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最近、たまでも週2試合は辛いのに…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2023年4月21日 21時0分

写真:©Atlético de Madrid

「今週末から2週間が山場ね」そんな風に私が気を引き締めていたのは木曜日、CL準々決勝も終わり、来週と再来週はミッドウィーク開催リーガ戦が続くことに気がついた時のことでした。いやあ、今季のスペイン勢は決勝トーナメントにレアル・マドリーしか進出しておらず、ELでも準々決勝まで行ったのはセビージャだけ(木曜にマンチェスター・ユナイテッドに3-0勝利して、総合5-2で勝ち抜け)と、ここ2週間、ミッドウィークに試合をしたのは彼らだけなんですけどね。これがリーガとなると、他のマドリッド勢3チームもゆとりの週1試合ペースとお別れして、中2日、3日の過密日程になるんですが、アトレティコなど、先週水曜、久々に親善試合でベシクタシュ戦をプレーしたところ、早速、サビッチが背中を痛め、週末のアルメリア戦に出られなかったなんてことも。

それだけにここからの4試合、それぞれ目的は違うものの、どのチームにとっても今季の趨勢がほぼ決まる大事な戦いになるかと思いますが、え?ここを乗り切れば、5月6日の週末はコパ・デル・レイ決勝でリーガがなく、10日近くお休みが取れるんじゃないかって?まあ、その通りなんですが、勝者の自己責任故の例外となるのはマドリー。そう、準決勝でバルサを倒した彼らはそのコパ決勝でオサスナと戦わなければならず、更にCLでも準決勝に進出したため、その翌週ミッドウィークの9日(火)にはマンチェスター・シティ戦1stレグ、次の週には2ndレグと、3月の各国代表戦のparon(パロン/リーガの停止期間)以降、週2試合稼働が8週連続というマラソン状態に。

とりあえず、そのハードスケジュールが確定した火曜のCL準々決勝チェルシー戦2ndレグがどんな試合だったか、お話ししていくことにすると、アンチェロッティ監督は先週の1stレグで起用したスタメンをスタンフォード・ブリッジでもリピート。2-0のビハインドからスタートするチェルシーは前線をスターリング、ジョアン・フェリックスから、ハバーツ、ギャラガーに代え、序盤から得点を狙ってきたんですが、そもそも、ここ6試合で1ゴールしか挙げていないチームですからね。それでも前半終了直前、リース・ジェームスのクロスがゴール左前にいたククレジャの前に落ち、そのシュートで先制点が入っていれば、後でランパード監督も「1点取れば、全てが変わり得た」と言っていたように、結果は異なっていた?

でもダメだったんです。というのも弟分ヘタフェからイングランドに渡った左SBの一撃は、「跳んで自分を大きく見せて、ファーサイドに撃たせて足で止めようとした。Es una parada más de acción que no de reacción/エス・ウナ・パラダ・マス・デ・アクシオン・ケ・ノー・デ・レアクシオン(あれは反射神経というより、行動した結果のセーブ)」と、GKクルトワが自画自賛するparadon(パラドン/スーパーセーブ)に終わってしまったから。おかげでマドリーは、「Terminar 0-0 fue importante/テルミナール・セロ・セロ・フエ・インポルタンテ(0-0で終わるのが大事だった)。チェルシーが前半のプレー強度を後半も続けられないのはわかっていたからね」というアンチェロッティ監督の計画通り、総合スコア2-0のリードを保ったまま、ハーフタイムに入ることに。

後半頭から、アラバがリュディガーに代わったマドリーはまた、6分にはクルトワがカンテのシュートを弾いたりしていたんですけど、待望のゴール力が発揮されたのは13分のこと。ええ、前半にもベンゼマ、モドリッチ、ビニシウスらが撃ってはいたんですが、GKケパに弾かれたり、枠を外れてばかりだったところ、いよいよCL王子が登場したんですよ。それは昨季も決勝トーナメント3連続奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)の主役に何度もなっていたロドリゴで、ミリトンのロングボールを追いかけて右サイドを上がり、止めようと近づいて来たチャロバーも突破すると、エリア内からゴール前に横パス。ベンゼマはそれを撃てなかったんですが、ボールがビニシウスに渡り、もうゴール前に来ていたロドリゴにアシストして先制点が入ったとなれば、キックオフ30分前からバル(スペインの喫茶店兼バー)の席取りをして見ていたファンたちもどんなに喜んだことか。

このゴールを「最初はヒザでスライディングしてやろうと思っていたんだけど、ちょっと腫れてて、luego me vino a la cabeza mi ídolo que es Cristiano/ルエゴ・メ・ビノ・ア・ラ・カベッサ・ミ・イドロ・ケ・エス・クリスティアーノ(それから自分のアイドル、クリスチアーノが頭に浮かんだ)」と、今はアル・ナサルでプレーするマドリーの大先輩、ロナウド流ポーズで祝ったロドリゴだったんですが、今季の彼もリーガは26試合出場で5得点なのに対して、CLは13試合で5得点。相変わらず、この大会との相性の良さを示してくれましたが、まさかベンゼマがチュアメニに代わった後の35分にも止めの2点目を決めてくれるとは!

ええ、チェルシーの方がジョアン・フェリックス、スターリング、ムドリクとアタッカーを総動員したのに反比例して、どんどんシュートが撃てなくなっていた頃、今度はリュディガー放ったロングボールをビニシウスが追い、エリア内でバルベルデに渡すと、その彼がバックパス。再びロドリゴが蹴り込んで、doblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成したんですが、さすがに残り時間10分で総合スコア4-0ともなると、これはレモンターダの鬼、マドリーだって、逆転できませんって(最終結果0-2)。

何せ、今回の準々決勝、2試合共、勝利したのはマドリーだけですからね。昨季のアドレナリンに満ちた決勝トーナメントを思い出すと、ちょっと物足りなくもあったりするんですが、怖いのはこの先で、ここ13年間で11回準決勝に進出しているマドリーが決勝まで行ったのはうち5回。5回の決勝で5回共優勝しているのは偉業とはいえ、要はその半分近くは準決勝で敗退しているってことですから、翌日、バイエルンと1-1で分け、総合スコア4-1で突破したマンチェスター・シティと顔を合わせる5月9日と17日のガチンコ勝負は最後の難関と言っていいかと(もう1つの準決勝はミランvsインテル)。

実際、昨季の準決勝ではエティハド・スタジアムでの1stレグで4-3と勝利。サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでも先制点を奪いながら、後半45分過ぎにロドリゴの2発とベンゼマにゴールを奪われ、総合スコア6-5で屈したシティは、「去年の敗戦はショックだったから、マドリーにリベンジしたいという気分はある」(ベルナルド・シウバ)と今季はハーランドというゴール製造マシーンを得たこともあり、かなり闘志を燃やしていましたからね。グアルディオラ監督も「CLに優勝したいなら、マドリーを倒さないといけないという感覚がどのチームにもある。前はバルサだったけど、今はマドリーだね」と言っていましたが、今回、1stレグの舞台となるベルナベウではアンチェロッティ監督のチームにちょっとした不安材料もなきにしろあらず。

まずはイエローカードを受けたミリトンがその試合、累積警告で出場停止になることで、加えて木曜にはハーフで交代したアラバがふくらはぎの負傷で全治2週間と判明。ここしばらく休んでいるメンディも同じぐらい復帰にかかるようですが、最近はカマビンガが左SBとしても成長してきたため、ここはまた、ナチョに本職のCBでひと肌脱いでもらわないと。幸いリーガ4連戦とコパ決勝にはミリトンが出場できるとしても、彼もナチョも出ずっぱりという訳にはいきませんし、大体がして、コパ決勝の後、中2日でCL準決勝って、かなりムリゲーっぽくない?

ただ、チアゴ・シウバに左足を踏まれ、その痛みで途中交代したベンゼマはバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッション再開となった木曜も普通にチーム練習に参加して、ファンを安心させていたんですが、この土曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、ベルナベウに迎えるセルタはここ10試合の対戦で9勝1分けしているお得意様ですからね。前節、弟分のヘタフェがコリセウム・アルフォンソ・ペレスで頑張ってドローを勝ち取ってくれたため、首位バルサとの差が勝ち点11に縮まったとはいえ、やっぱり直近のビジャレアル戦やカディス戦のように大量ローテーションする可能性が高いかも。

え、お隣さんがリーガで悠長に構えてくれていた方が、勝ち点差2に迫った2位の座を奪う機会を虎視眈々と狙っているアトレティコには都合がいいんじゃないかって?そうですね、彼らはこの日曜にカンプ・ノウに乗り込むんですが、ヘタフェ戦の後、チャビ監督が告白していたように、バルサがお日様のある時間の試合に慣れていないとなれば、願ったり叶ったりの午後4時15分(日本時間午後11時15分)キックオフですからね。おまけに1月8日のメトロポリターノでのバルサ戦で負けて以来、リーガでは13試合無敗を継続。更にここ6連勝と乗っている今であれば、選手たちも2位どころか、首位との差を勝ち点10に縮める絶好のチャンスと思っていたりする?

ちなみにバルサの方ではそろそろ、デンベレとペドリが戻ってきそうな気配で、逆にアトレティコは間に合う予定だったメンフィス・デパイが木曜になってもチーム練習に参加できていないという、気になる情報があるんですが、サビッチは回復。マルコス・ジョレンテに関しては現在、上訴委員会が累積警告となったアルメリア戦でのイエローカードを取り消してくれることに一縷の望みを繋いでいるものの、シメオネ監督はすでに代役をレマルにして、マハダオンダ(マドリッド近郊)で練習しているよう。それにしたって、水曜にはバリオス、木曜にはコレアと体調不良で参加していない選手がいたのはやっぱり、久々の週2試合ペースが影響しているのでしょうか。

そうそう、これは余談ですが、マドリーのCL準々決勝もアトレティコに中長期的な影響を与えていて、ええ、2ndレグでは控えにされてしまったチェルシーにレンタル中のジョアンの件で、シメオネ監督の下を離れてもあまり活躍していないことが広く知れ渡ってしまったのは大きな痛手。河岸を変えて14試合出場も2得点だけでは、とてもクラブが期待する1億ユーロ(約150億円)以上の移籍金を払ってくれる引き取り先は現れそうにないのだとか。彼が売却できないと、この夏、来季開幕後すぐには出られない、長期リハビリ中のレイニウドの代わりを務める左SBが補強できないそうですが、何せ、チェルシーは古くはジエゴ・コスタ、フェリペ・ルイス、昨季はサウールもお世話になって、出戻りしたチームですからね。もしかしたら、ジョアンも来季はまたアトレティコでプレーするのかもしれませんが、果たしてどうなることやら。

そしてこの週末、弟分たちもアウェイゲームで、前節のオサスナ戦でとうとう8試合越しの白星を挙げ、勝ち点40に達したラージョは土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、レアル・ソシエダ戦。すでに4位の彼らとアトレティコの間は勝ち点9もあるため、援護射撃は特に必要ないんですが、イラオラ監督のチームもあと勝ち点3あれば、ほぼ残留確定となりますからね。アルバロ・ガルシアとカテナの出場停止はあるものの、コンフェレンスリーグ出場圏7位のアスレティックとはたったの3差ですし、ここはちょっと根性出して、折しもバスクダービーでアスレティックに負けたばかりの相手にダブルショックを与えることができるといいのですが。

そして日曜はヘタフェの番でこちらはマジョルカ戦。バルサと引分けたおかげで降格圏とは勝ち点4になったとはいえ、15位のキケ・サンチェス・フローレス監督のチームはまだ勝ち点40まで9ポイントありますからね。アルメリア、エスパニョール、セルタと下位、中位チームとの対戦となるこの4連戦で勝ち越すことが、何より来季も1部の弟分チームで居続けるためのカギとなるかと。今回の相手も前節、セルタに0-1で勝って、6試合ぶりの白星と、なかなか勝ち点40に届きそうで、届かないチームですし、実力的にはかなり拮抗したものなるんじゃないかと思いますが、吉報を期待しています。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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