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東京Vの城福監督、主力3名不在で臨む鹿島戦へ「試合に出てない選手がこれだけやるのかという意味で、そこを見せるチャンス」

超ワールドサッカー / 2024年8月24日 20時0分

写真:©超ワールドサッカー

東京ヴェルディの城福浩監督が、25日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第28節の鹿島アントラーズ戦に向けた会見を実施した。

前節、FC東京との今シーズン2度目のダービーを0-0のドローで終えた12位の東京V。リーグ戦連敗はストップも、中断明け後は3試合連続無得点で3試合未勝利とここに来て苦しい戦いが続く。

そんななか、4試合ぶりの勝利を目指すチームは、直近2試合未勝利も3位に位置する鹿島をホームで迎え撃つ。

リーグ戦では9月6日の追加登録期限まで育成型期限付き移籍、フリートランスファーでの新戦力獲得は可能であるものの、21日に夏のウインドーが閉幕。

すでにYBCルヴァンカップ、天皇杯で敗退した東京Vでは試合に絡めていなかったDF平智広(ツエーゲン金沢)らベテラン、FW古川真人(カターレ富山)ら若手を下部カテゴリーに放出し、スカッドのスリム化を図った一方、新加入は今回の対戦相手である鹿島から期限付き移籍で獲得したMF松村優太の1人のみとなった。

百戦錬磨の指揮官は「より格差が鮮明になってきたという印象」と、若手を中心とした海外挑戦、上位クラブの積極補強、下位クラブの相次ぎ主力流出とトピックに事欠かなかった今夏の移籍市場について私見を語りつつ、自クラブの今夏の動きを総括した。

長らく続いたJ2時代はシーズン半ばの主力流出はある意味で恒例となっていたが、今夏に関しては他クラブによる引き抜きの動きは水面下でありながらも、主力の慰留に成功。城福監督も「自分たちが意図するもの以外で、流出させないということも大きな補強のひとつ」と、選手自身の決断やクラブの努力を評価している。

「まずは、我々が選手とよく話し合って、どちらがどういう選択がプレーヤーとして、より成長していくか。より充実した時間を過ごせるかということを話し合いながら、出ていった選手が今回は多くいて、それは本人の決断もそうですし、本人が努力したからこそ手を挙げてくれるクラブがありました。クラブもよく話し合いながら、そういう経緯があったと思います」

「もうひとつは、我々のようなクラブであれば、自分たちが意図するもの以外で、流出させないということも大きな補強のひとつ。もちろんその動きはありましたけど、そこも本人と話し合いながら、このクラブで日々やっていることの充実感と、もちろんいろんな話があるというのは、その選手が獲得したものなので、全然否定はしないですけど、条件やその他の日々のやりがいというのを天秤にかけながら、我々が想定していないところの流出がなかったというのは、クラブにとっては大きなこと」

新戦力補強に関しては限られた予算のなか、豊富な資金力を有する競合クラブ相手の苦戦を認めつつも、常々「補充ではなく補強」のために資金を投下することをクラブにリクエストしてきた指揮官は、既存戦力の伸びしろと獲得選手のクオリティを見極めた上で、獲得選手1人という決断に至ったとその経緯を明かした。

「もうひとつは、名前はリストに何人か挙がっていました。それはウインドーの開ける前から挙がっていましたし、実際には我々が多少動いたところもありましたけども、松村選手以外のところは、最終的に我々は獲得をしなかったというのは、クラブともよく話し合いながら決めたことです」

「今の我々のなかで、例えば入ってすぐに18人のメンバーの中に入るとか、すぐピッチに出ていく可能性が高いという選手。しかも舞台がJ1で、確実にゲームチェンジャーになる。確実に選手の層が厚くなって、先発に出ていく可能性が高くなるという選手というのは、当たり前ですけど競争になる」

「その競争というのは、J1の舞台ではクラブの大きな格差があると、正直厳しい。我々のバジェットの中でのリストアップした選手は、自分たちがいま、日々汗をかいている選手たちと比べると、個人的にはいまの我々の選手とやりたいという決断をするようなリストでした」

「そうではないリストというのは、全く違う条件になる。J1で即戦力なんていうのは、そんなに簡単ではないので、やはりクラブがいかに右肩上がりの角度を上げて成長していかないと、こういう夏のウインドーで存在感あるいは競争力を示せるということにはなかなかならないし、とりあえず獲っておこうというのは自分のチーム作りに反するし、いまの選手たちを信じているのであれば、いまの選手たちで頑張ろうという判断をしたということです」

その補強の部分と重なる形で、今回の一戦では前述の松村、DF林尚輝、FW染野唯月といずれも鹿島から期限付き移籍でプレーしている主力3人が保有元との契約によって起用できない。

城福監督はクラブの現状の補強戦略においてローンプレーヤーの多さは致し方ないことだとしながらも、「いまの選手たちを信じている」と前述のコメント通り、出場機会に飢える控え選手たちの奮起に期待する。

「いまの我々のチーム作りのなかで、ハードワークとクオリティの天秤をかけたときに、やはりクオリティのある選手を鍛えていくという道を選んだときに、どうしてもレンタルが多くなるのは好ましいことではないことはわかっていながらも、どういう選手を鍛えるかということを考えたときにこの状況というのは、いまのこのクラブの状況では仕方なかった」

「それがたまたまひとつのクラブからいまは3人そういう状況になっているというのも、これはどの選手がいたかと、どの選手がレンタル可能だったかというところが、たまたま鹿島が多かったということだったので、もちろん3人を欠くというのは簡単な状況ではないですけど、だからこそ日頃準備してきている選手がここで結果を出したいという思いが強いですし、自分たちもレギュラーとレギュラー組ではないところで、練習の量で差をつけていない」

「むしろ試合に出ていない選手の方が日々厳しいトレーニングをやっている自負があるので、それは他から来た選手はみんな一様に驚いている。試合に出ていない選手がこれだけやるのかという意味では、そこを見せるチャンスだと思うし、彼らもそういう思いを持って試合に臨んでくれると思います」

前回対戦では後半立ち上がりまでに3点を先行される苦しい戦いを強いられたなか、そこからの驚異的な粘りで最終的に追いついて3-3のドローに持ち込む激闘を演じた鹿島との再戦に向けては、「Jリーグの中でも屈指のストライカー」と評するFW鈴木優磨を中心とする強力な攻撃陣を警戒。

「自分で裏を取ることができるし、受けて人を使うこともできる。それに際どいパスも出すことができるので、本当に日本でもJリーグの中でも屈指のストライカーだなと思います。対策があるのであれば、どこのチームもやっていると思う。彼の動きだけを見ていれば、他の選手がそこの穴を突いてくるというところも含めて鹿島は彼を中心に動いてきていると思う。鈴木優磨の動きに注目することと同時に、それに連動してスペースを突いてくる、連動して動いてくる選手たちにも注意を払わないといけない」

一方、直近のFC東京戦で改善は見受けられたものの、4試合ぶりの得点を目指す攻撃に関しては、今週に入ってクロスを中心に最後の一押しがカギとなるゴール前でのクオリティ改善にも取り組んできた。

「一番プレッシャーがあってスピードが高まる」ゴール前の攻防においてカギを握る「動き出しの速さや動き直し、動きの質」という抽象的な部分を具体的にしていくためのトレーニングを徹底したなか、「より抽象的なものを具体的に、よりハードワークを要求して、この得点がいま取れていない状況というのを打破したい」と、鹿島戦ではその成果を見せたいと意気込んだ。

なお、今回の鹿島戦では“TOKYO URBAN CROSS(都会的な交わり)”をコンセプトにグレイッシュグリーンを採用し、デジタルカモフラージュ柄のデザインの3rdユニフォームが初お披露目。装い新たにオリジナル10対決を制して、再浮上のきっかけとしたいところだ。

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