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レフェリーブリーフィングから問題提起/六川亨の日本サッカーの歩み

超ワールドサッカー / 2023年4月17日 22時0分

写真:©︎CWS Brains, LTD.

先週末のJリーグは、鹿島がホームで神戸に1-5と大敗したり、豪雨の試合で山口が清水に0-6と惨敗したりするなどショッキングな結果が多かった。それでも最近は話題になった“誤審"はなかったようで、一安心した次第である。

そして今週は、ちょっと遅くなったが3月22日に開催された「レフェリーブリーフィング」の内容をお届けしたい。

まずはVARだが、導入して3年目の今年のJ1リーグでは、第1節から第4節までの36試合でVARは計216回ほど介入した。平均すると2.57試合に1回となり、これは21年の4.87試合、22年の4.73試合に比べてかなり減少している。

その一方で、1試合平均でVARが要した時間は96.6秒と、これは21年の60.7秒、22年の59.1秒と比べても増加している。その理由は、今シーズンからオフサイドラインの判定に3Dが採用されたため、30秒ほど判定までに所要時間がかかっているそうだ。

ジャッジに正確を期すためには仕方がないと思うものの、せめてVARの判定中は、「どのプレーが、どんな判定の審議中なのか」を場内アナウンスするなり、映像でリプレーするなどのファンサービスを、Jリーグや各クラブは前向きに検討して欲しいものだ。(編集部注:今季から放送画面やスタジアムのビジョンでは確認の事象のみ表示される)

そして今シーズンのジャッジのスタンダードとしては、次の3点が報告された。まず「頭部の負傷対応」として、「基本はプレーを止める」ことである。すでに脳しんとうは、選手交代をしても5名の交代枠に含めないことになっているが、さらに選手の安全確保のためにアドバンテージのルールの柔軟な適応を求めたと言える。

次に「選手の安全を守るチャレンジ」と「オフサイド・ディレクション」が今シーズンは徹底される。後者に関してはルール解釈の変更で、例えばタテパスに対して守備側の選手が意図的ではないプレーでボールに関与し、コースが変って攻撃側の選手へのパスになったとしよう。これはオンサイドとしてプレー続行ではなく、オフサイドと判定することが確認された。

難しいのは前者の「安全を守るチャレンジ」だ。Jリーグはもちろんのこと、著者が楽しんでいるシニアリーグでも、「ボールにアタック(タックル)したのに反則になった」と判定に異議を唱えるケースがある。これに関し「どこの部位が、相手のどこの部位に接触しているか」、「アプローチの方向、距離、スピード、勢い、体勢のタイミングは?」、「相手の安全に配慮したか」など、「ボールに触れたからノーファウルではない。場合によってはレッドカードもありえる」との判断基準が示された。

ボールごと両足を刈り取るようなタックルや、ボールにアタックしていても足裏で強く当たりに行き、ボールと足を弾き飛ばすようなプレーは選手生命を脅かす危険性があるだけに、Jリーグだけでなくどの年代でも反則だという啓蒙活動が必要だろう。「ボールにアタックにしたのだからファウルではない」という誤った考え方を変えるためにも、Jリーグや日本代表の果たす役割は大きいと思う。

そして同じようにルールを勘違いしている同年配のサッカー愛好家も多いのではないだろうか。たとえば「非紳士的なプレー」という反則である。こちらは女子サッカーの普及に伴い、“紳士的"な文言は時代にそぐわないとして削除された。「非紳士的なプレー」とはフェアプレー精神の裏切りであり、具体的には審判への異議や対戦相手のへの侮辱的、攻撃的、下品な発言や行動、唾吐きなどがあげられる。

現在では唾吐きは「スピッティング」という反則に該当し、それ以外は「非スポーツ的行為」と規定されている。付け加えるなら「GKチャージ」という反則も1997年以降は廃止されている。それまでのサッカーファンなら、ゴールエリア内はどんなプレーでもGKは「守られている」のが常識だった。

しかし、GKもフィールドプレーヤーと同じスキルを求められるように、GKへの“正当な"チャージ、空中戦での競り合いは認められるようになった。このため「GKチャージ」という反則名はなくなり「GKへのチャージ」というジャッジになった。とはいえ、こちらは正直、試合を取材していても、どこまでが正当なチャージで、どれがGKへの反則なのか判断は難しい。どれもが「GKチャージ」と思えるような判定が多いからだ。とはいえGKの安全確保のためには、そうしたジャッジも必要だろう。

大切なのは、「頭部への負傷」や「ボールに行ったとしても強度のアタック」、「GKへのチャージ」といった危険を伴うプレーに対して、トップリーグからアンダーカテゴリーまで、指導者や選手が判断基準を共有することではないだろうか。


【文・六川亨】

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