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ゴールが足りているのは1チームしかない…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2024年7月30日 21時30分

写真:Getty Images

「マドリッドから脱出できたなんていいなあ」そんな風に私が羨んでいたのは月曜日、お昼のニュースでレアル・マドリーがアメリカツアーの最初の逗留地、シカゴに到着する映像を見た時のことでした。いやあ、すでに1週間以上にもなる上、更にこの先、1週間も毎日、気温39℃という前代未聞の猛暑があまりに強烈で、最近はどこかで試合があるたび、現地の気温をチェックするのが癖になってしまったんですけどね。同じ夏だし、アメリカだって暑いだろうと思ったところ、今回、彼らが興行する3都市はどこもマドリッドより10℃程、低いんですよ。

となれば、これまで灼熱のバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で耐えてきた選手たちも思う存分、8月1日午前2時30分(日本時間午前9時30分)からのミラン戦、4日午前1時(同午前8時)からのバルサ戦(ニュージャージー)、7日午前1時からのチェルシー戦(シャーロット)では、力いっぱい足慣らしができるかと。ちなみに26人の遠征隊の内訳はトップチームのメンバーが15人。うちモドリッチ、ギュレル、エンドリック(同パルメイラス)の3人は移動日午前中のセッションで初めてチームに合流したんですけどね。

更にエンドリックと一緒にコパ・アメリカ準々決勝で敗退したブラジル代表勢、ビニシウス、ロドリゴ、ミリトンはアメリカで加わる予定で、同日、出発したバルサの16人には及びませんが、カンテラーノ(下部チームの選手)も11人が同行。その中には昨季までの2シーズン、弟分のヘタフェでレンタル修行していた大型FWラタサの顔もあったのには驚かされましたが、エムバペ、エンドリックも加わったマドリーの前線の充実ぶりは誰もが知るところですからね。よって、ラタサがチームに残ることはまず、ありえないんですが、この3試合でアンチェロッティ監督からチャンスをもらえれば、今季はワンランク上のチームに移籍するためにアピールできる?

逆にこのツアーが終わるまで、バケーションが終わらない選手もいて、それはユーロ準決勝組のフランス勢、エムバペ、カマビンガ、チュアメニ、メンディの4人と、ナチョ(アル・カーディシーヤに移籍)、ホセル(同アル・ガラファ)の退団で唯一、ユーロ王者として帰って来るカルバハル。そしてそのスペインとの決勝で涙を呑んだイングランドのベリンガム、コパ・アメリカ決勝でアルゼンチンに負けたウルグアイのバルベルデとなりますが、何せ、マドリーはどこより早く、8月14日のUEFAスーパーカップのアタランタ戦でシーズンがスタートしますからね。

おかげで主力の調整が間に合わないことを考えて、ブライムなど、オリンピックのモロッコ代表に行かせてもらえなかったぐらいなんですが、何にせよ、このアメリカツアーは私にとって、毎夏の鬼門。そんな深夜帯にサッカーを見られるバル(スペインの喫茶店兼バー)には心当たりがないため、実際に試合をTV観戦して、選手たちの状態をチェックすることができないのは残念ですが、こればっかりは仕方ないんですよねえ。

まあ、そんなことはともかく、先週末にも幾つか試合があったため、その様子をお伝えしていくことにすると。土曜は正午から、まったくエムバペ(PSGから移籍)と同じ形式でサンティアゴ・ベルナベウで行われたエンドリックのメガ入団プレゼンをサンティアゴ・ベルナベウに見に行った後、午後3時にはスペイン五輪代表のドミニカ共和国戦がキックオフ。前半はスマホでチラ見しながら、あまりの暑さにクラクラになって、家に辿り着いた私でしたが、この日はユーロからの梯子参加組が活躍することに。そう、前半23分には敵GKが出したDFへのパスをはしっこいフェルミン(バルサ)が奪い、先制点を挙げてくれたんですが、このリードは39分、CK守備時の当人のマークミスから、デ・オカにヘッドを決められ、帳消しになってしまうんですから、困ったもんじゃないですか。

でも大丈夫。後半9分にはユーロ王者のもう1人の片割れ、アレックス・バエナ(ビジャレアル)がエリア前から撃ったシュートがウルバエスに当たり、スペインは勝ち越し点をゲット。更にサンティ・デミア監督が選手を3人代えた後の24分にもフェルミンがエリア内右から、ゴール前にラストパスを送り、いえ、アイマール・オロス(オサスナ)はそのボールをシュートできなかったんですけどね。その後ろにいた、途中からピッチに入ったミゲール・グティエレス(ジローナ)が押し込み、VAR(ビデオ審判)のオフサイドチェックでドキドキさせられたものの、無事にスコアに上がってくれたとなれば、もう安心ですって(最終結果1-3)。

おかげで2連勝となったスペインは兄貴分同様、早くもグループリーグ突破となり、火曜午後3時(日本時間午後10時)からのエジプト戦であと勝ち点1を取れば、首位も確定することに。こちらの試合ではおそらく、デ・ラ・フエンテ監督に倣って、rotacion masiva(ロタシオン・マシバ/大規模ローテーション)が行われるかと思いますが、問題は招集選手が26人いた大人の代表と違い、オリンピックは基本18人なこと。カメージョ(ラージョ)やイトゥルベ(アトレティコB)ら、リザーブメンバー4人がいるものの、負傷やら、疲労蓄積やら、正当な理由がないと入れ替えができないとあって、ここはサンティ・デミア監督も頭を捻らないといけませんが、大会後はアトレティコに戻るサム(昨季はアラベスにレンタル)など、もっと見てみたいですよね。

そして土曜の夜はとうとう、アトレティコがこの夏、初のプレシーズンマッチをブルゴス・デ・オスマで迎えたんですが、それが例年、このメモリアル・ヒル杯では選手たちも観客も暑さで息も絶え絶えになっているのがお馴染みの光景だったんですが、ふと気温を調べてみると、現地はたったの31℃。何故にマドリッドの方が7℃も高いのか、私も納得がいかなかったんですが、ヌマンシア(RFEF2部/実質4部)との試合の方はシメオネ監督が手持ちのトップチームメンバー10人にカンテラーノのCB、コスティスを混ぜただけでスタート。

いやあ、カテゴリー差がかなりあるだけに序盤から、優勢に試合を進めていたアトレティコだったんですが、ゴールが入るまでには30分、待たされることに。そう、まだグリーズマンも戻っておらず、モラタ(ミランに移籍)の代わりのCFも到着していないため、ここずっと、コレアと前線でコンビを組んで練習していたリケルメがエリア左前からシュートを放ち、それがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)となって、アトレティコは先制。でもねえ、その5分後にはダニ・フェルナンデスの折り返したパスをアレックス・ラモスに決められて、あっという間に同点にされてしまっているようではいけませんって。

いやまあ、アトレティコはDF陣もエルモーソ(契約終了)、サビッチ(トラブソンスポルに移籍)、ソユンチュ(同フェネルバフチェ)ら、3人のCBがいなくなった後、ようやくそのヌマンシア戦当日にル・ノルマン(レアル・ソシエダ)の入団が発表されただけで、コパ・アメリカのウルグアイ代表に行っていたヒメネス同様、その彼もまだバケーション中ですからね。ただ、その失点に至るまでの過程でアスピリクエタが敵選手に倒されて、顔から血を流していながらも主審にスルーされたのも不運でしたが、ここで彼もカンテラーノのモウリーニョに代わることに。

そのまま前半が1-1で終わったのは、1月に入団して以来、これがアトレティコデビューとなったGKモルドバンにとっても残念だったかもしれませんが、後半はシメオネ監督がメンバーを総入れ替え。トップチームの選手は移籍予定のハビ・ガランとミランデス(2部)でのレンタル修行から戻って来たFWカルロス・マルティンだけとなり、後者がキャプテンマークを着けていたのはともかく、うーん、今季からフェルナンド・トーレス監督の下でプレーするアトレティコBはRFEF1部(実質3部)で、ヌマンシアより格上なんですけどね。いつまで経っても勝ち越しゴールが奪えず、引分けのまま、90分が終わったため、どちらのチームが大きいトロフィーを持ち帰るかを決めるためのPK戦が始まったところ…。

もちろん、キッカーもガランを除いて、皆、カンテラーノでしたから、私もあまり期待はしていなかったんですが、助かりました。ええ、先週、チームに合流して以来、ずっとジム篭りをしていて、この遠征にも同行していなかったオブラクの代わりに、後半のゴールを守ったGKゴミスがヌマンシアの3人目を見事にセーブ。アトレティコ側は5人目、16才のタウフィクまで全員成功したため、無事に優勝トロフィーを手にしたんですが、どちらにしろ、この試合は単なる小手調べに過ぎませんからね。

日曜、月曜とお休みを取ったアトレティコは火曜から再び、猛暑を避けて、午前8時半からの早朝セッションを金曜までやって、土曜午後9時(日本時間翌午前4時)にはコリセウムでヘタフェと親善試合。その頃にはもう、オリンピック参戦中のバリオス以外はユーロ、コパ・アメリカでバケーション入りが遅かったメンバーも戻っているはずかと。来週はもう香港遠征となり、キッチー戦だけ済まして、トンボ帰りしてくるんですが、それまでにジョアン・フェリックスの移籍先探しと未だにドブビク(ジローナ)の移籍がもたついている、今季のCF獲得の宿題を済ませられるのかどうかはかなり疑問です。

そして同じ土曜、オビエド(2部)戦でのあまりの暑さに懲りたか、ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるスペイン・サッカー協会施設で予定されていた親善試合第2弾、アルバセテ(2部)戦をドタキャンした弟分のヘタフェは月曜からまた、アルゴルファ(アリカンテ)のゴルフリゾートで第2次キャンプに入り。ただ、あちらも昼間の気温が36℃とかなり高く、地中海沿岸だけに湿気も半端ないため、現地で水曜午後7時に予定されているサラゴサ戦は相当、辛いものになりそうですが、え?そこでボルダラス監督のチームがまたバテたら、土曜のアトレティコ戦がキャンセルにならないかって?

いやあ、こちらはすでに20~35ユーロ(約3500~6000円)でチケット販売を始めているため、大丈夫だと思いますが、まだヒザのリハビリ中のボルハ・マジョラルしかいないFW陣が増えたという話が一向に聞こえてこなくてねえ。それどころか、マジョラル売却のため、レアル・ソシエダと交渉が進んでいるって、アンヘル・トーレス会長は一体、何を考えている?まあ、8月末に移籍市場が閉じる前には辻褄を合わせるんでしょうが、アトレティコ同様、やっぱりゴールが期待できる新入団選手がいないと、なかなかファンもシーズン開幕に夢を膨らませられないかと。

一方、今季また、1部に戻って来たレガネスは土曜からイギリスキャンプに出ていて、日曜にはスペイン女子代表がオリンピック2試合目のナイジェリア戦で終盤、アレクシア・プテジャス(バルサ)がFKゴールを挙げ、1-0と勝利。こちらも2連勝で決勝トーナメント進出決定となった後、バーンリー(昨季に2部に降格)と親善試合をやっていたようなんですが、事前情報からしてまったくなく、スコアレスドローで終わったということを私も翌日になって知ったぐらいでねえ。プレシーズンマッチ3試合で彼らがまだ1勝もしていないのはともかく、ラッキーなのはイギリスだけに猛暑とは無縁で、この土曜のシェフィールド・ウェンズデー(2部)戦も快適な気温でプレーできることですが、これって、帰って来てからがより辛くなったりしない?

その横で先週金曜にヘーレンフェーンに5-0負けとボロボロにされたラージョは月曜から、マドリッド南部にある灼熱の練習場でトレーニングを再開しているんですが、いやあ、次の予定を見たら、これがまた恐ろしい。というのも水曜午後9時から、スペイン南部の内陸でとりわけ暑い街、コルドバに行って、気温40℃予報の下、2部の地元チームと試合って、正直、熱中症にかかる選手や観客が大量発生する光景しか、思い浮かんでこないんですが…何はともあれ、エンバルバ(アルメリアからレンタル移籍)の古巣復帰も決まり、カメージョはいなくても、一応、RdT(ラウール・デ・トマス)、エヌテカとFWはいるイニゴ・ペレス監督のチームですからね。早いところ、ゴール日照り傾向だけは脱却してもらいたいものです。



【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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