「いかに納得してもらえる判定をするか」物議醸した水戸vs長崎のPK判定…VARなしでの判定変更にJFA審判委員会が見解「プロセスが良くなかった」
超ワールドサッカー / 2024年6月19日 16時30分
19日、日本サッカー協会(JFA)はレフェリーブリーフィングを行った。
今回のブリーフィングではピッチ上で物議を呼んだ明治安田J2リーグ第18節の水戸ホーリーホックvsV・ファーレン長崎の一戦での判定変更についての説明が行われた。
6月2日に行われた試合。試合は2-2で迎えた後半アディショナルタイム6分に、長崎のMFマテウス・ジェズスがボックス内でドリブルを仕掛けると、水戸のMF前田椋介に倒されることとなった。
当初はノーファウルで進んだが、その後に榎本一慶主審は副審や第4審との協議の結果、PKと判定。フアンマ・デルガドがしっかりと決めて、長崎が勝利を収めた。
J1であれば、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックが入るシーンだが、J2ではVARが導入されていないため主審の判定が絶対に。しかし、一度はノーファウルと判断したにも関わらず、判定が変更となり、PKを獲得した長崎側は喜ぶ一方で、水戸側は当然納得のいかない判定となってしまった。
ノーファルとなったことで、長崎ベンチは抗議。榎本主審は長崎ベンチに行き、その後に副審と第4審と協議し、PKに変更したように見える事態に。水戸は納得せず、今度は猛抗議し試合は中断。森直樹監督に対して榎本主審が説明し、約8分間中断した末に試合が再開していた。
扇谷健司審判委員長と佐藤隆治JFAレフェリーマネジャーが登壇した中、JFA審判員会の見解が述べられ「テクニカル上はPKとすべき事象だと判断している」と妥当な判定だとコメント。「競技規則では次の再開までであれば最終判定を変えることは認められている」と、ジャッジを変えたことも問題はないとしたが、「審判チームで協議してPKとした判断は間違っていなかったが、そこのプロセスが良くなかった」と、振る舞いには問題があると指摘した。
佐藤氏は「正しい判定をするだけでなく、いかに納得してもらえる判定をするか」と指摘。今回のシーンでは、PKではなかったものが長崎の抗議を受けて協議し、判定を変えたように見えていたため、「ベンチのプレッシャーを受けて変えたと捉えられてしまう」とした。先に審判団で協議すべきだったというのが見解だ。
また、この事例の後、1級審判員全員に今回のプロセスに関する会議をオンラインで行ったとのこと。判定変更の経緯も示され、事象直後には主審は「脚の接触は見えていたが、ボールに触れ可能性があること、またよく見えていなかったことでノーファウル」と判定。一方で、副審はPKと判断しインカムで助言。第4審も「ボールに触れていないならPK」と伝達し、主審以外の2人はPKだと感じていたことがわかった。
この点に関して佐藤氏は、主審のポジショニングに対して「ここで良かったのかどうか」と指摘。また副審に対しては伝え方、第4審も条件付きの情報が必要かどうかということが問題視されるところだとした。
その後、榎本主審は長崎ベンチに向かい、下平隆宏監督に自身が見えたことを報告。ボールに触れたかが見えなかったことを伝えたという。ただ、佐藤氏は「NOT PKという説明をする必要があるのか」と疑問を投げかけ、「NOT PKと判断しているなら、ベンチよりもレフェリーが良いところで見ているのだから、判定を受け入れてもらうようにできたはず。自身の判定に疑念があるなら、審判チームに速やかに確認を行うべき」と、指摘し、改めてプロセスに問題があると指摘した。
審判団でのコミュニケーションについては、副審と第4審からは「蟹挟みになっているからPK」と助言されたことで主審はPKに判定を変更したという。ただ、佐藤氏は第4審が伝えた「ボールに触っていないなら」という発言に触れ、審判団内のコミュニケーションでそこが議論されていないところが改善点だとした。
なお、水戸ベンチに対しては一連の状況を説明。その中で「一度決断しているのに助言で変わるんですか」と森監督からは質問があったが、「見えていないことをサポートしてもらうことはたくさんある」と伝えたとされている。
いずれにしても、ジャッジ事態には問題はなかったが、選手やスタッフ、観客を含めて観ている人にとっては不可解な判定変更になっており、VARのように明確なチェックがないJ2、J3では審判団のプロセス1つで大きく印象が変わることが明るみとなった。
【動画】VARなしで判定変更…物議を醸した水戸vs長崎のシーン
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
最初の反則でレフェリーの判断基準は決まらない 審判委員会の委員長が語った天皇杯・町田戦の“実情”【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年6月20日 12時15分
-
VAR未導入のJ2水戸vs長崎で起きた物議のPK判定変更…JFA審判委が経緯説明「プロセスが良くなかった」
ゲキサカ / 2024年6月19日 15時9分
-
J2水戸、JFA審判委員会へ意見書を提出 後半AT発生の“判定覆り事象”を問題視
FOOTBALL ZONE / 2024年6月8日 11時7分
-
英国人ファンはJ2判定覆りをどう見た? PK判定は妥当もプロセスは「対戦相手、試合への侮辱」【見解】
FOOTBALL ZONE / 2024年6月5日 19時50分
-
J2の主審判定に海外注目 監督に説明→ノーファウルがPKに変更で驚きの声「何が起こった?」
FOOTBALL ZONE / 2024年6月4日 11時50分
ランキング
-
1日体大アーチェリー部の女子部員6人、無期限の活動停止…20歳未満交え飲酒
読売新聞 / 2024年7月2日 19時34分
-
2【球宴ファン投票】“日本ハムジャック”!DH以外9部門独占 最多得票の万波「ホームラン&MVP獲る」
スポニチアネックス / 2024年7月2日 16時1分
-
3【巨人】逆転負けで勝率は再び5割 山崎伊織、痛恨の逆転2ラン被弾で地方球場5連勝はならず
スポーツ報知 / 2024年7月2日 20時56分
-
4「スポーツ史上最も賢い契約だ」 1130億円使っても…大谷翔平がチームにもたらす“対価”
Full-Count / 2024年7月2日 9時18分
-
5日本ハム・新庄監督 球宴出場決定の9選手に「何か爪痕を残してほしいし、一番やってほしくないことは…」
スポニチアネックス / 2024年7月2日 22時57分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)