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昼間の試合が苦手とは知らなかった…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2023年4月18日 21時0分

写真:Getty Images

「これは大チャンスね!」そんな風に私が揉み手をしていたのは月曜日、週末の予定をチェックしていたところ、アトレティコがカンプ・ノウを訪れる日曜のバルサ戦が午後4時15分(日本時間午後11時15分)からというのに気づいた時のことでした。いやあ、前日、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでその時間にマドリッドの弟分、ヘタフェと対戦した首位のチームはゴールが遠く、ここ2試合連続となるスコアレスドローで終了。記者会見でチャビ監督がお馴染みの「no es excusa/ノー・エス・エクスクーサ(これは言い訳ではない)」という前置きをしつつ、ピッチが乾いていて、ボールが転がらないことに苦言を呈していたのはいつものことなので、別に気にする必要はないんですけどね。

それがこの日は言い訳のレパートリーが増えて、「Estamos acostumbrados a jugar sin sol, más de noche/エスタモス・アコストゥンブラードス・ア・フガール・シン・ソル、マス・デ・ノッチェ(ウチはお日様のない時間、夜にプレーするのに慣れている)」(チャビ監督)ときたため、誰もが呆気に取られたんですが、だってえ、バルサだって普段、昼間に練習していない?ただ、それが本当だったとしたら、アトレティコはW杯明けに唯一、リーガで黒星を喫している相手との試合を願ってもない時間に戦える訳で、いえ、1週間前にバルサがジローナとホームで0-0と分けた試合は夜9時キックオフだったんですけどね。ピッチもカンプ・ノウであれば、チャビ監督好みの湿潤な状態のはずですが、最近、ワンタッチパスをガンガン繋ぐのが趣味になってきたアトレティコにしてみれば、願ったり叶ったり?

もし、ここで勝ち点差を13から10に縮めれば、お隣さんのお株を奪う、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転優勝)達成をアトレティコファンも夢見ていいんじゃないかと思ったりするんですが、まあ、それは脇に置いておいて、先週末のマドリッド勢の試合を見ていくことにすると。この29節はもう1つの弟分、ラージョが金曜にオサスナ戦で先陣を切ったんですが、こちらは前節の兄弟分ダービーの逆デジャブのような展開に。そう、アトレティコには前半の魔の2分間にナウエル・モリーナとエルモーソに決められて、2点を失った彼らだったんですが、この日は40分、ゴール右横に飛んだイシのパスをトレホが受け、シュート態勢に持ち込もうとしたところをアリダネがカット。そのボールがトロトロ、ゴールに入って、オウンゴールで先制することに。

その3分後にはアリダネがゴール前でクリアしたボールが真上に飛び、落ちてきたところナチョ・ビダルが再度ヘッドでクリアしたものの、これもエリアから出ず、イシがジャンピングボレーでゴールにしてくれたとなれば、スタンドから「Isi Seleccon!/イシ・セレクシオン(イシをスペイン代表に)」のカンティコが聞こえてきたのも無理はない?更に逆デジャブは続き、アトレティコ戦ではフラン・ガルシアが一矢を報いたように、後半21分、交代出場のモイ・ゴメスにエリア外からの弾丸シュートを決められて、オサスナに1点差に迫られたんですが、大丈夫。

コパ・デル・レイ準決勝2ndレグでアスレティックと同点に持ち込み、総合スコア2-1で18年ぶりの決勝進出を決めた後、その週末はダントツ最下位のエルチェにエル・サダルで2-1と勝ち、お祝い気分満喫だったオサスナもやはり10日も経てば、コパに憑りつかれていた準決勝1stレグと2ndレグの間、1勝もできなかったリーガ戦の平常状態に戻りましたかね。そのまま試合は2-1でラージョが勝利。ようやく8試合越しの白星を挙げ、「Vida de pirata/ビダ・デ・ピラタ(海賊人生)」を歌うファンと勝ち点40達成を祝うことができましたっけ。

ちなみにこの勝ち点40は普通なら、1部残留確定に十分なはずなんですが、イラオラ監督は「Hay que sumar, seguir apretando porque van a hacer falta muchos/アイ・ケ・スマール、セギール・アプレタンドー・ポルケ・バン・ア・アセール・ファルタ・ムーチョ(もっと勝ち点を貯めないといけない。まだ全然、足りないだろうから、締め続けていかないと)」と慎重な姿勢を崩さず。とりあえず、順位も7位のアスレティックと勝ち点差3の8位に戻りましたし、今は流れが変わったことを利用して、土曜のレアル・アレナでは連勝してほしいところですが、相手のレアル・ソシエダもバスクダービーに負けて、4位の座が危なくなってきましたからね。なかなか簡単にはいかなさそうですが、ファンもチームにはもっと上を目指してもらいたいんじゃないでしょうか。

そして翌土曜はCL準々決勝チェルシー戦の狭間にあるマドリーがヌエボ・ミランディージャでカディスと対戦となったところ、アンチェロッティ監督は前節に2-3と負けたビジャレアル戦同様、スタメン6人を変更。加えてビニシウスとクロースは筋肉痛でお留守番と、火曜のスタンフォード・ブリッジでの試合に備え、主力選手は温存されていたんですが、まあ、ヨーロッパの大会出場権を争う上位のビジャレアルと残留争い渦中にあるカディスではチームのレベルが違いますからね。序盤にエスピーノのシュートがゴールポストを直撃した以外、マドリーに攻められっぱなしだった相手がハーフタイムまで無失点でいられたのは、ひとえにGKダビド・ヒルのparadon(パラドン/スーパーセーブ)ラッシュのおかげだったかと。

実はその彼が正GKではなく、先日のヘタフェ戦で3試合の出場停止処分を喰らったレデスマの控えというのはちょっと皮肉な話ですが、後半に入ってもシュートはガンガン撃つものの、マドリーは一向に点が取れず。さすがにこのままではマズいと、アンチェロッティ監督も22分にはルーカス・バスケスをカマビンガに代え、左SBだったナチョを右SBに移したところ、いやあ、もしやカディスの選手3人交代で3才年下の弟、アレックスがピッチに入ったのを機に、兄の貫禄を示したいと思ったんでしょうか。何と27分にはナチョがエリア外からのシュートを決めて、マドリーの先制点を挙げてしまったから、ビックリしたの何って。

それがダムの決壊に繋がったか、31分にはアセンシオもエリア外から撃ち込んで、スコアは0-2となったんですが、それにしたって、前後半で計35本(うち枠内13本)もシュートを放ちながら、たったの2点とはかなり効率が悪くない?いえ、もしかしてまだ頭のどこかに、アトレティコ的な貧乏性が残っているのか、GKクルトワなど、「Pudimos meter más goles, espero que los hayamos guardado para el martes/プディモス・メテール・マス・ゴーレス、エスペロ・ケ・ロス・アジャモス・グアルダードー・パラ・エル・マルテス(ウチはもっとゴールを入れることができたけど、火曜のためにとっておいたんだって期待している)」なんて言っていましたけどね。

最後まで1点も返せず、そのまま負けてしまったカディスのセルヒオ監督の方は、「彼らはビジャレアル戦で負けたリベンジをするつもりで来て、a nosotros nos ha tocado pagar los platos rotos/ア・ノソトロス・ノス・ア・トカードー・パガール・ロス・プラートス・ロトス(ウチがそのツケを払うことになった)」と嘆いていたんですが、え?2点目が入った後、バルベルデとロドリゴを下げていたアンチェロッティ監督はどうしてベンゼマをフル出場させたのかって?いやあ、当初の予定では交代するはずだったようですが、体調が良かったのか、当人も要請せず。

「Me costaba quitarlo porque quería disfrutar de él en el campo/メ・コスタバ・キタールロ・ポルケ・ケリア・ディスフルタール・デ・エル・エン・エル・カンポ(ピッチでの彼を見るのを楽しみたかったから、代えがたかった)」(アンチェロッティ監督)そうで、まあ、昨年同様、CL決勝トーナメントが進むにつれ、ぐんぐんベンゼマの調子は上がってきていますからね。リーガでは現在、ピチチ(最多得点者)のレバンドフスキ(バルサ)の17本を14本の2位で追っているという事情もありますし、何より火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からプレーするスタンフォード・ブリッジは昨季の同ラウンド1stレグでハットトリックを挙げたゲンのいいスタジアム。今はノッている時期だから、中2日でも影響はないと思ったのかもしれませんが、さて。

ちなみに月曜にロンドンに移動したマドリーはまだリハビリ中のメンディ以外、ビニシウス、クロースも含めて全員が出場可能。心配なのは先週末もブライトンに1-2と負け、ランパード暫定監督就任以来、3連敗のチェルシーは11位と、プレミアリーグ経由でのヨーロッパの大会出場がほぼ絶望的に。死に物狂いで今季CL優勝による来季の出場権を狙ってきて、まさかの逆転敗退を喰らってしまうことですが、一応、1stレグでは2-0とリードしていますからね。おまけにその試合で負傷交代したクリバリは回復せず、退場したチルウェルも出場停止と、戦力的にも相手はダメージを受けているはずなので、よっぽどのことがない限り大丈夫…いえ、逆転されたって、根性のレモンターダでマドリーは再逆転できますよね。

そして日曜にはまず、最初に話したヘタフェvsバルサ戦があったんですが、序盤にはムニルやエネス・ウナルのヘッドが外れた弟分の最大のピンチは26分。ええ、ラフィーニャ、バルデのシュートが連続してポストに当たってくれたため、難を逃れることができたんですが、残念ながら、前半ロスタイムにレバンドフスキのヘッドをGKダビド・ソリアがセーブしてくれたところで私は時間切れ。というのも郊外にあるコリセウムはエスタディオ・バジェカスよりシビタス・メトロポリターノから遠く、セルカニアス(国鉄近郊路線)、メトロを乗り継いで行かないといけないため、午後6時30分のキックオフに間に合いたければ、5時にはスタジアムを出ないといけなかったから。

道中、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継で聴いていた後半はアンス・ファティ、フェラン・トーレスも入り、4人FW体制で攻めていたバルサながら、燦々と輝く太陽が眩しかったせいか、ヘタフェはそれ程、大変な目に遭うことはなかったよう。それどころか、42分にはカウンターからボルハ・マジョラルがエリア内で最高のシュートチャンスを迎えながら、不覚にも枠を外してしまうという、むしろ勝利の方に近かったぐらいなんですが、まあ首位相手に0-0で、勝ち点1を取れたんですから、ここは褒めてあげるべきかと。15位なのは変わらずとも、降格圏との差が4に広がりましたし、今は日曜のマジョルカ戦での必勝を誓うしかありませよね。

そしてメトロポリターノでのアルメリア戦にはキックオフ数分後に何とか、滑り込んだ私だったんですが、いやあ、危ないところでした。だってえ、席についてカバンを置くやいなやの前半5分、カラスコのCKをコレアが頭で流し、ファーサイドにいたグリーズマンが10cmも身長が上回るセンテジェスにマークされながら、ヘッドで先制点を決めているんですよ。まったく最近のアトレティコは油断ができませんが、22分には先日、母親を亡くし、水曜のベシクタシュとの親善試合で復帰したコレアがrabona(ラボナ/軸足の後ろから反対の足を回して撃つシュート)を放ち、ボールはゴールバーの上に飛んでしまったものの、場内を沸かせるなんてシーンも。

ただ、天にいるお母さんにゴールを捧げ、当人の背番号と同じ、10分には大きな拍手を贈ってくれたファンに感謝を示したいというコレアの思いはなかなか叶わず、ええ、37分など、不用意に出したバックパスをレオ・バプチストンに奪われ、そのシュートがヒメネスに当たって、オウンゴールでアルメリアに同点にされてしまうなんてこともあったんですけどね。40分にカラスコにパスを送り、そのアシストから絶好調のグリーズマンが2点目を挙げた時も、最初はコレアがオフサイドの位置にいたとして、ゴールが認められなかったんですが、この時は神様の目が味方。VAR(ビデオ審判)により、オフサイドはなしとなったため、アトレティコは2-1でリードしてハーフタイムに入ることに。

後半も一気呵成に攻勢に出たアトレティコだったんですが、3分にエリア内でサム・コスタの腕にボールが当たりながら、今季初のペナルティはやっぱり取ってもらえず、しばしシュートを撃っても撃っても入らないという前日のマドリー状態に。そうこうするうち、モラタやバリオスが交代で入ったのもチームのバランスを崩したのか、残り10分には何故か、昔懐かし、パスが3度と続かない惨状に陥り、いつしか攻めているのはアルメリアの方って、一体、どうなっている?実際、自陣エリア付近に囲いこまれてしまったせいで、42分には敵のクロスがヒメネスの腕に当たり、あわやPK献上なんて苦境にも立たされましたしね。

幸いこの時は主審のVARモニターチェックで事前にポルティージョがオフサイドだったことがわかり、事なきを得たんですが、いやはや。何とか1点差のまま、逃げ切った後、ここ12試合無敗、6連勝としたシメオネ監督は、「2-1という僅差であと5分ともなると、追いつかれるかもしれないと考えるのは普通のこと。Es más el temor que aparece que lo que parece/エス・マス・エル・テモール・ケ・アパレセ・ケ・ロ・ケ・パレセ(思ったより、恐怖を覚えるものだ)」と話していたんですけどね。日曜のバルサ戦ではこの日も後半30分まではできていた、相手のお株を奪う華麗なパスサッカーを披露できるといいのですが、こればっかりはねえ。

ちなみにカンプ・ノウの試合ではベシクタシュ戦で背中を痛め、その日は欠場したサビッチ、オランダ代表戦でケガして帰って来たメンフィス・デパイも戻る予定。といってもやはり主役は、「Gracias al equipo estoy a este nivel. Lo doy todo por el mister/グラシアス・アル・エキポ・エストイ・ア・エステ・ニベル。ロ・ドイ・トードー・ポル・エル・ミステル(チームのおかげで自分は今のレベルにいられる。ボクは監督のために全力を尽くすよ)」と試合後に言っていた、2年間お世話になった古巣に恩返しする気満々のグリーズマンになりそうですよね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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