AI活用をテーマにセミナーを開催 高性能ワークステーションなど法人向け製品を強化
週刊BCN+ / 2023年10月19日 9時0分
![AI活用をテーマにセミナーを開催 高性能ワークステーションなど法人向け製品を強化](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/weeklybcn/weeklybcn_200783_0-small.jpg)
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サードウェーブは10月6日、AI活用をテーマにしたセミナー「Dospara plus Synapse 2023」を都内で開催した。AIの機械学習に利用できる高性能ワークステーションなどの新製品を発表。今後、AIを切り口とした法人向け製品やサービスの企画開発にさらに注力していくと説明した。
(取材・文/堀 茜)
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セミナー冒頭で登壇した尾崎健介社長は、同社が来年創業40周年を迎えることに触れ、当初の小売り・製造というビジネスから、システム開発やeスポーツ事業などへと注力分野が変化してきたことを紹介し、「重視している法人向け事業の中でも、AI活用を支援できるサーバーやワークステーションの製品開発に力を入れる」と述べた。AI活用の広がりについては「クラウドでの活用と、各企業が独自に学習させるAIの2軸で今後爆発的に広がっていく」との見通しを示し、「最高性能の製品を各企業、研究者に提供すると同時に、AI向けのクラウドサービスも強化する」と展望した。
井田晶也・取締役兼上席執行役員副社長は、クライアントコンピューティング事業の展望をテーマに講演した。AIをめぐる動きについては「クラウドとエッジ端末でやり取りされるデータ量は爆発的に増えており、今後3年間で生成されるデータ量は、過去30年間の総量を上回ると予測されている」と指摘。「当社のPCやワークステーションは、AIの利活用に大きな役割を果たせる。次の100年の成長に向けて、AIのミッションを遂行していきたい」と意気込んだ。
ビジネスの方針については「コンシューマー向けで当社は一定のポジションを確立した。戦略的転換点として、法人向けに今後AIを中心とした製品やサービスの企画開発によって大きく飛躍していきたい」と述べた。
同社は9月、製品ブランドの再構築を発表し、「GALLERIA」「raytrek」「THIRDWAVE」の三つに集約した。同日は、法人向けブランドのraytrekで初となる、米NVIDIA(エヌビディア)のRTX Ada世代、Aシリーズ、Tシリーズなどのグラフィックボードを搭載したワークステーション「raytrek Workstation X4630」を筆頭に、スリムデスクトップPCなど5製品を発表した。
会場でX4630を紹介した井田副社長は、高解像度の映像編集、ディープラーニング、3D CAD、AI開発など適した用途を説明し「当社の得意分野であるカスタマイズも含めて、さまざまなことができるワークステーションに仕上げた。大学や研究機関でのゲノム開発、製造業でも活用できる」とアピールした。会場では、X4630などの新製品を並べたブースが設けられ、参加者が性能などについて質問する様子が見られた。
また、同社内のAI活用事例と顧客がAIを活用するためのプラットフォームについて、法人営業統括本部の高橋良介・上席執行役員が紹介した。神奈川県綾瀬市の本社工場では、注文を受けたカスタマイズ製品の組み立て時に、生産に必要な部材を選んだり、出荷時にスペックごとに適正なシールを張ったりする作業に、AIの画像解析を導入している。高橋執行役員は「人間の誤判断がなくなり、作業のトレーサビリティが構築できた」と述べた。最大で月に4万台を生産できる工場で、99%の製品を注文から2日で出荷する短納期の体制をAIが支えているという。
顧客がAIを活用するためのサービスについて、高橋執行役員は「オンプレミスとクラウドの両面で支援する」と表明。クラウドサービスについては、リモートワークに対応するものと、生成AIなど負荷の高い処理を行うものの二つを展開する計画だ。「大手クラウドベンダーよりも割安になる予定で、コストメリットを出していく」(高橋執行役員)との方針を示し、近日リリースするとした。
セミナーは、日本マイクロソフト、インテル、エヌビディア、アドビの4社が協力し、各社が自社のAI関連の取り組みを発表した。エヌビディア日本法人エンタープライズ事業本部の高橋想・プロフェッショナルビジュアライゼーションビジネスデベロップメントマネージャーは、同社が提供しているAIを活用したデジタルツインのプラットフォーム「NVIDIA Omniverse」の最新事例を紹介した。高橋マネージャーは「ハードウェアメーカーのイメージが強いと思うが、ソフトウェア開発にも力を入れている」と述べ、台湾の製造業の工場での事例を提示。「不良品検査は、現実には発生頻度が低いので事例が集まりにくい。デジタルツインの仮想空間で不良品のデータを集め、AIに学習させている」と解説した。
会場では協力企業4社がブースを用意し、参加者が各社のAI関連ソリューションに触れた。
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