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トロフィーまではたったの2試合だけど…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2023年6月16日 1時0分

写真:©︎RFEF

「優勝できる程強いのかどうか、正直、わからないよね」そんな風に私が首を捻っていたのは水曜日、トゥエンテの練習場でのネーションズリーグ・ファイナルフォー準決勝前日スペイン代表公開セッション15分をライブストリーミングで見ていた時のことでした。いやあ、先週金曜に選手たちが合宿に入ったラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設での初回セッションこそ、一般公開となったため、覗きに行ったんですけどね。その後、土曜から火曜までは完全非公開でトレーニングしていたため、せいぜいマスコミに送られてくる協会の短いビデオぐらいでしか、様子を知ることができなかったせいですが、かといって、昨年のW杯に出ていなかった準決勝の相手、イタリアの状態もはっきりせず。

ちなみにスペインは2021年7月のユーロ2020準決勝で1-1で引分け、PK戦でダニ・オルモ(ライプツィヒ)とモラタ(アトレティコ)が失敗して涙を呑んだ後、10月には前回のネーションズリーグ・ファイナルフォーでもイタリアと準決勝で顔を合わせることに。ミラノのサン・シーロではフェラン・トーレス(バルサ)の2得点で1-2と勝利して、リベンジを遂げたんですが、実はその時にいたメンバーで今回も招集リストに入っているのはGKウナイ・シモン(アスレティック)、ラポール、ロドリ(マンチェスター・シティ)、ガビ(バルサ)、ジェレミー・ピノ(ビジャレアル)、ミケル・メリーノ(レアル・ソシエダ)の6人だけなんですよ。

というか、昨年11月のW杯に行った選手も11人しかいなくて、ルイス・エンリケ監督とデ・ラ・フエンテ監督の好みがかなり違うようなのはともかく、後者のデビュー戦となった3月のユーロ2024予選ではノルウェイに3-0と快勝も、2戦目ではスコットランドに2-0で負けてしまう始末。その要因をスペイン代表の国際メジャートーナメントやヨーロッパのクラブ大会のビッグマッチを経験している選手が少なかったとして、6月はスペイン黄金期、最後の栄光となったユーロ2012に参加したジョルディ・アルバ(バルサを退団)やヘスス・ナバス(セビージャ)、CL優勝3回のアセンシオ(レアル・マドリーを退団)らが復帰することに。

ただ、当のデ・ラ・フエンテ監督もU19やU21のユーロ制覇や2021年の東京オリンピック銀メダルといった業績はあるものの、A代表ではまだ新人。「Estamos ante una oportunidad histórica. Sé lo que tengo entre manos/エスタモス・アンテ・ウナ・オポルトゥニダッド・イストリア。セ・ロ・ケ・テンゴ・エントレ・マノス(ウチは歴史的なチャンスを前にしている。自分の手の内に何があるかはわかっているよ)」と、たった2試合でタイトルを獲得できるこのネーションズリーグ・ファイナルフォーに気合が入っているのはわかるんですけどね。やっぱり代表番の記者たちもまだ戸惑っていんでしょうか、イタリア戦前日になっても一向に先発予想をしてくれる記事が全然ないのは何故?

いえまあ、月曜にマンチェスター市内を三冠優勝祝賀パレードで練り歩いた後、チーム本体がラス・ロサスを後にして、オランダのエースヘンデ入りした火曜にラポールと一緒に直接現地入り。CL決勝インテル戦でシティの勝利のゴールを挙げ、「Rodri is on fire(ロドリは燃えている)」とシティのロッカールームで囃し立てられていたMVPの彼が先発するのは間違いないと思いますけどね。他はGKからして、3月は負傷で来られなかったウナイ・シモンがスタメンに戻るのか、折しもモロッコ代表参加中のボノ(セビージャ)がW杯16強対決でのPK戦前、ウナイ・シモンに敵キッカーのよく蹴る方向を書いたメモをゴールの後ろに置いてあるから、触るなよと言われ、それをチームメートに伝えたおかげで、モロッコの選手は通常とは違う場所に蹴って成功したという話を暴露。

今回もPK戦までもつれ込む可能性があるため、引き続きケパ(チェルシー)がゴールを守るのかといったように予想が立ちませんからね。一応、デ・ラ・フエンテ監督は「Siempre vamos a jugar con delantero centro/シエンプレ・バモス・ア・フガール・コン・デランテーロ・セントロ(ウチは常にCFを入れてプレーする)」と言っていたため、トップにはモラタかホセル(エスパニョール)が入ることになるんでしょうが、私も今回はどんなスペインになるのか、まったく見当がつかず。何はともあれ、木曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのイタリア戦にはスペイン人ファンも5000人近く、トゥエンテ・スタジアムに駆けつけるそうなので、水曜の準決勝でオランダに延長戦で2-4と勝ったクロアチアと日曜の決勝を戦えるよう、頑張ってくれるといいんですが…。

そしてA代表が去ったラス・ロサスのサッカー協会施設は早速、6月21日にブカレストでのルーマニア戦から始まるU21ユーロの準備をしているスペインの後輩チームの足慣らしの舞台と化し、水曜にはメキシコU21と親善試合を実施。まあ、アイマール・オロス(オサスナ)の同点ゴールで1-1と引分けたのはともかく、翌木曜に発表された大会用本リストにはリケルメ(ジローナ)、カメージョ(ラージョ)、マヌ・サンチェス(オサスナ)のアトレティコBからのレンタル組が入ることに。いえ、プレリスト入りして、その試合にもちょこっと出ていた、シーズン最後の数試合でヘタフェの1部残留に貢献したラタサ(RMカスティージャからレンタル)は落ちちゃったんですけどね。

中にはこのU21招集のせいで、クラブの昇格プレーオフに出られなくなったGKアルナウ(バルサ・アトレティック)やアントニオ・ブランコ(アラベス、まだレバンテとの1部昇格プレーオフ決勝がある)といった選手もいるため、アトレティコBは元々、今季チームにいなかったメンバーのみが呼ばれてかなり助かった口だった?というのも彼らも先週末の日曜、プレーオフ決勝2ndレグをマハダオンダ(マドリッド近郊)のミニスタジアムで戦ったからで、準決勝のエスパニョールB戦(総合スコア3-0で勝ち抜け)はスルーしちゃったんですけどね。リーガ1部のシーズンが終わったこともあり、この日は私も正午からの試合を観戦してきたんですが、屋根がまったくなく、直射日光の照りつけるスタンドには3000人ものファンが応援に。

相手のUCAMムルシアとは1stレグで1-1と引分けていたんですが、昇格プレーオフは総合スコア引分けで終わった場合、延長戦はやってもPK戦まではやらず、グループでの順位が高い方が勝ち抜けというルールのせいもあったんでしょうかね。最初はシーズン終盤、負傷禍でFW不足に陥ったトップチームのヘルプに駆り出されていたカルロス・マルティンを中心に攻めていたアトレティコBでしたが、0-0のまま延長戦に入ると、スコアレスドローを死守すればいいという感じとなり、終盤はなりふり構わない敵の猛攻撃に苦しむシーンもなきにしろあらず。

それでも何とか最後まで引き分けを守り、グループ順位2位の彼らが5位のUCAMを抑えて、RFEF2部(実質4部)から1部(同3部)への昇格を達成したから、スタンドもピッチも完全にお祭り状態ですって。いやあ、まさか昇格記念Tシャツまで手際よく用意されているとは思いませんでしたけどね。ちなみにBチームは2年前、旧2部BがRFEF(スペイン・サッカー協会)1部と2部に分かれた際に3部(実質5部)に降格。そのせいもあって、リケルメやカメージョが一緒に2部のミランデスにレンタル修行に出ることになったりしたんですが、テベネット監督が昨季もRFEF3部から2部へと昇格を達成してくれたんですよ。おかげで2年連続のカテゴリー上昇となったんですが、果たして来季はお隣さんとのミニダービーが復活するかというと。

いやあ、同日の夜、RMカスティージャもRFEF1部からラ・リーガ2部への昇格プレーオフ準決勝2ndレグをバルデベバス(バラハス空港の近く)にあるエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノでプレーしたんですが、実はこれがミニクラシコでねえ。それも1stレグでは4-2とバルサ・アトレティックに負けていながら、何とマドリーは後輩チームにまで、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)精神が浸透していたとは!ええ、前半21分にドトルのヘッドで反撃の口火を切ると、後半34分にはバルサのカンテラ(下部組織)から移ってきたイケル・ブラボがこちらも頭で2点目をゲット。これで総合スコア4-4になったんですが、いや凄い。

グループ3位だったRMカスティージャはこのまま引分ければ、4位バルサ・アトレティックを敗退に追いやれたんですが、延長戦なんてやってられるかとばかりにロスタイム2分、PKをゲットすると、アリバスがしっかり決めて3-0にしてしまうんですから、さすがじゃないですか。RFRF2部と1部の昇格プレーオフは1週間、日程がズレているため、ラウール監督のチームはこの土曜にエルデンセ(グループ2位)との決勝1stレグをホームで、25日に2ndレグをアウェイで戦って、2部昇格できるかどうか決まるんですが、そうそう、マドリッド勢では昨季RFEF1部に落ちたアルコルコンも最短Uターンの道を着々と前進中。ええ、プレーオフ準決勝でレアル・ソシエダBを総合スコア3-2で破った彼らも決勝でカステジョンに勝てば、揃って昇格フィニッシュとなりますが、マドリッドの2部勢がレガネスだけでなくなるだけでも嬉しいですよね。

え、レモンターダの興奮も覚めきらないまま、今週のバルデベバスはプレゼンラッシュに入ったんだろうって?その通りで、いやあ、ご存知の通り、この夏もサンティアゴ・ベルナベウは集中工事期間に入ってしまいましたからね。入団プレゼンも昨年同様、トップチームの練習施設で開かれ、月曜には今季まで3年間、弟分のラージョでプレー。買戻しオプションを行使してもらったフラン・ガルシアが、「Vuelvo a casa, donde llegué aquí con 13 añitos/ブエルボ・ア・カサ、ドンデ・ジェゲ・アキー・コン・トレセ・アニィートス(13才の時に着いた家に戻った)」と古巣復帰の喜びを語ることに。

実はこの日のフラン・ガルシアには更なる幸運が訪れて、うーん、もしかしたら、これも彼の日、デル・ボスケ監督が近くにいるという理由でナチョ(マドリー)をスペイン代表に追加招集したのと同じオチなのかもしれませんけどね。奇しくも左SBのベルナト(PSG)が負傷で代表を離脱することになり、フラン・ガルシアがその足でラス・ロサスでのA代表合宿に初めて加わることになったのにはちょっと驚かされたかと。

続いて火曜には、こちらはカンテラーノ(下部組織出身選手)ではありませんが、やはりここ3年間、ミランにレンタル移籍。来季はマドリーに戻って来ることが決まったブライム・ディアスのプレゼンがあったんですが、20才の時、マンチェスター・シティから来た当人も、「Cuando vine la otra vez era un niño/クアンドー・ビネ・ラ・オトラ・ベス・エラ・ウン・ニーニョ(最初に来た時はまだ子供だったけど)、今のボクはもっと多くの試合、CLも経験していて、ずっと成長している」とコメント。ようやくマドリーの選手リストにいるFWが3人となったのをクラブのホームページで私も確認したんですが、同時にビニシウスとロドリゴがアサールとアセンシオの退団で空いた背番号をちゃっかりゲットしていたのを知ることになるとは!

ええ、来季はビニシウスが7番で、ロドリゴは11番。2人の着けていた20番、21番はそれぞれフラン・ガルシア、ブライムが受け継ぐことになりましたが、いやあ、インングランド代表の試合もあるだろうに、まさか今週中になるとは思っていなかったんですけどね。マドリーが来季の新ユニフォームをビデオでお披露目した水曜に入団が公式発表された、移籍金1億300万ユーロ(約160億円)の大型移籍ベリンガム(ドルトムント)もシーズン終盤に負ったヒザの打撲のせいで、この6月のユーロ予選には出ず、木曜にはバルデベバスで入団プレゼンされることに。当然、こうなると気になるのは背番号で、いくらベンゼマの9番が空いているからって、彼はMFですからね。

やはりエースナンバーはまたぞろ、この夏にマドリー入りもありうると噂されるようになったエムバペ(PSG)のことはもう、大山鳴動して鼠一匹のリピートは嫌なので、本当に決まってから話すことにしますけどね。ハリー・ケーン(トッテナム)なり、ハーバーツ(チェルシー)なりにとっておくことにして、今のところ、12、14、25番とマリアーノの24番が残っているんですが、降格したエスパニョールからホセルもレンタル移籍してくることを考えると、何番になるかは当日になってのお楽しみってところでしょうか。

そうそう、今週は火曜に弟分のヘタフェも新ユニのプレゼンがあったんですが、肝心のボルダラス監督続投の確定報はまだアンヘル・トーレス会長からは聞かれず。木曜に最終的な話し合いをしてから、発表するそうで、一応、「ファンの望んでいる、皆に好かれている、チームを救ってくれた監督が続ける」と言っていたため、間違いはなさそうですが、さて。それより、驚かされたのは、いやあ、兄貴分のベルナベウに続いて、この夏はカンプ・ノウも全面改修工事に入ったのに触発されましたかね。来年春に始める予定のコリセウム・アルフォンソ・ペレスお色直し計画が発表されたんですが、うーん、ヘタフェにそれ程、お洒落なスタジアムが必要かどうかはちょっと疑問。何はともあれ、今は来季、最終節まで残留争いをしなくていいチームを作るため、しっかり補強をすることに専念してもらたいものです。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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