『いだてん』視聴率の下落で「打ち切り検討」に異論

wezzy / 2019年2月19日 19時5分

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 宮藤官九郎が脚本を担当するNHKの大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(以下、『いだてん』)がさらに苦しい状況に立たされている。

 2月17日に放送された第7回の平均視聴率は9.5%(ビデオリサーチ調べ)だった。『いだてん』は第6話で「大河ドラマ史上最速の1桁台(9.9%)陥落」という不名誉な記録をつくってしまっているが、今回はさらに数字を落としたことになる。

 『いだてん』の低視聴率を扱う記事も玉石混淆ありつつ多数出ているが、そのひとつの内容の真偽について、演出スタッフとしてドラマに参加している映画監督の大根仁氏が異議を申し立てた。

『いだてん』の視聴率に悲鳴が起きたと伝える記事

 ニュースサイト「日刊ゲンダイDIGITAL」は2月16日に「大河史上最速で視聴率1桁転落…「いだてん」を襲うNHKの包囲網」と題された記事を配信している。

 この記事では、「制作関係者」が、『いだてん』第6回の視聴率が発表された瞬間、編成局やドラマ担当者から<悲鳴にも似たどよめき>が起こったと伝えており、その衝撃は<ある幹部は頭を抱えてその場にヘナヘナと座り込んでしまうほど>であったと語っている。

 さらに、「NHK関係者」は<今後は打ち切りについても真剣に検討する必要性もあるということです>と証言。

 そして記事では、NHK側による脚本チェックも始まっていて、上層部からは<登場人物を整理せよ>との指令まで飛んでいると書かれている。

 これに対し、大根仁監督はこのようにツイートした。

<おかしいなあ。どよめきも悲鳴も無かったし、頭を抱える幹部なんていなかったし、脚本チェックも無いし、登場人物に口を挟んでくる局上層部もいませんよ日刊ゲンダイさん!(制作関係者w)>

NHKは『いだてん』の視聴率は気にしないと宣言している

 『いだてん』に関しては放送開始前から不評の声が多かった。その要因のひとつは、『いだてん』が現代劇であるということだ。大河ドラマが近現代を扱うのは橋田壽賀子が脚本を担当した『いのち』(1986年)以来であり、題材選びの時点ですでに従来の大河ドラマの視聴者からの反発は強かった。

 さらに、宮藤官九郎の脚本の持ち味は展開の早いストーリーや情報量の多さであり、そのスピード感についていけずに視聴を断念するシニア層の視聴者が多いとの評価もある。

 ただ、NHKにとって大事なのは、一回一回の視聴率の上下ではなく、むしろ、内容や、作品全体としての評価なのだろう。というのも、1月23日に開かれた定例会見で木田幸紀放送総局長は、<1回1回のリアルタイム(視聴率)はそんなに気にはしていません>と明言しているからだ。

 木田放送総局長は、<宮藤官九郎さんの脚本の世界は凄く面白かったという人と、わかりにくかったという人の意見が交錯する。思い出せば『あまちゃん』の始めの方もそんな感じだったなと>と、過去の宮藤官九郎脚本作品のデータを参照したうえで、<宮藤脚本はすでにいろいろな仕掛けが張り巡らされているんです。先にいくと、これはあの時はあれがこうなってたのかとなる。おそらく今回もそうなっていると思う。1回見てすべてが分かるものではない。あとで戻ってみてもらうという、そういう楽しみ方になるのかなと>と、『いだてん』を分析。そのうえで、<1回1回のリアルタイム(視聴率)はそんなに気にはしていません>と語っている。



 2月13日の定例会見では木田放送総局長の口から、物語の分かりにくい部分をPRや解説番組で補うテコ入れ策が初めて語られたが、その一方で、<1回1回のリアルタイムの視聴率はあまり気にしないが、リアルタイムでも少しでも多くの人に、ということに越したことはない>とも語っており、多少トーンダウンした面が見られるものの、それでも、視聴率の上下で一喜一憂しない方針を再度語っている。

大河ドラマのマンネリを打開するために企画された『いだてん』

 NHKがブレない姿勢を貫いているのは、『いだてん』が「大河ドラマ」というマンネリ気味なコンテンツに対する「テコ入れ」の側面もあるからだろう。

 20世紀には軒並み平均視聴率20%越えを記録していた大河ドラマだが、21世紀に入ってからは右肩下がりで、2010年代に入ってからは特にその傾向が顕著である。

 平均視聴率が20%台に届いた作品は『天地人』(2009年)を最後に一作品も出ておらず、『平清盛』(2012年)は12%、『花燃ゆ』(2015年)は12%、『おんな城主直虎』(2017年)は12.8%、『西郷どん』(2018年)は12.7%と、12%台の作品が増えている(ちなみに、1963年の大河スタートから2010年代に入るまで12%台まで落ちた作品は一作品もなかった)。

 こういった状況下で『いだてん』は、新たな視聴者層を大河ドラマに取り入れてマンネリ化が著しいコンテンツを刷新しようとしている。

 事実、その狙いはある程度達成されており、普段は大河ドラマに触れることのない年齢層の人々による投稿でSNS は盛り上がりを見せている。ただ、現時点では、数字面でも話題面でも、『あまちゃん』序盤ほど上り調子ではない、というのもまた事実だ。

 新しいチャレンジは叩きやすい。その挑戦が「成功している」とは言い難い状況なのであれば尚更だ。

 大河ドラマの放送期間は長い。12月まで『いだてん』の視聴率に関する記事はたくさん発信されていくだろう。制作陣はどうか、醜聞に負けないで頑張って欲しいと願うばかりだ。

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