Jリーグがサウジアラビアリーグとパートナーシップ協定/六川亨の日本サッカーの歩み
超ワールドサッカー / 2024年5月22日 10時30分
Jリーグは5月21日に第5回の理事会会見と、23年度のクラブ経営情報の開示を行った。理事会会見で注目したいのは、Jリーグとサウジアラビアのプロフットボールリーグ(SPL)が戦略的パートナーシップ協定を5月20日から25年12月31日まで結んだことだ。
「具体的な内容はこれから詰める」ものの、「フットボール水準の向上を目的とした人材交流」、「両リーグの成長と発展を目的としたワークショップ、ビジネスカンファレンスの開催、育成などに関する情報共有等」、「交流イベント、親善試合などを通じた国際交流」などが予定されている。
ただ、これまでJリーグはタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシアのプロリーグと協定を結んでおり、各国リーグの国籍を有する選手は試合エントリー時に外国籍選手ではないものと見なしてきた。東南アジアのレベルアップを図りつつ、ビジネスチャンスの拡大ととらえていたからでもある。
しかしサウジアラビアの国籍を有する選手はこれに該当しない。そもそも高給取りのサウジアラビアの選手がJリーグに来ることは考えづらいし、Jリーグの日本人選手やブラジル人選手を引き抜くことはあっても逆はまずないからだ。
そして今回の協定の一番の目的は、中東の盟主であるサウジアラビアとの関係強化に他ならないだろう。ご存知のようにサウジアラビアは2年後のU-23アジアカップ2026と、3年後の27年アジアカップ2027の開催が決定している(いずれも初の開催となる)。
これまでUAEやカタールはアジアカップを複数回、開催してきた。サウジアラビアがこれまで開催に手を挙げなかったのは、基準を満たすスタジアムがないからだった。ところがサウジアラビアは、27年のアジアカップだけでなく、34年のW杯開催にも立候補した。日本サッカー協会も23年10月19日の理事会で、34年W杯を招致しているサウジアラビアを支持すると表明した。
34年のW杯は日本も開催に名乗りをあげる予定だった。しかし34年のW杯では8万人以上収容のメインスタジアムの他に6万人収容が2つ、4万人収容のスタジアムも複数必要という条件があり、今年7月までに政府保証(日本の場合は閣議決定)と合わせて書類を提出する必要があった。
FIFA理事も務める田嶋幸三JFA名誉会長は「もう少し準備の時間があると思っていたが、あまりにも短く間に合わないと判断。ベースとなる基本のもの(スタジアム)がないため諦めざるをえない。時間をかけて環境整備を進めたい。機会はもう1回ある。今回はサウジ支持が一番近道になる」と2050年までに再びW杯を単独で開催するという目標に期待を込めた。
こうしたJFAとの思惑とも相まって、Jリーグはサウジアラビアとの戦略的パートナーシップ協定を結んだことは想像に難くない。過去にはクラブW杯のホストカントリーを務めた。来年スタートする新たなクラブW杯はアメリカで開催されるが、4年に1回の大会とはいえサウジアラビアが開催国に名乗りをあげる可能性は高いだろう。情報の収集や、親善試合への招待でビジネス面での効果も期待できそうな協定と言える。
【文・六川亨】
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
W杯最終予選の理想的組合わせ/六川亨の日本サッカー見聞録
超ワールドサッカー / 2024年6月21日 18時30分
-
世界が認めるサッカー女性審判員・山下良美さん、「苦しい思い」の先に見た最も“感激した”光景
THE ANSWER / 2024年6月18日 11時33分
-
日本のS級ライセンスで欧州の監督ができるかも/六川亨の日本サッカー見聞録
超ワールドサッカー / 2024年6月14日 11時30分
-
ソシエダ戦の不思議な体験と五輪OA枠/六川亨の日本サッカー見聞録
超ワールドサッカー / 2024年5月31日 22時0分
-
サッカー男子は主将の藤田チマとFC東京コンビ荒木&松木の連携が命運を握る【パリ五輪メダル有力競技 ココが見どころ】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月29日 9時26分
ランキング
-
1大谷翔平 23号2ランで快挙達成 ド軍で7試合連続1打点1得点以上はレジー・スミス以来46年ぶり
スポニチアネックス / 2024年6月23日 12時12分
-
2男子バレー日本、大逆転勝利後のコートから消えていた人物に動揺 「気になる仕草が…」数時間後に本人説明
THE ANSWER / 2024年6月23日 9時41分
-
3大谷翔平、珍しく自画自賛「素晴らしい打球。いい眺めだった」 3試合連続の特大23号
Full-Count / 2024年6月23日 13時24分
-
4ジャッジが28号、メジャートップ独走 死球も復帰後3戦2発…大谷と6本差で57発ペース
Full-Count / 2024年6月23日 8時30分
-
5男子バレー日本、米国に3-0完勝で世界ランク2位浮上! 石川祐希ら欠場も若手が奮起【ネーションズリーグ】
THE ANSWER / 2024年6月23日 21時29分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)