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波乱は予期せぬ時にやって来る…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2025年2月4日 21時0分

写真:©Real Madrid

「試合前日が冬の移籍最終日なんて、ちょっとイヤね」そんな風に私が落ち着かない気分でいたのは月曜日、コパ・デル・レイ準々決勝の兄弟分ダービー、アトレティコvsヘタフェ戦前のボルダラス監督の記者会見コメントを読んだ時のことでした。いやあ、確かに先週末のリーガでは、金曜夜にベティスからのレンタル移籍が決まった待望のアタッカー、FWファンミが翌日午後2時のセビージャ戦でもうスタメンに入るという、サプライズをしてくれたヘタフェだったんですけどね。指揮官曰く、フロントは市場クローズまで更なる補強に努めるそうで、となると、火曜午後9時30分(日本時間翌午前5時30分)のメトロポリターノのピッチに新顔が立っているなんてこともある?

ええ、この試合が今季のコパで初めて1部同士対決となるヘタフェは、16強対決ポンテベドラ(RFEF2部/実質4部)戦でアルバロ・ロドリゲスが退場。出場停止2試合を喰らっているだけでなく、ディエゴ・リコ、コバも出られませんからね。更にルイス・ミジャとニヨンが負傷でおらず、誰か入れば即戦力なのは当然なんですが、ただ、できるのはあくまで弟分の予算範囲での補強。昨季、マンチェスター・ユナイテッドからレンタルで来て大活躍、今季はオリンピック・マルセイユで13得点も挙げているグリーンウッドのような大当たりがそうそう、あるはずもないですしね。

ボルダラス監督も「Tenemos muy pocas opciones, hay que ser realista/テネモス・ムイ・ポカス・オプシオネス、アイ・ケ・セル・レアリスタ(オプションはあまりない。現実主義でないと)」と言っていたように、何せ、彼らはファンミが絶好機に外してしまい、後半丸々プレーしたボルハ・マジョラルも不発と、今季ここまで望める最善のスコアレスドローでセビージャ戦を終了。勝ち点1は積んだものの、その夜の大波乱でエスパニョールが降格圏を抜け出し、アラベスが18位となったため、14位の彼らとの差は相変わらず、勝ち点3ですからね。それも考えると、元々、ボルダラス監督はシメオネ監督に1度も勝ったことがないこともありますし、この辺りで胸を張ってコパに幕を引くのも悪くはないかと。

まあ、そんなことはともかく、先週末のリーガのマドリッド勢の試合を見ていくことにすると。22節は金曜のブタルケでの弟分ダービーから始まったんですが、これがまた、水曜のレアル・マドリーとのコパ準々決勝兄弟分ダービー前に士気を高めたかったボルハ・ヒメネス監督のチームにとって、気の毒な結果になってしまってねえ。というのも、前半23分には早くもシセが負傷してタピアと交代。更にロスタイムの47分には何と、エリア前でエヌテカを倒したキャプテン、守備と攻撃両方の要であるセルヒオ・ゴンサレスが一発レッド退場という憂き目に遭うことに。

後半は唯一の先発FWだったムニルを下げ、サエンスを入れて、5-4-0の陣形で0-0を保とうとしたレガネスだったんですが、33分には力尽き、CKからとうとう失点。ルジューヌのヘッドはバーに当たり、跳ね返りからのシセのシュートも一旦はGKドミトロビッチが弾いたものの、シセが倒れながら蹴り込んだボールがゴールラインを割ったんですが、いやあ、まさか後半ロスタイムにあんな悲劇が起こるとは!だってえ、せっかく振り返りVAR(ビデオ審判)モニター判定でブサラナツがエリア内でルジューヌに倒されたプレーをペナルティと認めてもらったのに、最後の希望を懸けて終盤にピッチに入ったエースのミゲール・デ・ラ・フエンテがPKをGKバタジャに弾かれてしまったんですよお。

それでもこぼれたボールをロジェがゴールにし、ブタルケのファンが奇跡の同点劇に狂喜乱舞していたにも関わらず、VAR注進から再びモニターをチェックした主審が、PKが蹴られる前にロジェがエリアに入ったとしてやり直しを指示。果敢に2度目のトライに取り組んだミゲールだったものの、反対サイドに蹴ってもバタジャに止められているって、ほとんど呪われているとしか思えないじゃないですか。

結局、バルセロナ、アトレティコに最少得点で勝ち、アスレティックとも0-0で分けた突極の零封力も10人では機能しないことがバレてしまったレガネスは、ラージョに0-1で敗れてしまったんですが、そこはやっぱり弟分。試合後会見で何故、2度目のPKキッカーを変えなかったのかという問いは皆無で、ええ、もしエムバペが同じ失敗をしたら、アンチェロティ監督が質問攻めに遭うのは火を見るより明らかですからね。「Cómo está Miguel?/コモ・エスタ・ミゲール(ミゲールの様子はどう?)」だけで済ませるとは、もしやレガネス番記者たちは優しい?

そんなレガネスは負傷交代したシセだけがお休みで、水曜午後9時30分のマドリー戦に挑み、今季リーガ前半戦0-3負けのリベンジ、そして2018年にコパ16強対決でジダン監督のチームを退けた波乱のリピートを目指すことに。その一方でこの勝利でマジョルカを追い越して、来季のコンフェレンスリーグ出場圏である6位に上昇。土曜には兄貴分のおかげでそれを最低でも1週間、維持できることになったラージョは、ええ、彼らはマドリッド勢で今週、唯一、コパがありませんからね。エスタディオ・バジェカスでのリーガ次戦も金曜と早いんですが、相手は最下位のバジャドリーですし、あまりゴール力が向上したようには見えないものの、今はこの勝ち癖をキープすることを心がけてくれればいいかと。

そして土曜は例のヘタフェvsセビージャ戦をコリセウムで見た後、私はセルカニアス(国鉄近郊路線)とメトロを乗り継いでメトロポリターノまで1時間ちょっとかけて移動。先週ミッドウィークにザルツブルクに1-4と勝って、CLリーグフェーズで2位のバルサに次いで、5位で16強対決直接進出2チーム目となったアトレティコがマジョルカを迎える試合を梯子観戦することに。何せ、前節はCL7節と最終節の狭間に当たったビジャレアル戦で大幅ローテーションしたのが祟ったか、1-1と引き分けて、首位のお隣さんと勝ち点4になってしまってしまいましたからね。

それこそリーガ次節では本家マドリーダービーが到来するため、この日はアトレティコを率いて節目の500試合となったシメオネ監督も絶対勝利が義務づけられていんですが、デ・パウルが累積警告で出場停止だったのはともかく、グリーズマンをベンチスタートにするとは勇気がある。それでも前半26分にはル・ノルマンがセンターでムリキから奪ったボールをエネルギッシュな監督の三男、ジュリアーノが受け、ドリブルで斜めに駆け上がるとサムエル・リノへラストパス。ビジャレアル戦でも同点ゴールを挙げていたのが自信になったか、今季失敗し続けていたニアポストではなく、ファーポストを狙って撃ったシュートにはGKグレイフの長い腕も届かず、先制点になってくれたから、助かったの何のって。

ただその後はグレイフにジュリアーノの至近距離シュートを弾かれたことなどもあり、なかなか追加点が入らなかったにも関わらず、シメオネ監督はコパを睨んだプレー時間調整で、後半16分にはフリアン・アルバレス、ジュリアーノをグリーズマンン、ギャラガーに交代。28分にはバリオス、デ・パウルらの出場停止者が相次いだせいで、ここ3試合連続先発となったコケがコレアに、最後はジョレンテとリノがモリーナとリケルメに代わっても、スコアはずっと1-0のままだったんですけどね。

おまけにル・ノルマンが途中出場の浅野拓磨選手を倒してイエローカードをもらい、マドリー戦に出られなくなってしまったなんてこともあったんですが、その間にマジョルカも大型FWムリキを中心にセットプレーなどで、GKオブラクを脅かすようになってきてねえ。それでも何とか、45分を過ぎたため、この日はこのまま虎の子の1点を死守して勝つのかと誰もが思ったところ…ロスタイム3分、魅せてくれたんですよ、グリーズマンが。

そう、センターでセルロートが取り戻したボールをリケルメが繋ぐと、ドリブルで上がった彼はグライフが自分に向かって来るのを見て、エリア前からvaselina(バセリーナ/ループシュート)を放つことに。それがスッポリ、ゴールに入っちゃうんですから、年はとっても決して才能は色褪せない?おかげで最後は2-0の余裕のスコアとなり、リーガで2試合ぶりの白星を挙げたアトレティコだったんですが、いやまあ、その時は首位のお隣さんとの勝ち点1差は、どうせすぐまた4に戻るだろうと全然、期待していなかったんですけどね。

そのせいで自宅近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)に入るまで、直後の時間帯にマドリーがベストメンバーを並べて始まったエスパニョール戦をネットでまったくチェックしていなかったんですが、すでに後半10分を過ぎていたにも関わらず、0-0のまだだったことにまず目をパチクリ。聞けば、前半15分には、トップチーム唯一の本職CBとして出ずっぱりだったリュディガーがついに右太ももを負傷。アセンシオと代わったことはともかく、21分にはスコアに挙がらなかったゴールがあったのだとか。

そう、ロドリゴのアシストで、CL7節ザルツブルク戦以来、2試合ぶりの出場となったビニシウスがシュートを決めたものの、その時、エムバペがロサノをひっくり返すファールを犯していたとされたんですが、それだけでなく、やっぱり年明けから、ずっと週2試合の過密日程が続いているツケを払ったんでしょうかね。前半のマドリーはかなりスローモードだったようで、それでもどうせ最後は辻褄を合わせるんだろうと思って見ていれば、いやいや。後半はGKジョアン・ガルシアが大活躍し、ベリンガム、エムバペ、ロドリゴ揃って、paradon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまってはどうしようもありませんって。

え、それでも16分に前を走るエムバペにスパイクを立ててタックルし、何メートルも転がしていたロメロがイエローカードではなく、レッドカードで退場させられていたら、少なくともマドリーは負けることはなかったんじゃないかって?その通りで、アンチェロティ監督も「A nosotros nos parece inexplicable que no se sacase roja/ア・ノソトロス・ノス・パレセ・インエクスプリカブレ・ケ・ノー・セ・サカセ・ロハ(私たちにしてみれば、レッドカードを出さないのは説明不可能に見える)」と言っていたそのジャッジに関しては、月曜にクラブが4ページにも及ぶ、審判団の扱いがマドリーに対して不公平、組織の大刷新が必要という抗議文書をスペイン・サッカー協会に送りつけ、話題の中心になっていたんですけどね。

それがまた、皮肉なもんで、後半40分まで必死に0-0を守っていたエパニョールがとうとうカウンター攻撃に成功。オマルが左側から上げたクロスをvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んだのが、まさにピッチにいないはずだったロメロだったとは!バルベルデに当たって微妙にコースの変わったボールがGKクルトワを破り、1-0とされたマドリーは即座にルーカス・バスケスをブライムにして、3人DF体制で反撃に出たんですが、でもねえ、それが35分に入ったモドリッチに続く、ようやく2人目の交代だったんですよ。

もちろん、ピッチにビニシウス、エムバペ、ロドリゴ、ベリンガムがいれば、それが一番、ゴールに近い道とアンチェロティ監督が信じるのも理解できますが、その辺は今季13得点と、交代出場選手のゴールがヨーロッパのビッグリーグ一多いアトレティコとはかなり対照的。結局、最後はビニシウスやエムバペのシュートも外れてしまい、十八番の根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を見せることもなく、そのまま1-0でエスパニョールに負けてしまったマドリーなんですが、いやあ、珍しいこともあるんですね。

おかげでアトレティコにマドリーダービーで首位奪回の目が出て来たのは嬉しいんですが、心配なのはコパのレガネスの方で、マドリーにヤツ当たりでgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)されたりしない?実際、リュディガーが全治3週間となったため、CBコンビがチュアメニとアセンシオ、もしくは途中出場で実戦のリズムと取り戻しつつあるアラバとなったところで、アトレティコはともかく、元々、それ程、攻撃力が高くないボルハ・ヒメネス監督のチームには関係なさそうですしね。ただこちらもお隣さんのヘタフェと同様、そろそろ、現在降格圏と勝ち点2差のリーガ残留の戦いに専念したい気持ちがあるとすれば、コパ敗退は渡りに船かと思いますが…。

いやあ、なんてことを話しているうちに、やっぱりヘタフェの駆け込み補強が出たんですよ!夕方、アレニャがレンタルでアラベスに行くと聞いた時から、怪しい気がしていたんですが、午後8時半にはPSGから今季ビジャレアルにレンタル移籍していた左SBのファン・ベルナトが加入。すると10時にもまた、ビジャレアルから24才のボランチ、テラツがレンタルで来ることになったんですが、え、もしやこれ、後者はともかく、ベルナトは出場停止のディエゴ・リコに代わって、火曜のアトレティコ戦で即デビューの可能性、かなりない?今のところ、兄貴分2チームも他の弟分たちもこの市場では何もせずに終わりそうなんですが、火曜の朝にはステルス移籍がないか、一応、確認しておかないとですね。

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