の前半に負傷交代したルイス・ミジャもまだ治っていないため、キケ・サンチェス・フローレス監督も中盤の編成に苦労しているようですが、もしや一番、怖いのは今週、バレンシアが黄金期のレジェンド、バラハ氏を指揮官として任命したことの方でしょうか。

ええ、ガットゥーゾ監督退任後、8回目の暫定監督を務めていたチームマネージャーのボロ氏が3試合で1勝もできなかったための苦肉の策のようでしたが、サッカーにはいわゆる新監督効果というのがありますからね。向こうにも前節アスレティック戦でエースのカバーニが負傷、1カ月の欠場となってしまったという逆境もありますが、そのせいでヘタフェのカンテラーノ(Bチーム出身の選手)、ウーゴ・ドゥーロが古巣への恩返しを狙っているなんて話も聞きますし、今年になって1勝もしていない者同士のこの勝負、果たしてどちらに軍配が挙がるのか。ここは何とか、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのファンの応援が選手たちに届いてくれることを私も祈るばかりです。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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