弘中綾香アナ、過剰な報道・ゴシップに反論 「負のロールモデル」を拒絶する女性アナウンサーたち

wezzy / 2019年5月28日 7時5分

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 昨年12月にオリコンが発表した「第15回好きな女性アナウンサーランキング」で、有働由美子アナに継いで2位にランクインするなど、大人気の弘中綾香アナ(テレビ朝日)。

 そんな弘中綾香アナが雑誌「Hanako」(マガジンハウス)のウェブサイト「Hanako.tokyo」で連載を始めたのだが、その内容が話題を呼んでいる。

 5月17日にアップされた第一回目のコラムで弘中綾香アナは、これから始まる連載にあたっての所信表明を書いている。その書き出しは<書かなければ私の中の何かが壊れる、という衝動につき動かされている。なぜなら、本当の私がこの世から無くなりそうだから>というショッキングな文章だった。

 弘中アナはテレビに出るようになって色々な人から様々な意見をもらうようになった。とはいえ、弘中アナ自身はテレビ朝日に入社する前はそういった部分も含めて表に出る人の役割なのだとずっと認識していたし、そういうものだと思っていたと綴る。

 ただその一方で、<一度こちら側に立ってみると、なんと息のしづらいこと>とも、本音を吐露している。仕事のことでもプライベートのことでも、さまざまに詮索され、あることないことを書かれることは心身に強い負荷をかけるだろう。

 実際、弘中アナはONE OK ROCKのギタリストであるToruとの交際を週刊誌に撮られるなど、プライベートに踏み込まれる報道を経験している。

 また、週刊誌やネットニュースにゴシップ記事が載ることもしばしばだ。ここ最近でも、「FLASH」(光文社)2019年5月28日号の特集<テレビ業界235人が「好きな女子アナ」「嫌いな女子アナ」>において、制作会社ディレクターを名乗る人物の<上の人間と下の人間、相手の立場によって態度が全然違う。お高くとまっている感がハンパない>との真偽不明なコメントが掲載されていた。こういった記事は「FLASH」だけではなく、それこそ星の数ほど転がっている。

 だからこそ、なのだろう。自分の気持ちを自分の言葉で過不足なく伝えることのできる「文章」というツールを<私に対する世間のイメージへの挑戦であり、抵抗であり、希望の光>と表現して、連載エッセイ第1回は締めくくられている。

「結婚はしなくてはいけないもの」という世間の押し付けに反発

 いま現在も地上波キー局のテレビ局にアナウンサーとして籍を置いている人物が公に発表した文章としてはかなり異色のものに映るが、この宣言は弘中アナらしいものである。



 たとえば、4月20日深夜放送『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)での発言は話題となった。この日の『オールナイトニッポン』は、4月18日に『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)で春日俊彰が長年連れ添った恋人へのプロポーズが放送された直後のもの。オープニングトークからこの話でもちきりだったのだが、若林正恭から<結婚願望あるの?>と聞かれた弘中アナは即座にこんな答えを返していたのだ。

<私、結婚ってしなきゃいけないのかなって考えているほうの人間なんです。すごい面倒くさい人間なんですけど。昨日の『モニタリング』も見て、なんでこうも世間は結婚しなくてはいけないのか、または、結婚イコール幸せと考えているのか。その一元的な発想に、ちょっと『う〜、胃もたれ……』っていう感じでした>

 弘中アナは続けてさらに、<そういうふうにみんなが『春日さん良かったね』『けじめつけたね』っていうふうに言うと、じゃあ、『私とか若林さん、結婚してない側の人間は幸せじゃないんですか?』っていうことを問いたい。世の中に対して。私はすごい幸せ、いま。結婚してないけど。(若林に向かって)いま幸せですよね?>とも発言している。

 こういう場合、表面上だけでも結婚を祝うのが世間で生きるうえでの「暗黙の了解」といったものだが、弘中アナはそういう縛られた価値観こそ真っ先に壊したいと語る。

<“こうしなきゃいけない”とか、“こうしないと普通じゃない”みたいな、世間のそういうものを変えていきたいんです。革命家になる。概念とか、ルールとか(を壊していきたい)>

 その言葉を聞いた若林は、恐る恐る<さっき俺がした『結婚願望あるの?』とか、そういう質問もダメなのかな、本来>と質問。すると弘中アナは先輩芸人を<ちょっと、ダサい>と一刀両断するのだった。

「負のロールモデル」になることを拒絶し始めた女性アナウンサーたち

 弘中アナと同様に、「言いたいこと」「言うべきこと」を堂々と発言し、“番組の花”や“スタジオの置物”として消費されることへの違和感を表明する同業者として、元TBSアナウンサーで現在はフリーアナウンサーの宇垣美里アナがあげられるだろう。



 とはいえ宇垣アナも、入社当時は先輩アナウンサーにどこで服を買っているか質問して合わせたり、「あなたは笑っているだけでいい」というスタッフの失礼な指示に従っていたという。

 これまで受けてきた複数のインタビューのなかで宇垣アナは、その頃の自分の行動を「擬態」と表現している。世間が「女性アナウンサー」という立ち位置に求めるものに敢えてなりきっていたわけだ。

 しかし、「お人形」でしかない役割にストレスを感じ始めたのと同時に、共演者から「台本通りにやっているからつまらないんだ」と言われたことに怒りを感じ台本を捨てて番組に臨んだらのびのびと仕事ができた成功体験などが重なり、宇垣アナは「擬態」をやめたという。

 そして、『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)や、『サンデー・ジャポン』(TBS)といった番組を通じ、“自分自身を表現すること”を評価されるようになって、決定的に仕事への向き合い方が変化した。そしてそれが、TBS退社のきっかけにもつながってくるという。彼女はエッセイ集『風をたべる』(集英社)でこのように綴っている。

<特に2018年の変化というものはすさまじく、ある意味ふっきれて、仕事に対するスタンスが変わりました。
「私の人生なんだから、私がやりたいことをしよう! 自分の選んだ言葉だけを口にするんだ。できないことをできるふりして、無理するのもやーめた!」>

 女性アナウンサーはこれまで「進行役の男性MCの横にいて頷いているだけの人」「スタジオの見た目を華やかにする職場の華」といった立場を背負わされ、彼女たち自身も「負のロールモデル」としての立場を受け入れざるを得なかった。

 報道番組でさえその要素はしつこく蔓延っており、ましてバラエティ番組の世界ではまだまだその傾向が色濃く残っている。

 しかし、弘中アナや宇垣アナのような存在が(現状では異色扱いされるとしても)世に出て、さらに、世間の支持を集めているという状況は、この社会もわずかではあるが確実に1歩ずつ歩みを進めていることの証左でもあるだろう。

 2人だけに限らず、がんがん自己主張する女性アナウンサーがもっと増えてもいいはずだ。彼女たちがテレビで示すコミュニケーションのあり方は、市井の人々のコミュニケーションのあり方に多大な影響を及ぼす。だからこそ彼女たちの行動や態度は、社会を変える大きな一助となる。

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