『アラジン』実写版で改変されたジャスミンのキャラクター造形

wezzy / 2019年6月26日 6時5分

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 今月7日に日本公開された実写版『アラジン』が空前の大ヒットを記録している。

 「映画.com」(6月18日付)の記事によれば、17日の時点で興収は38億円を突破。同じディズニーアニメの実写版映画としては、2017公開の大ヒット作品『美女と野獣』を上回る勢いになっているという。

 ヒットの要因はさまざまあるだろうが、そのなかでもとりわけ大きいのは「音楽」の力だろう。

 実写版『アラジン』には「ホール・ニュー・ワールド」のように1992年公開のアニメ映画から受け継がれた名曲がある一方で、今回の映画のために書き下ろされた新曲もある。

 ヒロインであるジャスミン王女(ナオミ・スコット)が歌う「スピーチレス〜心の声」がそれにあたるが、18日深夜放送『宇垣美里のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)のなかで宇垣アナはこの曲を<これが最高にアガるんですよ>としつつ、このように紹介した。

<今回の実写版のジャスミンというのが現代ナイズドされたプリンセス像というんですか、最近のディズニーがしていることかなと思うんですけど。(ジャスミンは)“待つ・嘆く”ばかりの王女ではなくて。もともと(アニメ版でも)勝ち気で強い女性ではあったと思うんですけれども、そこからさらに(実写映画では)『誰よりも国民のことを考えているのに、なぜ私が国王になれないのか』と嘆いている女性になっていて。(「スピーチレス〜心の声」は)『女性は美しければいいんだ』って言われるたびに、『なにくそ!』って思いながら歌う曲>

実写版『アラジン』におけるジャスミンの描かれ方

 実写版『アラジン』でなされた最も大きいアニメ版からの改変がジャスミンのキャラクター造形である。

 今回の映画におけるジャスミンは、自らの治める国・アグラバーのことを誰よりも考え、民の幸せのために尽力したいと願う人として描かれている。

 そんなジャスミンは国の慣習に則って周辺国の王子と結婚することが決まっている。しかし、どれだけ求婚されても本気でアグラバーの民を思って国づくりをしてくれそうな人材には巡り会えず、そのうちに、自分自身が父の跡を継いで国王になりたいと考えるようになった。

 しかし、女性が国王になることは法と伝統が許さず、アグラバーのことを思って懸命に働けば働くほど、彼女の気持ちは踏みにじられることになる。

 自らの私利私欲のために国王の座を狙うジャファー国務大臣(マーワン・ケンザリ)は、そんなジャスミンの気持ちを知ったうえで「伝統に屈すれば楽になる」「女に必要なのは美しさだけ」「女に意見は不要」と幾度も彼女を愚弄する。



 そこで怒りを込めて歌い上げられるのが「スピーチレス〜心の声」という曲だ。

<ルールも言葉もみんな石に刻まれているみたい/何世紀も昔から変わらないの/「余計なことをするな 姿を見せてもいいが口は開くな」/そんな物語は今終わるのよ>
<私は黙らない/静かにさせることはできないのよ/口を塞ごうとしても震えたりしない/絶対に沈黙しないってわかってるの>(YouTube「DisneyMusicVEVO」チャンネルの動画「Naomi Scott - Speechless」に付された日本語訳より)

 こういったジャスミンの新しい人物造形についてナオミ・スコットはどう捉えているか。映画公式パンフレットにおいて彼女は、<私は新しい視点で現代的なジャスミンを演じたいと思っていました><彼女が最終的にどう声を上げ、一歩を踏み出すかというのがこの物語なんですよ><私がとても気に入っているのは、ディズニーが目的意識を持って、プリンセスやヒロインを強い女性キャラクターとして描いているところですね>と語っている。

 実写版『アラジン』は、非常に今日的なテーマを作品の主題のひとつとして描いた。もちろんアニメ版も素晴らしい作品だが、それとはまた大きく違った味わいのある映画として更新したことに敬意を表したい。

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