富士通と仏Inria、異常要因を特定する世界初の時系列AI技術を開発
週刊BCN+ / 2021年7月19日 17時0分
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富士通と仏国の国立研究機関であるInriaは、時系列データで異常な状態と判定した要因を特定するAI技術を開発した。
時系列データの場合、AIの判定要因が多種多様に存在するため、専門家であってもどのようなデータの変化が異常判定に影響したのかに気づきにくく、異常な状態への適切な対応や防止策につなげることが難しいという課題があった。そこで、富士通とInriaはTopological Data Analysis(TDA)技術をベースに時系列データでのAIによる異常判定の要因を特定。正常と異常間の判定の変化を視覚的に分かりやすく提示できる技術を、世界で初めて開発した。
具体的には、富士通が開発した時系列データを特徴ごとに分類して異常検知する解析技術を用いてAIで異常と判定されたデータから異常判定の要因となった特徴とそうでない特徴を平面(TDA空間)上にマッピングする。その平面上で、要因となった特徴の点データを要因でない特徴の点データ群に近づける変換を行う。
変換後の点データ群の特性に基づいて、時系列データを復元し、正常と判定されるデータを生成。これにより、正常と異常の時系列データの形状を比較でき、ユーザーは異常の原因究明を視覚的に行うことができる。
外部研究機関の協力を得て、脳波の実データを活用したせん妄検出に同技術を適用したところ、時系列データの波形の特徴がせん妄状態に現れるSlowing現象と一致することが確認できたという。これらの結果から、時系列データの読影を通じて病気の原因を推定する際の参考にすることが期待できる。
また、これまで困難だった病気の予兆判断や予防的な治療法の発見、解明されていない病態のメカニズム解明への応用など、医学的発展につながることが期待される。
富士通とInriaは、今回共同開発した技術について、企業の業務現場や研究機関の実験などでの活用を促し、技術検証していく。また、富士通では同技術の改良を重ねて2021年度中にAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」の一つとして実用化し、幅広い分野への展開を目指す。
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