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世代間の融合と8年の積み上げを…日本代表に必要なのは目先の勝利ではなく、未来へのトライ

超ワールドサッカー / 2023年3月30日 7時45分

写真:Getty Images

「勝利を目指さないといけない戦いですが、未来も同時に見据えて選手起用をしながら、選手個々のレベルアップとチームの全体の選手層を厚くすること、戦い方の選択肢を増やすことは絶対的に必要だと思います」

コロンビア代表戦後、森保一監督が口にした言葉。この言葉こそが全てと言えるだろう。

カタール・ワールドカップ(W杯)でベスト16に進出するも、PK戦の末に敗れた日本。ドイツ代表、スペイン代表という世界の強豪国相手にしっかりと勝利を収めたことで、大きな盛り上がりを見せ、世界に驚きを与えた。

その後、選手たちは各クラブで結果を残し、驚きを与え続けた中、W杯後の最初の活動となったウルグアイ代表戦とコロンビア戦は、チケットが完売し、スタンドが埋め尽くされ、大きな声援が選手たちに送られた。

結果を見れば、1分け1敗。期待に応えていないと言われても仕方ないのかもしれない。森保監督も「まずは結果が大事だと考えている中で残念な気持ちでいます」と会見の冒頭で語った。

当然勝った方が良いに決まっている。そして、監督や選手だけでなく、観客も勝利を望んでいたことは間違いない。ただ、勝利すれば良いのかと言われれば、そうではないだろう。その理由は、冒頭の森保監督のコメントだ。

この2試合に向けて、経験のある選手を外し、経験の浅い選手を招集した森保監督。W杯メンバーもいる中で、「より幅広く選手層を厚くして、強くして最強の日本代表を将来的に作っていけるようにと考えています」とメンバー発表時に語っていた。

カタールW杯でも越えられなかったベスト8の壁。しかし、日本が目指すのは、ベスト8ではなく、世界一。そこに近づくためのステップとして、2026年の北中米W杯を目指していく中で、やらなければいけないことは多い。

この2試合をただ勝ちに行くだけならば、メンバー選考も全く違うものになったはず。コロンビア戦後には「安定だけを求めれば、これまでやれていた選手たちを使うということで、安定と安心という部分はあるかもしれません」と語っており、3年半後にはベストではない選手を呼ぶこともできたはずだ。

ただ、今回の最大の目的はそこではない。3年半後、いやその先の世界一に向けて積み上げるということが最大のテーマ。これまでの日本代表とは、置かれている状況が全く違うことを認識すべきだろう。

◆世代間の融合&8年という計画を最大限生かすべき


その大きな違いは、8年間チームを作れる可能性があるということ。もちろん、2026年のW杯までに森保監督がチームを離れる可能性はゼロではない。ただ、現時点ではその可能性は低い。

これまで、どんな監督でも4年が最長。W杯が終われば、別のサイクルが始まり、リセットされた状態から予選に向かい、本大会へと進む流れだった。

しかし、今回は違う。カタールW杯で経験したこと受け、ブラッシュアップして4年間を積み上げられるサイクルに入った。日本では今まで実現しなかったことであり、4年の積み上げの上にさらに4年を積み上げられることはプラスでしかない。

加えて、森保監督は2021年の東京オリンピック世代の監督を務めていたこともあり、未来へと繋がる世代の選手をよく知っている。そして、その選手たちは森保監督のサッカーをよく理解している。だからこそ、ベテランを外し、そしてベースの上に新たなトライをすることができたのだろう。いや、トライしなければいけなかったというのが正しいかもしれない。

今回の2試合では、サイドバックをインサイドに入れたビルドアップを試した。もちろん、そんな簡単に上手くいくことはなく、ただでさえトレーニングの時間がない中で、選手たちに理解させ、連係と動きを落とし込まなければいけない。

2試合を戦い、改善された部分も多少はあるが、まだまだ完成度は低い。ただ、選手たちがこの2試合で感じたことは、間違いなく大きいはず。6月の活動で、さらに精度を上げていけるかどうかは注目すべき点だろう。

これまで「勝利を目指す」というコメントを常に森保監督は口にしてきたが、この2試合に向けてはその数は少なかったように感じる。それは、勝利を目指すことは“当たり前”になっているのかもしれないが、勝利以上に求めたものがあったとも考えられる。進化にはリスクはつきもの。親善試合=テストマッチということが、やっと実現できる機会だったと個人的には思う。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、カタールW杯までは予選が立て続けに行われ、親善試合の回数が減っていた。久々に訪れたテストの場を、存分に使い、勝敗が未来に関わらないところでトライするということは、今の日本代表にとって一番重要なことではないだろうか。

勝って反省していく、成長していくというのは理想ではあるが、勝てばいいという次元にはもういないということ。トライをした上で勝っていくことを目指す集団になれるかどうかが、ベスト8を超えていくためには必要になるだろう。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》

【動画】新たなトライへ、日本代表のミーティングの様子をチェック




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