ACLの歴史からみるアル・ヒラルと浦和の因縁/六川亨の日本サッカーの歩み
超ワールドサッカー / 2023年5月3日 8時30分
4月29日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第1戦で、アル・ヒラル(サウジアラビア)と対戦した浦和はFW興梠慎三の同点ゴールで貴重な勝点1とアウェイゴールを手にした。1点のリードを許した浦和だったが、後半8分、MF大久保智明のスルーパスは相手DFに阻止されたものの、ボールはアル・ヒラルのゴールへと向かい、飛び出したGKと入れ替わるような格好で左ポストに当たる。これを諦めずに詰めていた興梠が冷静に押し込んで同点とした。
これで浦和は5月6日のホーム・ゲームで、勝てばもちろん0-0のドローでもアウェイゴールの差で3度目の優勝が決まる。優勝3回はもちろん日本のクラブにとって最多だし、歴代記録でもアル・ヒラルの4回に次ぐ2位の成績だ(韓国の浦項スティーラースも優勝3回)。
このACL、UEFAチャンピオンズリーグから遅れること11年、1967年にスタートし、当時は「アジアクラブ選手権」と言われていた。初代王者はイスラエルのハポエル・テル・アビブで、第2回大会はマッカビ・テル・アビブとイスラエル勢の強さが目立った。当時のJSL勢は、遠征費用がかかるのと、日程が重なることなどから日本リーグで優勝しても参加を見送ることが多かった。
しかし1986年、西ドイツから奥寺康彦が帰国し、日本でも圧倒的な強さで優勝した古河電工(現ジェフ千葉)が、天皇杯の参加を辞退して出場し、見事初優勝を果たした。さらに翌年は読売クラブ(現東京V)が連覇を達成する。読売クラブは不戦勝での優勝だったが、86年と87年に準優勝だったのはいずれもアル・ヒラルだった。89-90シーズンは日産自動車(現横浜FM)が決勝まで勝ち上がったものの、中国の遼寧東葯にホーム・アンド・アウェーは1分け1敗で初優勝を逃した。しかし98-99シーズン、全盛期を誇っていた磐田がテヘランのアザディ・スタジアムに乗り込み、エステグラルを2-1で下して日本勢3チーム目の優勝を果たした。
そして当時は「アジアクラブ選手権」と並行して、もう1つの大会が開催されていた。各国のカップ戦王者が集う「アジアカップウィナーズカップ」である。こちらも欧州カップウィナーズカップをマネして創設された大会であることは言うまでもない。さらに欧州にはリーグ戦の2位以下のチームが集うUEFAカップ(現EL)もあったが、残念ながらアジアには2つのカップ戦しかなかった。
この「アジアカップウィナーズカップ」で91-92シーズンに日産自動車が、翌92-93シーズンは横浜マリノスが連覇を達成。さらに94-95シーズンは横浜フリューゲルス、95年はベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)、99-00年は清水エスパルスと日本の4チームが優勝5回を達成している。これはアル・ヒラルらサウジアラビア勢5チームによる優勝6回に次ぐ成績だ(96-97シーズンの名古屋は決勝でアル・ヒラルに1-3で敗れて準優勝)。
こうした2つの大会が統合されてACLとリニューアルされたのが02-03シーズンのこと。Jリーグ勢は07年と17年に浦和が、08年にG大阪が、そして18年に鹿島がアジアの頂点に立った。しかし19年の浦和はアル・ヒラルにホーム、アウェーとも0-1、0-2で完敗。アル・ヒラルはこれがACL初優勝で(14年と17年は準優勝)、昨シーズンも2度目の優勝を飾っている。
アジアクラブ選手権を含めると、アル・ヒラルの優勝4回、準優勝4回は群を抜いている。そんな強豪相手に、17年の浦和は敵地で1-1と引分け、ホームで1-0の勝利を収めて2度目の優勝を遂げている。果たしてその再現から3度目のアジア王者に就任できるのか。6日の埼玉スタジアムはファン・サポーターの熱気に包まれることは間違いないだろう。
【文・六川亨】
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