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毎年、同じチームと対戦している気がする…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2023年3月18日 20時0分

写真:©Atlético de Madrid

「またチェルシーなんだ」そんな風に私がデジャブを覚えていたのは金曜日、丁度、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場外から、覆いのシート越しに今季はもう、ヨーロッパの大会とは何の関係もないアトレティコのセッションを覗き見していた時のことでした。いやあ、もう最近は何でもネットストリーミングしているため、UEFA本部で行われたCL準々決勝組み合わせ抽選会もスマホで眺めていたんですけどね。ご存知の通り、今季CLスペイン勢唯一の生き残り、レアル・マドリーはこのロンドンのチームとは昨季の同ラウンドでも当たり、1stレグでベンゼマのハットトリックで1-3と快勝しながら、2ndレグでは0-3と逆転までされた後、根性のremotanda(レモンターダ/逆転劇)精神が発動。

ロドリゴが総合スコアをタイにするゴールを挙げ、延長戦でベンゼマも決めて、2-3で負けながらも総合スコア5-4で突破すると、準決勝でもマンチェスター・シティを1stレグ4-3の負けから、2ndレグ3-1勝利で総合スコア6-5の逆転勝ち抜けをすることに。そして決勝ではリバプールを倒し、Decimocuarta(デシモクアルタ/14回目のCL優勝のこと)達成というのはまだ記憶に新しいところなんですけどね。そのせいで忘れがちですが、実はチェルシーとは2年前、ジダン監督時代の2020-21シーズンにも準決勝で対戦していて、この時は1stレグで1-1と引分けた後、2ndレグで2-0と負けて敗退しているんですよ。

その後、トゥーヘル監督率いるチェルシーがマンチェスター・シティを破って優勝したというのはともかく、注意すべきはホーム、アウェイの順番で、ええ、昨季決勝トーナメントの3連続レモンターダは全て、サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグあってのことでしたからね。逆に今季は4月12日の1stレグがベルナベウ、18日の2ndレグがスタンフォード・ブリッジと、これは敗退した2年前と同じパターン。もちろん、3週間前のCL16強対決リバプール戦1stレグではアンフィールドで前半14分までに2点奪われながら、大量5点を取って、1試合完結レモンターダも見せているマドリーとなれば、ホーム限定のお家芸とは言えないとはいえ、ちょっと気にならなくはない?

どちらにしろ、アトレティコから1月にレンタル移籍したジョアン・フェリックスもいるチェルシーとのCL準々決勝はまだかなり先の話なので、今は水曜の16強対決2ndレグで敗退が決まったリバプールのクロップ監督が、「CLに優勝するにはマドリーとマンチェスター・シティに勝たないといけない」と発言。それが金曜の抽選では、マドリーがチェルシーに勝てば、マンチェスター・シティvsバイエルン戦の勝者と準決勝で当たることも決まることに。よって、アンチェロッティ監督のチームはライプツィヒ戦2ndレグでハーランドの5ゴールを始め、計7得点のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を披露したシティとの対戦を避けられるかもしれないのを喜ぶ程度にしておきますが、準決勝でもマドリーは1stレグがホーム開催となるため、今季はレモンターダのエクスタシーをベルナベウのファンが体験できないのは残念ですよね。

え、それでリバプール戦2ndレグはどんな試合だったのかって?そうですね、初戦で2-5と大差がついていながら、さすがCLだと気合が入るんでしょうか。午後7時半頃にはベルナベウ周辺にマドリーのチームバスをお出迎えするファンが大勢集まっていたようで、私はその光景を近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVでコーヒーを飲みながら確認した後、メトロでスタジアムに向かうことに。クロップ監督がスタメンにサラー、ダルウィン・ヌニェス、ガプコ、ジオゴ・ジョタの4FWを並べる超攻撃的布陣できたと知った時にはちょっと、ワクワクしたものでしたが、アンフィールドで序盤に痛い目に遭ったマドリーの選手たちはよく学んでいたよう。

ええ、fondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側席)のファンが掲げるモザイクと昨季の決勝前にGKクルトワが口走り、アトレティコファンに不快感を与えた「El lado bueno de la historia/エル・ラドー・ブエノ・デ・ラ・イストリア(歴史のいい方の側)」と書かれた横断幕に迎えられてキックオフすると、6分にはリュディガーがエリア前で転倒。逃したヌニェスのシュートをクルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)して、ドッキリさせられたなんてこともあったんですけどね。アンチェロッティ監督も「Me ha gustado el equipo, a nivel psicológico/メ・ア・グスタードー・エル・エキポ、ア・ニベル・シコロヒコ(チームの心理的なレベルが気に入った)。ウチは3点リードしていて、足が遅くなっても仕方なかったのにそうならなかった」と言っていたように、1stレグでザル状態だったアラバがまだ負傷中のため、最初からナチョを左SBに置いたのも功を奏し、そう簡単にリバプールも攻め込めません。

マドリーも早い時間にはビニシウスの至近距離シュートをGKアリソンが好セーブしたり、カマビンガのエリア外からの一撃がゴールバーで逸れたりしたものの、両チーム共、前半は無得点で終わります。これであと45分間、スローインやCKなどに時間をかけて、何事もなく過ごせば勝ち抜けるマドリーに対し、クロップ監督は後半11分には戦略を修正。ヌニェスとジョタをフィルミーノとエリオットに代えてきたんですが、ほとんど流れは変わることなく、いよいよ試合は最後の15分に残すばかりに。ゴール祝いができるのを今か今かと待っていたファンたちをようやく、満足させてくれたのはお馴染みの2人でした。

33分、足首を打撲して先週末のエスパニョール戦を休んでいたせいで、その日も本調子には見えなったベンゼマですが、そのシュートが敵に当たって転がったボールをビニシウスが拾ったところ、いやあ、自身で撃とうとして失敗し、彼は倒れてしまったんですけどね。地面から足を伸ばしてパスを送り、それを何故か、誰にもマークされていなかったベンゼマが蹴り込んで、ゴールを挙げているんですから、fondo norte/フォンド・ノルテ(ゴール裏北側席)の最上階に陣取った2500人のビジターファンを除いて、どんなに場内が沸いたことか。

これで総合スコアが6-2となったため、「Quería hacer los cambios para parar el partido si teníamos problemas al final/ケリア・アセール・ロス・カンビオス・パラ・パラール・エル・パルティードー・シー・テニアモス・プロブレマス・アル・フィナル(終盤に問題があった時、試合を止めるために交代カードは使いたかった)というアンチェロッティ監督も選手の温存を開始。何せ、週末にもリーガ・クラシコ(伝統の一戦)が控えていますからね。いくら、この日はモドリッチやクロースが良かったとはいえ、というか、良かったから尚更、疲労を抱えてカンプ・ノウに行ってほしくなかったんですが、やっと37分過ぎから、大きな拍手を浴びてモドリッチとベンゼマ、続いてクロースとビニシウス、そして最後はカルバハルもピッチを退くことができましたっけ。

え、試合が無事に1-0で終わり、アンフィールドでは1stレグ当日にお亡くなりになったマドリー名誉会長のアマンシオ氏にリバプールが花籠を捧げる気配り。それに感謝して、もうイギリス人たちはあまり残っていなかったものの、You’ll never walk aloneの歌が場内に流れたのは感動的だったとはいえ、ゴールを挙げた後、足を引きずっていたベンゼマは大丈夫なのかって?まあ、当人も「スネに強い打撲を受けただけ。Estaré el domingo/エスタレ・エル・ドミンゴ(日曜は出られるよ)」と言っていたため、多分、午後9時(日本時間翌午前5時)からのクラシコには問題ないはずなんですけどね。

その治療のせいか、決勝ゴールの殊勲者は試合後のミックスゾーンには現れず、クルトワが1人でTV、ラジオ、文字媒体メディアに延々と応対。折しもロスタイムにはマドリーエリア内でリバプールの選手の手にボールが当たり、ペナルティかどうかのVAR(ビデオ審判)判定(リバウンドでPKなし)があったせいもあるんでしょうかね。アンチェロッティ監督とクロップ監督も前日のマンチェスター・シティvsライプツィヒ戦でハーランドが1点目を挙げたPKの原因であるハンドについてありかなしか、話をしたそうですが、マドリーの守護神の思考は遥か先に。

まさか、その試合のスペイン人VAR担当審判が2年前のマドリーダービーの主審と同じと気がついて、「彼は同じようにはっきりしていたアトレティコのハンドを取らなかった。Me gustaría preguntarle por qué/メ・グスタリア・プレグンタールレ・ポル・ケ(どうしてなのか、訊きたいよ)」とはもしや、クルトワって結構、しつこい?マドリー番記者の間でもいつも試合後、マイクの前で喋るので有名な彼ですが、一旦、私がクロップ監督の記者会見を聞くため、ミックスゾーンを中座。終わって戻って来た時にもまだ話していて、最後はハーランド評までイギリス人記者たちに英語でペラペラやっていたのにはビックリさせられたかと。

まあ、現在、勝ち点9ある首位との差を縮めるにはバルサ戦でもクルトワの活躍が欠かせないため、当人が気分良く帰っていったのはいいことなんでしょうが、ペドリの回復が間に合わず、デンベレも欠場するとはいえ、EL16強対決プレーオフで敗退した相手は今週もミッドウィークフリーでしたからね。向こうの方が体力的に有利なのは気に入りませんが、そうそう、そのバルサを負かしたマンチェスター・ユナイテッドは木曜の16強対決2ndレグでもベティスに0-1と勝ち、総合スコア5-1で準々決勝に進出。レアル・ソシエダも1stレグでのローマの2-0勝利を引っくり返せず、コンフェレンス・リーグでもビジャレアルがアヤックスに敗退させられる中、奇しくも金曜の抽選では、フェネルバフチェに総合スコア2-1で勝って、マドリー以外唯一、ヨーロッパの大会のスペイン勢生き残りとなったセビージャと対戦することに。

おかげでリーガでは降格圏と勝ち点2差という、残留争いの渦中にあるサンパオリ監督のチームは気持ちがかなり、大会最多の7回優勝しているELの方に向くことになったんじゃないかと思いますが、それがもしかしたら、日曜にセビージャをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるヘタフェの大きな味方になるかも。ええ、最近は毎節、一時的に降格圏を抜け出しても、全カード終了後にはまた戻ってしまうという蟻地獄状態から、弟分チームが脱出するにははっきりくっきり、2連勝ぐらいしないといけないからですが、アランバリが足首の再手術となり、代表戦明けまで戻って来られないのはちょっと辛いところでしょうか。

そしてもう1つの弟分、ラージョは土曜にジローナとエスタディオ・バジェカスで対戦なんですが、折しも相手はヘタフェ、アトレティコとマドリッド勢に2連敗中。このところ、5試合白星がないだけでなく、3試合連続無得点のイラオラ監督のチームとあって、いきなりゴール日照りを解消するのは難しいかもしれませんが、こちらで注目したいのはカメージョとリケルメ、アトレティコのレンタル移籍中カンテラーノ(Bチームの選手)対決でしょうか。ええ、彼らは昨季一緒に2部のミランデスで修行した後、今季はそれぞれラージョとジローナに分かれて1部での実戦を積んでいるんですけどね。2人共、サンティ・デミア監督に3月のスペインU21代表に招集されたため、その合宿中にはシメオネ監督のチームにどちらが先に戻れるか、話したりするのかも。

そう、金曜には来週から始まる国際マッチウィークでユーロ2024予選のノルウェイ戦とスコットランド戦に挑む、スペインA代表の招集リストの発表もあって、いやあ、それも私はマハダオンダでの練習伺い中にスマホで見ていたんですけどね。W杯後に退任したルイス・エンリケ監督の後を継いだ、それまでU21を担当していたルイス・デ・ラ・フエンテ監督はカタール大会のメンバーから15人もの選手を一気に変更。細かいことは省きますが、それでトバッチリを喰らったチームの1つがアトレティコで今回、招集されたのは何と、ここ2試合で3得点しているものの、土曜午後9時のバレンシア戦でも3試合連続控えとなる予定のモラタだけなんです!

実際、1月初旬にバルサに負けて以来、リーガ9試合で無敗の彼らは4位のレアル・ソシエダと勝ち点3、5位のベティスとは6の差をつけて、堂々と3位の座に君臨。コパ・デル・レイ準々決勝でお隣さんに負けて以来、2月からはずっと週1ペースで体力も余っているというのに一体、コケやマルコス・ジョレンテにこれ以上、休養日を与えてどうしようっていうのでしょう。いえ、もちろんグリーズマン(フランス)やカラスコ(ベルギー)、オブラク(スロベニア)、コレア、デ・パウル、モリーナらのアルゼンチン勢といった常連は各国代表に出向するんですけどね。もうこうなったら、paron(パロン/リーガの中断期間)を挟んでメトロポリターノで連続開催となるバレンシア戦、ベティス戦でも白星街道を維持。いずれは勝ち点差8のマドリーを抜かし、2位でリーガを終えるぐらいしないと、6月のネーションズリーグ・ファイナルフォーでもスペイン代表のアトレティコ勢は増やしてもらえない?

ちなみに現在、ヘタフェと同じ勝ち点でギリ降格圏外の17位にいるバレンシアは今回、4試合を負傷で欠場していたカバーニが復帰。ボロ暫定監督をバラハ監督が引き継いでその間、全て1-0での2勝2敗と、メスタジャで勝って、アウェイでは負けているんですが、アトレティコも6点を奪って大勝した前回のホームゲーム、セビージャ戦以外、1試合1得点が最近の基調路線ですからね。恐らく渋い展開になるんじゃないかと思いますが、チケットの売れ行きもいいようですし、ファンが喜ぶ結果を出せるといいですよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。


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