皇后雅子さま称賛の「手のひら返し」に透ける日本人の本音

wezzy / 2019年6月17日 9時5分

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 4月1日の新元号発表前から、日本は軽く浮かれていた。元号が変わることや、そこで何かの流れが変わるというあいまいな期待感から来るもので、新しい天皇皇后に対して特別大きな期待を持っていたわけでもなかった。

 それが、トランプ大統領夫妻の来日を機に、潮目が変わる。新皇后の雅子さまが脚光を浴びた。6月1日の名古屋での公務「第七十回全国植樹祭」でも、沿道に若い世代のファンが多くみられたという。

長い不遇の時代を乗り越えての復活劇

 これまで雅子さまに対して特別大きな期待をしていなかった人が多かったのは、やはり現在もご療養中であることが大きかっただろう。

 2003年12月に帯状疱疹で入院し、翌年に適応障害と発表されてから療養生活を送っていた雅子さま。それから16年、今も体調には波があるということで、宮内庁の医師団は全快したとの発表はしていない。

 慣れない皇室の慣習、男子のお世継ぎをひたすら求められるプレッシャー、そのために海外へ行くことを制限され、味方のはずが実は敵という旧態依然の宮内庁の対応……。外務省のキャリア官僚の中でも北米局という花形部署で活躍していた独身時代とは違い、かごの中の鳥のようになってしまった雅子さまを、最初こそ気の毒に思っていた国民も、ご療養の長期化により冷めた反応になっていった。

 ご公務に関しては、特定の国の大使としか外交をしない、特定の団体の時しか出席しないなど、選り好みをしているのではないかという批判もあった。

 愛子さまの教育方針についても、同伴登校を続けたり、不登校を容認するなど、母子の関係が近すぎる、過保護で不健康とバッシングされた。平民ではなくなったのにご実家の小和田家によく帰るのは甘えだ、との見方もあった。

 上述したようなバッシングは、この16年間の週刊誌報道からも明らか。しかし不遇だった雅子さまが、アメリカとの外交という大きな舞台において鮮やかに活躍されたことで、一気にスポットライトが当たるようになった。雅子さまのイキイキとしたご様子に、世の中は手のひらを返して絶賛した。

救世主の登場

 皇室外交が大成功というニュースが入ってきたのは、トランプ大統領の来日後、安倍首相がアメリカのいいようにされているといった不満が噴き出たその直後だった。

 天皇皇后両陛下を前にしたトランプ大統領はいつになく上品な態度で、かつ親しみを感じさせるリラックスした表情をしていた。クールな印象の強いメラニア夫人に笑顔が見られたことにも、人々は感嘆した。雅子さまと一緒に声をあげて笑うような場面もあったという。

 両陛下の英語力についてトランプ大統領が驚いたという報道もあり、ようやくトランプ大統領と渡り合えるような存在が出現したという痛快さを国民は感じた。もちろん、天皇は日本の象徴であり、政治的な権限は憲法で制限されているが、今回の皇室外交が国と国との関係になんらかのポジティブな影響を与えるだろうという期待感を抱かせたことは確かだ。

 トランプ大統領から雅子さまに対し、「メラニアは皇后陛下を大変尊敬しています」という発言もあったとも報じられた。雅子さまの発言やふるまい、態度からにじみ出る品格、知性、心遣いなど人間力すべてが評価されたことをうかがわせる。

 皇后になられたことで、ご成婚の頃も盛んに書かれていたが、改めて雅子さまのバックグラウンドに注目が集まった。父親が外交官という家庭環境のなか、田園調布雙葉学園で小・中・高と過ごし、アメリカの高校からハーバード大へ。卒業時には、経済学部で3人だけが選ばれる優等賞を受賞。その後東大を途中退学して外務省に入省、途中オックスフォード大学に留学するという、一般人がお嬢様やエリートを思い浮かべるときの像を大幅に振り切るほどのハイスペック・ハイキャリアぶりに人々はため息をつくばかりだ。

 改元に際してテレビ各局はご成婚前の映像を多く流したが、それを見ると、当時の記憶よりも数段美しい雅子さまの姿に目を奪われる。日本語を話していても英語を日常的に使っている人独特のアクセントがあり、それもキャリアウーマンらしさを演出していた。

未だに「英語力」への注目度が高い日本

 両陛下とトランプ大統領夫妻との会見を伝えるネットニュースのタイトルは、以下のようなものが並んだ。

「両陛下、トランプ米大統領夫妻と英語で会話」

「両陛下、国際公務デビュー トランプ夫妻と英語で歓談『強い友情の絆』」

「令和時代の新皇室像、英語でトランプ夫妻と語り合う」

「トランプ氏と両陛下が会見 代替わりや相撲を英語で懇談」

 さらにツイッターでは「#通訳なし」が一時トレンド入りするといった事態。

 この現象に、違和感を抱いた人もいただろう。両陛下は国際的な場面におけるトータルなコミュニケーション能力が優れているのに、いまどき英語力の称賛がメインに来るのは時代錯誤ではないのだろうか。ここに日本人の英語コンプレックスの根深さを改めて感じる。

 通訳を介することで生じ得るタイムラグ、人を間に挟む奇妙さ、ニュアンスの微妙なずれ、そういったものを取っ払って軽やかに話すことができた。それは大きなことだ。特に雅子さまは、外務省北米局に勤務していた頃はアメリカ通商部との国際交渉で通訳官を務めたほどの英語力だ。

 雅子さまは、ニューヨークの幼稚園、ボストン郊外の高校、そしてハーバード大学などでアメリカの英語に接している。とはいえ英語は、海外に暮らしただけで上達するようなものではない。さらに雅子さまは、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ロシア語などにも堪能だという。語学に才能があり、数カ国語を操る人をリンギストというが、幼少期からの環境、才能、努力が合わさり、日本人には珍しい語学の達人となった。

 誰でもできることでは決してないものの、多くの日本人は、特に英語を流暢に操ることに対して惹きつけられてしまい、ネットでも大絶賛が沸き起こった。

「あぁ、もう本当に雅子さまかっこいい」

「嬉しいし誇らしい!」

「どこに出しても恥ずかしくない」

 両陛下は、皇太子皇太子妃の時代から、現在のような姿を目指してたゆまぬ努力を続けてこられたことだろう。語学力や国際的な視点は、今の時代の外交に当然必要な能力ととらえていたのではないだろうか。

 対して、日本国民の英語力はどうだろうか。16カ国に語学学校を持つ世界最大規模の国際教育機関「EF(イー・エフ・エデュケーション・ファースト)」が毎年発表しているEF英語能力指数ランキング(EF EPI)によれば、2018年の日本は、88カ国および地域中49位だった。

 「非常に高い」「高い」「標準」「低い」「非常に低い」とレベルが分けられるなか、「低い」に属している。2011年は14位で標準だったのが、徐々にランクが落ちて行って、2016年から「低い」に属しているという。

 近隣の国々をみてみると、韓国は31位、中国は47位、台湾が48位と、いずれも日本よりは上位にある。

 わずか2位上の中国では、両陛下がトランプ大統領との会見で通訳を介さなかったというニュースを受け、以下のような反応があったという。

 「今の世の中、2カ国語以上話せないのは米国人だけ」

 「トランプ氏が日本語で話しかけるべき」(Record China)

 日本人もせめてこのような強気なメンタルを持てたらと思うが、なかなか難しいかもしれない。

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