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今度はどんなサッカーを見せてくれるのだろう…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2023年3月25日 19時30分

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「今は休むが勝ちよね」そんな風に私が頷いていたのは金曜日、W杯以来のparon(パロン/リーガの休止期間)を迎えた今週末のアトレティコが土日月と練習をしないと知った時のことでした。いやあ、この3月のインターナショナルマッチウィークは代表常連だったコケ、マルコス・ジョレンテ(スペイン)、ビッツェル(ベルギー)、ヒメネス(ウルグアイ、W杯最後のガーナ戦での騒動で4試合の出場停止処分)がお留守番に。1月末にコパ・デル・レイ準々決勝でお隣さんに敗退して以来、ずっと週1ペースでしか試合をしていない彼らだけに却って、代表戦に行った選手たちの方が運動不足にならずにいいんじゃないかとも思ったんですけどね。

週中にはバリオスがスペインU21に、控えGKのゲルビッチもクロアチアに追加招集されたため、ここ数日は前述の4人に加え、サウール、レマル、エルモーソの7人と大量のカンテラーノ(下部組織の選手)たち、そしてピッチの隅で細々とリハビリを続けるレギロンといった陣容でマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションは進行。おそらくシメオネ監督が週末に三男ジュリアーノのプレーするサラゴサ(2部)の試合を見に行きたかったとか、リーガ残り12試合で勝ち点差5あるレアル・マドリーに追いついて、2位にのし上がる計画の詳細を詰めたかったとか、3連休の理由はその辺にあるのかもしれませんが、まあ、見れば、弟分のラージョ、ヘタフェも金土日とお休みしていますしね。

各国代表選手はファルカオ(コロンビア)、ディミトリエフスキ(北マケドニア)、バリウ(アルバニア)、カメージョ(スペインU21)、シス(セネガル)と5人だけの前者には来週末のバレンシア戦に勝って、またヨーロッパの大会出場圏である7位以上に戻りたいという野望がありますし、出向中のエネス・ウナル(トルコ)、ジェネ(トーゴ)、アルデレテ(ポルトガル)抜きで木曜にはレアル・ハエン(RFEF3部/実質5部)と親善試合。マタの2ゴールとラタサの得点で2-3と勝利した後者もようやく、前節のセビージャ戦勝利で13位とジャンプアップしたものの、まだ降格圏とは勝ち点3差だけで残留への闘いはまだ道半ばなんですけどね。それでも皆、3連休にするんですから、別にいいかと思いますが、日曜のクラシコ(伝統の一戦)でバルサに負け、首位との差が勝ち点12に拡大。

リーガ逆転優勝がほぼ不可能となってしまったマドリーだけは土曜も練習するようなのはちょっと不思議なんですが、何せ、アンチェロッティ監督にはDecima(デシマ/CL優勝10回目)を達成した翌年、リーガ、コパ・デル・レイ、CLのメインタイトルを1つも獲れず、解任されたという、第1期2年目の悪夢の再来が迫っていますからね。もちろん当面は4月5日のコパ準決勝クラシコ2ndレグでremontada(レモンターダ/逆転劇)を果たし、オサスナかアスレティックと当たる決勝も制して、まさに当人の下で2014年に優勝して以来、ご無沙汰しているタイトルを獲るのも大切ですが、スペインのビッグ2ではあまりコパは高い評価をされないという傾向も。

よって、契約2年目をまっとうするにはCL2連覇、Decimoquinta/デシモキンタ(15回目のCL優勝)を達成するしかないんですが、それにはまず、4月12日、18日の準々決勝チェルシー戦で勝ち抜ける必要が。次の準決勝でもマンチェスター・シティかバイエルンと当たりますから、全然、楽な戦いではないんですけどね。折しも今はビニシウス、ロドリゴ、ミリトンがブラジル代表に参加中というのもあってか、チッチ監督がW杯後に退任してから、まだ正式な指揮官のいない同代表にアンチェロッティ監督が招聘されるのではないかという噂もチラホラと。それはそれとして、当面はフランス代表を引退したベンゼマ、スペイン代表に呼ばれなかったアセンシオ、その他、メンディ、リュディガー(オーストリア代表をお休み)、ルーカス・バスケスらをしっかり鍛えて、11人の各国代表選手たちがケガをせずに戻って来るのを祈るばかりじゃないでしょうか。

え、それで新監督を迎えたスペイン代表はどうしているのかって?いやあ、昨年のW杯16強対決ではモロッコにPK戦3人連続失敗で敗退して、ルイス・エンリケ監督の契約が延長されず。後任として2013年からU19代表、U21代表を率い、銀メダルを獲った2021年東京五輪の指揮も執ったルイス・デ・ラ・フエンテ監督に選ばれたA代表チームはユーロ2024の予選に備え、月曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会本部で合宿入りしたんですけどね。すでに最初の招集リストからは日曜のクラシコにも回復が間に合わなかったペドリ(バルサ)、オサスナ戦でまたしても負傷してしまったジェラール・モレノ(ビジャレアル)が落ちて、代わりにボルハ・イグレシア(ベティス)、U21に出戻りする予定だったジェレミー・ピノ(ビジャレアル)を追加招集で補った総勢26人はその日の夕方、施設のメイングランドでもう3年ぶりぐらいになる一般公開練習を行うことに。

もちろん私も張り切って見に行ったんですが、開始時間の10分前ぐらいに着いた時には入口に長蛇の列が。聞くと、すでに500人座れるスタンドが満員となり、入場制限がかかっていたそうで、いえ、幸い私はプレス用ゲートから入れもらえて助かったんですけどね。さすがにこれだけ大勢のファンが見学できなかったとなると、世間体が悪いと協会も考えたか、最後は彼らもゴール裏の壁の上に鈴なりになって立ち見するのを許されたんですが、コロナ禍と重なったのもあって、ルイス・エンリケ監督時代には昔は恒例だった初日の公開練習がなくなっていましたからね。

おまけにW杯から16人も選手が入れ替わっていたため、ファンもちょっと戸惑ったんじゃないかと思いますが、え?ブスケツ(バルサ)が代表引退、同僚のジョルディ・アルバも呼ばれずと、2008年から2012年までユーロ、W杯、ユーロとビッグタイトルを3連覇したスペイン黄金期を経験した選手がとうとう消滅。更に代表73キャップ、カタール大会ではキャプテンの1人にもなっていたコケ(アトレティコ)も落選し、1人参加となったモラタがメンバー最多の66キャップで新キャプテンになっていたのはビックリじゃないかって?

そうですね、スペイン代表のキャプテンは出場試合の多い順で決まるんですが、今回の副キャプテンなんか、39キャップのロドリ(マンチェスター・シティ)、同33のカルバハル(マドリー)とかなり少なめ。第4キャプテンのオジャルサバル(レアル・ソシエダ)だけはダニ・オルモ(ライプツィヒ、29キャップ)、4年ぶりの代表復帰となるナチョ(マドリー、同22)を差し置いて、デ・ラ・フエンテ監督が指名したんですが、まあ、スビメンディ、ミケル・メリーノと選手を3人出しているのは、セバージョスも呼ばれたマドリーとレアル・ソシエダだけなので、クラブでもキャプテンを務めているオジャルサバルは結構、妥当な人選なのかもしれません。

ちなみに初日の練習で注目を浴びていたのは折しも前夜、カンプ・ノウでの試合でカルバハルにcodazo(コダソ/肘打ち)を見舞い、ボールがあるのとは全然違うところにいたセバージョスを後ろからド突くなど大暴れ。それでもイエローカードさえ受けず、「Esa jugada es de la roja clara/エサ・フガーダ・エス・デ・ラ・ロハ・クラーラ(あのプレーは明らかにレッドカードだ)」(セバージョス)と批判されていたガビとマドリー勢の関係だったんですが、もしや、他の選手たちがアップやロンド(輪の中に入った選手がボールを奪うゲーム)している間、ガビとバルデ、バルサのティーンエイジャー2人だけが自転車漕ぎだったのは用心のためだった?

ただ、セバージョスによると、「監督はボクらの間にイザコザがあったことを知っていて、nos dijo que lo habláramos/ノス・ディホ・ケ・ロ・アブララモス(話し合うように言われた)」そうで、実は彼らはどちらもセビージャに近い村の出身。「Ya sabéis como somos en el sur. Somos muy calientes/ジャー・サベイス・コモ・ソモス・エン・エル・スール。ソモス・ムイ・カリエンテス(南部出身者がどんなだか知っているだろう。とても熱いんだ)」という訳のわかったような、わからないような理由で和解したそうですけどね。

以前、モウリーニョ監督率いるマドリーとグァルディオラ監督のバルサがクラシコ祭りになった時もプジョルやチャビ(現バルサ監督)、イニエスタ(ヴィッセル神戸)らとカシージャス、シャビ・アロンソ(現レバークーゼン監督)、セルヒオ・ラモス(PSG)らが代表にも険悪な雰囲気を引きずって、デル・ボスケ監督が仲立ちに一役買ったなんて話があったのを思い出しますが、大丈夫。選手たちが土曜試合組と日曜試合組に分かれ、後者が軽いランニングに入ったところからはガビとバルデも合流し、マドリー勢の横には行かなかったものの、これといったイザコザは起こりませんでしたっけ。

そして1時間ぐらいで公開セッションは終わったんですが、ファンにとって嬉しかったのはこの日は選手たちが全員、スタンドに近づいて、サインや写真に応じてくれたこと。逆に意外だったのは2月にデ・ラ・フエンテ監督から電話をもらい、「パフォーマンスとは無関係に自分を当てにしていないし、これからも当てにすることはないと言われた」ため、代表引退声明を出したラモスを惜しむ声がまったく上がっていなかったことなんですが、いやまあ、彼は36才という年齢差別を仄めかしていたんですけどね。今回は35才のイアゴ・アスパス(セルタ)や33才のナチョも再招集されていますし、やはり年とは関係なく、招集リスト発表時の記者会見ではただの電話ではなく、ビデオ電話だったと強調していたデ・ラ・フエンテ監督がまったく新しい代表チームを作りたかっただけ?

そんなスペイン代表の練習は水曜のマスコミ向け15分限定公開セッションでも見ることができたんですが、やっぱりこの部分だけでは一体、誰が先発候補なのかとか、フォーメーションはどうなるのかとかいった辺りはまったくわからず。いえ、サッカー協会の施設は外に出されても、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場のように周りをシートで覆われている訳ではないので、遠めながらグラウンドが見えるんですけどね。

それでわかったのかどうかは不明ですが、AS(スポーツ紙)などは木曜にスタメン予想を掲載。GKは負傷中のウナイ・シモン(アスレティック)の代わりに再招集となったケパ(チェルシー)、DFはカルバハル、ラポール(マンチェスター・シティ)、イニゴ・マルティネス(アスレティック)、そしてW杯開幕前に足首ネンザで涙の代表離脱したガヤ(バレンシア)、ボランチとしてロドリ、スビメンディ、その前にセバージョス、アスパス、ガビ、そしてモラタのワントップの4-2-3-1となっていたんですが、もしやそのせいでしょうか。

木曜にブライアン・ヒル(セビージャ)がケガで代表離脱した後、金曜にはユーロ2024予選1節のノルウェー戦が行われるマラガにチームは移動。ラ・ロサレダ(2部マラガのホーム)での前日練習の方は以前のように一般公開せず、デ・ラ・フエンテ監督は「プライバシーの必要なセッションをするから」と言っていたんですが、月曜からマルベージャ(マラガに近いビーチリゾート都市)で合宿していた相手もスペインマスコミはシャットアウトしていたようですしね。このグループはその他、スコットランド、キプロス、ジョージアという5チーム編成で、うち上位2チームが本大会に行けるという、またしても甘目の予選とはいえ、その辺は真剣勝負の公式戦っぽい?

ちなみに今回、ノルウェーの目玉だったエースのハーランド(マンチェスター・シティ)は足の付け根のケガの回復が間に合わないことが判明して、火曜にはイギリスに帰還。彼を見るにはマドリーのCL準決勝まで待たないといけないことになったのは、私も残念なんですけどね。あとは2015年にマドリーに16才の若さで入団しながら、結局、定着できずに現在はアーセナルで活躍しているウーデゴールぐらいしか、楽しみがないのは何ですが、新生スペインのスタートとなるノルウェー戦は土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。今度はただボールを持っているだけでなく、効率的に攻めていけるスペインになっていてくれたらと思います。



【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。


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