北川景子の怪演ドラマ『家売るオンナ』はいかにパワーアップしたか

wezzy / 2019年2月14日 21時5分

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 北川景子の怪演が光る『家売るオンナの逆襲』が好調だ。初回視聴率は12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の好スタートを切り、第二話は12.9%に上昇。第三話からはやや数字を落としてしまったが、変わらずの2桁台をキープしている。謎に包まれたフリーランス不動産・留守堂(松田翔太)の正体が判明する注目の第五話は、第四話より0.8%ポイントアップの11.8%を記録した。

 本作は高視聴率を叩きだした『家売るオンナ』(2016年7月期)の続編。それまでは、演技力よりも美しい容姿のほうが話題になることの多かった北川だったが、三軒家万智という特異なキャラクターが妙にフィット。北川史上最大の当たり役となった。

社会問題を取り入れたストーリー

 さまざまな切り口で世の中の問題に切り込む『家売るオンナの逆襲』。これまで放送された五話までで、熟年夫婦の住み替え問題、炎上YouTuber、独居老人とネカフェ難民、LGBTを取り巻く問題など、日本社会が現在進行形で抱えるさまざまな事象に焦点を当てている。どの内容も心温まる人間ドラマになっていながら、現実では解決の難しい複雑な問題を三軒家が独特の理論で次々と解決していくのが痛快だ。

 特に第二話の独居老人とネカフェ難民の回は冴えていた。泉ピンコ演じる神子が、自身を幼児扱いする介護施設の職員に「赤ちゃんじゃないんだよ!」と怒りをあらわにしたり、ネカフェを「吹き溜まり」と評した三軒家に対し「今日頑張れなかった人間にも明日は来る、人生は続くんだ!必死でがんばってもできないやつもいるんだよ、世の中には吹き溜まりだって必要なんだよ!」と反論したりと、普段感じていても言葉に出すことが憚られる「思い」を赤裸々に代弁させていた。

 この回を観て将来の自分に危機感を感じた視聴者は少なくないだろう。今現在平和な生活を送っていたとしても、ネカフェを住居がわりにしたり、介護施設に入所することは起こり得る未来なのである。

注目の第五話は美醜問題にスポットを当てた展開

 連戦連勝で無敵の三軒家だが、第四話で謎の男・留守堂に顧客を奪われてしまった。まさかの敗北に職場が騒然とする中、当の本人は有給休暇を取得して姿を消してしまう。そんな中、三軒家と小学校で同級生だったという田部竜司(柄本時生)と婚約者・奈々(知英)がテイコー不動産へ家を探しにやって来る。外見に強いコンプレックスを抱える田部は、家選びは外観重視、婚約者も外見で選んだと言い切り、見栄えの良い家を熱望するのだがーー。

 美醜問題に焦点を当てた第五話は「ブスの遺伝子はいらない」「君はあの顔を嫁にできるか?」など危険なワードが盛りだくさん。繊細な問題を重くさせすぎず、かといって軽くも描かない大石静の脚本力は秀逸だ。

 さすがの三軒家でも、外見に強いこだわりを持つ田部を陥落することは難しいのでは? と解決が危ぶまれたが、「私に売れない家はない!」といつもの決め台詞で、三軒家は今回の難問も華麗に解決。毎度ながら、強引で斬新な解決方法ではあるが、ホッとするラストだった。

パワーアップした面々たち

 「テイコー不動産」の個性的な社員たちは前作に引き続き健在。振り切ったキャラクターたちは観ていてとても楽しいが、前作には微塵も感じとることのできなかった足立(千葉雄大)の『おっさんずラブ』要素が唐突過ぎて戸惑いを隠せない。

 『おっさんずラブ』人気にあやかった展開なのは十分に理解できるのだが、果たして本当にこの設定は必要だったのだろうか? やはりいろいろ詰め込みすぎな印象が否めない。しかし、強気な足立が恋をして優しくなったり弱気になったりする様子は微笑ましく、恋の行方がどうなっていくのか結局気になってしまう。

 今作から新規加入した今どきの若手コンビ・鍵村(草川拓弥)と床嶋(長井短)も、少々極端ではあるが「こういう若手いるなぁ」と納得の2人。覇気がなく人を食ったような態度の鍵村と、仕事中に平然と居眠りをするやる気のない床嶋。どちらも好感が持てない憎たらしいキャラクターたちだが、三軒家マジックでどう変化していくのか楽しみである。

 そして、『家売るオンナの逆襲』最大のキーマンといえる留守堂。「フリーランスの不動産営業」ということ以外謎に包まれていた彼だったが、第五話では、実は三軒家の小学生時代の同級生であることが発覚し、衝撃の事実が明らかになる。三軒家のクールな強敵・留守堂だったが、その真意を知った三軒家はどう出るのか? 今後の留守堂の動きにも要注目だ。

愛すべきキャラクター・三軒家万智

 『家売るオンナの逆襲』は、ツッコミどころはたくさんあるものの、楽しい作品であることには間違いない。非の打ちどころのない美人女優である北川が、前作と比べ奇行のパワーアップした三軒家を全力で演じる姿はギャップがありすぎて笑いを誘う。

 変顔や奇妙な動作など、振り切った演技に北川の強い「女優魂」が感じられ、コメディエンヌとしての才能は確か。コメディエンヌとしての才能を開花させ大活躍中の女優・長澤まさみしかり、美女+コメディーのタッグは最強なのかもしれない。

 三軒家という「笑わない」異様なキャラクターが強烈すぎて、違和感を抱く視聴者もいるかもしれない。しかし、夫で課長の屋代(仲村トオル)を大切に思うあまり、食事を各国のフルコースにしてしまったり、落ち込んでいる屋代を「夫の愚痴を聞くのは妻の務め」と無表情で励ましたりと、不器用すぎるが一生懸命な人物でとても応援したくなる。あとは三軒家が夫にだけ一瞬見せた笑顔を、いつか視聴者にも見せてくれる日が来るのか、楽しみに待ちたい。

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