「慢心やコロナ禍だからという甘えが」、川崎Fがサポーター&スポンサーからの「地域密着」軽視の訴えに声明、スタッフの退団は「円満退社」
超ワールドサッカー / 2023年4月8日 12時19分
川崎フロンターレは8日、サポーターやスポンサーからの訴えに声明を発表した。
2017年に悲願のJ1優勝を果たした川崎Fは、2018年に連覇を達成。2019年は横浜F・マリノスに譲ったが、2020年、2021年と再び連覇。近年のJリーグを牽引している。
今シーズンは相次ぐケガ人の影響もあり、下位に低迷している中、5日に行われたYBCルヴァンカップの浦和レッズ戦では、サポーターから横断幕が掲出された。
サポーターグループの「川崎華族」はクラブの成績ではなく、フロントへの問題提起。「地域密着」が失われつつあると訴えた中、スポンサーからもこの数年で対応が変わってきたと言う訴えが出ていた。
「地域密着」こそ、川崎Fが掲げてきたクラブの方針であり、大きな魅力の1つであった中、名指しで問題的された吉田明宏 代表取締役社長が「川崎フロンターレをご支援いただいているすべての皆様へ」として声明を発表した。
「4月5日(水)に行われたルヴァンカップ・浦和レッズ戦の試合終了後、スタジアムに掲出されました横断幕について、ご心配をおかけしており大変申し訳ございません」
「横断幕に記されたメッセージにつきまして、お答えさせていただきます」
「地域貢献活動は、クラブ創設以来、フロンターレが長年にわたって積み重ねてきた活動であり、クラブの存在意義にも関わる非常に重要な活動でもあります」
「しかし、ここ数年、新型コロナウイルスの影響で、地域の皆さんとの交流が希薄になっていたことは否めません。コロナ禍の制限された環境でも私たちなりに進めていたつもりではありましたが、どこかで慢心やコロナ禍だからという甘えがあったかもしれません。改めて振り返ってみると、ここ数年の活動には反省すべきがあると考えています」
「私が就任以来、地域貢献活動を新たな段階へと推し進め、川崎フロンターレSDGsの名のもと、これまでの活動に加え、かわさきこども食堂ネットワークの推進、SDGsすごろくの制作をはじめとした活動を、地域の企業や学校、自治体などのパートナーの皆様との連携も深めながら進めてまいりました」
「また、私たちは市内各所で運営している複数の施設を中心に、『かわさきフロンタウン構想』を展開しております。4月には地域の皆様との交流スペース、アカデミーのトレーニング拠点として、Anker フロンタウン生田を開業いたしました」
「私たちはミッションとして「スポーツの力で、人を、この街を、もっと笑顔に」を掲げております。サッカーだけでなく、さまざまなスポーツや活動を通じて、地域の皆様の笑顔を創り出せる存在になれるように邁進してまいります」
「その反面、商店街をはじめ、地域の皆さんとの連携や交流については、私たちスタッフが直接足を運び、地域の皆様と交流を図る機会が少なくなっていることで、その影響が今回ご指摘にありましたタペストリー(応援旗)の取り替え、試合告知ポスターの更新の遅れなどとして顕在化してしまったものと認識しております。ご指摘については真摯に受け止め、早急に改善し、これまで以上に皆様との交流を深めていくつもりでおります」
「海外事業については、2013年に実施したトップチームの親善試合をきっかけに、ベトナムでの活動に取り組んでおります。毎年、子どもたちの指導、交流を中心とした活動を継続し、2021年にはビンズン新都市にサッカースクールを開校することができました。また、タイでも2019年・2020年にサッカー教室を実施したほか、2022年のチャナティップ選手の加入をきっかけに、Jリーグのアジア戦略とあわせてタイでの活動を強化しております。
両国での活動には、川崎に拠点を置くパートナー企業様にもご協力をいただいており、子どもたちのサッカー育成、発展に寄与すると共に、KAWASAKIの名をアジア、世界にアピールすることが、ひいてはホームタウンである川崎への貢献にもつながると考えております。Jリーグの一員として、これからも中長期的な視野を持ち、アジアでのJリーグ、フロンターレ、そして川崎の認知を高めていく活動を行ってまいります」
「最後に、クラブの創設からこれまで関わってきてくれた社員の退職については、会社としては苦渋の決断ではありますが、双方合意の上での円満退社となっております。スポーツビジネスは、まだまだ成長段階にあります。家族のことや将来を描いた際に、転職という選択肢をとる者が多いのも事実です。地域の皆様と向き合うのと同じように、従業員にも誠心誠意向き合い、環境改善等にも着手していきたいと考えております」
「今回の件で、私自身もさまざまなことに気付かされました。不退転の決意でこの職を受けたわけですが、どこかで今までの自分のやり方、考え方にこだわっていた部分もあったかもしれません。パートナー企業に出向き、商店街に足を運び、ポスター配布やタペストリー設置などを通じ、そしてスタジアムでは皆さんと会話をすることで、得られるものがたくさんあると思いますし、その一つひとつをクラブの財産に変えていきたいと思います。
ご指摘いただいたことを真摯に受け止め、これまで以上に川崎の街に寄り添ったクラブであり続けられるよう活動してまいります」
「川崎フロンターレを応援していただいているすべてのファン・サポーターの皆様、パートナーの皆様、地域の皆様にご心配、ご迷惑をおかけしてしまったこと、改めて心よりお詫び申し上げます。川崎フロンターレはこれからも、愛されて勝つクラブとして地域の皆様と誠心誠意のお付き合いをさせていただき、努力をしてまいりますので、今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします」
サポーターやスポンサーの訴えへの回答として改善に努めるとした吉田社長。再び一丸となり、チームは元の姿に戻れるのか注目が一層集まりそうだ。
【写真】川崎Fのサポーターグループ「川崎華族」が掲げた横断幕…悲痛な訴え
本日の試合後、吉田社長の事業方針に疑問を呈する横断幕をGゾーンに掲出しました。
— 川崎華族公式 (@kskz12) April 5, 2023
先人たちが大切にしてきた「地域密着」という基本理念が軽視されていると感じているからです。
詳しくはこちらを読んでいただけるとありがたいです。https://t.co/8u85Gn0oge #frontale pic.twitter.com/xiDEhsk8dV
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