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来季はマドリッド勢1部3チーム体制になるかもしれない…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2023年4月28日 20時0分

写真:©Atlético de Madrid

「今の今でいきなり解任?」そんな風に私が驚いていたのは木曜日、帰りが午前様になってしまった前夜のせいで、正午過ぎに初めて開いたマルカ(スポーツ紙)のネット版トップにヘタフェがキケ・サンチェス・フローレス監督を解任というニュースを見つけた時のことでした。いやあ、今季の彼らは長らく低空飛行が続き、何度も指揮官交代の話題は出ていたんですけどね。この水曜はミッドウィーク開催リーガの時間割が完全にアトレティコのホームゲームと被っていたため、私もコリセウム・アルフォンソ・ペレスに応援に行くことはできなかったんですが、ここ5試合白星なし、3敗目となるアルメリア戦の印象がもしや、アンヘル・トーレス会長を新監督に残り7試合を預けるという大博打に導いた?

まあ、実際、私がメトロポリターノのスタンドでオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継を聴きながら、追っていた弟分の試合では、早くも前半7分にコロンビア人FWのルイス・スアレスに先制点を奪われる最悪な出だし。おまけにハーフタイム直前にキャプテンのCBジェネがレッドカードで退場するわ、後半13分にもルイス・スアレスに2点目を決められるわと、26分にはボルハ・マジョラルのゴールで1点差に迫りながら、最後は1部残留の直接ライバル、アルメリアに1-2で負けてしまうことに。

そのせいで毎試合、paradon(パラドン/スーパーセーブ)でチームを助けている守護神ダビド・ソリアが、「No estamos teniendo ni la mentalidad ni los huevos para cambiar la situación/ノー・エスタモス・テニエンドー・ニー・ラ・メンタリダッド・ニ・ロス・ウエボス・パラ・カンビアル・ラ・シトゥアシオン(ウチはこの状況を変えようというメンタルも根性も持ってないようだ)」と、ピッチインタビューで激怒していたなんてこともあったんですけどね。ちょっと前には首位のバルサと0-0で引き分けるという殊勲もあったものの、木曜試合の結果で、一時は勝ち点5差もあった降格圏に18位で逆戻りとなると、これは本当に深刻な事態。まだ後任監督は決まってないんですが、とにもかくにも次節、やはり直接ライバル対決となる日曜のエスパニョール戦で勝利を掴んで、まだアルメリア、バレンシア、カディスが追い抜くことができる範囲にいる間にレッドゾーンを抜けられるといいのですが。

え、ヘタフェはともかく、他のマドリッド勢のミッドウシークリーガでも結構、波乱があったんじゃないかって?その通りで、まずは火曜に先陣を切ったレアル・マドリーなんですが、やはりお隣さんがカンプ・ノウで負け、3位との差が勝ち点5に拡大。2位を奪われる懸念が遠のいたのと同時に、首位との差が勝ち点11のままだったのが、彼らにリーガ戦への意欲を失わせる決定打になったんでしょうか。ジローナ遠征でベンゼマに休養を与えたアンチェロッティ監督には当日、急性胃腸炎でGKクルトワも失うという逆境もあったんですが、ほぼレギュラー陣を並べながら、ああまでカステジャーノス1人にやられてしまうとは!

そう、悲劇が始まったのは前半12分とかなり早い時間で、RMカスティージャ出身のミゲール・グティエレスの上げたクロスを24才のアルゼンチン人FWにヘッドされ、ジローナに先制点を許すと、24分にはアルナウが自陣から放ったロングパスを追った彼にミリトンが競り負け、2点目を奪われてしまう始末。34分にはアセンシオのクロスから、ビニシウスが頭で決めて、何とか1点差に迫ったんですが、いやあ、焼石に水でしたよ。だってえ、後半1分にはまたしてもカステジャーノスにエリア内からのシュートを決められただけでなく、17分にはリケルメの上げたクロスを再びヘッドでとうとう、poker(ポケル/1試合4得点のこと)達成って、あまりに気が緩みすぎていなくない?

もちろん、生死の決まる一発勝負でもなく、CLでもなく、おまけにサンティアゴ・ベルナベウでもない試合となれば、お家芸、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)精神が発動する訳もありませんしね。「Tratamos de remontar con individualidades, no como equipo. Porque hoy el equipo no ha jugado/トラタモス・デ・レモンタール・コン・インディビドゥアリダーデス、ノー・コモ・エキポ。ポルケ・オイ・エル・エキポ・ノー・ア・フガードー(ウチはチームとしてではなく、個人技で逆転しようとした。チームは今日、プレーしなかったからだ)」(アンチェロッティ監督)というマドリーは40分、その日、口だけでなく、足も達者だったビニシウスがエリア内左奥から折り返したボールを途中出場のルーカス・バスケスが蹴り込んで、4-2のスコアで終了。

これにはアンチェロッティ監督も珍しく、「守備をまっとうすることの大事さを繰り返すばかりだ。今日はそれがなかった。Espero que mis jugadores lo hayan entendido. Si no, se lo repetiré todos los días/エスペロ・ケ・ミス・フガドーレス・ロ・アジャン・エンテンディードー。シー・ノー、セ・ロ・レペティレ・トードス・ロス・ディアス(選手たちが理解してくれたことを期待する。そうでないなら、毎日、繰り返して言うだけだ)」と厳しい表情で警告していたんですけどね。

当然ながら、マドリーの主目標になっている5月6日のコパ・デル・レイ決勝オサスナ戦やその先のCL準決勝マンチェスター・シティ戦では真剣に戦う彼らの姿が見られるとしても、この週末、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのアルメリア戦では果たしてどうなることやら。実際、たらればの話をすると、もしアトレティコがバルサに勝っていて、マドリーがジローナに勝っていれば、水曜の試合の後、首位と2位の差は勝ち点5になっていたはずですからね。そう思うと、ちょっと悔しい気がするのはきっと、私だけではなかったかと。

そしてその、バルサに負けてリーガ連勝が6でストップ、13試合無敗も終わってしまったアトレティコは、いえ、こちらもカンプ・ノウで黒星を喫していなければ、今頃、首位と勝ち点差7になっていたはずというのは言っても空しいだけなんですが、水曜午後7時30分からのマジョルカ戦でクラブ創設120周年を盛大にお祝い。キックオフ前にはビジターファンが座る一角以外、全てのシートに置かれた6万本もの赤白模様の旗をファンが振りまくり、初代のユニフォームにインスピアされたという、青と白の新ユニをまとったチームを迎える光景には実際、私もかなり圧倒されたものでしたが、これだけ舞い上がっているファンたちの前で万が一、試合に負けたらどうするんだろうという不安が内心、なきにしろあらず。

というのも前日、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場に見学に行ったところ、GKオブラクの姿見えず、聞けば、頸椎捻挫でお休みって、え?もしかして寝違えたんですかあ?折しも前日はクルトワが出られず、控えGKルニンで挑んだお隣さんの惨状があったため、出場停止かつ足指骨折のサビッチ、太もものケガで今季もう絶望かと言われているマルコス・ジョレンテの不在も合わさって、2003年にはビセンテ・カルデロンで創設100周年を大々的に祝いながら、試合の方はオサスナに0-1で負けている黒歴史が頭の中にヒシヒシと蘇ってきたものですが…。

そう、奇しくもその時のオサスナの指揮官もアギーレ監督で今回、アトレティコ戦3連勝のマジョルカを率いて、メトロポリターノに乗り込んできましたからね。スタメンにムリキとイ・ガンインがいないのを見た時には、かつてフォルランやアグエロがいた時代、3シーズン勤めた古巣への温情かとちょっとだけ、ホッとしたんですが、もしやアトレティコの選手たちもキックオフからしばらくはスタンドの赤白旗の海に酔っていた?だってえ、序盤から攻めていった彼らなんですが、前半20分、マジョルカが蹴った2本目のCKでファーポストにいたナスタシッチを誰1人、マークしておらず、フリーで先制点を決められてしまったんですよ。

その前のバルサ戦では、またしてもシュートを撃っても撃っても決まらない病再発の兆しが現れていただけに、39分にモリーナがエリア内でコペテに倒され、主審がペナルティマークを指した時にはファンも今季のリーガ初のPKゴールによる同点を夢見たものでしたが、そうは問屋が卸しません。VAR(ビデオ審判)注進により、モニターを確認に行った主審が気を変えたため、せっかく前日はマハダオンダでPK練習をしたという、グリーズマン、モラタ、カラスコの誰も蹴ることができなかったんですが、大丈夫。前半ロスタイム、グリーズマンのシュートはGKライコビッチに弾かれてしまったものの、跳ね返りを横に出したボールをデ・パウルが撃ち込み、ハーフタイム前に1-1にしてくれたから、どんなにファンたちも喜んだことか。

そして午後10時キックオフのエスタディオ・バジェカスに行くべく、私が時計と睨めっこを始めた後半2分にも、今度はモリーナのクロスをモラタがヘッドで勝ち越し点にしてくれたため、かなり気は軽くなったんですけどね。11分にはいよいよ、「痛みがあって、90分はプレーできないことがわかっていた」(アギーレ監督)というムリキ、イ・ガンイン、アマトをマジョルカは投入。まだリードは1点だけだし、何があるかわからないと後ろ髪引かれる思いを抱えながら、その時点でメトロポリターノを出たんですが、やはり中日の少ないミッドウィーク節が辛いのは相手も同じだったよう。

アトレティコもデ・パウル、レマルをサウール、バリオスに代えた後、ラジオの解説者が「El partido esta muerto/エル・パルティードー・エスタ・ムエルトー(試合は死んだように動かない)」と言っているのを有難く、メトロの中で聞いていたんですが、サプライブは32分にやって来ました!ええ、マジョルカのCKをクリアしてからのカウンターでグリーズマンが出したボールにカラスコがセンターラインから爆走。最後はライコビッチをかわしてシュートを決め、止めとなる3点目を挙げてくれとなれば、もう安心です。試合は3-1の勝利で終わり、この日のイベントのために招かれたフェルナンド・トーレスやガビ、ダビド・ビジャら男子チームの歴代OB、女子チームのOG、現役選手、ソシオ(協賛会員)代表、カンテラ(ユースチーム)代表ともう、何人いるのかわからない程の大人数がピッチに登場。皆、屈託ない笑顔で120周年の記念写真を撮ることができましたっけ。

え、この行事を終え、記者会見に出たシメオネ監督とキャプテンのコケはまたしてもアトレティコのセンチメンタルな特異性を強調していなかったかって?そうですね、前者は「Un club que hay que quererlo, pero primero entendiéndolo/ウン・クルブ・ケ・アイ・ケ・ケレールロ、ペロ・プリメーロ・エンテンディエンドロ(好きにならないといけないクラブだが、最初に理解しないと)。理解できないなら、このクラブには来ない方がいい」と語って現在、8試合白星なしとドツボにはまっているチェルシーへ、この1月にレンタル移籍したジョアン・フェリックスへの当てつけとも解釈されていたんですけどね。カンテラ育ちのコケも「Hasta que no lo vives o naces con ello no se puede/アスタ・ケ・ノー・ロ・ビベス・オ・ナセス・コン・エジョ・ノー・セ・プエデ(その中で生きるか、共に生まれてくるしか、理解できない)」とそこは同じ意見のよう。

それだけでなく、再びお隣さんと勝ち点差2になったおかげか、いえ、コケが「Hay que ir a por el segundo puesto/アイ・ケ・イル・ア・ポル・エル・セゴンド・プエストー(2位を勝ち取るために進まないといけない)」と野望を燃やしているのは前からなんですけどね。今回はシメオネ監督も「Si no puedes ser primero, lo más próximo es ser Segundo/シー・ノー・プエデス・セル・プリメーロ、ロ・マス・プロキシモ・エス・セル・セグンド(1位になることができないなら、その次は2位になることだ)」と下剋上に前向きになってくれたのはいい傾向かと。それには日曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのバジャドリー戦にまず、勝たないといけませんが、回復しそうなのがオブラクだけなのはちょっと寂しいですかね。

そして何とか、バルサ戦のキックオフに間に合った私でしたが、いやあ、イラオラ監督がここまで2勝1分けと彼らをお得意様にしているのは知っていたものの、またしてもその相性の良さを見せつけてくれるとは!ええ、スタートからかなり前掛かりにプレスをかけたラージョはチャビ監督のチームにロングボールを強いて、俊敏な攻守の切り替えにより、前半18分には先制点をゲット。直前にはGKテア・シュテーゲンにシュートをセーブされていたカメージョが今度はパスを選択し、出場停止から戻ったアルバロ・ガルシアが弾丸シュートで決めてくれたんですが、いやあ、バルサにはやっぱり、エスタディオ・バジェカスのピッチの狭さも影響していたんでしょうかね。

何度もサイドチェンジのロングパスがラインを越えていく光景はとても首位チームのプレーとは思えなかったんですが、この日のラージョには運も味方してくれます。42分にレバンドフスキにゴールを決められたものの、VARからオフサイド判定が届き、1-0で折り返した彼らは後半8分にもデ・ヨングが自陣でもらったボールをフラン・ガルシアが奪って、敵ゴール目掛けてダッシュ。GKとの1対1を破り、2点目を決めてしまうんですから、確かに彼、来季は買い戻しオプションでマドリー帰還が決まっているだけの実力はある?

いえ、バルサも後半39分には一矢を報い、ケシエのシュートがルジューヌに当たってボールが転がったところにレバンドフスキが突進。素早く身を翻してシュートを決め、1点差に迫ったんですけどね。前回のホーム勝利、オサスナ戦同様、2-1のスコアを最後までしっかり守った彼らはとうとう勝ち点43に到達し、再び、「Vida de pirate/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」を歌うファンたちと1部残留ほぼ確定を祝うことに。ちなみに今回はそれに「Rayo es matagigante/ラージョ・エス・マタヒガンテ(ラージョは大物喰い)」という歌詞が加わっていたんですが、ホント、先日はマドリーもアトレティコもリーガで負けているバルサから、弟分のヘタフェやラージョが勝ち点を奪っているのって、まさに世の中、不条理の塊ですよね。

それでも2位と勝ち点11あるチャビ監督にしてみれば、「Es cierto que queda una jornada menos si lo miramos desde el lado positive/エス・シエルトー・ケ・ケダ・ウナ・ホルナーダ・メノス・シー・ロ・ミラモス・デスデ・エル・ラドー・ポシティーボ(ポジティブに見れば、残る節が1つ減った)」とマドリーと同じ結果を出していれば、残り3、4試合の時点で上がりとなるのは事実。とても今から、大逆転できるとは私も信じていないものの、9位のままながら、7位アスレティックに勝ち点3のラージョがもっと上を目指してくれるのかは気になるところかと。何せ、彼らの週末の試合は土曜のエルチェ戦ですからね。6連敗中の相手は負けると、ダントツ一番乗りの2部降格が決まる可能性もあるため、最後の抵抗をされて、簡単には勝てないかもしれませんよ。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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